ところが、さらに他のひとびとは、オイディプスの道具立てにも、倒錯の粗悪品や審美主義にも嫌悪を感じて、時には激しい暴力をもって壁そのものに攻撃を加え、壁に体当たりする。そうして、かれらは動かなくなり、沈黙し、器官なき身体の上に後退する。この器官なき身体はやはりひとつの土地ではあるが、しかしこれは全くの不毛の土地であり、この上では、一切の欲望する生産が停止するのだ。あるいは凝固して停止する様相を呈するといってもいい。これが精神病である。

(G.ドゥルーズ/F.ガタリ「アンチ・オイディプス」河手書房新社・169p)