社会保険労務士法改正情報−労務管理その他の労働に関する一般常識関連−

【Last Update 2004. 8.15】

 
 
平成16年 第36回試験に関わる改正内容
職業安定法に関する改正
第30条

H16. 3. 1施行

有料職業紹介事業の許可
有料の職業紹介事業の許可について事業所単位から事業主単位に改められた。これに伴い、計画書などの提出についても改正された。
第32条

H16. 3. 1施行

許可の欠格事由
職業紹介事業の許可の欠格事由として、出入国管理および難民認定法第73条の2第1項の罪(不法就労助長罪)が追加された。
第32条の2

H16. 3. 1施行

保証金
有料職業紹介事業者に対する保証金制度が廃止された。
第32条の3第2項

H16. 3. 1施行

手数料
有料職業紹介事業者が手数料を徴収できる求職者として、熟練技能者(特級・一級の技能検定に合格した者が有する技能又はこれに相当する技能を有し、生産その他の事業活動において当該技能を活用した業務を行う者)の職業に紹介した求職者が追加された。

有料職業紹介事業者が手数料を徴収できる科学技術者・経営管理者・熟練技能者の求職者に係る年収要件が、年収700万円超に引き下げられた。

第32条の14

H16. 3. 1施行

職業紹介責任者の選任要件の見直し
(職業紹介責任者の選任要件に見直し)
職業初回責任者は、職業紹介に関する業務を統括管理する者とされ、また選任要件について職業紹介に係る業務に従事する者50人当たり1人以上に改められた。

(職業紹介責任者の変更手続きの簡素化)
職業紹介責任者の変更の届出について、変更の日から30日以内に届け出れば足りることとなった。

(職業紹介責任者講習の見直し)
職業紹介責任者講習の有効期間が5年に延長された(従来は2年)。また、再講習について講習時間数が4時間に短縮された(従来は6時間)。

第33条

H16. 3. 1施行

無料職業紹介事業
無料の職業紹介事業の許可について事業所単位から事業主単位に改められた。
第33条の2

H16. 3. 1施行

学校等の行う無料職業紹介事業
学校等が以下の者を対象にして行う無料職業紹介事業について、届出で実施可能になった。
(1)大学の場合(大学付属病院で医師臨床研修を受けている者および修了した者)
(2)学校・専修学校の場合(当該学校・専修学校で委託訓練を受けている者及び修了した者)
第33条の3

H16. 3. 1施行

特別の法律により設立された法人の無料職業紹介事業
特別の法律により設立され、10以上の構成員を有する以下の法人が、構成員等を対象にして行う無料職業紹介事業について、届出で実施可能になった。
(1) 農業協同組合法の規定により設立された農業協同組合・農業協同組合連合会
(2) 水産業協同組合法の規定により設立された漁業協同組合・水産加工業協同組合・漁業協同組合連合会・水産加工業協同組合連合会
(3) 中小企業等協同組合法の規定により設立された事業協同組合・中小企業団体中央会・協同組合連合会
(4) 商工会議所法の規定により設立された商工会議所・日本商工会議所
(5) 中小企業団体の組織に関する法律の規定により設立された商工組合・商工組合連合会
(6) 商工会法の規定により設立された商工会・商工会連合会
(7) 森林組合法の規定により設立された森林組合・森林組合連合会
第33条の4

H16. 3. 1施行

地方公共団体の無料職業紹介事業
地方公共団体が、自らの施策に関する業務に付帯して行う無料職業紹介事業について、届出で実施可能になった。
(旧)第33条の4

H16. 3. 1施行

兼業の禁止
職業紹介事業と、料理店業・飲食業・旅館業・古物商・質屋業・貸金業・両替業等との兼業禁止規制が撤廃された。
第36条第3項

H16. 3. 1施行

委託募集
無報酬の委託募集については、届出で可能になった。
労働者派遣法に関する改正
 

H16. 3. 1施行

派遣受け入れ期間の延長
派遣先は、従来、派遣受入期間が1年に限定されてきた業務について、労働者の過半数の代表者の意見を聴取をした上で最長3年まで派遣を受け入れることが可能になる等、派遣受入期間が延長された。
業務別の派遣受入期間の制限
業務の種類 改正前 改正後
(1) (2)〜(8)以外 1年 最長3年(1年超の場合要意見聴取)
(2) ソフトウェア開発などの政令で定める業務(26業務) 同一の派遣労働者について3年 制限なし
(3) 3年以内の有期プロジェクト業務 プロジェクト期限内は制限なし プロジェクト期限内は制限なし
(4) 日数限定業務(1箇月間10日以下、かつ労働日数が通常労働者の半数以下) 1年 制限なし
(5) 産前産後休業、育児休業等を取得する労働者の業務 2年 制限なし
(6) 介護休業等を取得する労働者の業務 1年 制限なし
(7) 製造業務(上記(2)〜(6)以外) 3年(平成19年2月末まで1年)
(8) 中高年齢者(45歳以上)の派遣労働者のみを従事させる業務 3年(平成17年3月末まで) 3年(平成17年3月末まで)
 

H16. 3. 1施行

労働者の過半数代表者の意見聴取
派遣受入期間の延長の表中の(1)の業務について1年を超える派遣を受けようとする派遣先は、あらかじめ、派遣先の労働者の過半数で組織する労働組合等に対し、派遣を受けようとする業務、期間及び開始予定時期を通知し、十分な考慮期間を設けた上で意見を聴き、その聴取した意見の内容などを書面に記載して3年間保存しなければならない。
また、労働組合等から、労働者派遣を受けようとする期間が適当でない旨の意見を受けた場合には、派遣先の考え方を説明する、意見を勘案して再検討を加えるなどにより、労働組合等の意見を十分に尊重するよう努めなければならない。
 

H16. 3. 1施行

派遣受入期間の制限への抵触日の通知・明示
派遣元事業主・派遣先は、派遣受入期間の延長の表中(1)・(7)・(8)の業務については、派遣受入期間の制限に関して、以下の通知・明示を行わなければならない。
(1)労働者派遣契約締結時
 派遣先は、派遣元事業主に対して、当該派遣先の派遣受入期間の制限への抵触日を通知(※派遣契約締結後に、派遣先において「労働者の過半数代表者の意見聴取」等により派遣受入期間の制限への抵触日が変更された場合は、その都度、派遣元事業主に通知することが必要。)。
(2)派遣の開始前
 派遣元事業主は、派遣労働者に対して、派遣先の派遣受入期間の制限への抵触日を明示(※(1)の括弧書きによって変更された抵触日が通知された場合は、その都度、派遣労働者に通知することが必要。)。
(3)派遣受入期間の制限への抵触日の1箇月前〜前日
 派遣元事業主は、派遣労働者・派遣先に対して派遣の停止を事前通知。
 

H16. 3. 1施行

派遣労働者への直接雇用の申し込み義務
派遣受入期間の制限がある業務「派遣受入期間の延長」表中の(1)・(7)・(8)
派遣受入期間の制限への抵触日以降も、派遣労働者を使用しようとする場合は、派遣先は、抵触日の前日までに、派遣労働者に対して雇用契約の申し込みをしなければならない。

派遣受入期間の制限がない業務「派遣受入期間の延長」表中の(2)〜(6)
「同一の業務に同一の派遣労働者を3年を超えて受け入れており」「その業務に新たに労働者を雇い入れようとするとき」は、派遣先は、その派遣労働者に対して雇用契約の申し込みをしなければならない。

上記2つの場合の雇用契約の申し込み義務に違反する派遣先に対しては、指導・助言の上、勧告・企業名公表をすることがある。

 

H16. 3. 1施行

派遣対象業務の拡大
製造業
製造業務について、派遣が可能になった。
・平成19年2月28日までは、派遣受入期間の限度は1年。
・当分の間、派遣元事業主は製造業務に労働者派遣を行う事業所について、許可申請書又は届出書にその旨を記載する必要がある。

医療関連業務
病院などにおける医業等の医療関連業務について、紹介予定派遣の場合は、派遣が可能になった。

 

H16. 3. 1施行

許可・届出手続等の簡素化等
一般労働者派遣事業の許可・特定労働者派遣事業の届出について、事業所単位(支店単位)から事業主単位(会社単位)に改められた。

派遣元事業主から派遣先への通知・派遣先から派遣元事業主への通知で、従来、書面によることとされてきたものについて、ファックス又は電子メールによる通知が可能になった。

 

H16. 3. 1施行

労働者派遣事業の許可の欠格事由の追加
労働者派遣事業の許可の欠格事由として、出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項の罪(不法就労助長罪)が追加された。
 

H16. 3. 1施行

紹介予定派遣の見直し
求人条件の明示、採用内定等
「派遣就業開始前又は派遣修業期間中の求人条件の明示」「派遣就業期間中の求人・求職の意思の確認及び採用内定」を行うことが可能になった。

面接、履歴書の送付等
紹介予定派遣の場合は、派遣就業開始前の面接、履歴書の送付等の派遣先が派遣労働者を特定することを目的とする行為が可能になった。(年齢・性別を理由とした差別を行ってはならず、直接採用する場合のルール(雇用対策法・男女雇用機会均等法)と同様のルールの下に行うことが必要)

紹介予定派遣の派遣受入期間
紹介予定派遣の場合は、同一の派遣労働者について6箇月を超えて派遣を行ってはならない。

派遣先が派遣労働者を雇用しない場合等の理由の明示
派遣先が紹介予定派遣を受けた場合において、職業紹介を希望しなかった場合又は派遣労働者を雇用しなかった場合には、派遣元事業主の求めに応じ、その理由を明示しなければならない。
派遣元事業主は、派遣労働者の求めに応じて、派遣先に対し理由の明示を求めた上で、派遣先から明示された理由を、派遣労働者に対して書面で明示しなければならない。

 

H16. 3. 1施行

派遣労働者の雇用の安定を図るための措置
(1)派遣元事業主は、派遣労働者の希望を勘案し、雇用契約期間について、労働者派遣契約における労働者派遣に期間と合わせる等
(2)派遣先は、労働者派遣契約における派遣期間について、実際に派遣を受けようとする期間を勘案して可能な限り長く定める等、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な配慮をするよう努めなければならない。
 

H16. 3. 1施行

派遣労働者の安全衛生の確保等
(1)派遣元・派遣先責任者の業務の追加
 派遣元・派遣先責任者の業務に、派遣労働者の安全衛生に係る次の業務が追加された。
・派遣元責任者:派遣元において安全衛生を統括管理する者及び派遣先との連絡調整
・派遣先責任者:派遣先において安全衛生を統括管理する者及び派遣元事業主との連絡調整

(2)製造業務専門の派遣元・派遣先責任者の選任
・製造業務に派遣をする派遣元事業主は、原則として、製造業務に従事する派遣労働者100人あたり1人以上を、当該派遣労働者を専門に担当する派遣元責任者としなければならない。
・製造業務に50人を超える派遣労働者を従事させる派遣先は、原則として、製造業務に従事する派遣労働者100人あたり1人以上を、当該派遣労働者を専門に担当する派遣先責任者としなければならない。

(3)安全衛生に係る措置に関する派遣先の協力等
派遣先は、派遣元事業主から雇入れ時の安全衛生教育の委託の申し入れがある場合には可能な限りこれに応じるよう努める等、必要な協力や配慮を行わなければならない。

(4)労働者死傷病報告の様式の改正
派遣労働者が労働災害による死亡又は負傷等したとき、派遣先及び派遣元の双方の事業者は、派遣先の事業上の名称等を記入のうえ所轄労働基準監督署に労働者死傷病報告を提出したとき、その写しを派遣元の事業者に送付しなければならない。

 

H16. 3. 1施行

派遣元責任者に係る手続きの簡素化
(1)派遣元責任者の変更手続きの簡素化
 派遣元責任者の変更に届出について、変更の日から30日以内に届け出れば足りることとなった。

(2)派遣元責任者講習の見直し
 派遣元責任者講習の有効期間が5年に延長された。また、再講習について講習時間数が4時間に短縮された。

 

H16. 3. 1施行

派遣元事業主・派遣先が講ずべき措置等
(1)労働・社会保険の適用促進
・派遣元事業主は、労働・社会保険に加入していない派遣労働者については、その具体的な理由(例:所定労働時間が1週間○時間であるため等)について、派遣先及び派遣労働者に通知しなければならない。
・派遣先は、派遣元事業主から適正でない理由の通知を受けた場合には、派遣労働者を労働・社会保険に加入させてから派遣するよう求めなければならない。

(2)派遣労働者の福利厚生等に係わる均衡配慮
 派遣元事業主は、業務を円滑に遂行する上での有用な物品の貸与や教育訓練の実施等をはじめとする派遣労働者の福利厚生等の措置について、派遣先に雇用されている労働者との均衡に配慮して必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(3)派遣労働者の教育訓練・能力開発に対する協力
 派遣先は、派遣労働者の教育訓練・能力開発について、可能な限り協力しなければならない。

(4)雇用調整により解雇した労働者のポストへの派遣の受入れ
 派遣先は、雇用調整により解雇した労働者が就いていたポストに、解雇後3箇月以内に派遣を受け入れる場合、必要最小限度の派遣の期間を定めるとともに、受入れ理由を説明する等適切な措置を講じ派遣先の労働者の理解が得られるよう努めなければならない。

港湾労働法施行規則の一部改正の概要
 

H16. 4. 1施行

港湾労働者派遣事業の許可又は許可の有効期間の更新の申請に係る添付書類
港湾労働者派遣事業の許可又は許可の有効期間の更新の申請に際し、申請者が当該申請に係わる港湾における港湾労働法第2条第3号イに規定する事業主(第3の2において「一般港湾運送事業等の事業主」という。)である場合においては、法人にあっては、最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書並びに港湾労働者派遣事業に関する資産の内容及びその権利関係を証する書類を添付することを要しないものとすること。
 

H16. 4. 1施行

派遣元責任者の氏名又は住所の変更に係わる届出
派遣元責任者の氏名又は住所の変更に係わる届出は、当該変更に係わる事実のあった日の翌日から起算して30日以内に行うものとすること。
 

H16. 4. 1施行

港湾労働者派遣事業計画書
(1)港湾労働者派遣事業計画書(様式第8号)から事業所の床面積の欄を削除すること。
(2)港湾労働者派遣事業の許可又は許可の有効期間の更新の申請に際し、申請者が当該申請に係る港湾における一般港湾運送事業等の事業主である場合においては、港湾労働者派遣事業計画書の資産等の状況の欄の記載を要しないものとすること。
 

H16. 4. 1施行

派遣事業対象業務変更許可申請書
派遣事業対象業務変更許可申請書(様式第11号)から当該申請者が法人である場合における当該法人の役員の氏名、役職及び住所の欄を削除するものとすること。
 

H16. 4. 1施行

港湾労働者派遣事業報告書
港湾労働者派遣事業報告書(様式第13号)から労働者派遣された労働者1日当たりの平均数の欄及び労働者派遣契約の期間別件数の欄を削除するものとすること。
 

H16. 4. 1施行

平成12年厚生労働省告示第76号(港湾労働法第14条第1項第2号ロの規定に基づき厚生労働大臣が定める日数を定める件)の一部を改正する告示
港湾労働法第14条第1項第2号ロの規定に基づき厚生労働大臣が定める日数は、派遣労働者1人につき、1月当たり7日とする。
 

H16. 4. 1施行

港湾労働者派遣制度に係る許可基準の一部改正の概要
港湾労働法第14条第1項第2号ロの要件(港湾労働者派遣制度に係る派遣就業の日数が、一定の日数を超えないものであること。)に係る判断基準を次のように改めるものとすること。
港湾労働者派遣制度に係る派遣就業の日数が、派遣労働者1人につき、1月当たり7日を超えないものであること。