コーラル城 西の離宮

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デルフィニア戦記 茅田砂胡著 中央公論社C☆NOVELS Fantasia
 第16巻まで出ています。中世風異世界ファンタジーの人気シリーズ。ここは、ご紹介のコーナーじゃないので知らない方は本編を読んでから来て下さい。(笑)
 そもそも、『小春屋』にデルフィニアのコーナーを作ろうと思ったのは、「Yahoo!JAPAN」で検索しても「デルフィニア」も「茅田砂胡」も1件もヒットしなかったからなんです。
 それでまぁ、インターネットを始めたばかりの人が簡単にたどり着けるデルフィニアのページを作ろうというわけで。(ということで『小春屋』は「Yahoo! JAPAN」に登録しております。今では、他のページも登録されていますね。だからってなくさないですけど)
 このページはごくごくちょっとした、しかも偏ったページですが、リンクの部屋(幸せなら手をつなごう)にデルフィニア関係のサイトが載っていますので、そちらをご利用下さいね。>探している方々


西の離宮専用のチャットができました。こちらへどうぞ。
(16巻発行記念チャットは8月8日(土)ににぎにぎしく開催いたしました。)

西の離宮専用の掲示板『午後のお茶会』へどうぞ。
15巻「勝利への誘い」 16巻「伝説の終焉」



好きなキャラは、やっぱりリィかな。シェラもお気に入りなんだけど(そりゃあもう☆かわいーったらありゃしない)王妃は別格でしょう。ぬらりひょん国王(笑)も好きです。
 イヴンもバルロもナシアスも、シャーミアンもロザモンドも夫人もいーですけど。ただ、デルフィニアを読んでいて不満に思うのは、特に(リィを除く)女性の、キャラが弱いっていうことでしょうか。世界とか背景とか(みんな貴族だしね)のせいもあるとは思うんだけど、みんな品が良くてアクがない。茅田サンはルビーの『桐原家の人々』とか見ても、強烈に個性的な女性を描く人だと思うのに、デルフィニアの女性陣はなーんか、みんな印象が薄い。リィはもちろん別だけど、あれは厳密には女性じゃないですし。

 実は、13巻に登場する歌姫・シャーリーアレンに密かに大きな期待を寄せていたのですが、ぜんぜんでした。もっとしたたかでしなやかで懐の深い大人のいい女だと思っていたのになぁ。(だって、世界を股に掛ける女でしょう。って表現が直截過ぎ?)国家元首クラスを何人も手玉に取る歌姫は、もっと奥の深い人であって欲しかった。ポーラに負ける役で登場したせいもあるだろうけど、あーんなそこの浅い、顔と身体が売りなだけの女に勝ったからってなんなの?っていうカンジじゃないですか。もう、がっかり。仇役というのは、もっと「敵ながらあっぱれ」であって欲しいっていうのは、そんなに我が侭じゃないですよね?

 ヴァンツァーなんて、最初の頃は謎の人でクールで脅威っていう感じだったのが、13巻のパーティのシーンなんかシェラは緊張しているけど読者の目線から見ればさして怖いとも思えないし、ましてリィにあしらわれているところなんか「・・・ぼうやだからさ」って言ってやりたいよーなかわいらしさっていうか可哀想さまで出て来ちゃっている。このままいくと、最近たくましくなってきたシェラと釣り合いが取れなくなってしまう。(ヘンな意味じゃなくてね、お話の作りとしてもあの二人は対比とるためにもある程度バランスとれてないと)

 仇役といえば、本筋の敵役、ゾラタス王とか、オーロン王も大国の王にしては今ひとつかなぁ、っつーカンジ、しませんか。ファロットの上層部にしても、シェラとかヴァンツァーとかのあたりをもっと「手の中で遊ばせている」感があるくらい歯の立たないような悪役であって欲しいわけで、そういう意味で魅力ある敵役がいなさすぎる。
 特に6巻以降、だんだんとキャラが弱くなってきているなあと思うのは、コーラル奪回遍においては、たとえばルカナン大隊長とか、カリンさんとか脇の方々がとてもいい味だったではないですか。(ルカナンさんは好きだ☆)そういうのが無くなったかなとか。

 そんな中で、出色なのがレティシアですよねー。最初に出てきたあたりではあまり印象良くなかったけど、リィと顔合わせした後はどんどん良くなってる。どきどきします。彼を気に入っているリィの気持ちが分かるなぁ。いっぱい登場してたくさん活躍して欲しい・・・あ、彼が「活躍」すると被害者が出たりするのか。それはまずいかな。
でもやっぱり、今、出てきてうれしいキャラの一番がレティシアです。もちろんファロットの暗殺仲間(すごい表現だな)とあほらしいよーなやりとりとかやっているところではなく、リィと対面してね。




 カップリングの話とかします。とりあえずメインで4組出来ているのだけど(国王・バルロ・ナシアス・イヴンそれぞれ。おまけでジルさんがなんか婚約してましたが(笑))それ以外。

 カップリングに関しては、なんだかねー、ずっと謎だなぁと、思っていることがあるんです。
 わたしが以前にパソコン通信をやっていたところの、デルフィニア好きの人が集まる場所でやったアンケートでね、ウォルとリィが正式に(?)カップルになって欲しいという人が結構、いたんですね−。ま、作者もあとがきとかで触れていますけど。
 それで、それをいう同じ人が、ルーファ×エディ(リィのことね)というカップル(これを推すのはまぁ、やおい系の女性読者でしょう)を、『男同士だから』イヤだと、おっしゃるんですね。男の方が多いから、男同士がイヤっていうのはぜんぜん分かるんだけど。
 ならば何故、ウォル×リィはいいの? そこが、分からない。

 ファンタジー世界で、魔法にでも掛けられたのだろう、ということになっているけれども、リィは本来少年なのが、身体だけ少女の形をさせられているだけで、両性だったわけでもない。完全に女性になったのでもない(月経がなくて子供が出来ないだろうという描写があるし)。
 言っちゃうと、全くそのつもりのない男性が、本人の意思のない性転換手術を無理矢理されてしまったのと同様の状態なわけでしょう? そういう人と男性の恋愛って、いいと思うのかー。って、訊きたいんですよ。(わたし自身は、別にいいと思います。いや、ウォル×リィが、ではなくてそういう種類の恋愛ってありだと。やおい小説の分野では、そういう小説も実際にあるし)
 それがOKなら、ルーファとエディではどーしてだめなんだろー?
 まぁ、わたしは別にルーファ×エディ派って言う訳じゃないので、ルーファ×エディないし、エディ×ルーファを認めろとか、そういうつもりはありません。ただ、謎なんだもの。

 そいでもって、ルーファ×エディには抵抗感はないわたしは、逆にウォル×リィがダメです。動物の子供同士の悪ふざけ的にじゃれあってるのはいいけど、恋愛は絶対パス。
 あの二人が喧嘩の後に同衾したのは喧嘩の後の仲直りスキンシップだからいいけど、それ以上は恋愛感情なしでもやめて欲しい。たとえば、リィが『なんか分からないけれども、発情しちゃってもやもやするから、使わせろ』(手近なところでって意味で。言いそうじゃない?彼女の場合。「勃ってるモノは親でも使えっていうだろ」とか。(←下品すぎ。退場!>小春))っていうのもイヤです。

 で、そうでない私の推しているカップリングは、実は、リィ×シェラです(シェラ×リィではありません。念のため)
 このページのタイトルが西の離宮なのだって、そこが二人の愛の巣だから〜、って、これは嘘ですが。二人きりでそこに住んでいるのは事実☆

 シェラは最近いいでしょう。自我に目覚めたし、後ろ向きでなくなったし、結構負けん気も強いし、鍛えてきているし。その上顔は極上品だし、よく気もつくし出しゃばらないし、お料理も手芸もこなす。女らしいのいい部分と男らしいのいい部分を両方持っている。わたしゃかわいくってならないわ。
 そして、リィも。彼のことを可愛いと思っているでしょう。断定。
 ポーラの結婚祝いを買いに二人で出かけたシーンなんか、すごくうれしかった。あと、13巻の『口直しに、ちょっと噛んでもいい』なんて。
 そんな、そんな嬉しいことは、国王なんかの聴いている時じゃなくて二人きりの時にいいなさいよーって、転げ回っちゃいました。

 シェラに関しては、わたしは大変お気に入りなので、あんたも17歳のお年頃なんだから、(やおい小説とかでは、よく『やりたい盛り』とか評されています。事実かどうかは、知らない)やっぱり朝起きたら一部出っ張っていたとか、王妃のお着替えを手伝っていてやばいことになりそうになったとか、そういうの、ないの?ないの? とか訊いていじめたいとか、そういう気持ちはいっぱいあります。そういえばイヴンも気に掛けていたっけな。本当に、どーしているのだろう。(一応、房時に関する教育も、ちゃんと受けている筈だけど)
 デルフィニアのやおい系同人誌ってみたことないけど、シェラの相手はたぶんヴァンツァーかナシアスになるんでしょうが。でもでも、わたしはリィが一番だと思うのだもの。
 まぁ、大変残念なことに、リィは発情期はもっと大人になってからと言うことですが。もし、なにかの間違いで発情しちゃったら、ぜひシェラとね☆ くれぐれもウォルはやめてね。(どっちもないって)





 14巻『紅の喪章』のことを少し

 「王妃、落馬する」の巻きでした。ついでに、ウォルといちゃついている。(あれは「いちゃつく」以外にはなんとも云いようにないですよね!)人間嫌いで、本当は側に人の姿が見えるだけでも嫌なリィに、そうして触れ合うことが幸せに感じられる相手がいるということが私は嬉しい。もちろん、側にられるのがイヤだとは思わずにすむ相手は、ウォルとシェラだけでなく、たくさんいるみたいですが。(ポーラとか。ドラ将軍とか、ノラちゃんとか、シャーミアンとかね)
 ひるがえって、自閉しているルーファにはそういう相手はいないらしいので。可哀想だよなぁ。

 私の「お気に」シェラちゃんが、なかなか活躍いたしました。パチパチ。王妃からもたくさん、お褒めの言葉をいただいてます。頭も撫でてもらったし、キッスなんかもしてもらっちゃっている。
 それにしても。
『・・(前略)・・凛々しくなったとか、たくましくなったとか、そういうことは言えないぞ。嘘になるからな』
 って、いうのは。来年は19になるというのに、シェラってば少しもたくましくはなっていないのかしら。(精神的には、だいぶたくましくなったと、思うけどなぁ)可愛くなったというのは大納得なんだけど(特に王妃の目から見てなら)少しもたくましくなっていないっていうのも、なんだかなぁ。

 ところで、14巻になっていきなり「11月15日」とかいう現実の暦が出てきたような気がするのですが、前からありましたっけ? 最初に読んだときには違和感なく読み飛ばしてしまったのですが、「春になったら年を一つとる、ってことは、リィは春生まれなのかなぁ。誕生日はいつかな?」とか考えていたら急に暦が気になったのでした。
 今から13巻までを読み直すしかないか・・・・?

 今回の一番嬉しかったことは、やっぱりシェラの『I'LL FOLLOW YOU あなたに付いていきたい』(ちょっぴり血の気は多いけど、素敵な人だから〜)でした。もちろん、デルフィニアは良いところなので、リィがこっちに居残ってルーファもこっちにくる、と言うのでもいいと思います。・・・でもそのときには、いつまでも『王妃』ではいられないから、そっちはお葬式でも出してもらって(行方不明でもいいけど)ですね、パキラ…ではちょっと近すぎるか、タウの自由民(ではないのか?もう)の方々も足を踏み入れないような山奥に3人で暮らしていただきましょう。ネェ。




 15巻『勝利への誘い』のことなど

 このタイトル、やはり読みは「しょうりへのさそい」ではなくて、「しょうりへのいざない」ですよね?(王妃的には「勝利への誘拐」・・・

 やはりこの巻は、「イヴン大活躍」の一言につきます。おーい、主役は誰だ(特に、王様はどーした)っていう感じでしたね。ワタクシ的には、シェラもレティも全然出てこなくてつまんない(勝手なコトを(笑))という1冊でした。

 そんな中で、今回一番楽しかったのは、王妃誘拐犯になるの下りでしょうか。王妃と一緒に馬車の旅(もれなく、シェラのかいがいしいお世話も付いている)。私も拐かされたいわ〜と、女性読者の何割かは思ったはずだ。だって、私は思ったもん(自爆)

 そしてそして、なんといっても注目は「ルーファ登場」でしょう。や、今までも出てきたけど今度は、同じ世界に、しかもコーラル城下からさして遠くない(徒歩10日というと、距離はどのくらいかしら・・・・?)辺りへのご登場です。リィとの再会も近い。
 ルーファと再会したリィが、どーなるのか(というか、どうするのか)。というのが、やはり最大の関心事ですよね。やー、私はシェラがちゃんとお側に居られれば、それでいーかな、と思いますが。

 それにしても、「この空の下にあの子がいる。たぶん幸せにしている」というのを感じただけで、その幸福感に涙がこぼれる、というのは。(お話の中とかでは、ままあることではあれ)それだけ深くエディを愛しているのね、というのが感じられる節ではありました。
 ・・・・青い空を見上げると涙が零れるのは、幸せだから。でも淋しいからね。

と、ポエマー小春を発揮した辺りで、以下次号・・・。




 16巻『伝説の終焉』のことなど

 タイトルが事前に知れたとたん、「これが最終巻なのか?!」という疑惑と不安の噂を巻き起こした16巻。ま、「終焉」ですからね。もともと、「デルフィニアもうすぐ終わるの?」という噂があったところにこのタイトルですから。それは仕方のないことだったでしょう。

 さて、16巻。サブタイトルは「立ち上がった犬」(笑)シェラの活躍は大きかったでした。ただ、ねぇ。
 なんだか、詰め込みすぎでバランスの悪い1冊だった。という気がします。
 まず、王妃が捕らえられて。シェラがヴァンツと対決して。それで伯爵とも対決して。王妃は薬を盛られて。その間、ルーファはコーラルで牢番を誑かしてて。それから王様と仲良しになって。
 シェラがファロットを解体して。コーラルに戻ってきて。ウォルがバルロに王位を譲って、みんなでリィを助けに行く。
 と、これだけたくさんのことを1冊に詰め込んじゃっているわけですよ。ちょっと、ムリがないかい・・・。

 やっぱり、ヴァンツァーとシェラの対決は、もっときっちりメリハリつけて、たくさん書き込みして欲しかったし。まして倒した後のシェラのショックとかね。
 更に、伯爵との対決も、もっといろいろあって欲しかった。ましてや、ファロット全滅命令は。

 あの「皆殺し」命令がすんなり出たことに対しては、モンクはないです。でも、言っちゃった後の揺すり返しがシェラに欲しかった。 もうすこし他に「更正」の道は無かったんだろうか、或いはファロットを抱えて王妃に仕える手だてはなかったか、とね。多少思い悩んでも(シェラの性格上)不思議はなかったし、或いは国王から一言「それはもったいないことをした」とか(半分くらい本気で)くらいあっても良かったかな〜とか。そういうちょっとした不満が目白押しの一冊でした。

 ただ、このノベルズのファンタジーシリーズ自体が、中央公論から無くなるらしいという噂も聞きますので、やっぱり17巻という半端な数字で終わっちゃうのも、そうした出版社側の事情もあるのかなぁと、もし噂が事実であればくやしい気持ちもします。(ことに、茅田さんに関しては「王女グリンダ」が一度つぶれている、というのもあるし)

 別にね、いつまでもいつまでもデルフィニアを書いていろ、と言うわけではないです。この作品はこれとして、きちんと終わらせてまた別な作品にも取り組んで欲しい。(できたらやおいも書いてくれないかな〜)
 ただ、作品としてはもう少し枚数を要するのに(シリーズ全体のバランスから言っても、次で最終巻というのはやっぱり、急ぎすぎの印象が否めない)なんらかの事情でそれを縮めて完結を急がなきゃならないとすれば、それは読者として悲しいですね。

 とまれ、次回最終巻を、瞠目して待つべし。

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