ワールドカップ観戦記その2------対ベルギー戦(02.6.8)

 

 前述したように、自国開催にしては、いまいち盛り上がっていないと思っていたワールドカップ。ところが、日本チームの活躍によって、6/4より突如盛り上がってきました。
 

 日本ベルギー戦、本当に素晴らしかったですね。わたしはあの試合を90分間見て、日本先発メンバーの顔と名前がとりあえず一致しました。(以前は、ヒデ、オノ、ゴン、サントスしかわからなかった)
 

 それにしても、ベルギーはとにかく見た目が強そうだった。平均身長は日本チームより少なくとも6、7センチは上回って見えたし、平均年齢が29才とか言っていたけど、中には、“オマエどうみても40くらいだろう”という、既に“親父”の雰囲気をバッチリ醸し出していた選手もいたし・・・。
 

 それに比べ、日本は平均年齢25才より、もっと若く見えました。全員髪の色を白から茶色の間(赤一名)に染めているのも、“最近ちょっと不良に目覚めた反抗期の高校生”な雰囲気。
 大活躍した稲本など、実年齢も22才と若いですが、“実はサッカー選手じゃなくてジャニーズジュニア”と言われても、十分信じられるような童顔に加えて、ゴールした時のこどもチックな(良い意味で、ですよ)アピールぶり。欧米人から見たら、10代半ばにしか見えないでしょう。
 いかにも屈強なベルギー軍団を相手に互角以上に戦った“一見軟派”な日本チーム。世界中の多くの人はベルギーが勝つと思っていたでしょうから、彼等はとても痛快に予想を覆してくれたんだと思います。世界に向けて、アピール十分の試合だったと思います。
 

 先日、ライブで打倒チュニジア、の願いをこめて、“チュニジアの夜”を演奏しました。(実話)ついでに、“トロイカ”をジャズ風に・・・(ウソ)。頑張れニッポン!
 

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ワールドカップ観戦記その3------対ロシア戦(02.6.16)

 

 とにかく恐いくらいの快進撃です。ついに日本チームがベスト16に入りました。
 

 ここまでの3戦を振り返ってみると、どの試合も重要でしたが、最も肝となったのが、第2戦だったのは衆目の一致するところでしょう。チュニジアには勝てるとも言われていたし、ベルギーには勝ったわけじゃないし、でも強豪ロシアに勝つ、という想定はあまりされていなかったのではないでしょうか。
 評論家の事前の予想も、もちろん、日本が勝つと言わないと、非国民扱いされそうな中で、勝ちと設定しながらも、“期待をこめて2-1”とか“日本国民として3-2”とか、中には“カミカゼが吹いて、2-0”とか、まあ、正直言って、引き分けで御の字、本当に勝てるとは思っていないのがありありでした。
 

 逆にロシア側は、日本には楽勝で勝つつもりだったのでしょう。日本からとる勝ち点3を大前提にして、さて他の2国とどう戦おうか、と思っていたに違いないのです。それは、日本に負けた時だけ暴動が起きて、ベルギーに負けても何も起きなかったことからもよくわかります。
 

 うぬぼれっ子ロシアのバカバカ、ニッポンをなめたらあかんぜよ・・・とは全く思いません。サッカーの歴史、過去のW杯出場歴、体格の差、経験の差、どれをとっても、ロシアの方が圧倒的に有利と考える方が普通です。前述したように、わたしたち自体が、ロシアに勝てると本気では思っていなかったのです。
 でも、日本は一位で予選を通過しました。ロシアには大変お気の毒ですが、今回は、優勝候補のチームが次々予選敗退していくくらい、大荒れのW杯ですから、仕方ないことです。
 

 それにしても、W杯も半ばになって、気付いた事ですが、FIFAランキングとか、評論家の事前の予想とか、結構いい加減なものですね。今回ロシアやベルギーの強さを示すエピソードとして、“最近、あのフランスを破ったチーム”という事実が強調されていました。でも、今となってみると、彼等が強かったというよりも、フランスがいまいち弱かっただけじゃ・・・。相対評価はやめようね。
 

   “チュニジアの夜”を演奏したら、本当にチュニジアに勝った。次は、“トルコ行進曲”をジャズ風に・・・(しつこい)。そういえば、デイブ・ブルーベックの“トルコ風ブルー・ロンド”なんて名曲もありましたね。
 

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ワールドカップ観戦記その4------対トルコ戦(02.6.21)

 

 日本最後の試合となってしまったトルコ戦の真っ最中、わたしはY社で打ち合わせをしていました。
 

 5時に打ち合わせが終わり、Y社のロビーに出てみると、普段、プロモーションビデオなどを流している大型スクリーンで、日本戦を映していました。それで、会社中の人が、そのスクリーンの周囲にたかって盛んに応援しているのですが、なぜか試合の音は消されているのです。
 

 その時点で、日本は、後半残り15分で1点ビハインド、でも、日本が猛攻している、という危機的な状況でした。そこで、ある社員が、“音消えてちゃわかんないよー。音出そうよー”と言い出して、リモコンのボリュームスイッチに手をかけたのです。それを言いたくてたまらなかったものの、部外者の身で自分から言い出すわけにもいかなかったわたしは、心の中で“シメシメ”と思ったのですが...。
 

 その時、一緒に応援していた若い女性社員が、“あの・・・。でも、今朝の朝礼で、見ても良いけど音は消す事、って決めたんじゃ・・・。”とおずおずと言ったのです。その一言で、ボリュームはゼロに戻りました。
 

 確かに、世の中、サッカー好きな人ばかりじゃない。真面目に仕事をしたい人もいる場合、迷惑をかけないように気を遣うのは当然のマナーです。
 でも、でも、その時会社中、ほぼ全員の人がスクリーンの前にいて応援していたんですよ!
 それでも、就業中にテレビを見るなんて、サラリーマンにとっては一抹の後ろめたさがあるんでしょうね。
 

 ロスタイムも過ぎ、試合は終わってしまったらしい。(音が消されていたので、終了のホイッスルがわからなかった)その瞬間、誰かが画面に向かって拍手をしはじめ、やがてそこにいた全員がそれに追随しました。
 負けても、拍手が起きる試合って、今まで滅多になかったのではないでしょうか。今回は残念でしたが、日本チームにはたくさんの夢をもらったような気がします。
 

 その後の色々な批評などを見ると、ほぼ全てが、トルコ戦の敗因は監督采配の失敗にある、という論調でした。
 でも、選手交代がたった3人しかできない、というルールの中、どのチームにとっても最も難しいのが人選でしょう。日本は今までの3戦でこれが恐いほど当たってきた。今回だって、勝っていれば、“トルシエ・マジック”とかいって持ち上げられていたことでしょう。
 人選が当たって勝って当たり前、負けたら、あちこちでボロボロに批判される。監督というのは本当に孤独で大変な商売ですね。
 

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ワールドカップ観戦記その5-----祭りの後(02.7.5)

 

 終わっちゃいましたね、ワールドカップ。
 

 振り返って見てみると、ベスト16に入れてよくやった、と拍手したのも束の間、トルコ戦と同じ日に行なわれた韓国の物凄い戦いぶりを見て、ちょっと羨ましくなっちゃったのも事実。韓国のベスト4入りで、日本のベスト16入りは“大健闘”から“なんかちょっと中途半端な結果”となってしまいましたね。
 トルシエもヒディング監督と比べられちゃって、ちょっと可哀想。ちゃんと結果は出したにもかかわらず、結局なんだかんだと最後までバッシングされていました。4年前に全敗した岡田監督だってさして批判はされなかったのに、やはりトルシエってよほど日本人とは相性が悪いのでしょう。
 

 ここまでW杯が盛り上がったのだから、さあ、これからはJリーグが大盛り上がり・・・とはならないだろうなあ。よく“世界レベルのプレイを見た後で、Jリーグなんて、モタモタしていて見ちゃいられない”という意見がありますが、それって、Jリーグをほとんど見ていない人に限って言っているような気がします。本当の理由はそんなところじゃないんじゃないかな。
 

 バブルの頃は毎夏ごとに、大きなジャズフェスがありました。そこには7-8千人単位で人が集まってきて“こんなにジャズを聴く人がいるんだ”とびっくりするんだけど、でも、そういう人たちが、普段ジャズクラブに来るかって言うと、全然そうじゃないんですよね。
 ハンコックとショーターとマルサリスが同時に聴けるなんていうのは、ロナウドとトッティーとベッカムを一緒に見ちゃうようなもので、“ああいう凄いプレイを聴いたあとで、日本人のジャズなんてモタモタしてて聴いちゃいられない”と言われてしまえば、まあそれまでなんですが・・・。
 

 結局、こういうお祭りでは、サッカーとか、ジャズとかは、皆で非日常的に盛り上がるための素材というか、きっかけなんですよね。だから終わっちゃうとあっという間に熱はさめちゃう。
 オリンピックもW杯も終わったし、最近は不況で夏のミュージック(ジャズに限らず)フェスティバルも大規模なものはなくなってしまったし、次は何をネタに盛り上がれば良いのかなあ?今は皆がそれを探している時期だと思います。
 

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