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そのきゅう:続分析!早稲田祭(98/08)(98/11)

 今年も早稲田祭中止が発表されてしまいました。
 今度は大丈夫かと期待されていたのですが、どうなっているのか一応貧弱な情報力で説明してみましょう。今年は昨年ほど熱心に情報収集をしていないので、公式見解をかき集めただけの表層的分析にとどまりますがご容赦を。

「準備委員会」の登場

 今年4月前後になり、早稲田祭開催を掲げて漫画研究会出身の人が中心になり「早稲田祭準備委員会」という団体が設立されました。もちろん設立に当たって明確なルールがあるわけでもないので正体不明という印象がありましたが、サークル間で早稲田祭実行への署名活動を行って、6月頃には正統的団体らしい体裁を見せはじめてきました。
 設立当初、真っ先に気になったのが旧実行委員会との関係です。旧実行委員会を敵に回すと大変なことになるのは言うまでもありませんから。
 そこで自治会の人にインタビューしたところ、「今年の自治会は協力的立場は取っても、主体的に関わることはない」旨の答えだったので、破壊に乗り出さないとわかってホッとしました。

 でも、この時点で気付いているべきでした。漫画研究会という団体が昨年の早稲田祭代替イベントで自治会の指揮下に入っていたということを・・・。

企画団体の統合へ

 早稲田祭主催希望団体がぼちぼち現れたところで、大学側は開催に関する「提言」というのを募集し、これを発表した団体(自治会系は大学に無視された)が会合を開き、拡大された「準備委員会」が設立されました。
 ここで事態がややこしくなりました。というのは、この中に参加した「祭組」という団体が自治会の宿敵であるところの「Viva!Waseda」主催グループだったためです。
 そのため、彼らを早稲田祭にタッチさせないための猛烈な場外乱闘が始まってしまったのであります。

昨年11月前後の早稲田祭始末

 少し話を戻して、昨年の11月に実際に何が起こったのかについてお話しておきましょう。
 97年9月に入り、大学決定がどうしてもひっくり返せないということが明らかになってくると、いくつかの団体は自主的に発表活動の準備を始めました。ところが、同時にここに旧実行委員会が横槍を入れたという被害報告がぼちぼち聞こえてくるようになりました。旧実行委員会はこれらのイベントに主催者として実行委員会の名前を入れるように要求したのです。
 これは、成功した場合に「学生は大学の圧力に屈することなく早稲田祭を実質的に完遂した!」というスコアを主張するための結構せこい戦術なのはミエミエですが、下知識のない人々には結構な宣伝効果がありそうにおもえました。
 従わない団体には圧力がかかったというもっぱらの噂なのですが、この中で最大のトピックになったのが広告研究会のイベント・「Viva!Waseda」です。これは有明のコンサートホール施設で早稲田の団体を集めて企画発表を行おうとしたものらしいのですが、これが自治会のクレジットを入れろという要求をハネたために、幹事長が非言論的手段で屈服させられたというのです。(以上伝聞)
 ゲリラ上映会を計画していたうちのアニメ研も他人事ではないと警戒したものですが、さらに逆転劇が起きました。テレビ局がこの事態を取材して、これを追い風に広告研究会は自治会の指導を再度離脱し、イベントを実行にこぎつけたのです。
 これが自治会の逆鱗に触れたのは言うまでもなく、自治会側は「Viva!Wasedaは大失敗!」「有明は公安警察でいっぱい!」というネガティブキャンペーンを張り続けることになりました。

 当会も自治会に内緒で「20周年記念上映会」を開催したのですが、こちらは事態がホットだった11月第1週から第2週を避けて11月22日を狙ったため事無きを得ています。後から聞いた話では、その頃になると、もう自治会は早稲田祭から防衛ガイドラインだか何だかに興味の中心を移してしまっていたとか。

そして今年の祭組をめぐる確執

 そんなわけで、反自治会色の強い団体が早稲田祭に参加するというのは旧実行委員会には許容できない事態です。また、立場上の問題だけでなく、憶測ながら別の目的においても障害となるため、絶対に彼らを準備委員会から叩き出す必要に迫られました。
 そこで新準備委員会結成前後の6月末、彼らは昨年のイベントの反革命性を大々的にアピールし、祭組のメンバーがいかに胡散臭いかと書き立てた看板やビラを大量発行するようになりました。
(私は祭組の吉田さんという人に直接話をする機会が一、二度ありましたが、彼はどう見ても活動力あふれるミニコミ編集者という感じで、自治会が宣伝するところの右翼闘士の吉田氏と同一人物であるとはとても思えませんでした。これは、いわゆるひとつのエマニュエル・ゴールドスタイン(実在しない仮想敵)というやつでしょうか。)

そして中止へ

 ここで、大学が疑問を持つことになります。自治会があれだけ祭組を攻撃しているにもかかわらず準備委員会本体に関して無批判なのは、もしかしてグルなのではないか?と。そして、その疑問もあながち外れではなかったようなのです。
 実際には、準備委員会が自治会の言いなりになっていたようなことはないと聞きますが、しかし人員面での問題は避けられませんでした。
 実行委員会規約案では、自治会関係の役職級メンバーの入閣を認めない旨の条項が用意されていましたが、これだけで干渉を防げると思ったら大間違いです。非役職級のメンバーが一般人の顔をして参加する事態までは防ぎようがないのです。

 そういうわけで準備委員会は、獅子身中の虫を駆除するための監査委員会の導入など内部に対しても強権的なシステムを用意して実行委員会結成に臨んだのですが、結局大学側の回答はノーでした。
 理由は、公式な承認がないくせにオフィシャルな顔をして活動しすぎているとか、革マル派の要求に安易に従いすぎているとかいうものです。前者はある程度見逃すべきではないかと思うのですが、後者が問題です。

 ここからの原因分析は、9割がた憶測の領域に入ります。
 まず、大学の最大の不満は、開催案に「大学から補助費を95年並みに支給させること」という条項が入っていたことにあるのではないでしょうか。これに関しては、「大学の走狗である祭組は無批判にも補助金なしでの早稲田祭を主張している!」と自治会が猛烈なネガティブキャンペーンを張っていた事情からして、準備委員会内部にも対立と妥協があったものと思われます。
 私に言わせれば、大学の金で自分の活動を発表しようと考えるなど大甘もいいところであり、大学生のやることとは思えません。それも、あの要求形態では金をせびっているというようにしか見えず、見苦しいったらありません。
 祭組も昨年は企業広告等により補助金なしでイベントを成功させているわけであり、同様の考え方を持っているのではないかと思うのですが、きっと、準備委員会内部で補助金要求条項をゴリ押しした人がいるのでしょう。

 そこでさらに憶測なのですが、この補助金請求条項にはウラがあります。
 もし95年と同等の補助金を支給させたとしても、本当に明朗会計を行ってしまうとかなりの剰余金が生じることが予想できます。96年分は人為的な赤字発生によりこれをカモフラージュしようとしたわけですが、今年こそは新実行委員会の下で全てが明るみに出てしまい、自治会は苦境に立たされるはずです。
 そのために、強い企画力を持ち早稲田祭の中心を握るであろう祭組を排除に出て会計を握ろうとする、というところまではわかるのですが、祭組を追い出せないと覚悟した時点でまだ補助金にこだわったその真意がわかりません。

 何故自治会は補助金にこだわったのでしょう?やはり、今回も残金をどこかに消してしまうための特大のトリックを用意していたと考えるのが一番自然なのではないでしょうか。きっと前回のようにアッと驚くような、#010101のように限りなくグレーに近い戦術が用意されており、それを先読みした大学がとにかく潰してしまうという方向に動いたのではないかと思うのですが・・・。決して考え過ぎではないと思っています。だって、そうじゃないと「どうして?」が宙に浮いてしまうのですから。

これから

 talk7で「自治会はサークル統制に走り、路上イベントの末にシュプレヒコールで勝利を宣言する」と予想したのは笑っちまうぐらいの大当たりでしたが、翌年度について

(1)指導下に置く
(2)連名で参画する
(3)大学との迎合を非難する
 としたのは予想が甘かったようで、実際には部分的に(3)であり、あとは(4)潜入により非公式コントロールを図る という結果になりました。そうです、革命団体には「オルグ」とかいう用語があるのを忘れていました。何という迂闊!

 今年の自治会についてですが、今度は昨年と同じ戦略は使えません。昨年度は自治会が主催者であり、また潰れた場合の責任も持っているという建前でしたが、今年は自治会は特に役職もなく、多団体に横槍を入れるに当たっての口実を持ち合わせていません。どうするつもりなのでしょう・・・・?
 もし何の妨害もないなら、今度は初期作品集VTR完成のお披露目でもしますかね?


アップデート(98/11)

 今年の早稲田祭シーズンは、数団体の自主的発表がぼちぼち行われるなかで静かに過ぎていきました。そのイベントのひとつに現代芸術研究会をはじめとする三号館地下サークル連絡会議なる団体のイベントで卓八郎氏を呼ぶトークショーがあったのですが、その配布資料を見て、結構こめかみの血管がピキピキ来るのを感じました。後輩も「これでカモフラージュしてるつもりなんでしょうかね~?」と首を傾げていましたが、革マル色ベタベタなのです。「早稲田祭中止反対!」というだけならありがちですが、「早稲田祭一方的中止決定反対!」と書いたところで、もうミエミエです。
 さて、その冊子に昨年から今年にかけての中止騒ぎの顛末が語られていたのですが、視点はワセダフェスタ主催組のきわめて一方的なもの。そもそも昨年に中止に至る原因となった自治会のダークグレーな疑惑行動の数々を棚上げにしてしまい、こんなお笑いを「言論」と称することすら恥ずかしい代物でした。

横流し疑惑に関しては良くわからないことが多いが、最後まで『疑惑』としてしか表せなかった大学には別の狙いがあったに違いない。その狙いは現時点においてはもはや明らかである。・・・

 疑惑も疑惑、あれだけ説明のつかないことをやらかしといて公式団体の顔を続けること自体犯罪です。まったく。
 イベントにはそこそこの人数が集まりましたが、宅氏の退場後に続く企画は開始時間も不明だし客は激減するしで付き合いきれず、見届けずに引き上げてしまいました。というわけで、今年の革命祭は、カモフラージュしていた数団体を露呈して終わってしまったみたいです。

証言を求めて

 さて、やじうま根性で祭組主宰の吉田さんに再度お話を聞きに行ってみました。このページの上の方で、予算問題の妥協が大学に疑いをかけられる原因となったのではないかと憶測していたのですが、「96年のルールに正しく準拠するなら、補助金は事前に借りても赤字を出さなければ返却するルールであり、決して大学にたかる趣旨の要求ではなかった。自主財源で完遂する見通しはあった」という説明でした。どうやら自治会のプロバガンダで私も見方が歪んでいたようです。たしかに正しく文面を見ればそういう見方もできたのですが、やはりこれは自治会の割り込んだキャンペーンのせいでイメージを汚されてしまったのでしょう。
 「企業をスポンサーに付けるのは危険」というのも、反祭組の挙げる理由の一つでしたが、これは私から見ても的外れです。企業の支援を受けて実行されているイベントは早大でもたくさん存在し、それが企業に乗っ取られたなんて話はいまのところ自治会を通してしか聞いたことがありません。

 他に、匿名で挙げますが「前回は中止させることに意義があったが、今回再開できなかったのは学部長会の決断力不足だ」とか、「理事会と学部長会の意見は一致していない」「じつは推進派だったのは当の○○氏である」とかいう証言を耳にしました。どうやら大学サイドの内情は私の想像とかなり異なる動きを示していたようです。
 ともかく、大学側の対応を検証すると、今回の誠意ある準備委員会を潰してしまったのは大学の決断の正当性を保証できなくなった点で大きなミスです。
 先のコメントをもとに憶測で状況を再構成してみれば、つまり、大学の誰か偉い人が再開させたいと考えて学生をプッシュし主宰団体が結成されたものの、再開させた際の責任を持つべきセクションが引責に怖じ気づいてゴーサインを出すことができず、その理由を自分たちではなく学生団体の見逃されるべき非正当性部分になすりつけた・・・というシナリオを憶測することができるのですが、果たしてどうでしょう。
 もう来年はそんなに面白いことは起きそうにありません。自治会は早稲田祭利権を放棄したかのようだし、多少実行委員会規約をブラッシュアップして再提出し、然るべきキャンペーンを張れば、次は通るように思われます。さてさて・・・・。

 というわけで、今回の結論は、「早稲田祭再開失敗の原因は、早稲田祭ごと対立団体を潰しにかかった自治会のネガティブキャンペーンの為に準備委員会のイメージが破壊された点にある」ということにしておきましょう。バカヤロ~!

おしまい

その後の裁判について、新聞会の見解

 新聞会は広告横取りという濡れ衣について大学を訴え、最高裁行きを棄却され、敗北した由。

 主張は相変わらず、「自主努力による財源獲得を横取り呼ばわりとは何事」というものですが、田中実行委員長の推薦状を見せてみろというものです。


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