新世紀エヴァンゲリオン

内容補完
 
エヴァンゲリオン内容概略 その7

終局
(この部分の物語の印象)
TV最終話を本来のシナリオで書き直したのが映画版。
謎がどこまで解明できたのか。
それは各自が考えることであろう。


まごころを、君に終局

ターミナルドグマ
「アダムは、すでに私とともにある。」
「ユイと再び会うには、これしかない。アダムとリリスの、禁じられた融合だけだ。」
「時間がない。ATフィールドがおまえの形をたもてなくなる。」
「始めるぞ、レイ。ATフィールドを、心の壁を解き放て。」
「かけた心の補完。不要な身体を捨て。全ての魂を今一つに。そして、ユイの元へ行こう。」
ゲンドウの手がレイの乳房を掴み、そのまま、身体に潜り込む。その手が下腹部に達する。
「うっ」


ジオフロント表層
「うわぁーーーー」
初号機の背中の装甲が弾け 、長い光の十字架が出現する。
月に刺さっていたロンギヌスの槍、初号機に向かって突如戻り始める。
「大気圏外より、高速接近中の物体あり。」
「何だとぉ?」


第2発令所 冬月副司令
「いかん。ロンギヌスの槍か?」

ジオフロント表層
月から飛来してきたオリジナルのロンギヌスの槍、初号機
の喉元の寸前で止まる。


ゼーレ
「遂に我等の願いが始まる。」
「ロンギヌスの槍もオリジナルがその手に返った。」
「いささか数が足りぬが、やむを得まい。」
「エヴァシリーズを本来の姿に・・・」
「我等人類に福音をもたらす真の姿に・・・」
「等しき死と祈りをもって、人々を真の姿に・・・」
「それは魂の安らぎでもある・・・。では儀式を始めよう。」


ジオフロント表層
エヴァシリーズの手から放たれたロンギヌスの槍が、 初号
機の掌を貫く。そして十字架をくわえて上昇していく。

第2発令所
「エヴァ初号機、拘引されていきます。」
「高度12000。さらに、上昇中!」
「ゼーレめ。初号機を依代とするつもりか?」
「エヴァシリーズ、S2機関を解放。」
「次元測定値が反転。マイナスを示しています。観測不能!数値化できません。」
「アンチATフィールドか!」
「全ての現象が15年前と酷似してる。じゃあ、これって、やっぱり・・
サードインパクトの前
なの?」

上空 セフィロトの樹

ジオフロント 巨大な火柱 激震

第2発令所
「直撃です。地上堆積層融解。」
「第2波が本部周辺を掘削中!外郭部が露呈していきます。」
「まだ物理的な衝撃波だ。アブソーバーを最大にすれば耐えられる。」


ゼーレ
「悠久の時を示す赤き土の禊をもって・・・まずはジオフロントを真の姿に・・・」

ジオフロント
露呈した地表からのぞく、黒い球体の一部。
ジオフロント自体が黒い球体の内部である。


第2発令所
「人類の生命の源たるリリスの卵、黒き月・・・今さらその殻の中へと還ることは望まぬ。
だが、それも・・・リリス次第か。」


ターミナルドグマ
「ことが始まったようだ。さあ、レイ。私をユイのところへ導いてくれ。」
「まさか・・・?」
レイの下腹部にある腕がレイに吸収されている。
「私は、あなたの人形じゃない。」
「くあぁ・・・なぜだ?」
右手首を失うゲンドウ。
「私はあなたじゃないもの。」
左腕を再生するレイ。宙に浮きリリスの方向へ上昇していく。
「レイ・・・!」
「頼む!・・・待ってくれ・・・。レイ!」
「だめ。碇くんが呼んでる。」

「ただいま」

<「おかえりなさい。」>
リリスの胸に取り込まれ、レイと融合する。
はりつけられていた十字架から手を引き抜く。
前かがみに倒れ込み、ゼーレの仮面がL.C.Lの中に落下する。
リリスの身体が女性のようなしなやかな物へと変化していく。


第2発令所
「ターミナルドグマより、正体不明の高エネルギー体が急速接近中。」
「ATフィールドを確認。分析パターン青。」
「まさか・・・使徒?」
「いや、違う!ヒト、人間です!」
リリス、もたげていた身体をゆっくりと起こす。そしてその手が、マヤの体をすり抜けていく。
「ふあぁ・・・いやあぁーーー!いやぁーーーーー!!」

ジオフロント上空 エヴァンゲリオン初号機
「ちきしょぉ、ちきしょぉ・・・ちきしょぉ、ちきしょぉ!」
巨大化したリリスがせまって来る。
「あやなみ?・・・レイ・・・・・」
リリスに目が生まれる。
初号機と向かい合うリリス、それを取り囲むエヴァシリーズ。


第2発令所
「エヴァシリーズのATフィールドが共鳴!」
「さらに増幅しています!」
「レイと同化をはじめたか。」


ジオフロント上空
エヴァシリーズの口からレイの顔が生えていく。
「うわぁーーーーー」
絶叫のシンジ。何度もトリガーを引くが、初号機は一向に動く気配を見せない。


第2発令所
「心理グラフ、シグナルダウン!」
「デストルドーが形而下されていきます。」
「これ以上はパイロットの自我がもたんか・・・」


エヴァンゲリオン初号機
「もういやだ。」
「もういやだ。」
「もう、いいのかい?」
 突然のカヲル声に顔を上げるシンジ。
「ここにいたの?・・・カヲルくん」
リリスの上半身からレイとともに生えているカヲルが、初号機に手を伸ばす。
カヲルの存在に気付き、落ち着きを取り戻すシンジ。


第2発令所
「使徒の持つ生命の実とヒトのもつ知恵の実。その両方を手に入れたEVA初号機は神に等しき
存在となった。そして今や、命の大河たる生命の木へと還元していく。この先にサードインパ
クトの無からヒトを救う方舟となるか、人を滅ぼす悪魔となるのか?・・・未来は碇の息子に
ゆだねられたな・・・」
「ねぇ、私たち正しいわよね?」
「分かるもんか。」


内面世界

「今のレイはあなた自身のものよ。あなたの願いそのものなのよ。」
「何を願うの?」

幼稚園。園児の頃のシンジ。
みんな迎えが来て、一人残されるシンジ。

ミサトと加持。同棲時代の2人。
「ねえ。ねえ。しよう!」
「またかぁ、今日は学校で友達と会うんじゃなかったっけ?」
「ん?あーリツコね。いいわよ。まだ時間あるしぃ。」
「もう1週間だぞ。・・・ここでごろごろし始めて。」
「だんだんね。コツがつかめてきたの。だからぁーー。ねェ。」

シンジとアスカ。
「何も判ってないくせに、私のそばに来ないで。」
「判ってるよ。」
「判ってないわよ・・・バカ!あんた私のこと分かってるつもりなの?」
「救ってやれると思ってるの?・・・それこそ傲慢な思い上がりよ!判るはずないわ。」
「判るはずないよ。アスカ何も言わないもの。何も言わない。何も話さないくせに。判ってく
れなんて、無理だよ!」

「バ〜〜カ。知ってんのよ、アンタは私をオカズにしてること。いつもみたくやってみなさい
よ。ここで観ててあげるから。」
「あんたが全部私のものにならないなら。私・・・何もいらない。」

「何か役に立ちたいんだ。ずっと一緒にいたいんだ。」
「じゃあ、何もしないで。もうそばに来ないで。あんた私を傷つけるだけだもの。」
「アスカ助けてよ・・・。ねぇ、アスカじゃなきゃダメなんだ。」
「ウソね」
「あんた・・・誰でもいいんでしょ。ミサトもファーストも怖いから。お父さんもお母さんも
怖いから。私に逃げてるだけじゃないの。」
「助けてよ。」
「それが一番楽でキズつかないもの。」
「ねぇ。僕を助けてよ。」
「ホントに他人を好きになったことないのよォ。」
「自分しかココにいないのよ。その自分も好きだって感じたことないのよ・・。アワレね。」
「たすけてよ・・・。ねぇ・・・。誰か僕をお願いだから僕を助けて・・・。助けてよ・・・。
助けてよ・・・。僕を、助けてよォ!」
「一人にしないで!」
「僕を見捨てないで!僕を殺さないで!」
「・・・はぁ、はぁ」
「イヤ」

逆上し、アスカの首に手をかけ、絞め上げるシンジ。

シンジとレイ。
「誰も判ってくれないんだ。」
「何も判っていなかったのね。」
「イヤな事は何もない、揺らぎのない世界だと思っていた・・・」
「他人も自分と同じだと一人で思い込んでいたのね。」
「裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったんだ・・・」
「最初から自分の勘違い。勝手な思い込みにすぎないのに。」
「みんな僕をいらないんだ・・・。だから、みんな死んじゃぇ!」
「でも。その手は何のためにあるの?」
「僕がいても、いなくても、誰も同じなんだ。何も変わらない。だからみんな死んじゃぇ。」
「でも。その心は何のためにあるの?」
「むしろ、いないほうがいいんだ。だから、僕も死んじゃぇ!」
「では、なぜココにいるの?」
「ココにいてもいいの?」

第2発令所
「パイロットの反応が限りなくゼロに近づいていきます。」
「エヴァシリーズおよびジオフロント、E層を通過。なおも上昇中。」
「現在、高度22万キロ・・・F層に突入。」
「EVA全機、健在!」
「リリスよりのアンチATフィールド、さらに拡大。物質化されます。」
「アンチATフィールド、臨界点を突破。」
「ダメです。このままでは巨大生命の形が維持できません。」
発令所の片隅でふるえているマヤ。

ガフの部屋が開く。世界の・・・始まりと終局の扉が、遂に開いてしまうか 。」
死んだ人々の前に現れるレイ。
そして、その身体はL.C.Lへと変化している。

「ひいぃーーーーーーー!ひいぃーーーーーーー!」
日向の前に現れたレイが顔に手を伸ばすと、その姿がミサトに変わり、キスをする。
そして、弾けて日向、L.C.Lに変わる。

「ふわぁ。ふわぁ。ふわぁ。ふわぁーーーーーーー!」
近づくレイに怯える青葉。触れられたとたんにその体は溶けてL.C.Lへ。

「碇!お前もユイくんに遭えたのか?」
近づいてくるレイが、ユイに変わる。

「ATフィールドが・・・。みんなのATフィールドが消えていく。これが 答えなの?、私
の求めていた?。はっ!」
震えるマヤの手を後ろから覆うリツコの手。I need youとキーボードを叩くリツコの手。
「マ・ヤ」マヤの顔をさすり、抱きしめるリツコ。
「先輩!・・先輩!・・・先輩!・・・・先輩!」
L.C.Lへと変わる。端末のディスプレイにI NEED YOUの文字。


ゼーレ
モノリスに囲まれて座っているキール議長。モノリスが消えていく。
「始まりと終わりは同じところにある。よい。全てはこれでよい。」
L.C.Lとなるキール。下半身が機械である。


ターミナルドグマ
右腕を抱えながら寝ているゲンドウ。
「この時を・・・。ただひたすら待ち続けていた。ようやく会えたな・ ・・。ユイ。」
「オレがそばにいるとシンジをキズつけるだけだ。だから、何もしない方がいい。」
「シンジの心からのね。」
「自分が人から愛されるとは信じられない。私にそんな資格はない。」
ゲンドウの頭の方に立つカヲル。
「ただ、逃げてるだけなんだ。自分がキズつく前に、世界を拒絶している。」
「人の間にある形もなく、目にも見えないものが。」
「怖くて、心を閉じるしかなかったのね。」
「その報いが、このあり様か・・・。すまなかったな・・・シンジ。」
初号機に頭から食われるゲンドウ。


第2発令所
「うっ・・・・・うっ・・・・・」
ロンギヌスの槍を胸に突き刺し悶えるエヴァシリーズ。
「ふぅぁーーーーーー。ふぅぁーーーーーー」
次の瞬間、巨大な柱のような、たくさんの十字架が地表から突き出していく。
そして、赤い光球が飛び出す。
はりつけになったかのようなエヴァシリーズ。


再び内面世界
「ねぇ?」
「何?」
「夢って、何かな?」
「夢?」
「そう・・・夢。」
<「気持ち、いいの?」>
「判らない。現実がよく判らないんだ。」
「他人の現実と自分の真実との溝が、正確に把握できないのね。」
「幸せが何処にあるのか、判らないんだ。」
「夢の中にしか幸せを見いだせないのね。」
「だから、これは現実じゃない。誰もいない世界だ。」
「そう、夢。」
「だから、ココには僕がいない。」
「都合のいい、作り事で現実の復讐をしていたのね。」
「いけないのか?」
「虚構に逃げて、真実をごまかしていたのね。」
「僕一人の夢を見ちゃいけないのか?」
「それは夢じゃない。ただの現実の埋め合わせよ。」

「じゃあ、僕の夢はどこ?」
「それは、現実のつづき。」
「僕の現実はどこ?」
「それは、夢の終わりよ。」


リリスの首筋から噴きだす血しぶき。
その血は月にまで達している。
弓なりに倒れるリリス。

水面と重なって見える満月。
レイとシンジ、お互い裸で、レイが、シンジの上にまたがった形。
「はあーーーーー。あやなみ・・・ココは?」
「ココはL.C.Lの海。生命の源の海の中。ATフィールドを失った、自分の形を失った世界。
どこまでが自分で、どこからが他人なのか判らない曖昧な世界。 どこまでも自分で、どこに
も自分がいなくなっている静寂な世界。」
「僕は死んだの?」
「いいえ。全てが一つになっているだけ。これが、あなたの望んだ世界そのものよ。」
「・・・でも、これは違う。違うと思う。」
「他人の存在を、今一度望めば、再び心の壁が全ての人々を引き離すわ。また、他人の恐怖が
始まるのよ。」
「いいんだ・・・」
「ありがとう。」
「あそこでは・・・イヤな事しかなかった気がする。だから、きっと逃げ出してもよかったん
だ。でも、逃げたところにもいいことはなかった。だって・・・僕が、いないもの。誰もいな
いのと同じだもの。」
「再びATフィールドが、君や他人をキズつけてもいいのかい?」
「かまわない・・・でも、僕の心の中にいる君達は何?」
「希望なのよ。ヒトは互いに判りあえるかも知れない・・・ということの。」
「好きだ、という言葉とともにね。」
「だけど、それは見せかけなんだ。自分勝手な思い込みなんだ。祈りみたいなものなんだ。
ずっと続くはずないんだ。いつかは裏切られるんだ。・・・僕を見捨てるんだ。」
「でも、僕はもう一度遭いたいと思った。その時の気持ちは本当だと思うから。」

「現実は、知らないところにある。夢は現実の中に・・・」
「そして、真実は心の中にある。」
「ヒトの心が、自分自身の形を造り出しているからね。」
「そして、新たなイメージがその人の心も形も変えていくわ。イメージが、 創造する力を、
自分の未来を、時の流れを・・・造り出しているわ。」

もげて落ちたリリスの首、地表に落下。
「ただヒトは、自分自身の意志で動かなければ何も変わらない。」
「だから、見失った自分は、自分の力で取りもどすのよ。たとえ、自分の言葉を失っても・・・。
他人の言葉が取り込まれても・・・」

初号機が、自らロンギヌスの槍を口から引き抜く。
ロンギヌスの槍が光を発し、エヴァシリーズのロンギヌスの槍も消え去る。

「自らの心で自分自身をイメージできれば、誰もがヒトの形に戻れるわ。」

地表に落下するエヴァシリーズ。

碇ユイのイメージ
「心配ないわよ。全ての生命には復元しようをする力があるの。生きてこうとする心があるの。
生きていこうとさえ思えば、どこだって天国になるわ。だって生きているんですもの・・・
幸せになるチャンスはどこにでもあるわ。」

羽根を折り畳むエヴァ初号機。
上昇していく光の十字架。
初号機の目の光が消える。
宙に漂う光の十字架のような初号機。

「太陽と、月と、地球が、ある限り・・・。大丈夫。」
「もう、いいのね?」
「幸せがどこにあるのか、まだ判らない。だけど、ココにいて、生まれてきてどうだったのか
は、これからも考え続ける。だけど、それも当たり前のことに何度も気づくだけなんだ・・・。
自分が自分でいるために・・・」

シンジの頬をさするユイ。
シンジとユイが離れていく。
L.C.Lの海から浮き上がるシンジ。
「でも、母さんは・・・母さんはどうするの?」

湖畔の大きな木の下で話をしている冬月とユイ。

「ヒトが神に似せてエヴァを造る、これが真の目的かね?」
「はい。ヒトはこの星でしか生きられません。・・・でも、エヴァは無限に生きられます。
その中に宿る人の心とともに・・・。」
「たとえ、50億年たって、この地球も、月も・・・太陽さえなくしても残りますわ。たった一
人でも生きていけたら・・・。とても寂しいけど、生きていけるなら・・・」
「ヒトの生きた証は、永遠に残るか・・・」

初号機とロンギヌスの槍が暗闇に遠ざかっていく。

「さよなら・・・。母さん」

サードインパクト後の海岸
地表に落ちているレイ・・リリスの顔。
はりつけになっている石化したエヴァシリーズ。
空には星が輝いている。
波の音以外には、何も聞こえない。
月に赤い一筋の線(リリスの血)がかかっている。

波打ち際に二人寝ているシンジとアスカ。
アスカは右腕に包帯を巻き、左目には眼帯を当てている。
砂上に横たわっているシンジとアスカ。

「うう・・・」アスカに馬乗りになって首を絞めるシンジ。
「ううううっ・・・・うっ」アスカの手がシンジの頬をさする。
強く絞めていた手をのけて、肩を震わせながら泣き崩れるシンジ。
「っははっ・・・・・・。くつつっ・・・。くうっ。くっ」

シンジをチラリと見る死に目のアスカ。

「キモチワルイ・・・」


98. 9. 5 Update

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