リサちゃん登場!(00.5.1)

 

 昨年の今頃、わたしの甥っ子(私の妹の子供)、健ちゃんに妹が誕生したことを書きました。
 早いもので、妹の方ももうすぐ1才になるわけです。そこで、誕生1周年記念ということで、健ちゃんに続き、この子もネットデビューさせることにしました。
 

 前にも書きましたが、健人(ケント)という、外国でもなじみ易い名前は、“国際人として通用する人間に”という妹夫婦の願いからつけられたものでした。同様の理由で妹の方も“梨紗子”、通称リサちゃんと名付けられました。
 でも、名前負けっていうのは世の常で、こういう名前をつけても全然国際人になれない、ってことだってよくありますよね。
 その点、ケンちゃんとリサちゃんは早速国際人への第一歩を踏み出すことになりました。
 6月からパパの仕事の関係で、ふたりはモスクワで生活することになったのです。
 

 わたしが子供の頃は、小学生以下の子供のパスポートは親と一緒のものでした。でも最近は色々法律が厳しくなってきたらしく、幼児といえども、ひとりひとりが、自分の写真入りのパスポートを作成しなければいけないそうなのです。リサちゃんは1才になるやならずで自分のパスポートを持つことになるわけで、これを国際人と呼ばずして何と呼べば良いのでしょう。
 

(ママに作ってもらった服を着て御機嫌のリサちゃん。断っておきますが女の子です。)
 

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A Touch Of Monk(00.5.22)

 

 先日はわたしのオーケストラのライブ(5/19、TUCにて)に大変多くの方にいらしていただき、ありがとうございました。お陰様で盛況のうちにライブを終えることができました。
 

 今回は特にモンクの曲を特集したわけですが、モンクの曲というのは、一見オーケストラ化に向いている様にみえます。彼のピアノの両手をそれぞれ管楽器に振り分けただけでも、それなりのサウンドが得られるくらい、構成力がしっかりしているからです。これはモンクの大きな特徴のひとつで、たとえば、ビル・エバンスやチック・コリアの両手を振り分けても、オーケストラサウンドにはなりません。
 でも、実際にとりかかってみると、思った以上に難しかったです。モンクの曲は多くのプレイヤーがとり上げていますが、なかなかモンク本人の演奏を超えられない、その理由もよくわかったような気がします。
 

 前にも書いたと思いますが、わたしは、良い音楽をつくる2大要素は“哀愁”と“ユーモア”なのではないかと思っています。モンクの音楽にはこのふたつの背反する要素が絶妙なバランスでブレンドされています。 “哀愁”の方はけっこう、わたしたち日本人にも得意な分野ですが、モンクの場合、“ユーモラスでシニカル、アイロニックで、諧謔的”な雰囲気も特徴的で、それを醸し出すのは大変に難しい。
 また、“ストレンジな魅力、意外性の魅力”もモンクらしさの重要な要素。だけど、裏の裏は表であるように、ストレンジな手法を連続して使うと、今度はいつの間にかストレンジが当たり前になってきてしまう。モンクの代表曲のひとつに“Ugly Beauty”というのがありますが、このタイトルさながらの、醜さと美しさ、構成力と破壊力が同居する魅力を、アレンジと演奏でどう出して行けば良いのでしょう。
 

 ビッグバンド・サウンドということに関して言えば、コカコーラじゃないけど、“スカっと爽やか”“とにかく理屈抜きに爽快”という部分が絶対に必要なわけです。最近こ難しいばかりで、こういう部分が少ないビッグバンド・アレンジも増えてきましたが、あまり良い傾向ではないと言いたい。(非常に自戒をここめて言ってます)しかし、モンクの曲でこの面を出すのはを意外に難しいんだなあー。
 

ほんと、モンクは一筋縄ではいかなかったです。
 

(写真は三井寛昭さんが撮影して下さったもの。三井さんのHPジャズライブ徒然草に詳しいライブ報告と写真を載せて戴いています。また、この日のライブレポートは“Swing Journal”“Jazzlife”にも掲載される予定です。)
 

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“バリサミツア−報告1日目”5/24名古屋の巻(00.6.5)

 

 まず、そもそもなぜバリトンサミットがツア−に出ることになったのか、という経緯からお話したいと思います。
 今回はオーケストラの仕事が先に決まっていたのですが、オーケストラにはバリサミのフロントが3人とも入っている。この3人のスケジュールが合う機会というのはそう滅多にないですから、“この際バリサミのツアーをくっつけようよ”と誰からともなく言い出したことがきっかけだったのです。いやー、この何気ない一言が大変な苦労を産むことに。(音楽的には楽しかったのですが、それ以外のところで)
 

 今回バリサミでまわったところは、お店側は赤字覚悟で最大限の額を提示して下さったのですが、それでもどこも100人も入れば一杯のライブハウスばかりですから、ギャラを出すのは大変。ピアノトリオならともかく、6人でまわるとなると、宿泊や交通費などの経費部分だけで相当な額になってしまうのです。
 しかも、今回はあとにオーケストラが控えているので、各人の楽器の量も半端ではありませんでした。楽器ってスーツケースみたいに宅配便で送ることもできないし。
 

宮本さん:バリトン、バスクラ、ソプラノ
つづらのさん:バリトン、テナー、ソプラノ、フルート
小池さん:バリトン、テナー、アルト、フルート
納さん:アコースティック&エレクトリックベース
わたし:ピアノこそ持って行く必要はないが、オーケストラ及びバリサミの莫大な量の譜面
 

 さて、以上を全部持って最も安く移動するには?
 楽器車運転メンバーと、新幹線移動のメンバーをわける、レンタカーを岡山で乗り捨てる、などなどあらゆる方法を考えました。
 しかし、結局一番安いのは自分たちの車で移動すること。その場合、行きは途中途中泊まりながらですから、それほど大変ではないのですが、帰りは福山から一気に東京に帰ることになりまさに“行きは良い良い、帰りは恐い”ツアー。でも節約するにはこれしか方法がなかったわけです。
 

 納さんと、つづらのさんが快くこの車を出す役を引き受けて下さいました。それぞれが11時に待ち合わせ、名古屋に着いたのが、16時少し前でした。
 わたしは宮本さんとつづらの車で移動することになったのですが、宮本さんは“いやー、自分達の車で自分達の楽器を運びながら移動するなんて、10何年ぶりかなあ”なんて言ってる。つづらのさんも、“僕も、自分の車で移動するツアーなんて5年半前に名古屋方面をまわって以来ですよ”・・・5年半前のそれって守屋セプテットツアーのことだ!!
 

 そうそう、よく考えてみれば、バリサミのフロントの3人にとって、普段のツアーといえば、飛行機か、新幹線のグリーン車で移動、楽器もちゃんとケアする担当者がいるのが当然、ですもんね。
 それに引き換え、私にとってのツアーとは、経費を浮かすためならば、東京を夜10時に出て、深夜バスで早朝青森に着いたり、深夜寝台列車で帰ってきたり、なんてことが当たり前。大分県の日田から車で1日で東京に戻ってきたことさえあります。(某ベーシストのツアーの時のことだが、この話はさすがにどんなにゴキブリ・ツアー慣れしたミュージシャンにも驚かれる)
 

 ふたりも、決して、“大変で嫌だなー”という意味でこういうことを言っているのではなく、“やっぱりたまにはこういう原点に帰ったツアーもしないとね。”“こういうツアーって、ジャズの基本ですよね。”などと、とても楽しそうなのです。ってことはわたしのツアーは、常にジャズの原点を極めているわけですね。これって良いことなのか、悪いことなのか・・・。
 

 ところで、名古屋の“スターアイズ”ですが、ここは全国のジャズクラブの中でも特に雰囲気の良い、演奏しやすいお店です。スタッフもお客さまも大変暖かく、ツアーのスタートとして最高の場所だったと感謝しています。
 今回は特に、静岡大学、愛知大学、愛知学院大学など地元の大学生の方に多くいらしていただきました。やはりサックス・プレイヤーが多かったようで、ライブが終わってから、楽器の奏法などについて、熱心に専門的な質問をしている方も多かったです。
 私達が、“ライブが終わって疲れているのに、そんな細かいこと聞かないでくれ”と思っているか、ですか?とんでもない。プレイヤー側にとってはそういう音楽的な質問をしていただけるのが、一番嬉しいことなのです。プロとかアマとか関係なく、同じ楽器を演奏する仲間どうしなのですから。
 

(写真は“マ−坊”氏撮影による、宮本大路氏。この写真ではわかりにくいですが、これは珍しい白いバリトンサックスです。)
 

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