社会保険労務士関連ニュース・社会関係(2002年 4月-9月)

2002年 4月〜9月 
ニュース(社会関係)
法改正情報関連

【LastUpdate 2002. 7.28】

統計情報関連

【LastUpdate 2002. 9.30】

情勢・動向

【LastUpdate 2002. 9.14】

その他読み物

【LastUpdate 2002. 9.29】

法改正情報関連
  医療制度関連法が成立 サラリーマン3割負担 70歳以上は1割か2割

2002/ 7/27 朝日新聞朝刊

  改正健康保険法等医療制度関連法が26日の参院本会議で自民、公明、保守の与党3党の賛成多数で可決、成立した。
 
(自己負担割合) 
年齢 自己負担 施行
0歳以上3歳未満 2割負担 2002/10〜
3歳以上70歳未満 3割負担 2003/ 4〜
70歳以上 2割負担(年金及び給与収入がある夫婦2人世帯で年収630万円以上)
1割負担(外来)
2002/10〜
 
(保険料)
年収ベースで保険料徴収(ボーナス含む)
政管健保保険料率 8.2%
 ※2003年4月より施行
 
(自己負担減度額 月額 2002/10〜
    外来 入院
70歳以上 一定以上所得者 40,200円 72,300円+超過分1%
一般 12,000円 40,200円
低所得者 8,000円 24,600円
15,000円(※)
70歳未満 高所得者 139,000円+超過分1%
一般 72,300円+超過分1%
低所得者 35,400円
※70歳以上、入院15,000円は年収が年金のみの夫婦2人世帯で年収130万円以下が目安
健保法改正案衆院で審議入り

2002/ 4/19 日本経済新聞夕刊

  健康保険法改正案が19日午後、衆院本会議で審議入りする。(10月施行を目標)
 ※サラリーマン本人の外来・入院と家族の入院時の自己負担を3割
  70歳以上の高齢者の負担は定率1割
  政府管掌健康保険の保険料引き上げ(総報酬制の保険料率 8.2%)
統計情報関連
  残業代、18カ月ぶりプラス 厚労省調査

2002/ 9/30 朝日新聞朝刊

  厚生労働省が30日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所対象)によると、景気動向の指標となる製造業の所定外労働時間(残業時間)は平均で前年同月より11%増えて13.4時間となり、4カ月連続で前年同月を上回った。全産業でも1.5%増と2カ月連続で増え、所定外賃金(残業代)も0.8%増と18カ月ぶりにプラスに転じた。
健保赤字、2.6倍の3032億円 昨年度決算見込み

2002/ 9/25 日本経済新聞朝刊

  健康保険組合連合会は24日、企業が従業員のために設立している健康保険組合の2001年度決算見込みを発表した。全国に1722ある健保組合の合計収支は3032億円の赤字と前年度の2.6倍に膨らみ、過去最悪となった。赤字組合の割合も全体の78%。高齢者の医療費増が財政悪化の主な原因だ。
出生率1.33最低更新 昨年、新推計の予測下回る

2002/ 6/ 8 日本経済新聞朝刊

  2001年に生まれた赤ちゃんは前年より約2万人減り、女性が生涯に産む子供の数を示す出生率(合計特殊出生率)は1.33と過去最低を更新したことが7日、厚生労働省が発表した「人口動態統計(概数)」で分かった。30代前半だけでなく、20代後半の出生率(25-29歳の女性が出産した子供の平均数)も大幅に減少したことが響いた。
 ※今年1月に発表した「将来推計人口」:2001年の出生率1.34と予測。早くも見通しを下回る。
医療費 月1000万円以上が106件 昨年度、健保連調べ

2002/ 4/23 日本経済新聞朝刊

  患者1人の医療費が1ヶ月に1000万円を超えた事例が、2001年度は前年度より8件多い106件と、過去最多となったことが健康保険組合の調べでわかった。高度医療技術の普及で高額な手術をする病院が増えたことが背景にあり、医療保険の支出増要因になっている。
 ※1000万円超の106件のうち最も多い病気は心臓や循環器系の59件
情勢・動向
  高齢者医療 年齢・所得で財政調整 厚労相改革案老人保健制度廃止

2002/ 9/14 朝日新聞朝刊

  坂口力厚生労働相は、高齢者医療の抜本的改革案として、不公平感が強まる今の老人保健制度を廃止し、サラリーマンや自営業者らの保険料で運営する各保険者間で、年齢構成や所得の違いを考慮してお金を出し合い、医療費負担の隔たりを小さくするよう財政を調整する新構想を固めた。公平性や負担応力に着目し、行き詰まる高齢者医療財政の仕組みを抜本的に改める内容だ。
厚労草案を基に厚労省は10月にも改革案を策定。これを受けて政府・与党は年内に抜本的改革案をとりまとめる。
厚生年金 65歳開始 支給上乗せ 働く高齢者に選択制

2002/ 8/29 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は28日、高齢者の就業を促すための厚生年金改革案をまとめた。現在は60-64歳で働いていて賃金収入がある場合、年金を減額する在職老齢年金制度の対象になるので、この年齢層は働くことに二の足を踏むことも多いとされている。そこで年金の受給開始を65歳に遅らせ、その分、毎年の年金額を増やすことも選択できるようにする。厚労省は65歳への定年延長を促す効果も期待している。
 ※「雇用と年金に関する研究会」より 2025年(完全に65歳支給開始へ移行)までの暫定措置
国保、県別に統合 運営効率化、政管は分割 厚労省懇意見書案

2002/ 8/29 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省の医療保険制度に関する有識者懇談会は28日、医療保険の再編についての意見書の骨格をまとめた。保険財政を効率化するため、国が運営する政府管掌健康保険は都道府県単位で分割し、市町村の国民健康保険は都道府県ごとに財政統合する構想を有力案として示す。
介護保険料11%上げ 65歳以上月3241円に 全国平均来年度から 厚労省、市町村を支援

2002/ 8/29 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は28日、来年4月に改定する65歳以上の介護保険料が全国平均で月額3,241円になるとの見込みを公表した。現行の2,911円から330円、11.3%の負担増となる。高齢者の増加などで介護サービスの利用が増えるため。厚労省は介護保険収支が悪化する市町村を財政支援し、保険料の上昇を抑える方針だ。
年金保険料 日米、二重払い解消 2004年度メド 海外赴任負担軽く

2002/ 8/25 日本経済新聞朝刊

  日米両国は年金通算協定を結び、自国民が相手国で働いた場合に公的年金保険料の二重払いや掛け捨てが起こる問題を2004年をメドに解消する。滞在期間が原則5年以内なら相手国での年金加入を免除し、労使の保険料負担を省くのが柱。海外の日本人の約3分の1が滞在する米国と協定を結ぶことで、個人や企業の負担を軽くし、日米間の労働異動を円滑にする。
介護保険料上げ抑制 厚労省市町村を支援

2002/ 8/24 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は来年4月に65歳以上の高齢者の介護保険料が急上昇しないよう、介護保険収支が悪化した市町村に財政支援をする方針だ。介護保険の赤字を国などからの借り入れで穴埋めした場合の返済期間を3年から6年に延ばすほか、へき地など保険料が急上昇しやすい地域には総額30億円程度を助成する方向。介護が急増した市町村で高齢者の保険料負担が極端に重くなるのを防ぐのが狙いだ。
高齢者医療費 年収637万人未満は1割負担 夫婦2人世帯 「2割」から除外

2002/ 8/20 朝日新聞朝刊

  厚生労働省は19日、70歳以上の高齢者のうち医療費の窓口負担が2割となる対象から、夫婦2人世帯の場合は年収637万円未満、単身世帯の場合は年収450万円未満と申告した人を除外する方針を固めた。除外者の負担は1割。関連の政省令を改訂し、10月から実施する。
厚年基金2割が減額 3月末時点運用難響く 下げ幅2割も

2002/ 8/10 日本経済新聞朝刊

  代表的な企業年金である厚生年金基金で年金給付水準を引き下げる動きが広がっている。厚生労働省によると、2001年度末までに累計で全機金の2割以上の366基金が引き下げた。株価下落などで資産運用利回りが低迷、基金の財政が悪化しているためで、下げ幅が2割以上に達する例も多い。7基金は現役を引退し、支給を始めている人についても年金減額に踏み切っており、老後の生活設計の見直しを迫られるサラリーマンが増えそうだ。
公的年金引き下げへ 厚労省物価スライド制適用

2002/ 8/ 3 朝日新聞朝刊

  厚生労働省は2日、3年連続続けて特例措置により凍結されてきた公的年金の物価スライド制を一部解除し、今年の物価下落分だけ来年度の年金給付を引き下げる方針を固めた。スライド制の適用で年金額が引き下げられるのは初めて。
 ※厚労省:一部引き下げ(0.6%減)
 ※財務省:完全引き下げ(2.3%減:厚生年金標準モデル(夫婦2人 月額238,000円)で月額約5,400円、年額約65,000円の減)
年金確定給付離れ加速 厚生年金の解散高水準

2002/ 7/11 日本経済新聞朝刊

  企業が将来の給付額を約束する確定給付型の企業年金を縮小・廃止する動きが広がっている。約束通り給付するために追加負担する仕組みを避けているからだ。確定給付の厚生年金基金(厚年基金)を解散したり、公的年金の代行部分を返上したりする企業が急増している。企業年金は資産の運用成績によって給付額が変わる確定拠出年金に移行し始めた。
 ※厚年基金の昨年度の解散数:59件
 ※確定拠出年金:121社加入(加入員数11万人弱)
年金受給額 50歳から情報提供 厚労省来年度 加入実績点数化も検討

2002/ 7/ 7 朝日新聞朝刊

  厚生労働省は、老後に受け取る公的年金の見込み額など、加入者に対する情報提供サービスを強化する。現在、58歳以上に限っている対象年齢を、03年度以降、50歳程度まで引き下げる。さらに04年の制度改正に合わせて、加入実績を点数化して自分の将来の受取額をつかみやすくする「ポイント制」の導入も検討する。
介護報酬 在宅重視型に 厚労省が見直し案 新規参入促す

2002/ 7/ 2 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は1日、介護保険のサービス価格(介護報酬)を2003年4月に初めて改定するのに向け、見直し案を固めた。訪問介護など在宅サービスの報酬を引き上げる代わりに、施設サービスの報酬を引き下げるのが柱。在宅介護を重視し、事業者の参入を促してサービスを厚くするのが狙いだが、自宅で暮らす高齢者には介護サービスの利用料が高くなる。
    現行 見直し案
在宅サービス

訪問介護    
  身体介護 4020円(30分以上1時間未満) 下げ
  複合型 2780円 廃止
  家事補助 1530円(30分以上1時間未満) 上げ

ケアマネージャー 要介護度別単価
月額平均7500円(1人当たり)
一本化
上げ

介護タクシー 2100円(30分未満) 下げ

通所介護・リハビリ 保険給付は8時間まで 上げ(10時間まで)

グループホーム   夜勤加算新設

施設サービス

特別養護老人ホーム(平均要介護度.23) 33.1万円(1人当たり月額平均) 下げ

老人保健施設(同2.85) 35.4万円(1人当たり月額平均) 下げ

長期療養型病院(同3.64) 44.2万円(1人当たり月額平均) 下げ
厚生年金 保険料率固定へ 支給額保証見直し 自民・民主など04年改革構想

2002/ 6/16 日本経済新聞朝刊

  04年の年金改革で最大の焦点である厚生年金の負担と給付の見直しについて、軸となる新構想が明らかになった。(1)将来の保険料率を例えば年収の20%と一定水準に固定し、それ以上は引き上げない(2)現在、現役世代の平均的年収の6割(40年加入のサラリーマン夫婦で月額23万8,000円)が保証されている年金受給額を、人口や経済の変化に対応して法改正などを経ずに自動的に調整する、という内容だ。
 ※現役世代の平均的年収の6割とする年金額からの脱却、支給開始時に確定
健保一括適用10月に解禁へ 厚労省

2002/ 6/ 9 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は企業が従業員の健康保険の適用手続きを前者でまとめて行う「一括適用」を解禁する。現在は事業所単位での保険適用なので社内異動でも新たな手続きが必要になるが、規制緩和によって企業の事務負担を軽減する。
 ※現在審議中の改正健康保険法の成立による
厚労省、来春から 在宅介護報酬上げ 「施設」は引き下げ

2002/ 5/24 日本経済新聞朝刊

  2000年度に始まった介護保険のサービス価格(介護報酬)が来年4月に初めて改定される。厚生労働省は23日、報酬改定案の7月とりまとめに向けた大詰めの議論に入った。家事援助などの在宅サービスの報酬を引き上げ、施設サービスの報酬は引き下げる方針。一部は利用者の負担増になるが、訪問介護などは事業者の競争が激しくなりそうだ。

介護報酬の改定方向
在宅サービス 上げ
 ホームヘルパーの訪問介護 上げ
 身体介護 下げ
 家事援助 大上げ
 ケアマネージャー 大上げ
 介護タクシー 下げ
施設サービス 下げ
 特別養護老人ホーム 下げ
 老人保健施設 下げ
 介護療養型病院 大下げ
厚生年金保険料 2025年以降 年収の25% 高齢化進み負担2倍

2002/ 5/15 日本経済新聞夕刊

  厚生労働省は15日、少子高齢化の加速を前提にした新人口推計に基づく厚生年金と国民年金の保険料の試算を公表した。2025年以降の厚生年金保険料は年収の24.8%相当分(労使で折半)に達し、現行負担(13.58%)の1.8倍。今の制度に沿った年金財政計画に比べほぼ2割に膨らむ。2004年度の年金改革では、消費税率引き上げによる国庫負担増や給付水準の切り下げの是非が議論になるのは必至だ。
 

厚生年金

国民年金

国庫負担1/3 国庫負担1/2 国庫負担1/3 国庫負担1/2
新推計・低位

27.5%

24.8%

33,000円

24,000円

新推計・中位

24.8%(31.9%)

22.4%(28.8%)

29,600円

21,600円

新推計・高位

22.8%

20.6%

27,100円

19,900円

旧推計・中位

21.6%(27.8%)

19.8%(25.4%)

25,200円

18,500円

※()内は月収ベースに換算した保険料率
訪問介護選びやすく 報酬区分を見直し 利用者負担も平準化 厚労省案

2002/ 5/12 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は介護保険から在宅介護サービスに支払う公定価格(介護報酬)について、2003年度見直し案をまとめた。訪問介護を「身体介護」「家事援助」「複合型」の3区分から、「身体介護」と「生活支援」の2区分に簡素化。区分によって決まっている報酬の格差を縮小する方針。報酬の1割になっている利用者負担も平準化するので、サービスを選びやすくなると見ている。
 ※現在の利用割合:「身体」39.8%、「家事」35.3%、「複合」24.9%
  現在の報酬基準:「身体介護」4,020円(30分以上1時間未満)、「家事援助」1,530円
健保63組合 病院情報提供で連携 費用や得意分野医療効率化促す

2002/ 5/ 3 日本経済新聞朝刊

  日立製作所や日本航空など63の大手企業の健康保険組合が協力して今年度中にも病院に関する情報を収集、組合加入者への提供を始める。どういう治療が得意なのかなど、これまで医療機関から外に出てこなかった情報を入手できるため、患者は病院を選びやすくなる。効率的な治療をする病院に患者が集まるようになれば医療費増加に苦しむ健保財政の負担軽減にもつながる。
 ※各健保組合のホームページを通して加入者にインターネットで情報提供する。(63組合:加入者360万人)
 ※「医師や看護婦の対応はいいか」「設備は整っているか」などの満足度調査から
 ※将来的には診療報酬明細書を分析し、過剰投薬・検査なしの効率的な治療の有無の開示
健保保険料 「扶養家族も負担を」 電機連合が改革案

2002/ 5/ 1 朝日新聞夕刊

  電機メーカーの労働組合で作る電機連合(鈴木勝利委員長、組合員73万人)は、サラリーマンの医療保険制度について、これまで保険料を負担していない扶養家族にも保険料負担を求めることなどを盛り込んだ独自の改革案をまとめた。高齢化に伴って医療費が膨らむ中、「保険料の算定基準となる賃金の伸びが期待できず、契約社員も増加して保険料収入が頭打ちになるため、新しい保険料負担の仕組みが必要」としている。7月の定期大会で提案する。
 ※提案内容:扶養家族1人につきいくら(例えば月1万円)の定額部分を設け、加入者本人の保険料に上乗せ
         産業単位の「産業健保」、産業横断的な「地域健保」の創設
厚生年金収入 1兆8000億円不足 2000年度政府計画 加入者減響く

2002/ 4/25 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省が24日まとめた厚生年金と国民年金の2000年度財政状況によると、サラリーマンが入る厚生年金の収入(実績推計)が政府の財政計画を1兆8000億円下回った。失業増加などで加入者が減ったうえ、金利低下で運用利回りも予定を下回ったためだ。
 ※2000年度総収入:30兆6989億円(運用実績推計値:31兆3000億円)/財政計画:33兆1000億円
介護保険 390自治体が赤字 高齢者保険料 前倒し値上げも

2002/ 4/24 朝日新聞朝刊

  介護保険を運営する全国2800余の市町村・広域連合などのうち、01年度の介護保険特別会計が事実上の赤字となった自治体は390に上ることが、朝日新聞社の集計でわかった。全体の約14%にあたる。当初の見込みより介護サービスが多かったことなどが原因で、03年4月に65歳以上の介護保険料を改定する際、これらの自治体では値上げとなる公算が大きい。うち5市町村が今年4月、1年前倒しで値上げに踏み切っていた。
企業のお荷物厚生年金基金 「代行」返上、月内に30社 解散、この1年に59社も

2002/ 4/14 朝日新聞朝刊

  企業年金の再編が活発化している。昨年10月に確定拠出年金(日本版401k)制度がスタートしたのに続き、今月1日に確定給付企業年金法が施行されたためだ。国に変わって厚生年金の一部を運用・給付する代行業務を返上する企業は今月中に30社前後に達する見通し。01年度の厚生年金基金の解散数は59と過去最高になった。
 ※代行返上は新企業年金法で認められた。
健保、運営自由化へ 厚労省と健保連合意 付加給付・補助など

2002/ 4/ 7 朝日新聞朝刊

  大企業のサラリーマンらが加入する健康保険組合(約1700組合、約3300万人)の運営について様々な規制を設けている国の「事業運営基準」について、厚生労働省と健康保険組合連合会(健保連)が抜本的見直しで合意し、協議を始めた。規制を大幅に減らし、組合が独自に行う医療費補助の制限を撤廃するなどして、組合の自主性を高めることを目指す。
 ※2003年度より実施を目標。事業運営基準は1960年に設けられた行政指導、監督の目安(罰則なし)。
■国の運営基準の例■
健保組合の運営 理事会は毎月開くことが望ましいが、少なくとも年4回以上開く
付加給付金 出産手当付加金は仕事をしない1日につき標準報酬月額の25%相当を上限とする
一部負担金の還元 自己負担額が月額25,000円を超えた場合を対象とする
健診事業 人間ドックは40歳以降、少なくとも5年に1回以上実施するよう努める
年金多様化、企業身軽に 401k導入70社 混合型も普及へ

2002/ 4/ 4 日本経済新聞朝刊

  企業が従業員のために運営する年金が多様になってきた。運用次第で年金額が変わる確定拠出年金(日本版401k)は昨年10月の制度発足から半年で70社が導入。従業員の企業年金よりも掛け金負担が小さいため、企業年金のなかった中小企業にも導入の動きが広がっている。従来型と確定拠出を折衷した混合型年金を導入する企業も出ており、企業が自社にあった年金を独自につくる時代に入った。
 ※導入が多いのは:流通業・証券業・コンサルティングなどの転職者が多い業界
  大手企業では、従来の企業年金を残したまま、退職一時金の一部を確定拠出年金に切り替えるケースが一般的
  大手製造業では全面移行困難
年金・健保、解散最多に 2001年度

2002/ 4/ 2 日本経済新聞朝刊

  企業の年金、健康保険組合の2001年度の解散数がいずれも過去最多を更新した。
 ※厚生年金基金:59(前年度29)
  健康保険組合:26(前年度16)
その他読み物
  厚生年金積立金使いきると 保険料率3.9ポイント増23.7% 厚労省が40年後試算

2002/ 9/26 朝日新聞夕刊

  厚生労働省は26日、厚生年金の積立金を全額取り崩して当面の保険料軽減に充てた場合、将来の保険料率が上昇するとの試算を社会保障審議会年金部会に示した。現在の制度で約170兆円の残高がある積立金を2040年度までに使い切った場合、その時点で保険料率を現行計画より3.9ポイント増の23.7%(労使折半、年収ベース)に引き上げる必要があるとしている。
厚生年金の代行業務 返上で利益7000億円 100社以上 リスクを軽減

2002/ 9/23 日本経済新聞朝刊

  国に代わって厚生年金の一部を運用・給付する代行業務の返上によって特別利益を計上する企業が相次いでいる。これまでに100社以上が特別利益の発生を公表し、その総額は約7,000億円に達する見通しであることが、日本経済新聞社の集計でわかった。代行返上の動きはさらに広がるとみられ、特別利益も膨らむ公算が大きい。
企業年金の利回り マイナス4.4% 4-6月、株安響く

2002/ 7/14 日本経済新聞朝刊

  企業年金の2002年4-6月期の運用利回りはマイナス4.4%となった。国内株式の低迷に加え、外国株式が大きく落ち込んだため。マイナスは2001年7-9月期以来3・四半期ぶり。期末の年金資産が期初に比べどれだけ増減したかの割合を示す運用利回りは過去2年連続のマイナスで、株式相場が回復しなければ企業の年金運営は一段と厳しくなる。
公的年金控除に縮小論 現役世代 負担増で 高齢者一律優遇見直しも

2002/ 6/12 日本経済新聞朝刊

  社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の年金部会は11日、年金税制について議論した。年金受給者の税負担を軽くする公的年金等控除を縮小し、年金課税を強化すべきだとの意見が相次いだ。現役世代の保険料負担が重くなる一方、豊かな高齢者まで一律に弱者と見なす必要はないとの考えが強くなってきたためだ。2004年の次期年金改革で検討する。
国保の高額医療最高に 昨年度6.9%増、9000件超える

2002/ 6/ 3 日本経済新聞朝刊

  国民健康保険で患者1人当たりに420万円以上の高額な医療費を使った事例が2001年度は9000件を突破、過去最高となる。
 ※前年度比6.9%増
医療費 70歳未満は年4000円増 3割負担で厚労省試算

2002/ 5/ 9 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は8日、2003年4月にサラリーマンの医療費負担を現行の2割から3割に引き上げる健康保険法改正案が施行された場合の影響を試算した。70歳未満の患者の場合は年間で1人あたり4000円の負担増に、70歳以上の高齢者は同8000円の負担増になるとしている。
 ※別に加入者1人当たりの保険料は労使合わせて年3万円程度増える。
企業年金 見直し検討8割 100社調査 経営の負担軽減へ

2002/ 5/ 6 朝日新聞朝刊

  企業年金について朝日新聞社が主要100社に調査したところ、8割近い企業が経営上の負担を軽くする方向で見直しを進めていることがわかった。従業員がリストラで減っているうえ、株安や低金利で資産運用難に陥り、年金財政が厳しくなっているためだ。4月に確定給付企業年金法が施行されるなど、制度改革で選択肢が増えたことも見直しに拍車をかけている。
 ※73社:企業年金の積み立て不足分を穴埋めしたと回答
  96社中78社:年金の見直しを考えていると回答(16社は企業年金形態は維持、掛け金や給付水準の見直し。61社は新制度移行)
人材派遣の健康保険組合 被保険者10万人 求職中も加入継続

2002/ 5/ 2 日本経済新聞朝刊

  人材派遣で働く人のための新しい健保組合、人材は件健康保険組合が1日、厚生労働省の認可を受け誕生した。断続的に働く派遣スタッフの事情に配慮し、求職期間中も継続して加入できる仕組みにする。優秀な人材確保には健保が必要と132の派遣会社が参加したため被保険者数は10万人強に達し、全国約1700の健保中で16番目の大規模健保になった。
年金と雇用関係を調査 厚労省が研究会

2002/ 4/18 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は5月中にも公的年金の改革が雇用に与える影響を調べるための「雇用と年金研究会」(仮称)を設置する。
 ※パート労働者の厚生年金加入者増加を図るための調査などに活用
医療費負担増どこまで 「本社アンケート」 将来像なく不信感 制度破綻懸念の声も

2002/ 4/11 日本経済新聞朝刊

  「自己負担が増え続け、制度もいずれ破綻する」--。日本経済新聞社がこのほど都市圏の市民を対象に実施した医療に関するアンケート調査では、9割が医療保険制度の将来に不安と答え、将来像がはっきり示されないまま、じりじりと負担ばかり増えていく現状への不信感が表れた。少子高齢化時代の医療をどう設計するのか。市民の思いも複雑に揺れている。
 ※医療のみならず、年金と併せての不安も大きい
公的年金 4月からこう変わる 厚生年金65歳以上も保険料/高所得者は給付減

2002/ 3/31 日本経済新聞朝刊

  4月1日から公的年金の保険料負担や給付の仕組みが一部変わる。厚生年金に加入している60代後半の会社員には新たに保険料負担がかかり、収入に応じて減額される。自営業者らの国民年金では低所得者向けに保険料の半額免除制度が始まる。制度変更のポイントをまとめた。
 ○60代後半の会社員も全員、月収の17.35%の保険料を負担(労使折半)
 ○高所得者の60代後半の会社員の年金減額(報酬比例部分のみ)
 ○国民年金加入者のうち低所得者は保険料半額免除(申請免除)