K君の重油回収ボランティア体験記


会社の同僚のK君が、重油回収ボランティアに行ってきました。その時の体験記が興味深かったので、載せてみました。もちろん彼の了解済みです。

先週末(3/8〜9)、日本海の重油回収ボランティアに参加してきました。
私は波乗りを趣味としている関係上、海には返しきれないほどの恩を感じており、今回の事故には非常に興味を持っていました。
ちょうど千葉の中学校の先生が主催で、現地直行便の夜行バスがでると聞き、(料金も新幹線で行くよりはずっと格安の、往復で1万円でした)これはいい機会だと思って参加しました。
ニュース等でも報道されている通り、もう既に岩場での作業はほぼ終了しているようですので、私たちは石川県加賀市の塩屋海岸に行きました。

作業はというと、
一旦浜辺に打ち上げられた重油が再び海に戻らないように、国か県か政府によってブルドーザかなにかで、波が届かないところまで砂を山状に持ち上げられてあるんですが、(実に海岸沿いに4.9kmも続いています)それをスコップですくい、ふるいにかけて、油まみれの砂と普通の砂を分別するというだけの単純作業です。

だいたい一列8〜10人位の編成で、
(1)最初の一人がスコップで砂をすくって直径30cm位のふるいにいれる。
(2)2番目〜4番目位までの人は、そのふるいをそのまま隣の人に渡す。
(3)5番目〜7番目位の人がふるいを振って砂を分ける(重油が混じっている砂は固まっているのでふるいの網を通り抜けないという仕組みです)
(3)8番目位の人が残った(固形状の)砂を土納袋に納め、ふるいを1番目の人に返す。
(5)土納袋が一杯になったら封をして、新しい袋に変える。
という作業です。

(2)で2番目〜4番目位までの人がただ単純に隣の人に渡すというのは、積み上げられた砂山の付近で振るっても、どこまでが作業済みなのかが分からなくなりやすいため、もう一度スコップですくわなければならなくなる手間をなくすためです。

一日作業して、山になっていた砂を地下50cm位の深さまで掘ることができましたが、海岸沿いの4.9kmという長さを考えると気が遠くなる程です。

参加していた人たちは若い人が中心で、阪神大震災の時以来、ずいぶん意識が高まっているのは感じました。
おもしろいのは、(外見で人を判断するのは大嫌いなのですが)茶髪でロンゲの若者がまじっていたりして、それはそれで好感が持てるもんですね。
我々のグループも、年齢層は小学生から年配の方までとまちまちでしたが、私を含めほとんどが、2/24付の朝日新聞 朝刊の千葉版で記事を見つけたという人ばかりにもかかわらず、バス2台、約90人が集まりました。
ちなみに、私が参加した3/8は、聞くところによると1日で約4,000人のボランティアが作業したとの事です。

参加して印象に残ったのは、
(1)こんな作業、ほんとに人手でしかできないの?といういらだちにも似た疑問(あの場所で'HITACHI'というロゴの入ったオレンジ色の重機を見たかったなあ)と、
(2)ボランティアに参加している若い(言っときますけど、私も若いんですけど27歳独身)大学生くらいの人たちの真摯な姿でした。
ひねくれ者の私には、就職活動時期を前にしてポーズでやってるんじゃないの?
なんてよこしまな思いも一瞬よぎりましたが、ポーズだけではあそこまでできないでしょう。仮に最初はポーズでも、一日作業すればそんな思いは吹き飛んじゃうでしょう。との思いに到りました。
本当に作業中はみんなが黙々と(今気付いたけど全員防毒マスクをしているからかも?)自分たちのペースで作業を続けていました。
それからもう一つ
(3)ぱっと見には、海はすっかりきれいに見え(不躾ながらけっこういい波がたっていました)何事もなかったかのようにしているのが、何だかほっとするような、かといって、年老いた両親のすねをかじっているようで恥ずかしいような思いがしました。

尚、ボランティアの受け入れは3/末までに終了するとの事ですが、インターネット上で重油災害ボランティアセンターのホームページが見られるようなので、興味のある人はアクセスしてみて下さい。

私、思うんですが、
今回のことって自分一人の力で役に立ったことなんてほんのちょっともないかも知れないけど、一日の作業が終わった後に見た土納袋の数はその日の作業の明らかな成果だし、あくまでも自己満足ですが、参加して良かったと思っています。
今月もう一度参加するなんてたぶんできないと思うので、これからは努めて日本海産のカニでも喰らっていきたいと思っています。(誰かご馳走してください)

以上、長々と失礼しました。

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