社会保険労務士関連ニュース・社会関係(2003年10月- 12月)

2003年10月〜 12月 
ニュース(社会関係)
法改正情報関連

【LastUpdate -】

統計情報関連

【LastUpdate 2003.12. 7】

情勢・動向

【LastUpdate 2003.12.23】

その他読み物

【LastUpdate 2004. 1. 4】

法改正情報関連
  (データなし)

-

   
統計情報関連
  01年度社会保障給付 81兆4000億円過去最高更新

2003/12/ 3 朝日新聞朝刊

  国立社会保障・人口問題研究所が2日まとめた01年度の社会保障給付費は前年度比4.2%増の81兆4007億円で、過去最高を更新した。高年齢者人口が増え、年金給付費などが伸びているため。国民所得に占める割合も22%で過去最高だった。社会保障の財源は、資産運用の悪化を反映し、0.18%減の89兆9903億円だった。
国保、実質赤字4188億円 老人保健への拠出金増加 昨年度

2003/11/20 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は19日、市町村が自営業者らのために運営する国民健康保険(国保)の2002年度の財政状況を発表した。単年度収支への一般会計からの赤字補てん分を除いた実質赤字は、前年度比22.6%増え4188億円だった。実質赤字の調査を開始した1997年度以降、最悪となった。現在72歳以上の高齢者が加入する老人保健制度への拠出金の増加が主な原因だ。
支出は前年度比5%増え9兆8359億円。このうち高齢者医療費を賄うため国保など各医療保険が老人保健制度に支払う拠出金は14.2%増加し3兆483億円で、支出全体の約3割に上った。
保険料の収納率は全国平均で前年度比0.48ポイント下がり90.39%と過去最低だった。単年度収支で赤字だった国保を運営する保険者は全体の63.6%で2051市町村だった。
2002年度の国保の加入者は4006万人。約5割は高齢者ら無職者が占め、加入世帯の約4分の1は課税所得のない低所得世帯だった。
増え続ける「高齢者世帯」 2025年、全体の4割 人口研推計

2003/10/17 日本経済新聞朝刊

  世帯主が65歳以上の「高齢者世帯」は2000年の1114万世帯から増え続け、2025年は65%増の1843万世帯と、全世帯の4割近くを占めることが16日、国立社会保障・人口問題研究所の推計で分かった。
2025年には、世帯主が75歳以上の世帯が5軒に1軒に達する一方、夫婦と子供という厚生の世帯は今より2割減るなど、高齢化と少子が加速する見通しであることも示した。
100歳以上 初の2万人突破

2003/10/ 3 日本経済新聞夕刊

  国内の100歳以上のお年寄りが初めて2万人を超えることが9日、厚生労働省が発表した全国高齢者名簿(長寿番付)で分かった。昨年より2627人多い2万561人で、5年前の2倍以上に増えた。このうち女性は1万7402人(84.6%)だった。
情勢・動向
  年金保険料上げ10月から

2003/12/18 日本経済新聞朝刊

  政府・与党は17日、2004年度からの年金制度改革案を正式に決めた。厚生年金の将来の保険料負担は18.35%(労使折半、本人負担は9.175%)を上限とし、給付水準は現役世代の手取り収入の50%以上を確保する。保険料引き上げは来年10月から実施、毎年0.354%ずつ上げる。来年度の国民負担の増加分は約4,000億円だが、2005年度以降は年金制度全体で約9,000億円の負担増となる見通しだ。
「帳尻合わせ」 大企業直撃 年金保険料上限18%決着

2003/12/11 日本経済新聞夕刊

  政府は10日、来年の年金制度改革で厚生年金の保険料を会社員の年収の18%まで段階的に上げて固定する方針を決めた。厚生労働省案の20%との差を埋めるため、年収762万円以上の会社員に追加負担を求める案が有力で、個人の負担増(企業も同額)は最大年30万円を超す可能性がある。年金給付を現役平均所得の50%以上に維持するための「帳尻あわせ」の面が強く、経済界の反発は必至。自民党内には保険料を18.5%程度にして追加負担の圧縮を模索する動きも出てきた。

穴埋め財源
会社員の厚生年金保険料は現在、年収の13.58%(これを労使折半)。少子高齢化のため引き上げは必至だが、政府は影響を和らげるため上限を設け、その範囲内で給付費を賄う新方式を採用する。来年10月から毎年0.354%ずつ上げて約13年後に18.0%とすることが10日までに固まった。
11月に厚労省が公表した改革案は、上限を20%にすれば、モデル夫婦(会社員の夫と専業主婦)の給付水準は現役世代の平均手取り年収の54.7%(現在59.4%)で下げ止まると設計していた。
しかし保険料上限を18%に下げると、モデル夫婦の給付も49.1%に下がる。
一方で与党は50%以上の給付を維持する方針を決めているため、給付財源を補う何らかの増収策が必要。そこで同省は高所得の会社員に追加負担を求める案を与党に提示した。
 
月給100万円の会社員の保険料負担
  現在 来年10月以降
年金制度上の月給額 62万円 98万円
保険料率(労使合計分) 13.58% 13.934%
保険料負担額(本人のみ) 4万2,098円 6万8,276円

個人の負担
追加負担案は、保険料が頭打ちになる報酬月額(月収)を現行の月60万5000円から健康保険と同じ95万5000円に上げる内容。年俸制やボーナスを月4回以上支給している会社に勤める人は、年収が762万円以上だと保険料負担が増える。追加負担の対象となる会社員は約219万人(2001年度末)で、男性会社員だけで見ると全体の約1割に相当する。
特に負担が増えるのは年収1146万円以上の人。来年10月に予定されている0.354%の保険料引き上げ分を含め、年間31万円強の負担増となる計算だ。
本隊なら納めている保険料が増えると老後の年金も増えるが、今回は増収が狙いのため本人の給付は増やさない方向。高所得層とその事業主が追加負担する保険料は中低所得者層への給付財源に回ることになる。
(以後略)

経済界反発「雇用に影響」
経済界は厚生年金の将来の保険料負担の上限を18%に引き上げるという首相指示に「企業負担が重くなり、雇用にも悪影響を及ぼす」(日本経団連)、「断固反対だ」(日本商工会議所)と猛反発している。高所得の会社員に限定して追加負担を求める案にも「十分な議論もなく、特定の相を狙い撃ちするような保険料の引き上げは年金制度の抜本改革にはほど遠い。日本経済の活力をそぐ」(経済同友会)と批判を強めている。
老齢者控除を廃止 自民税調一致 年金控除も縮小

2003/12/11 日本経済新聞夕刊

  自民党税制調査会は11日午前の正副会長・顧問。幹事会議で、65歳以上の高齢者に適用している所得税の老年者控除を廃止することで一致した。公的年金等控除の大幅な縮小も決めた。両控除の廃止・縮小で税収増を図り、基礎年金の国庫負担割合の引き上げの財源に充てる方針だ。
年金減額 今年の物価下落分反映 自民方針、来年度0.2-0.4%

2003/12/11 日本経済新聞夕刊

  自民党の年金制度調査会と厚生労働部会の合同部会は11日、来年度の年金給付額について、今年の物価下落分だけ引き下げる方針を決めた。今年の物価下落幅は0.2−0.4%程度となる見通し。過去に物価が下落しているにもかかわらず特例で年金額を据え置いた分が1.7%あり、この分もあわせて減額すべきだとの超えも会ったが、高齢者の生活への影響が大きくなるので見送る。
確定拠出年金 非課税上限額上げへ 公的年金補完、普及促す

2003/12/ 8 日本経済新聞朝刊

  自民党税制調査会は2004年度税制改革で、企業年金である確定拠出年金(日本版401k)の掛け金(拠出額)の非課税上限額を引き上げる方向で最終調整に入る。同年金の普及を促し、公的年金を補う役割を高める。個人投資家などがベンチャー企業に投資する際に税制上の優遇措置を受けられる「エンジェル税制」も制度を拡充、適用対象を広げる方針だ。
 
確定拠出年金の月額掛け金の非課税限度額
 

現行

厚労省要望

企業が従業員のために導入
他の企業年金がない場合

3万6000円

6万6000円

他の企業年金がある場合

1万8000円

3万3000円

個人で加入(会社員は企業年金がないのが条件)
会社員の場合

1万5000円

6万6000円

自営業などの場合

6万8000円

上げ求めず

基礎年金 所得1000万円以上は減額 厚労省、与党に案提示

2003/12/ 7 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省が年間所得1000万円以上の人に基礎年金の3分の1の国庫負担(税金)を支給しない案を与党に提示したことが明らかになった。減額分を、その他の受給者への給付費の国庫負担を増やす財源に充てるのが狙い。ただ、来夏の参院選を控え与党内には反発も強く、年内にまとめる政府案に具体案が盛り込まれるかは微妙だ。
年金国庫負担 財源3年分どまり 与党協抜本改革先送り

2003/12/ 6 日本経済新聞朝刊

  自民、公明両党は5日の与党年金制度改革協議会(座長・大野功統自民党年金制度調査会長)で、基礎年金の国庫負担割合を2004年度から5年間で2分の1に引き上げる方針を確認した。財源に関して年内は2006年度まで3年分の検討にとどめ、制度改正に必要な2兆7000億円の約半分の確保を目指す。2007年度以降は使用費税率の引き上げを含めて再検討するが、年金制度の抜本改革は先送りされる。
年金給付 「高所得者はカット」案 政府・与党内 国庫負担分、財政難で

2003/12/ 5 朝日新聞朝刊

  年金改革が大詰めを迎え、来年度の予算編成が進む中で、高額所得者に対する基礎年金給付の国庫負担分(現行の3分の1)を支給しない案が浮上してきた。国庫負担については、2分の1への引き上げが与党間で合意されているが、財源確保のめどがたっていない。財務省は「税財源を増やす以上、給付の効率化は不可欠」との姿勢を変えておらず、年内の政府案とりまとめに向けた政府・与党協議の大きな検討課題となりそうだ。
年金国庫負担段階上げ 年金課税を財源に 自・公方針 3000億円程度か

2003/12/ 4 朝日新聞朝刊

  基礎年金の国庫負担割合の2分の1への段階的な引き上げについて、04年度は公的年金への課税強化による税収の増加分が財源に充てられることが3日までの自民、公明両党の調整で固まった。年金課税での控除制度を全廃すると約1兆円となるが、高齢者への影響を考えて廃止対象を縮小するのが現実的で、3000億円程度にしかならないとみられる。
公明党が主張する所得税の定率減税廃止には自民党内に異論が多く、2分の1への完全引き上げに必要な2兆7000億円のメドは立っていない。05年度以降の引き上げに必要な財源論議は先送りされる可能性もある。
年金下げ凍結分 物価上昇時に相殺 厚労省 「スライド制」で方針

2003/12/ 3 朝日新聞朝刊

  厚生労働省は、公的年金の「物価スライド制」で、物価が下落したにもかかわらず年金額の引き下げを実施しなかった00〜02年度の凍結分1.7%の処理方針を固めた。04年度以降、物価が上昇に転じたときに給付額を据え置くことで、時間をかけて解消する。財務省は「来年度に一括して引き下げるべきだ」としており、年金改革とあわせ、年末の04年度予算編成に向けた両省の調整は難航しそうだ。
物価スライドは、年平均の消費者物価の変動率を翌年度の年金額に反映させる仕組み。「年金生活者への影響が大きく、景気にもマイナス」として、00年度から3年間の引き下げが凍結された。
年金国民負担 大幅上昇抑制を OECD、日本に提言

2003/12/ 3 日本経済新聞朝刊

  経済協力開発機構(OECD)は2日、日本の経済政策の診断と処方箋を示す対日経済審査報告を発表した。年金改革に関し、負担の大幅な上昇を抑えるよう提言。競争政策については公正取引委員会の独立性強化の一環として委員長の人材を公務員に頼らず広く民間人から求めるべきだと促した。
OECDは公的支出に占める年金の比率が過去10年間で6%から12%に上昇し、制度改革を怠れば2060年までに17%に膨張すると試算した。
消費税をいずれ引き上げる必要があるとする一方、保険料や国民負担率の大幅な上昇を強いれば労働意欲の減退につながると指摘した。
国民年金 保険料減免 4段階に 厚労省が未納対策

2003/11/21 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は20日、深刻化する国民年金保険料の未納問題への対応策をまとめた。加入者の所得に応じ現在2段階で免除・軽減している制度を4段階に拡大し、より負担能力に応じて払いやすくする。増え続ける若年失業者やフリーター対策として、保険料の納付を10年間猶予する制度も設ける。年末にまとめる政府の改革案に盛り込む。
支給開始年齢引き上げ検討 公的年金で財政審

2003/11/20 日本経済新聞朝刊

  税制制度など審議会(財政相の諮問機関)は26日に発表する2004年度予算編成の意見書で、現在65歳となっている年金の支給開始年齢の引き上げを盛り込む方向で検討に入った。年金財政の立て直しには支給開始年齢の見直しも避けられないと判断した。既に年金を受け取っている受給者の給付引き下げは意見書に明記する。
厚生労働省の年金改革では、現役世代の手取り賃金の5割を給付の下限に設定、支給開始年齢を65歳のまま維持する。既受給者の給付引き下げも盛り込んでいない。財政審は、若年層や企業の負担が重くならないように高齢者の給付をできるだけ抑える方向で提言。給付の下限ルール撤廃も提言する。
児童手当支給小学3年まで 少子化対策で自公合意

2003/11/20 朝日新聞朝刊

  自民、公明両党の幹事長、政調会長が19日、国会内で会談し、04年4月からの児童手当の支給対象を、現在の小学校入学前から、小学校3年生まで引き上げることで合意した。政府はこれを受け、04年度予算案に児童手当拡充を含む少子化対策費として2500億円を計上する。
保険料率「16%上限」年金改革 民間議員が対案提出

2003/11/19 朝日新聞朝刊

  18日の経済財政諮問会議では、厚生年金の保険料率を段階的に20%(労使折半、現行13.58%)まで引き上げる厚生労働省の年金改革案に対し、「20%は重すぎ、経済社会の活力が失われる」と民間議員や財務相、経済産業相から反対意見が噴出した。小泉首相は「影響を受けるのは若者だ。制度設計で来年度に残るものはあるかもしれないが、年末までに給付と負担の関係を整理し、来年、法案を出す」と述べた。諮問会議は月内に再度、年金改革を議論する。
民間議院4誌が出した案は、保険料率を最終的に16%程度に抑える一方、引き上げる速度を速める▼給付水準を現役世代の45〜50%程度(現在は59%)に引き下げる▼基礎年金の国庫負担分のうち、高所得者の給付に回されている分は削減、などとしている。国民年金の未納・未加入者問題については保険料支払いをパスポートや自動車運転免許の交付要件にするなどの対策を提唱した。
年金保険料、20%上限 給付は5割を維持 厚労省が改革案を発表

2003/11/18 朝日新聞朝刊

  厚生労働省は17日、04年の年金改革案を発表した。厚生年金の保険料率を04年度から段階的に引き上げて22年度に年収の20%(労使折半、現行13.58%)で固定し、給付を保険料収入の範囲内で自動的に下げる方式を採用する。現在、現役世代の手取り年収の59%ある年金給付水準は13年度に54.7%まで下がり、その後安定するとしている。今後は年末の政府案作りに向けて政府・与党で協議されるが、保険料率の上限や基礎年金の国庫負担割合引き上げの財源をめぐって意見が分かれており、とりまとめは難しそうだ。
 
年金改革の厚労省案(要旨)
【給付と負担の見直し】
<基本的課題>
基礎年金の国庫負担(現行3分の1)を2分の1に引き上げることとし、その具体的な筋道を明らかにする
厚生年金保険料は04年度から引き上げ。国民年金保険料は05年度から引き上げ
<有限均衡方式(積立金取り崩し)の導入>
100年限度で財政均衡を考える有限均衡方式により財政再計算を行う
2100年度の積立金を給付費の1年分に抑制
5年ごとに100年程度の期間で年金財政を見直していくことにより、将来にわたる財政均衡を確保
<保険料水準固定方式>
厚生年金の最終的な保険料水準(現行は13.58%、会社と会社員本人で半分ずつ負担)を、20%(本人負担は10%)に固定
国民年金の最終的な保険料水準(現行月1万3300円)を1万7000円台に固定(04年度価格)
<年金給付水準>
高齢期の生活の基本的な部分を支えるものとして、給付水準は現役世代の手取り年収の50%(所得代替率)を下限とし、おおむね50〜50%台半ば程度を確保
少子化が現状のままの基準ケースで、2013年度以降のモデル年金の所得代替率54.7%
<マクロ経済スライド>
厚生年金、国民年金とも、賃金や労働力人口といった社会全体の保険料負担能力(支える力)の伸びに見合うよう年金の改定率(スライド率)を調整することで、年金の給付水準を調整
公的年金被保険者数の減少率と平均余命の伸び率を勘案した調整率で、早期調整を図る
高齢者の生活にも配慮し、前年度の年金額を下回らないようにする
<年金課税の見直し>
高額所得者の負担力を考慮した負担の公平を図るためには、年金の給付制限により、年金に限らず高齢者の収入全体を標準とした負担を求めることが可能な年金課税の見直しによることが適当
公的年金等控除の見直しによる税収は、基礎年金国庫負担割合の2分の1への引き上げの財源の一部として繰り入れるべきだ
 
【多様な生き方、働き方への対応】
<在職老齢年金制度>
60歳代前半は一律2割の支給停止を廃止
65歳以降は、本人の選択で年金の支給開始を繰り下げて受給できる仕組みを導入
70歳以降も在職中は保険料負担を求め、年金額を減額する
<短時間労働者への厚生年金適用拡大>
週労働時間が20時間以上を基本に拡大。経過措置など一定配慮
別枠の標準報酬区分を設定
<次世代育成支援>
子が3歳になるまで保険料免除制度を拡充し、勤務時間短縮などで働きつづける場合は育児前の標準報酬で保険料納付したものとして取り扱う
<3号問題>
年金の個人単位化に向け夫婦分割を導入。ともに65歳に達した時点でそれぞれに基礎年金と厚生年金を給付
<離婚分割>
夫婦の合意があれば離婚時に保険料納付記録を分割。争いがある場合も司法上の解決が可能な仕組みを検討
<遺族年金>
本人の保険料納付が反映される仕組みとし、現行制度との差額を遺族厚生年金として支給
子のいない20歳代の遺族配偶者女性への給付を5年間に限定
<障害年金>
障害基礎年金と老齢厚生年金を併給できる仕組みに見直し
 
【国民年金の徴収対策など】
<免除制度>
現行2段階の免除制度を所得水準ごとの多段階とし、単身世帯に厳しい免除基準を見直し
納付実績を点数化するポイント制を導入し、年金個人情報を定期的に通知
<3号の届け出漏れ>
過去の未届け期間について、2年以上前のものも特例届け出を認める
 
【積立金の運用】
独立機関で効率的に行い、受託者責任を厳正に適用
大規模年金保養基地(グリーントピア)などは05年までに廃止
 
【企業年金】
厚生年金基金の免除保険料率の凍結解除
解散時の最低責任準備金の分納を認める
確定給付企業年金のポータビリティー確保
確定拠出年金の拠出限度額引き上げ
 
【福祉施設】
今後の施設整備に保険料財源を投入しない
社会保障費 2010年度に6兆円不足 財務省試算 消費税2.5%幅相当

2003/11/13 朝日新聞朝刊

  高齢化の進展で、現行制度のままなら年金や医療、介護などの社会保障給付費の増加が徴収の伸びを大きく上回り、国と地方自治体による「公費負担」の財源が2010年度に6兆円不足する--という試算を財務省がまとめた。不足分は増税か、国の借金である国債の発行で賄う必要があり消費税率引き上げで対応する場合は約2.5%幅の増税が必要になる。
確定拠出年金 加入者の退職時 少額なら一時金可能 厚労省、条件緩和へ 制度普及を促す

2003/11/ 9 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は企業型の確定拠出年金(日本版401k)の加入者が会社を辞めた場合に脱退一時金を受け取れる条件を緩める。現在は原則60歳まで引き出せないが、専業主婦などは積立金が一定額なら、金額を一時金で受け取れるようにする。また個人型に移って積み増しできる場合でも、積立金が少額なら一時金を認める。手数料で積立金が目減りするのを防ぎ、普及を促すのが狙いだ。
厚生年金 70歳以上も保険料負担 会社員・役員厚労省方針 高収入なら給付減

2003/10/31 朝日新聞朝刊

  厚生労働省は70歳以上の会社員・役員も保険料府を負担し、年金と報酬の合計額が一定基準を超えれば年金を減らす方針を決めた。現在六十代が加入する「在職老齢年金制度」を適用。保険料を払わずに年金を全額受け取れる70歳以上にも収入に応じた負担を求め、若年世代の将来の保険料負担増を抑える。
同省は11月下旬にまとめる2004年の年金改革案に盛り込み、年明け通常国会に関連法案を提出する。公的年金は現世代の保険料でその時点の高齢者への年金を支える。高齢化で膨らむ給付費を賄うため政府は保険料引き上げを計画、若年世代ほど負担が重くなる。小泉純一郎首相は高所得層への給付見直しの検討を9月に坂口厚労相に指示していた。
現在は六十代でつとめている人は「在職老齢年金制度」の適用を受け、全員が年収の13.58%(これを労使折半)の保険料を負担。さらに厚生年金と給与との合計が基準を超えると年金を減額される。ただ、70歳になると保険料はかからず、収入の多寡を問わず年金を満額受け取れる。
厚労省はこの年齢制限をなくし、70歳以上にも負担を求める。全国民共通の基礎年金は満額受け取れるが、厚生年金は給与との合計額が基準額を超えると、超過額の半分が減額になる。
国保滞納、最悪19.2% 上昇幅は91年以降最大 厚労省調査

2003/10/31 朝日新聞朝刊

  自営業や年金生活者などが加入する市町村の国民健康保険(国保)の保険料を滞納している世帯が03年は数、割合ともに現在の方法で調べ始めた91年以降、最高になったことが30日、厚生労働省のまとめで明らかになった。6月1日現在の滞納世帯は前年より約43万世帯増えて約457万7000世帯、割合は1.2ポイント増えて19.2%。前年比の上昇幅はともに91年以降最も大きい。
滞納世帯が増えた理由として挙げられるのがリストラだ。高齢化でお年寄りの世帯が増えているのに加え、失業で会社の健康保険組合や政府管掌健康保険から国保に移る世帯も増加。今年3月末の時点の国保の全世帯数は前年より90万増えて約2373万世帯になった。保険料は前年度の所得で決まるため、リストラされた人にとっては負担が重く、滞納につながっていると見られる。
又、厚労省はリストラに加え、若者を中心に納付意識が薄れているためではないかとしている。
医療費の増大などによって、約3200の市町村国保のうち、6割が赤字になっている。
医療費「定額払い」試験導入 来年3月まで延長 厚労省

2003/10/26 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は、医療費抑制につながるといわれる「定額払い制」の試験導入期間を2004年3月末まで延長する。10月末まで期限切れの予定だったが、データの収集や分析がさらに必要だと判断した。疾患名ごとに入院期間を決め、一定の医療費を支払う定額払い制度は全国10の国立病院などで実施している。定額払い制に医療費を抑制する効果があれば、対象病院を拡大する。
従来の医療費は、検査や投薬などの治療行為が多いほど支払いが増える「出来高払い」が原則だった。厚労省は、定額払い制の拡大で医療費の削減につなげたい考えだ。
定額払い制では例えば鼻骨骨折で入院し手術した場合、入院期間を11日とし、約16万円となる。定額払い制度は、1998年11月から5年の予定で試験的に実施していた。
厚労省は、2003年度から全国82病院で入院期間ではなく、1日当たり定額の医療費を支払う「定額払い制」も導入している。
パートの厚生年金適用 「週20時間以上」に拡大 厚労省方針 収入要件見送り

2003/10/25 朝日新聞夕刊

  厚生労働省は、04年の年金改革で予定しているパートなど短時間労働者への厚生年金の適用拡大基準を「週の労働時間が20時間以上」とする時間要件に絞る方針を固めた。「年収65万円以上」とする収入要件も検討していたが、負担増となる企業や雇用への影響に配慮、時期尚早と判断した。厚労省の大まかな推計では現在より312万人ほど加入者が増える見通しだ。時間要件にも経過措置を導入する。11月半ばに公表する厚労省案に盛り込む。
パート労働者に対する適用基準は現在、「正社員の労働時間の4分の3以上」。厚労省は、これを雇用保険にそろえ、正社員の半分程度の「週20時間以上」に拡大する。女性を中心にパートなどの就労が増加していることに対応し、少子高齢化で減っている年金の支え手を増やすのが狙いだ。
パート労働者にとっては将来、基礎年金に加えて厚生年金を受け取ることができ、個人単位での年金の充実が見込める。ただ、働いている間は保険料(労使折半)を払うため、手取り収入はその分減る。
公的年金積立金 1.9%減の141兆円 2002年度末 運用難、2年連続減

2003/10/ 9 日本経済新聞夕刊

  厚生労働省は9日、厚生年金と国民年金の2002年度末の積立金が前年度より1.9%減少し141兆5000億円になったとする積立金運用報告書をまとめた。株価の低迷で資産運用利回りがマイナスとなったことが原因。積立金の減少は2年連続で、国民年金も減少に転じた。
年金積立金の状況は同日午前に開いた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金資金運用分科会に報告した。公的年金は保険料からその年の給付費を払った剰余を将来の年金給付に備え積み立てている。積立金は財政融資資金に預けるほか、年金資金運用基金が財投債の引き受けや民間金融機関を通じた市場運用を実施している。
積立金のうち、厚生年金の分は132兆1000億円。1999年度の135兆4000億円をピークに3年連続で減少。国民年金は9兆5000億円で、前年度の9兆7000億円から2000億円減った。
2002年度の運用益の内訳は、財政融資資金の預託分(112兆3000億円)で3兆3000億円、財投債の引き受け(18兆7000億円)で800億円だった。
しかし、厚労省の特殊法人・年金資金運用基金が市場運用している部分で約6兆円の累積損失を抱えており、運用は改善しなかった。
年金保険料率20%案 企業負担、年10兆円増 経産省試算

2003/10/ 3 朝日新聞夕刊

  経済産業省は3日、04年に予定される年金制度改革で、厚生労働省の試案通り保険料率を20%まで引き上げた場合、企業負担は年間約10兆円増加し、企業の雇用や国際競争力に悪影響を及ぼす恐れがあるとの試算をまとめた。同日夕開かれる経済財政諮問会議(議長・小泉首相)に提出する。
保険料率が現行の13.58%(労使折半)から20%に引き上げられると、企業の負担率も10%に上昇。過去15年で法人税の最高税率を42%から30%に引き下げたが、減税効果(約7.5兆円)を上回る負担増としている。
児童手当9歳に拡大 来年度から厚労相表明

2003/10/ 1 日本経済新聞夕刊

  坂口力厚生労働相は30日午後の参院本会議で、児童手当の支給対象を現行の6歳児(小学校入学前)から9歳児(小学校3年の年度末)に引き上げる関連法案を来年の通常国会に提出する方針を表明した。公明党の浜四津敏子氏への答弁。2004年度からの実施を目指す。
その他読み物
  政管健保の財政悪化 年度末積立金計画の1/6 改革論議前倒しも

2003/12/26 日本経済新聞朝刊

  中小企業の従業員とその家族が加入する政府管掌健康保険(政管健保)の財政が悪化し、支払いに備える積立金残高が2003年度末に約300億円と計画の6分の1に落ち込む見通しとなった。企業の人員削減などの影響で保険料収入が伸び悩んでいるためだ。厚生労働省は昨年の健康保険法改正時に2003年度から5年間は財政を維持できるとみていたが、予想を超える財政悪化で医療保険制度の抜本改革の前倒しを求める声が高まりそうだ。
年金保険料率18.35% 与党協議が合意 給付50.1%

2003/12/17 朝日新聞朝刊

  04年の年金制度改革で最大の焦点だった厚生年金の保険料率について自民、公明両党の与党年金制度改革協議会は16日、年収の18.35%(労使が折半、現行は13.58%)を当面の上限とすることで合意した。給付水準は最終的に、その時の現役世代の手取り年収の50.1%で下げ止まり、政府・与党が目標としていた「50%以上」を上回る。基礎年金の国庫負担引き上げに必要な財源については、定率減税の縮小・廃止を含めた所得税の見直しと、消費税増税をにらんだ税制改革で対応することが同日の与党税制協議会で決まった。
与党年金協は、保険料率をできるだけ低く抑える方法として、給与収入のある高齢者から保険料を徴収しつつ年金給付を制限する「在職老齢年金制度」(現行は60〜69歳が対象)を、70歳以上にも適用する案も改めて検討。年金改革関連法案の提出期限の来年2月までに合意が得られれば、最終的に法案に盛り込む保険料率を引き下げることにした。一方、保険料算定の基準となる標準報酬月額の上限を引き上げ、保険料水準を下げる案は見送った。
04年改革では、保険料率に上限を設け、年金給付は収入の範囲内で自動的に引き下げる方式(保険料固定方式)を採用する。具体的には、保険料率を04年度から毎年0.354%ずつ引き上げる。17年度には18.35%に達し、これ以降、保険料率は固定される。
経団連と連合保険料増反対 年金制度改革

2003/12/16 朝日新聞朝刊

  奥田碩・日本経団連会長と笹森清・連合会長は15日、公的年金制度改革問題について会談し、(1)抜本改革がないままの保険料引き上げは、国民生活を圧迫して企業の存立を脅かし、ひいては雇用への悪影響を及ぼしかねず反対する(2)基礎年金の国庫負担割合(現行3分の1)を2分の1に引き上げる道筋を明らかにすべきだ、という共同見解をまとめた。
年金保険料 上限18-18.5%に 政府、週内に最終決定

2003/12/ 8 日本経済新聞朝刊

  政府は7日、年金制度改革の焦点の1つである厚生年金の保険料上限を18.0%か18.5%とする方針を決めた。一両日中にも与党に提示し、週内に最終決定する。厚生労働省は11月中旬に上限20%案を公表したが、経済界などから「負担が重過ぎる」との反発が相次いでいた。
政府は負担増への不安を解消するため、保険料に上限を設け、その条件に収まるように年金給付を抑制する考え。保険料は現在、会社員の年収の13.58%(これを労使折半)。厚労省案では来年10月から保険料を毎年0.354%ずつ引き上げて2022年度に20%で固定するとしていた。この場合、厚労省の推計では現在は現役世代の平均所得の59.4%の給付水準は2022年度に54.7%になる。
上限を18.5%とすると、将来の給付水準は50%をわずかに上回り、5割以上確保という与党方針は維持できる。
年金給付50%維持 政府・与党 政策協議会が合意

2003/12/ 3 朝日新聞夕刊

  政府・与党は3日午前、04年度予算編成に向けた初の政策審議会を首相官邸で開き、焦点の年金制度改革について、厚生年金の給付水準を50%に維持することで合意した。国と地方の税財政の「三位一体改革」では、各省が調整している補助金削減案に対し「地方の自主性拡大につながらない」とする反対意見が相次いだ。政府・与党は今後もこの協議会を継続し、調整を本格化させる。
与党年金協 国庫負担上げ、5年で

2003/12/ 3 日本経済新聞朝刊

  自民、公明両党は2日、与党年金制度改革協議会を開き、基礎年金の国庫負担割合の3分の1から2分の1への引き上げについて、2004年度からの5年間で実現させることで大筋合意した。厚生年金の給付水準は「少なくとも現役世代の平均的収入の50%以上を確保」で一致した。
年金保険料 上限、20%に固執せず 厚労相表明 「様々な議論必要」

2003/12/ 3 日本経済新聞朝刊

  坂口力厚生労働相は2日、日本記者クラブで講演し、年金制度改革の焦点の1つである厚生年金保険料の上限について「いろいろな議論をしてもらう必要があり、何がなんでも20%と考えているわけではない」と語り、厚労省案の20%に必ずしも固執しないとの認識を示した。ただ現役世代の収入の50%以上の給付を確保するには保険料20%は必要との主張は続ける構えだ。
給与水準「50%確保を」 年金改革で自民調査会 幹部会が認識一致

2003/12/ 2 朝日新聞朝刊

  自民党年金制度調査会は1日の幹部会で、サラリーマンの厚生年金の給付水準について、現役世代の最低50%を確保すべきだとの認識で一致した。将来の経済情勢や少子化の進行にかかわらず50%の水準を死守する姿勢を打ち出すことで、年金制度への不安を払拭する狙い。2日の与党年金制度改革協議会でこうした方針を確認したい考えだ。ただ、保険料水準や国庫負担引き上げの財源問題等についてh議論が煮詰まらず、今後の協議に持ち越した。

年金制度めぐり連合が改革案 -政労会見で要請へ
連合(笹森清会長)は1日、年金制度改革案を発表した。基礎年金の国庫負担を「3分の1」から「2分の1」に引き上げるほか、基礎年金を税方式にし、給付水準を下げないよう求めている。今週中にも予定される小泉首相と笹森会長との政労会見で要請する。
連合案は基礎年金を全額税方式にする内容で、消費税のような「年金目的間接税(仮称)」を導入。企業には、「社会保障税」を貸し、給付水準は現行の「現役世代の手取り年収の59%」を維持すべきだとしている。
さらに、年金、医療、介護などの社会保障制度の改正について、国会に憲法調査会のような超党派で議論する場を設けるべきだとし、政労会見で併せて求めるという。
厚労省 介護の実態監視 市町村向け電子システム 無駄な給付を抑制

2003/11/30 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は2004年2月から、介護保険を運営する市町村などが、サービス利用者の症状の変化をパソコンで把握できる電子システムを導入する。必要な介護の段階に応じて適切なサービスを提供し、無駄な給付を抑制する狙いがある。不正な事業者を見つけることにも役立てることができるようにする。
年金改革 給付・負担、年末に確定 諮問会議 「専業主婦」は1年後

2003/11/29 日本経済新聞朝刊

  政府は28日の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)で、年金制度改革について年末の2004年度予算編成までに将来の給付と負担の水準目標確定を目指すことを決めた。会議では竹中平蔵経済財政・金融担当相がまとめた論点整理をたたき台に、今後の議論の節目を年末、通常国会への法案提出時となる来春、来年末に設定。主要な検討項目について3期間のどの時点までに結論を得るか仕分けし、重点的に作業を進める方針を打ち出した。
社会保障抑制を要求 財政審 国庫負担引き上げ反対

2003/11/26 朝日新聞夕刊

  財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は26日午前、04年度予算編成に向けた建議をまとめ、谷垣財務相に提出した。国の財政が悪化する中で、高齢化の進展で増える年金、医療、介護など社会保障の給付について削減や抑制を求めた。また、基礎年金の国庫負担割合の引き上げは「具体的な税財源の確保なしに許されない」とし、消費税増税などが検討されていない現段階での引き上げに反対を表明した。
 
■財政審の主な提言■
【社会保障】
現在の年金受給者、「団塊の世代」の年金給付額の引き下げ
国民が負担できる範囲で年金給付額設定
年金支給開始年齢の引き上げ
国庫負担の引き上げは安定財源の確保なしでは許されない
医療費の診療報酬、薬価の引き下げ
介護保険の本人負担を現在の1割から2〜3割に引き上げ
生活保護の際、自治体間の財政調整検討
(※新聞記事より社会保障部分のみ抜粋)
財制審意見書 年金給付下げ求める 地方公務員給与を減額

2003/11/26 日本経済新聞夕刊

  財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は26日午前、2004年度予算編成の指針となる意見書をまとめ谷垣禎一財務相に提出した。社会保障費抑制のため、年金受給者に対する給付引き下げや65歳まで段階的に引き上げている支給開始年齢の一段の引き上げを求めた。国と地方の税財政改革(三位一体改革)では地方公務員の給与減額などで地方財政計画を圧縮し、地方交付税を抑制するよう提言している。
個人の診療所 2年で黒字9.9%減 厚労省調べ 診療報酬下げ影響

2003/11/26 日本経済新聞夕刊

  厚生労働省は26日、医療機関の経営実態調査の結果をまとめ、中央社会保険医療協議会(中医協)に報告した。個人経営の診療所(開業医)の1ヶ月間の黒字額は226万8000円で、2年前の前回調査時より9.9%減少した。医師に支払う診療報酬の引き下げなどが影響したようだ。この調査結果を踏まえ、年末にかけ来年度の診療報酬改定に向けた議論が本格化する。
年金改革 給付・負担 柔軟に 首相、衆院予算委で表明

2003/11/26 日本経済新聞朝刊

  小泉純一郎首相は25日の衆院予算委員会で、年金制度改革をめぐり厚生労働省が打ち出した厚生年金の保険料を年収の20%(労使で折半)に段階的に引き上げる案について「負担が重すぎるという意見が出ている。給付と合わせて考えていくべきだ」と述べた。政府内や経済界に反発があることを踏まえ、柔軟に対応する考えを表明したものだ。
年金控除 高額受給者 縮小へ 世代間の格差是正 政府税調方針 来年度答申に明記

2003/11/16 日本経済新聞朝刊

  政府税制調査会(首相の諮問機関)は今月末にまとめる来年度税制改正答申で、高額の年金を受け取る高齢者への非課税措置の縮小を明記する方針だ。所得税の公的年金など控除を見直し、一定額以上の年金収入で控除の割合を下げる。勤労世帯に比べ高齢者を優遇し過ぎていると判断、世代間の税・保険料の負担をならす一歩にする。具体的な内容は来年の年金制度改革と並行して詰める。
年金保険料 年収の16%上限 諮問介護、民間議員提言に

2003/11/15 日本経済新聞朝刊

  政府の経済財政諮問会議の民間議員による年金制度改革についての提言内容が明らかになった。会社員の厚生年金保険料(年収の13.58%、これを労使折半)について、将来も「16%程度にとどめることが望ましい」と強調。厚生労働省が20%まで上げる方向で議論していることに「経済活力が失われ、若者の不信感はぬぐえない」と反対している。
基礎年金 「国庫負担2分の1に」 自公連立で政権合意案

2003/11/14 日本経済新聞夕刊

  自民、公明両党が第2次小泉内閣発足に際して交わす新たな連立政権合意文書の原案が14日、明らかになった。(1)2006年度までに名目成長率2%を実現(2)基礎年金の国庫負担率割合を現行の3分の1から2分の1に引き上げ(3)2007年に郵政事業を民営化--などを盛り込んだ。過去の連立合意や先の衆院選で両党が示した公約を尊重することも明記した。
年金給付 「現役の5割以下に」 財務省、抑制求める方針

2003/11/14 朝日新聞朝刊

  財務省と財政制度など審議会(財務相の諮問機関)は13日、厚生労働省が想定している年金改革案では「潜在的な国民負担率を5割に抑える」との政府目標が実現できないとし、年金の給付水準引き下げなど制度の抜本的見直しを求める方針を固めた。具体的には、現役世代の手取り年収の6割になっている現在の厚生年金の給付水準を5割以下に抑える必要がある、としている。
 
04年度予算で財務省が検討する主な社会保障の見直し
【年金】

国民負担が重くならないよう給付水準の引き下げ

すでに年金を受給している人の給付額の削減

高額所得者に対する基礎年金の削減

物価下落に応じた給付額の削減

国庫負担の2分の1の引き上げは安定した財源の確保が前提
【医療】

診療報酬(薬価含む)を4〜5%引き下げ(診療報酬本体は3%程度引き下げ)

保険が適用される医薬品の見直し

入院の食事費用やホテルコストなどに対する保険給付の見直し
【生活保護】

70歳以上の高齢者に対する老齢加算、母子家庭に対する母子加算の廃止
保険料20%へ段階上げ 年金改革 厚労省案固まる 5割給付確保

2003/11/13 朝日新聞朝刊

  04年の次期年金改革に向けた厚生労働省案が12日までに固まった。年金の給付水準を現役世代手取り年収の5割以上に保つため、厚生年金の保険料率を04年度から20%(現行13.58%、労使折半)になるまで毎年0.354%ずつ引き上げることなどが柱。18日の経済財政諮問会議で報告する。基礎年金の国庫負担を2分の1(現行3分の1)に引き上げる財源など政府案作りに向けて難航が予想される課題は多く、12日に設置が決まった政府・与党協議会に最終判断が委ねられる。
厚労省案は昨年末に出した「方向性と論点」や今年9月に坂口厚労相が公表した試案をほぼ踏襲した内容。課題の基礎年金国庫負担の引き上げについては公明党が主張する段階的引き上げ案などを併記しているが、具体的なスケジュールや最終的に4兆円近く必要となる財源の確保などには触れていない。保険料率20%への引き上げや給付水準の下限を5割にすることについても経済界や経済財政諮問会議、経済産業省が反発するのは必至だ。
 
■■■厚生労働省案の骨子■■■

持続可能な制度構築と信頼の確保

基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げ

凍結されている保険料の引き上げ解除

厚生年金の保険料率を04年度から0.354%ずつ毎年引き上げ、22年度に20%になった段階で固定。

給付は現役世代年収の50%を下回らない範囲で自動削減

年金積立金を取り崩して給付にあてる方式を導入

多様な生き方、働き方に対応した制度

在職老齢年金制度を70歳以上にも適用

週20時間以上働いているパート労働者は厚生年金に加入

育児期間中の保険料徴収や年金算定に配慮

サラリーマンと専業主婦の夫婦は夫の厚生年金分割。離婚時の分割も可能に。

自分の年金を全額受給できるよう遺族年金を見直し

その他

未納率が4割の国民年金の徴収強化

サラリーマンの妻で専業主婦の年金空白問題で救済措置

年金資金運用基金の独立行政法人化
年金保険料の上限 18、16%も選択肢 諮問会議

2003/11/12 日本経済新聞朝刊

  政府の経済財政諮問会議は年金制度改革で焦点となる厚生年金の保険料率(年収の13.58%、労使折半)の上限について、厚労省案の20%に18、16%を選択肢に加えて検討する方針だ。18日に開く同会議で事務局試算として3つのケースの給付水準などを提示。負担が経済活力に及ぼす影響などに配慮しながら、政府案の取りまとめを急ぐ。
試算は厚労省、財務省、内閣府、経済産業省の次官級に諮問会議の民間議員が加わった年金改革の検討会合での議論を踏まえた内容。保険料率の引き上げ幅に応じた給付水準の変化を厚労省の統一基準で計算しており、負担と給付の関係を比較できる。
年金財源に目的消費税を

2003/11/12 日本経済新聞朝刊

  関西経済同友会は11日、公的年金制度の改革についての提言をまとめた。保険料の未納が増え制度崩壊の恐れもある国民(基礎)年金については、財源を保険料ではなく全額目的消費税で賄うべきだと主張。現行の消費税とは別に、食料品は非課税とする税率約10%の目的消費税を新設すれば当面の給付は賄えるとした。
診療報酬5%下げ要求へ 財務省

2003/11/12 日本経済新聞朝刊

  財務省は2004年度予算編成で、医師に支払う診療報酬(薬価を含む)の5%程度引き下げを求める方針だ.デフレ長期化で物価や賃金の下落が続く中で、診療報酬にも経済情勢を反映させる必要があると判断した。ただ、医療機関の収入源に直結するだけに、日本医師会など医療団体の反発は必至で、調整は難航しそうだ。
パートへの厚生年金適用拡大 厚労相「一定の猶予期間」

2003/11/ 3 日本経済新聞朝刊

  坂口力厚生労働相は20日東広島市で講演し、パート労働者への厚生年金適用拡大について「来年から週20時間以上働く人に一気に適用するには難しい」と述べ、一定の猶予期間を設ける考えを表明した。パート雇用の負担が増えるとして反対している経済界に配慮する姿勢を示した。
同省は今月中に年金制度の改革案を公表する。現行制度では、パート労働者の労働時間が正社員の4分の3(週30時間)未満なら厚生年金に加入する必要はない。同省は保険料収入を増やすため、改革案の中に週20時間以上働けば厚生年金に加入する案を盛り込む方針だ。ただ厚労相は「正規社員と同じように働くパートと、そうでないパートの仕分けがいる」と述べた。
小泉首相 給付水準「現役の50%」 厚生年金「負担1割」厚労相案に近い数値

2003/10/29朝日新聞朝刊

  小泉首相は28日、総選挙の争点になっている年金改革に関して「厚生年金の給付水準は(現役世代の収入の)50%程度でしょう。保険料負担も10%(労使合わせると20%)がサラリーマンには限度ではないか」と述べた。年金改革では現在59%の給付水準を将来的にどの程度まで引き下げるかや、現在は年収の13.58%を労使で折半している保険料負担の水準をどこまで引き上げるかが焦点。首相が数値をあげて給付と負担の水準に言及したのは初めて。
年金電話相談 全都道府県で 厚労省、センター設置へ 加入者サービス改善

2003/10/25 日本経済新聞朝刊

  厚生労働省は2005年度までに、全都道府県に1箇所ずつ年金の電話相談センターを設置する。加入者が電話で年金見込額や過去の加入記録、年金を受け取る場合の手続きなどについて相談できる。加入者に対するサービスの向上で年金に対する信頼感を回復する狙いがある。
現在、年金の相談は全国に約300ある社会保険事務所や約70カ所の年金相談センターなどで受け付けている。電話専門の相談窓口としては神奈川県、大阪府など全国5府県に電話相談センターを置いている。電話による相談が増えていることや、社会保険事務所の対応が限界に近づいていることから電話相談にセンターを増やすことにした。
2004年度は28カ所増やす予定で、2005年度には全都道府県に設置する計画。人口が多い場所では35人程度の応答者を置く。
経済財政白書 人口減で不公平拡大 高齢世代に負担求める

2003/10/25 日本経済新聞朝刊

  2003年度の経済財政白書は高齢化と人口減少の問題を取り上げた。中長期的に経済成長が鈍化する可能性を指摘。年金給付など公的な受益と負担を巡る世代間の不公平がさらに広がることにも警鐘を鳴らしている。背景には年金制度改革の行方次第で、日本経済の活力が損なわれることへの強い懸念がある。
年金改革 坂口案「実現性に疑問」 ニッセイ基礎研 給付抑制前倒し提示

2003/10/12 朝日新聞朝刊

  ニッセイ基礎研究所は04年の年金制度改革について、「ゆっくり給付水準を落としていく厚生労働省の案では、人口や経済の変動に耐えきれず、問題を後世代に先送りする点で現行方式と変わらない」とする試算を公表した。積立金の取り崩しで給付水準を守る坂口厚労相の試案も、給付抑制を前倒しで実施しないと「絵に描いた餅になる」と分析している。
厚労省は、保険料を最終的に20%まで引き上げて固定し、その範囲内で給付を自動削減する方式を検討中だ。坂口試案として、給付水準を現役所得の50%以上に維持するため、年間給付の約5年分ある積立金を1年分残して取り崩す考え方も打ち出した。
同基礎研の試算は、投資リスクを判断する際などに活用する確率モデルを用い、これらの案を検証した。それによると、5割給付維持のために実際に取り崩しを迫られる確率は43.9%。ただ、給付水準は徐々に引き下げる計画なので、長寿化が進むに連れて年金財政が悪化。2042年に積立金残高がマイナスに転落する確率が7.1%、1年分を切る可能性は4.2%あるという。
投資リスクとしては高確率で、同基礎研は「5割給付を守ろうとすれば積立金が枯渇し、積立金を残そうとすれば、給付水準を下方修正せざるをえなくなる」と、坂口案の実現を疑問視。積立金を一定以上確保するためには、早い段階から給付抑制を進めて年金財政を安定させていく必要がある、としている。
障害者「支援費」通所など3事業 自治体1/4「できない」

2003/10/11 日本経済新聞夕刊

  今年4月に始まった身体・知的障害者が福祉サービスを選んで契約する支援費制度で、障害者が施設外で生活するために必要となる「デイサービス」など3事業が全く出来ない自治体が4分の1に上ることが分かった。調査を行った障害者の支援団体は「選択肢が限られる」として、サービスの充実を国などに求めている。
介護 誰にされたい 「家族だけ」12%に半減 内閣府調査

2003/10/ 5 日本経済新聞朝刊

  内閣府が4日に発表した「高齢者介護に関する世論調査」によると、在宅介護について「家族だけに介護されたい」との回答は12.1%で、1995年の前回調査の25.0%から半減した。ホームヘルパーなど外部のサービスを利用したいと考える人が増えた。
厚生労働省は「介護保険制度が3年目を迎え、ヘルパーを利用する抵抗感が薄れたのではないか」と分析している。
調査は7、8月に全国の成人男女5000人を対象に実施し、有効回答率は71.3%だった。
「負担と給付」平行線 年金改革、協議を開始 諮問会議 保険料上限 民間、15%案も主張

2003/10/ 4 日本経済新聞朝刊

  経済財政諮問会議は3日、年金制度改革を巡る協議を開始した。会社員の厚生年金保険料を年収の20%(労使折半)まで上げていく坂口力厚労相試案に対し、民間議員は上限を15%など低く抑える案も検討すべきだと主張。高齢者の年金と現役の負担のどちらを優先するか平行線のまま終わった。具体的な給付水準や国庫負担問題は手つかずで、年末の政府案策定までに抜本的な制度改革案がまとまるか道筋は見えない。
 
保険料20%で失業率1.3%悪化 経産相が試算提出
中川昭一経済産業相は年金保険料の引き上げが企業や消費に与える影響の試算をまとめ、経済財政諮問会議に提出した。坂口試案に沿って厚生年金保険料が20%に上がると、労使合計の負担が年10兆円増え、国内総生産(GDP)を1.4%押し下げる。負担増を避けようと企業が人員削減に動くことで最大100万人の雇用が失われ、失業率は1.3%上昇するという内容。保険料負担増は日本経済にマイナスとけん制している。
 
国庫負担も難航 財源難、改革先送り懸念も
全国民共通の基礎年金の国庫負担(税財源)割合の引き上げ問題を巡る議論も割れている。
基礎年金は現在、給付費用の3分の1を国庫負担で賄っている。前回(1999年)改革で国会は「2004年までに安定財源を確保し、国庫負担の2分の1への引き上げを図る」と決めた。ただ引き上げに必要な2兆7000億円の財源のメドは立っていない。
行政サービス 民間開放へ一括法 諮問会議民間議員 雇用創出へ提言

2003/10/ 3 日本経済新聞朝刊

  政府経済財政諮問会議の民間議員がまとめた地域経済の再生や年金改革への提言内容が明らかになった。3日の会議で示す。地域再生で公共施設の管理・運営や窓口事務など地方の公共サービスの民間開放を推進する一括法の制定を提案。政府の補助に頼らず民間の創意工夫で地域経済を活性化し、新たな雇用の創出につなげる枠組みを打ち出す。
 
年金改革「負担上限15%」
提言は奥田碩トヨタ自動車会長、本間正明大阪大学教授ら民間議員4人が連名で提出する。年金改革については厚生年金保険料負担の上限を厚生労働相試案の「年収の20%」より低い15%とすることも選択肢として検討するよう求める。
基礎年金の国庫負担比率 段階的上げも視野 参院予算委で首相答弁

2003/10/ 2 日本経済新聞夕刊

  国会は2日午前、論戦の部隊を参院予算委員会に移し、質疑を続行した。小泉純一郎首相は政府が「2004年までに安定財源を確保し、実現を図る」とする基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げ問題について「1年で一挙にやるかどうかは別問題だ。どういう安定財源があるかを含め議論したい」と述べ、段階的な引き上げも視野に検討する考えを示した。