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主幹技師 亀有カブト
カブトムシやノコギリクワガタなどと違い、大変丈夫で長生きし上手に育てれば3〜5年は生き続けます。比較的乾燥に強く湿気を嫌い、木のうろなどを棲家にし、滅多に飛び回る事はありません。
大きさは、大きいもので75mm近くにもなり、大腮(アゴ)は太くはさむ力も強いのですが、大変臆病で人の気配がするとすぐに隠れてしまいます。しかし獰猛な一面もあり、他の甲虫を襲って食べてしまったり、飼育ケースの中で過密に飼育すると、成虫、幼虫共に共食いをすることもあります。
体色はオス、メス共に黒色でオスは大腮の中央のやや先端よりに内歯を持ち、その個体の体長により内歯の形態は、小型では元の方を向き(小歯型:汐骸慌)、中型は内側を(中歯型:銑骸慌)、大型は先端向き(大歯型:折下慌)となります。また、小型の個体は、光沢が強くなり、上羽に点刻列を持ちます。
メスは光沢が強く、上羽に点刻列を持ちます。
本州、四国、九州、対馬の主に平地に生息しており、北海道にもわずかだが生息しているとの事です。
オオクワガタは、完全変態し成長する昆虫であり、卵、幼虫、蛹、成虫と変態を繰り返し成虫になります。
幼虫は、初齢、2齢、3齢と脱皮を繰り返し大きくなり、蛹になる前には、前蛹となり蛹になる準備状態となります。
条件や個体差により、変態サイクル(期間)が次のように変わります。
2年1越型 産卵は晩夏に行われ、2年間の幼虫時期を経て、蛹になります。羽化後、成虫になってもそのまま蛹室内で越冬し、夏頃に野外にでて来ます。
1年1越型
2年1化型
1年1化型 |
まず、オオクワガタを手に入れなければ話になりませんが、野に出て捕獲するのはきわめて困難で、ベテランでもそう滅多に捕まえられるものではありません。素人ではまず無理と言っても良いでしょう。
しかし、あきらめることはありません。捕まえることが無理なら購入すると言う手があります。
幸い、最近になってブームも去り、比較的安価で購入が可能となりましたのでペットショップや専門店などで容易に求められる様になりました。(デパートでは少々お高い様です)また、すでに飼育している人から譲り受けるのも一つの手でしょう。
さて、オオクワガタを手に入れたらさっそく飼育の開始です。
1)成虫の飼育
成虫は大変丈夫な為、よほどひどい管理をしないかぎり死ぬことはありません。
ケース内がカビだらけになっても、多少ダニにたかられても結構平気です。
でもせっかくですから上手に飼って、長生きさせてあげましょう。
(1)用意するもの
特別な物は必要ありません。次の物は、ペットショップなどで容易に求められます。
季節により入手困難な物もありますが、通信販売を用いれば何でも1年中入手出来ます。
・飼育ケース
プラスチックケースでも良いのですがあまり小さすぎない物のほうがより良いでしょう。
・マット
市販の昆虫マットでよく、くぬぎなどの広葉樹にかぎります。針葉樹系が混入している物はさけましょう。昆虫マットは、ペットショップやホームセンターなどで販売しておりますが季節ものなので、買いだめしておくと良いでしょう。
図1−2
・皿木(さらぎ)
餌を置く台です。マットに直接エサを置くとマットが汚れ、カビが生えたりダニが発生しやすくなりますので、出来れば皿木を用意し、その上にエサを置くようにしましょう。
・霧吹き
\100.ショップなどの物でも良いのですが、安い物は扱いにくく壊れやすいので出来れば園芸用のしっかりした物を用いた方が良いでしょう。
・エサ
昆虫ゼリー、バナナ、りんごなどが良いでしょう。すいかやメロンなど水分が多いものは、おなかを壊し、寿命を縮める原因となるので良くありません。
can't contain <Dcan't142: <DIR> 小麦粉と味の素添加法
・小枝、樹皮
オオクワガタがひっくりかえった時に、起きあがる為の足場になります。ひっくりかえったままだと弱ってしまいます。
ダニやコバエなどの繁殖を抑えるため、マットを熱して殺虫します。ダニやコバエの存在は、クワガタにはほとんど影響しないでしょう。しかし、それらが大量に発生した場合、あまり衛生的とは言えませんので殺虫する事をお勧めします。(ダニがクワガタに与える影響は後に述べます)
・電子レンジ攻撃
マットをビニール袋などに入れ、加熱します。あまり加熱しないようにしましょう。
・煮沸攻撃
電子レンジ用のビニール袋に入れ、煮沸します。あまり長時間やる必要はありません。
・お風呂のお湯攻撃
たらいなどにあついお風呂のお湯(約55度)を入れ、そこにビニール袋に入れたマットをつけておきます。お湯がぬるくなったら交換しましょう。
殺虫が目的ですので加熱はほどほどにします。通常55度近くで1分位加熱すれば充分なようです。 |
(3)セッティング
用品がそろったら早速セットしましょう。憧れのオオクワガタ飼育の始まりです。
・マットのセット
飼育ケース@にマットAを入れます。
マットはケースの半分位まで入れましょう。
大きいケースの場合は半分まで入れなくそれなりに入れましょう。
・小枝、樹皮Dと皿木C、エサB
小枝、樹皮と皿木を入れます。皿木には、エサをセットしましょう。
・加湿
マットを程良く加湿します。湿度が高すぎるよりも、多少乾燥気味の方が良いようです。元々しめっているマットの場合、特に加湿は必要ありません。
・乾燥防止
乾燥防止のため、ビニールかラップに穴をいくつか開けたものをケースとふたの間にはさみます。蒸れるようなら新聞紙などをはさむ様にしましょう。これは、ショウジョウバエなどの繁殖防止にもなります。
can't contain <Dcan't't contain 効R・成虫のセット
なるべく1匹1匹別々のケースで飼育しましょう。
ペアリング時以外は、オスメス別々にした方が繁殖が成功する確率が高くなります。
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(4)管理
上手に育てて長生きさせましょう。3年育てられれば飼育は成功です。
・保管場所
セッティングが終わったら、温度変化のあまりない室内の比較的すずしい所に置きましょう。
・エサ
エサは腐る前に交換しましょう。ゼリーやリンゴは腐りにくいのですが、バナナは比較的すぐに腐りますのでこまめに換えます。
又、メスはよくバナナなどエサの中に潜り込んでいることがあります。ちょっと見ただけではわからない事がありますので、エサ交換の時にはよく見て交換しましょう。
繁殖前のエサについて昆虫ゼリーだけではタンパク質不足から共食いする恐れがありますので、繁殖前にはタンパク質系のエサを充分に与えます。 ※タンパク質系のエサ :2)、(5)項参照好き嫌い個体差により、好き嫌いがありますので、いろいろな種類のエサを、様子を見ながら与えましょう。好き嫌いの激しい個体は、寿命も短いようです。 |
・加湿
たまに霧吹きでマットやケースの壁面を少しだけ湿らせます。
ケース内部が曇っていたり、蒸れているときは水分補給をする必要はありません。
又、あまり蒸れるようなら、乾燥防止のビニールなどをはずしても良いでしょう。
オオクワガタなどの甲虫はあまり水分の多いエサは絶対に与えてはいけないのですがゼリーやリンゴなどでは少々水分が不足する様で、そんなときは水滴をなめたりします。 |
・ダニ
オオクワガタにダニがたくさん付いている時がありますので、そんな時はやわらかめの歯ブラシを使って水洗いしましょう。
マットにたくさん居るときは、マットすべての交換や、熱処理をお勧めします。又、マットがやや乾燥気味であれば、ダニの極端な繁殖を防ぐことが出来ます。
ほとんどのダニは、オオクワガタに付着したエサを食べているだけでオオクワガタに(人間にも...だと思う。但し、ダストなどアレルギーは別問題)影響はないらしいのですが、ダニじたい発見されていない種がたくさんあり詳しい事は、専門家でもはまだあまり解っていないようです。時々、幼虫がダニに襲われて入菌病になった様に見えますが、あれは先に入菌病になって、弱って動けなくなった所にダニがくっついただけの様です。 |
・越冬
以下に注意して、無事に冬越しさせましょう。
保管場所極端に気温が下がらない所であれば大丈夫です。室内であれば、温度変化の少ない比較的気温の低い所で管理しましょう。越冬時期だいたい11月頃から3月末頃ですが、個体差、環境などでかなり変わってきます。エサ冬眠中のエサは不要です。オオクワガタが冬眠から目覚めたらエサを与えましょう。未だ起きていなくても3月の後半ぐらいからゼリーを置いておけば、オオクワガタの目覚めをすぐに発見できなくても餓死と言う最悪の事態は防ぐことが出来ます。暖かい室内の場合は、冬場でも起きてきますので、そんな時はエサを与えましょう。乾燥防止マットはからからに乾燥させない限り大丈夫です。結構ほったらかしにしても平気ですがたまには様子を見てあげましょう。 |
2)繁殖方法
オスメスいる場合は、繁殖にチャレンジしてみましょう。
うまくいけば、沢山増やすことが出来ます。
これが出来ればあなたも立派なクワガタ貧乏...いや、クワガタブリーダーです。
(1)用意するもの
産卵木がちょっと手に入りにくいかもしれませんが、デパートを探せば見つかります。
通信販売(おすすめ)を利用しても良いでしょう。
・繁殖用ケース(中型以上)
大きめの方が好ましく衣装ケースなどを代用しても良いでしょう。
・産卵木
程良く朽ちた木で、直径10センチ以上、長さ20センチ位の物が良く、クヌギや楢などの広葉樹に限ります。
椎茸のほだ木の廃材をカットして使用しても良いでしょう。
・そのほかに用意する物(皿木など)は 1)、(1)項と同様です。
(2)産卵木の準備
産卵木はそのまま使用したのでは、メスが嫌い卵を産み付けなかったり、産んでも死んでしまう事があります。失敗しない為に殺虫と加湿は必ず実施しましょう。
・産卵木の殺虫
クワガタに悪影響を与える肉食のコメツキなどの虫を殺します。
方法はマットの殺虫時( 1),(1)項 )とほぼ同様です。
電子レンジ攻撃@(おすすめ)乾燥させた産卵木を電子レンジで軽く加熱させます。あまり加熱しなくても、中にいるクワガタに有害な虫は殺せます。加熱しすぎると木が焦げるので注意します。電子レンジ攻撃A産卵木に湿り気を与え、ビニール袋に入れて加熱します。蒸す様にして中の虫を殺します。煮沸攻撃電子レンジ用のビニール袋に入れ、煮沸します。あまり長時間やる必要はありません。お風呂のお湯攻撃たらいなどにあついお風呂のお湯を入れ、そこに産卵木をつけておきます。水没攻撃産卵木を一昼夜水につけて中に巣くっている肉食のコメツキなどを殺します。(この方法では、ダニなどを殺す事は出来ません) |
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・産卵木の加湿
産卵木を数時間水につけて加湿します。水没攻撃をした場合は不要です。
加湿した産卵木は、半日から1日位乾かしておきます。
(3)セッティング
ケースにマットを入れ、産卵木を半分ほど出るようにして埋め込みます。全部埋めると、産卵木のカビの発生が押さえられますが、観察には不向きです。
・カビの防止
隙間が出来ないようにマットはすこし押しかためカビの発生を押さえます。
隙間があると、そこからカビが発生します。
マットから出ている部分に目の細かいマットを擦り込んでおくとカビの繁殖が防げます。
カビはオオクワガタには直接影響は無いようです。しかし、メスが嫌った場合全く産卵しない事もあるようですのでカビの繁殖は防いだ方が無難でしょう。 |
・産卵木の数と状態
メスは、気に入らない産卵木には全く手を着けませんので、産卵数を増やす為に産卵木の本数は、一匹のメスに対して4本以上を目安とし、それそれの産卵木の状態(堅さ、湿り気など)を変えてみるとよいでしょう。樹皮は付けたままでも剥がしてもよいです。付けたままの方が、カビは押さえられます。
又、あらかじめ産卵木にドライバーなどでいくつか穴を開けておくとそこがきっかけになってメスが坑道を掘ります。
(4)ペアリング
産卵用にセットしたケースに、オスメス一緒に入れます。このとき争いが頻繁に起きていないかよく観察しておきましょう。
もし、争いが起こり、それがなかなか治まらないようであれば、オスとメスの相性が悪いのでメスがオスに挟み殺されないうちに、相手を変えます。
交尾が確認されたら、出来ればオスを取り出し、メスが産卵に集中出来るようにします。
(5)エサ
ペアリングする前から、メスには、タンパク質系のエサを与えるようにします。タンパク質が不足している場合、共食い(特にメスがオスを捕食)する事もあります。
次の物を与えるとよいでしょう。
バナナバナナだけではあまり食べませんので、バナナに昆虫ゼリーを乗せたり、カブトムシ用の密をかけたりします。ラード昆虫ゼリーとラードを半々にして、レンジで加熱し、混ぜてさました物を与えます。ヨーグルト昆虫ゼリーにかけるようにして与えます。卵白昆虫ゼリーにかけるようにして与えます。禁断のカブト蛹オオクワブリーダーの間ではかなり知られた行為で、オオクワガタも好んで食するようです。自然界では当たり前の行為なのかもしれません。産卵数が大幅に増すと言う噂もありますが、私は未だ試したことはありません。 |
(6)産卵
産卵木に坑道を掘って、その中にいくつか卵を産んだり、外側に小さな穴を開けその中に産んで埋め戻したりします。1卵1卵丁寧に産み、1卵産むのに2時間以上かかるそうです。柔らかい材の場合はよく坑道を掘り、堅い材の場合坑道が掘りにくい為、表面に産み付けるようです。
・産卵の開始
メスが産卵木をかじりだしたら、既に産卵モードに突入しています。
結構大きな音がしますので、すぐに解るはずです。
この時、まだペアリング中の場合、既に交尾は済んだはずですので、可能であればオスを取りだした方が良いでしょう。 |
・震動厳禁
産卵期間中、ケースは極力いじらないようにしましょう。なるべくそっとしておきます。せっかく坑道を掘っても、震動により、その日は産卵をやめてしまったり、ひどいときは、その穴を放棄してしまうこともあります。
・明るさ
暗い方が活発に行動し、エサの減り具合も多くなります。
ケースにダンボール箱などをかぶせておくと一日中産卵木をがりがりかじっています。
・加湿
通常の飼育の様に、たまに霧吹きで加湿します。産卵木が乾燥してきたら、産卵木にも吹きかけます。
産卵木が立っていると、その切り口から加湿がしやすくなります。
(7)産卵木の回収と幼虫の回収
ある程度産卵させたら、産卵木を取り出し、幼虫を回収してみましょう。
・産卵木の交換
ペアリングして、産卵木をセットしたら約2ヶ月で産卵木を取り出します。
あまり長くセットしたままだと、メスが坑道を掘る際に卵や幼虫をつぶしてしまったり食べてしまいます。
産卵木を取り出したら、代わりの産卵木を入れておきましょう。このときの本数は1本か2本位でかまいません。
・産卵木の放置
取り出した産卵木は、マットに埋め込み、約1ヶ月放置しておきます。こうすることにより、卵での回収を避け、初齢か2齢の幼虫を得られることが出来、取り出しのショックによる幼虫の死ぬ確率が低くなります。あまり放置しておくと、幼虫が3齢となり、幼虫同士の共食いが起こります。
・産卵木からの幼虫の割り出し
さあ、いよいよ産卵木を割り、幼虫を取り出すときが来ました。
マイナスドライバーやラジオペンチなどで材の目に沿って、慎重に崩していきましょう。
食痕が現れたらより慎重に行いましょう。
・幼虫の回収
産卵木を割り出して回収した幼虫は、一匹一匹マットを詰めたワンカップのビンなどに入れて管理しましょう。ケンカや共食いを避ける為、大きな入れ物であっても絶対に2匹以上入れてはいけません。
このとき、マットは少しだけ押し詰めておきましょう。(きつく詰める必要はありません)この方が成長が早いようです。 |
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・産卵木その後(おまけ幼虫)
割り出してバラバラになった産卵木は、捨てずにマットと一緒にし、しばらく保管しておきましょう。
もしかしたら、見つけられなかった卵や幼虫が後から発見出来るかもしれません。
3)幼虫の飼育
一見地味に思われがちですが、オオクワガタ飼育のノウハウはここに集結していると言っても過言ではありません。
様々なテクニックを駆使して大きな成虫を作り出す事は楽しいものです。
特に、ビン飼育は成長の様子や変態などを観察できますのでおすすめです。
ビン飼育
ガラスビンの中にマットを入れ、その中で幼虫を飼育します。
ビン飼育は、成虫になるまで観察し続ける事が出来、もっとも一般的な飼育方法でもあります。また、自然の状態より早く成長し、孵化から7ヶ月で成虫になった例もあります。
下記の飼育方法は容易でしかも確実性がありますので、初心者向きです。
(1)用意するもの
下記の物を用意しましょう。
・飼育ビン
マットの詰め替えがしやすいように、ビンの口がなるべく広い物を選んだ方が良いでしょう。容量は、1リットル以上あった方が好ましく、市販のハチミツビンなどを使用しても良いのですが、インスタントコーヒーのビンの中で口が広く、容量もたっぷりしたものがありますので、そちらの方が使いやすいと思います。
不燃ゴミを出す前日に、ビン捨て場でコーヒービンあさりをしている人がいたらその人はきっとあなたと同じクワガタファンでしょう。(^^;
ビん以外に、ミニプラスティックケース(ミニプラケ)、タッパーなどを用いても良く、価格は、ミニプラケ役125円、タッパー約100円と、とてもお手頃です。タッパーは、中の様子があまりよく見えず、幼虫がかじって穴を開ける恐れがありますので、ミニプラケの方が良いかもしれません。しかしミニプラケでも、幼虫がかじると白くなり、何度も使うと中が全く見えなくなります。いずれにしても、消耗品と考えた方が良いようです。 |
・マット
とりあえず、市販の昆虫マットだけでやってみましょう。
くぬぎなどの広葉樹系のマットにかぎり、出来れば極力目の細かいものが良いでしょう。
針葉樹系が混ざっているものはは使用できません。
・金槌又はすりこぎ棒
マットをビンに詰めるときに使用します。
(2)マットの準備
ダニ、コバエなどの繁殖を避ける為の熱殺虫と保湿を行います。
・マットの熱殺虫
今まで述べてきた内容と同様な処置を施しておきます。
・マットの加湿
マットを堅く握った時にしっかり固まり、水がしみ出ないぐらいに加湿します。加湿しすぎは酸欠や脱皮の失敗または、マットの腐敗などが原因で幼虫が死んでしまう確率が高くなる為、絶対に避けます。
乾燥している分には、なかなか死なないようですが、幼虫は程良く湿っている方が好みのようです。
・セッティング
結構時間と体力を使いますが、これさえ済めば、後はほったらかし (^^; ですので頑張りましょう。
・マットのビン詰め
金槌の杖やすりこぎ棒などを用い、マットをビンにかたく詰めます。幼虫が掘り進んでも崩れないようにカチンカチンにしましょう。
この時、一度に詰めないで何回かに分けた方がやりやすいでしょう。
・幼虫のセット
ビンに詰めたマットの中央に幼虫が収まるぐらいの穴をほじり、そこに幼虫をセットします。後は放っておいても勝手に潜っていきます。
・酸欠防止
ビンの蓋にドリルなどで直径2ミリ位の穴を三つほど開けておきます。
・マットのビン詰め
金槌の杖やすりこぎ棒などを用い、マットをビンにかたく詰めます。幼虫が掘り進んでも崩れないようにカチンカチンにしましょう。この時、一度に詰めないで何回かに分けた方がやりやすいでしょう。
・幼虫のセット
ビンに詰めたマットの中央に幼虫が収まるぐらいの穴をほじり、そこに幼虫をセットします。後は放っておいても勝手に潜っていきます。
・酸欠防止
ビンの蓋にドリルなどで直径2ミリ位の穴を三つほど開けておきます。
・ダニ、コバエ防止
ビンと蓋との間にキッチンペーパーなどを挟み込みます。(又はキッチンペーパーで蓋を包み込むようにして輪ゴムでとめます)キッチンペーパーが湿りすぎたりするとそれが蓋となって密閉状態となり、酸欠を引き起す危険性が出てきますので注意を要します。ダニ、コバエなど気にならない人はやらない方が良いかもしれません。
(3)管理
1回幼虫をセットしてしまえば後は特にすることはありませんので、たっぷり観察しましょう。
・保管場所
比較的温度の一定な涼しい場所に置きましょう。出来るだけ室内の方が良いでしょう。あまり暖かい場所や温度変化の激しいところは各個体の積算温度の上昇により小型のまま羽化したり、最悪の場合死に至る事がありますので避けましょう。
・加湿
乾燥してきたら、霧吹きで程良く加湿を行います。幼虫が掘った坑道内に結露が発生しない程度に加湿しましょう。
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(4)マットの交換
幼虫は成長とともにマットをたくさん食べる様になります。マットのエサとなる部分が少なくなってきたらマットを交換します。
・交換時期
ビン内のマットの大部分の色が変わり、幼虫がビンの中をあちこち移動するようになったら、中が糞で満たされているはずですので、エサの交換を行います。
・交換方法
古いマットと幼虫を慎重に取りだし、新しいマットを詰めます。新しいエサの上に必ず前の食べ残したエサを全体の1/4ほど詰めるようにします。
幼虫は、かみ砕いたマットを自分の糞と混ぜ、それに含まれるバクテリアによりマットを発酵させ消化吸収しやすいようにしております。 |
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(5)前蛹、蛹化
3齢幼虫も丸々太って少し黄色みがかって来たら、そろそろ蛹室を作り、その中で前蛹、蛹へと変態します。
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ほとんどのオオクワガタの蛹室は横向きに作られますので、小さいビンで飼育している場合や、大きな幼虫はビンを立てたままだと、必要な大きさの蛹室が作れない為、蛹化や羽化を失敗する可能性があります。
そんな時は、蛹室を作る前に、ビンを横にして置くと良いでしょう。あらかじめ、うんと大きなケースに引っ越ししておくのも一つの手です。
私の場合は、ワンカップビンの次にミニプラケなどに引っ越しさせます。
これならどんなに大きな幼虫でも大丈夫です。
(6)羽化
蛹になってから、だいたい3〜4週間ほどで羽化します。
オスよりメスの方が又、大型より小型の方が早く羽化します。
<羽化の様子>
群馬県伊勢崎市のまちかね様からの資料ご提供により、珍しい羽化の瞬間を掲載することが出来ました。
まちかねさんのホームページ参照(http://www.kakaa.or.jp/~isobe/ookuwa/index.htm)
@羽化直前の図 6月20日 PM5:06
A6月20日 PM8:10
羽化の始まり始まり、 頭が顔を出す。
雌の時と同様にはじめは仰向けだ。
B6月20日 PM8:15 撮影
目玉が顔を出す。足はじたばたしていて、すでに何本か皮?を突き破っているみたいだ。
C6月20日 PM8:23 撮影
大顎全部顔を出す。 なかなかかっこいい大顎みたいだ。
D6月20日 PM8:31 撮影
ほとんど全部顔を出す。 後はお尻の部分だけ。
いつの間にか背中を向けた。恥ずかしいのか?
E6月20日 PM8:39 撮影
全部顔を出す。立ち上がった。 まだ後ろ羽根はしわしわ。
頭折れ曲がった状態。
F6月20日 PM9:04 撮影
後羽根伸びた。 頭まだ伸びない。
G6月21日 AM1:38撮影
頭伸びたが後羽根はまだ出てる。
雌と違って頭伸びたらいきなりでっかくなった。
H6月21日 AM9:00撮影
後羽根もしまって、ちゃんと雄の成虫の形になった。
(7)取り出し
羽化が無事終わって体が黒くなり、堅くなってきたら取りだしても良いでしょう。だいたい一ヶ月位はそっとしておきます。くれぐれも、無理矢理取り出さない様にしましょう。
又、放って置いても自分でマットから這い出て来ます。自分から這い出てくるタイミングは、季節によりまちまちで、秋に羽化した個体は、蛹室内で越冬し、5月頃から活動を開始します。
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(8)エサ
新成虫に成り立ての頃は、季節や室温によりますが、すぐにエサは食べませんので無理矢理与えて弱らせずに、気長に待って様子を見てから与えましょう。
材飼育
クヌギやナラなどの白枯れした木材に幼虫を食い込ませて飼育します。ビン飼育と比べ大型の成虫を作り出すのが容易であり、最も自然に近い飼育方法といえます。しかし、成長速度が遅く、又、成長の過程を観察できない事や成虫の取り出し時期が解らないなど欠点もあります。
(1)用意するもの
下記の物を用意しましょう
・飼育材
産卵木と同様なものでかまいませんが、なるべく太く、大きなものを用意しましょう。
・飼育ケース
飼育材がすっぽり入る位の大きさであれば何でもかまいません。
・埋め込みマット
腐葉土でも充分ですが、物によっては防腐剤や農薬など薬品に汚染されている可能性がありますので、昆虫マットの方が無難です。昆虫マットを使用する場合、目が粗い物でも問題ありません。
(2)準備
飼育材とマットの熱殺虫と加湿を行います。今まで述べてきた内容と同様の処置を施しておきます。
(3)セッティング
ビン飼育と違い、容易です。 一回セットしてしまうと成虫になって無事出てくる(又は、取り出す)まで会えませんのでお別れの挨拶でもしておきましょう。(^^;
・飼育材の穴開け
飼育材に幼虫がすっぽり入るだけの穴を、ドライバーやドリルなどで開けます。
・幼虫のセット
飼育材に開けた穴に幼虫を入れます。
・材の埋め込み
飼育材をケースに入れ、マットですっぽり埋め込みます。
・乾燥及び酸欠防止
ケースの蓋に直径2ミリ位の穴をいくつか開けておきます。プラスチック飼育ケースなどはビニールなどにいくつか穴を開け、蓋との間に挟んでおきます。
(4)管理
ビン飼育の時と同様ですが、加湿に関しては容量が多い分ほったらかしに出来ます。しかし、たまには様子を見てあげましょう。
(5)材の交換
飼育材の大きさにもよりますが、幼虫によっては飼育材を食べ尽くしてしまうこともあります。
飼育材がぼろぼろになっており、なおかつまだ幼虫が成長するのであれば交換します。中が見えない分、すべて勘がたよりです。
(6)取り出し
羽化後しばらくたった頃を見計らって材割り、取り出しを行います。(取りだした後の処置はビン飼育と同様です)それとも、自然に出てくるのを気長に待ってみますか?
4)上級者向けの幼虫飼育
今までの繁殖に成功したら、幼虫をより大きく育て、最終的に大きな成虫を作出する方法にチャレンジしてみましょう。但し、この方法は、幼虫の死亡率も高い為、手持ちのクワガタが少ない場合はお勧め出来ません。
(1)微粒子マット飼育
市販のマットをミキサーで細かく粉砕して使用します。ミキサーは消耗品の為、\2,000.-位の安い物を使用した方が良いでしょう。
(2)添加物飼育
市販のマット又は、微粒子マットに、添加物を入れて育てます。この方法が最も一般的で、容易な為、初心者には特にお勧めです。
小麦粉添加法@は、比較的失敗が起きにくいので初心者が実施しても良いかもしれません。
添加物が少なければ少ないほど、より安全です。 但し、少ない分、効果も当然低くなります。 |
小麦粉添加法@マットに全体量の5から10パーセントの小麦粉を入れ、よく混ぜやや水分を多めに添加し、衣装ケースなどに入れて寝かせます。たまにかき混ぜて酸素を補給させます。腐らせないようにしましょう。発酵すると色はこげ茶色になり、匂いも土の様になります。完全に発酵したら少々水分をとばす目的で乾燥させ、使用します。小麦粉添加法A上記と同様の方法で小麦粉を混ぜますが、水分は通常通りにし、寝かさずにそのまま使用します。やや小麦粉の量を押さえた方が、カビなどの発生やマットの腐敗が防げる様です。小麦粉と味の素添加法マットに全体量の5から10パーセントの小麦粉を入れ、更に約3パーセント以下で味の素を添加し、小麦粉添加法@と同様の発酵処置を施します。その他の添加法小麦粉と糖などをブレンドした物を添加したり、人によってはロイヤルゼリーやキチンキトサン、エビオスなどの錠剤を粉末状にして添加しているようです。いくつかの業者からは、専用の添加物も販売されており実績もあります |
(3)菌糸(キンシ)ビン飼育
菌糸ビンとは、ビンに入れたマットにカワラタケやオオヒラタケなどのキノコの菌糸を植え付け繁殖させた、菌糸で真っ白になったビンの事を言います。自分で作ることはよほどの設備がない限り非常に困難ですので、専門業者から購入した方が良いでしょう。取り扱いも又、難しいのですが、特に大きく育てられますので、使用している人は少なくありません。80ミリを越える個体も作出されております。
(4)菌床(キンショウ)飼育
菌床とは、菌糸ビンの中身だけの大きな固まりを言います。自分でビンやミニプラケに詰めて使用しますが、菌糸ビンより取り扱いが困難です。
菌糸、菌床飼育は、個体によりあまり成長しません。これは幼虫が菌をうまく分解できるバクテリアを保有しているかどうかによります。母虫がそれを保有している場合、その幼虫も持っているようですが、どうやら遺伝とは異なるようです。一般的に2代続けて同じ菌で飼育すると、大きく成長する様です。 |
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(5)温室飼育
園芸用の温室などを購入し、そこで飼育すれば、越冬させる必要もなく一年中繁殖、観察が可能となります。
外産の昆虫を飼育する場合、温室は必須です。
(6)その他のポイント
最後に全般的な飼育のポイントについて次の通りにまとめてみました。
・羽化について
蛹の時期に気温が低いと羽化までに時間がかかり、羽化後の体長も小さくなります。
これを防ぐためには、蛹化したら室内のなるべく暖かい温度変化のないところで管理し出来るだけ早く羽化させる事です。
温室にて24°C〜30°Cの間で飼育すれば真冬であっても早く羽化させることが出来ます。 |
・ビン飼育におけるエサの交換
幼虫が気に入らないとエサを全く食べずに死んでしまいます。エサを交換して幼虫が餌を食べなくなったら別の物と取り替えましょう。元の(食べていた)エサを詰めることも忘れてはいけません。
しばらく気が付かず、お尻の辺りが透明化していたら危険な状態です。手遅れにならないように早めの処置を取りましょう。
・飼育方法変更の禁止
ある程度ある方法で飼育した幼虫を、全く別の方法で飼育すると幼虫は縮み、大きな成虫は望めません。
・産卵の中止
早い時期に産卵したメス又は温室飼育などの場合は、産卵木を入れておくと晩秋に又産卵を開始します。この時の卵は小さく、孵化しない場合があり、成虫の寿命も縮みますので産卵木などは取りだしておきましょう。・成虫の暗所飼育
成虫は光にことのほか敏感で、明るいと全く姿を現さない個体もいます。活発な行動を起こさせる為に、比較的暗い場所で飼育しましょう。
特に、ペアリングや産卵時は、飼育ケースを何かですっぽりかぶせてしまった方が良いようです。
・産卵木のセット
たくさん繁殖させる必要がない場合は、細い材を3本(場合によっては2本)ぐらいでもメスは卵を産みつけます。
・産卵の促進
幼虫の糞を水で溶かし、霧吹きなどでその水を産卵木に吹きかけると、メスは好んでその産卵木に卵を産み付けます。
・キチンキトサン、ロイヤルゼリー使用法
キチンキトサン1粒とロイヤルゼリー2粒を粉砕して粉末状にします。これを1(IX/DYのフレークに混ぜて幼虫飼育用のビンやタッパーに詰めます。
キチン?:ぢキトサンは、カニやエビ、昆虫などの外骨格内に含まれる成分で、元はキチンで、キトサンはキチンを吸収しやすいものに変えたものです。キチンは水に溶けませんが、キトサンは溶けます。したがって健康食品でもキトサンとだけ商品名として書かれているものの方が添加剤としても利用しやすいでしょう。
神酒さんのホームページ参照
(http://www.justnet.or.jp/home/dtown.miki/dtc_4.html )
・新成虫のペアリング
オスは羽化後約2ヶ月で成熟するのに対し、メスは約半年と遅いため、無理にペアリングをするとメスが嫌がりそれに怒ったオスにメスが挟み殺される恐れがあるため初年度のペアリングは控えた方が無難です。
・味の素添加法
産卵木に味の素溶液をしみ込ませておくとメスが良く産卵します。
・産卵木のセットについて
樹皮を剥がすと産卵しやすいのかどこにでも産卵しますが、つけたままだと木口のみに産卵します。
木口のみに産卵した場合、食痕が木口に対して垂直で、それぞれ交差していないので割り出しが容易です。
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3.最後に
本マニュアル作成に当たり次の方々にはご指導及び資料提供などのご協力を快く賜り、この場をお借りして御礼を申し上げます。
指導
Hero 様
Eメール : Hero@po.teleway.ne.jp
資料提供
神酒 様
Eメール : dtown.miki@jsn.justnet.or.jp
HP URL : http://www2.justnet.ne.jp/~dtown.miki/
まちかね 様
Eメール : isobe@s1.kakaa.or.jp
HP URL : http://www.kakaa.or.jp/~isobe/index.htm