歯科あれこれ


このページでは、私が歯科技工士として日常患者様と接していて
いろいろ質問されたりして感じたことなどを書いていこうと思います。


歯科医療の特殊性
 
 一般の方は、歯科医院を訪れるとき、どのような基準で歯医者さんを選んでいるのでしょうか?
家から近い、会社から近い、先生が優しい、安い、早いなど
どうも僕の感じるところでは先生の腕が良いとかいうのはどうしても、後のほうになっているような気がしてなりません。

 でもちょっと考えてください、
軽度の歯槽膿漏の治療とか、本当に初期の虫歯のような軽度の治療を除いて、歯牙を削り、歯牙を抜いたりするなど
外科的な治療が大部分です、
仮にあなたが盲腸の手術をするときに家から近いとかいう理由で担当医を決めたいですか?
男の人ならともかく女の人なら手術跡の傷が出来るだけ見えないように腕の良い先生を探しませんか?
 
 もうひとつは、日常的に我々歯科技工士の業務である歯科技工物が、治療に際しては発生するということです。
さしば、入れ歯と一般に言われている物ですが、現在の日本においてはそのほとんどを歯科技工士が作成しています。
患者様の歯の型に合わせて1個1個全てが手作りで製作されています。テレビやラジオのように作り置きの出来る物ではありません。

 患者さんは自分が直接発注したわけで無いのであまりよく理解されていませんが、実のところここが一番の問題なのです

自分の体の一部である歯を作るのに保険にしますか自費にしますか?
その程度の選択で実のところそれがいったいどのようになるのかよく解からないで治療を終了してしまうことが多いのです。

 眼科にかかってめがねを作るときには、診断書だけもらって
めがねを作るのはめがね屋さんでいろいろ試して気に入ったもの、お金の納得のいくものを選びます。

残念ながら、今の歯科、特に保険での治療では患者様には決定権が無く歯科医師の一存で歯科技工所が選ばれています。



そこで考えてください、
保険治療は国民全てが分け隔てなく日本中、北海道から沖縄までどこで治療を受けても
同じ治療同じ技工物なら同じ料金で治療が受けられる


そして考えてください、
学校卒業して間も無い者と経験豊富で勉強熱心な歯科医師、歯科技工士の受ける報酬が同じであること、

そして考えてください、
歯科技工士は直接患者様からはもちろん保険機関からお金を受け取ってはいません、
業務の報酬は歯科医師が代表して受け取りそこから歯科技工の報酬が支払われます。
(直接患者様からお金を受け取ることは法律により禁じられています)
ここまで読んでピーンときたでしょうか?


そうです
保険機関からもらえるお金が同じなら、歯科医師はより安く作る技工所へ仕事を回せば利益は大きくなりますし、
技工所も患者様と直接話す訳でもなく歯科医師のご機嫌をとっておけばよい
のですから。
(もちろんそんな歯科医師ばかりではありません、まじめにやっている歯科医師歯科技工士もいます)

 どうです、それでもまだ近いとか優しいだけで歯医者さんを選びますか? 



保険では本当に良い治療は出来ないのか?
 
人間誰だって、良いものをより安くそしてより早くそう思うのは当たり前です。

 歯科医療技術はどんどん進歩しており、現代出来る最高の治療を求められた場合、確かに保健医療では限界があります、
インプラントや臼歯部の白い歯、陶器の歯、保険で適用の認められない矯正など、、、
ただし、通常生活していく上で、困らない程度の機能の回復や審美性(みばえ)の回復は十分出来ます

 問題は、その程度です。
上でも書いているように歯科の治療は全てが経験や熟練を必要とする作業の連続です
患者様の職業、性別、年齢により保険では難しい場合も確かにあります。
また、患者様自身があきらめていた事でも思いもよらない治療法で現在では可能になっています
(顎の骨を作ったり歯肉を整形したりするなど、矯正だって保険で出来る場合もあります)。


 歯科医師側には患者様の経済状態や価値観が常に解かっているわけではありませんので
、自分の持つ技術、知識、経験の中でベストのものを提案してその中から患者様に選んでもらっているわけです。

もちろん、治療法の長所、短所は言ってくれているはずです。

何の説明も無いのは論外です。質問しても答えてくれないなら、即刻転院することをお勧めします。

しかし、そうやって説明をしっかりしてくれる先生なら
正直に自分の必要とする治療のレベル、費用、期間について相談してください、きっと納得の行く治療が出来るはずです。
何も無理して治療しなくてもいいと思います、ゆずれるところはゆずり、押さえるべきところは押さえれば良いのです


 (ただし、説明だけ得意で、とんでもない場合もあるので注意してください!!)









良い仕事をするには、患者様、ドクター、スタッフ、技工士の意思の疎通、

そしてそのためには、
より患者様に理解いただけるよう患者様一人一人の状態に合わせた説明が必要
です、

そうした資料作成をきちんとしてくれる先生を私は強く推薦します。
逆にいえば歯科医療そして患者様のことを真剣に考えているからこそ
そうした資料作成に重きを置き、当社の歯科技工士の育成に協力していただけている先生方だと思うのです。
だからこそ私自身がそうした資料や模型をとりに先生のところに行く機会も多くなり、
この患者さんの場合には、こうすべきだああすべきだと先生と、時には患者様本人と色々検討が出来
その結果保険でも患者様一人一人に合わせた治療が出来るのです。


 もちろん、他の先生ではいけないと言っているのではありません。もくもくと黙って患者様の為にやっておられる先生方も大勢います。
そういう先生にあたってそれで良いなら、なにも問題無いのです。


 歯科においては玉虫色の解決などありません。

何とかなるだろうでは取り返しがつきません。

後になって後悔する前に真剣に歯科医院は選んでください。