大沼周辺散歩


   大沼から利尻富士

 大沼バードハウス


          天然記念物メグマミズナラ群落
 メグマは声間、富磯間約8qの海岸地帯を言いますが、 このメグマ海岸に沿って国道238号が走り、 その国道の山側には防風林が長く続いています。 そしてこの防風林と国道にはさまれて、一定の高さより伸びない植物が延々と続いています。
 これが昭和43年天然記念物指定を受けたブナ科ミズナラの大群落です。
 宗谷海峡から直接吹きつける潮風と、 北西の強い季節風のため、いっせいに山側に傾いて手をつなぎ励まし合うように繁殖しています。
 どこにでもあるミズナラも自然の厳しい条件の下で、 このように大群落ををしているところはとても珍しいといわれます。 雲解けまでは枯れているかのように見えるミズナラも春ともなれば青々とした葉をつけ花を咲かせ、やがて可愛らしい実 (ドングリ) をつけます。
            メグマ沼自然公園

 稚内市の中心から東へ10qに位置する 「メグマ沼」はアイヌ語で 「メークマ」つまり魚棚≠ニいう意味を持つ(決して雌の熊が棲んいるということてはありません) 、円い形の神秘的な「海跡湖」です。
 昔からこのメグマ沼周辺は、地元の人達が主の住む沼≠ニ呼び、近づく者もあまりをかったせいか極めて保存状態が良い沼です。
 最近、周辺77.5へクタールの湿原は原生花の宝庫であり、学術的に貴重なものであることが判明し、一躍内外から注目されるようになりました。
 ここは湿原の中高層湿原に属し、エゾカンゾウ・ミズバショウ・ハナショウブなど200種を越える植物が、北大辻井助教授の調査で確認されています。
 その上70種以上の野鳥が飛来するこの沼は、植物観賞やバードウォッチングに最適ですこの貴重な自然を保護するためと、「北海道の尾瀬」と呼ぶにふさわしい全容を観察できるようにする目的で、散策用遊歩道(木道)を設けました。 最終的には3,500メ−トルにも及ぶ遊歩道が沼のすみずみまで取りつけられる子定です。
 最近、白鳥の飛来が確認されたり、いままではサロべツにしか生息していないとされていたコモチカナへビ≠ェ発見されるなど、新聞紙上を賑わしています。「メグマ沼」は昭和60年の朝日新聞主催「北海道自然100選」の投票でもみごと15位にランクされました。
            大沼(シュプント)

 稚内市の「大沼」は、周囲10q、最も深いところても、1.5m位しかない
※汽水性の沼です。
  「大沼」と言う名は、かつて声問市街に存在した 「小沼」(現在の明治乳業付近 にあった沼) に対して、 地元の人々が「大沼」と呼んだもので、 昭和30年代まで は、「シュプント」 という呼び名の方が一般的でした。「シュブント」とは、アイヌ語でウグイのいる沼≠ニいう意味です。大沼は上水道第3次拡張工事により昭和38年から水源として使用されていました。しかし、沼の透明度は1m以下と極めて低く、底が泥質という条件から水源としては不向きであり、昭和57年 3月の、「北辰ダム」完成に伴ない市民の水がめ≠フ役割を終え、今は昔の静けさを取り戻しました。
 最近、 ここでは、 地元漁協の努力によって、ワカサギやシジミの養殖が成功し、雲解けシーズンには、白鳥が飛来することが確認されるなど、今後の観光資源として、隣の「メグマ沼」とともに大いに期待されています。
 戦時中、この「大沼」は、日本海軍の水上飛行隊の基地として使用されていたこ ともあり、 当時の滑走路跡が残っています。また、声問川と大沼との境に名物の「水門」があリました。水源としての使用が終了するとともに、取り壊されましたが、平成2年12月大沼水門として、完成したので訪れる人々に親しまれています。 また、声問川上流は幻の魚「イトウ」が生息、していますが、大沼はこの声問川で海に通じており、浜から2qもはなれた大沼はイトウなどの淡水魚のほか、カ レイなどの海の魚も住んています。 沼の透明度が低いことや、これらの特徴は、いずれも沼が形成された生いたちと関係があり、もともと浅い入江だったこの周辺が、サロマ湖と同様に潟湖になり、声問川が運ぶ土砂も加ってしだいに干上がリ現在の形になったいのとされています。

     
※汽水性…海水と淡水との中間濃度からなる低塩分の水
      ※透明度…直径約30pの白色板を水中に沈め、見えなくなる深さを数字で
            表したもの(摩周湖は、35.8mて世界第2位