社会保険労務士法改正情報−健康保険法関連−

【Last Update 2004. 7.11】

 
 
平成16年 第36回試験に関わる改正内容
健康保険法に関する改正(および前回の主要な改正点)
法第3条第3項

通達

法人の代表者等に対する健康保険の保険給付について
健康保険の保険給付の対象とする代表者等について
被保険者が常時5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等であって、一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者については、その者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても、健康保険の保険給付の対象とする。
労災保険との関係について
法人の代表者等のうち、労働者災害補償保険法の特別加入となっている者及び労働基準法上の労働者の地位を併せ保有すると認められる者であって、これによりその者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関し労災保険による保険給付が行われてしかるべき者に対しては、健康保険の保険給付を行わないこと。
このため、労働者災害補償保険法の特別加入となっている者及び法人の登記簿に代表者である旨の記載がない者の業務に起因して生じた傷病に関しては、労災保険による保険給付の申請をするように指導すること。
傷病手当金について
業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病については、法人の代表者等は、事業経営につき責任を負い、自らの報酬を決定すべき立場にあり、業務上の傷病について報酬の減額等を受けるべき立場にないことから、法第108上第1項(傷病手当金と報酬との調整)の趣旨にかんがみ、傷病手当金を支給しないこと
法第3条第5項
法第3条第6項

通達

退職金の前払いに係る社会保険料の取り扱いについて
被保険者の在職時に、退職金相当額の全部又は一部を給与や賞与に上乗せするなど前払いされる場合は、労働の対象としての正確が明確であり、被保険者の通常の生計に充てられる経常的な収入としての意義を有することから、原則として健康保険法第3条第5項又は第6項に規定する報酬又は賞与に該当するものであること。
支給時期が不定期である場合についても賞与として取り扱い、これが年間4回以上支払われるものであれば、報酬として通常の報酬月額に加算して取り扱うこと。
また、退職を事由に支払われる退職金であって、退職時に支払われる者又は事業主の都合などにより退職前に一時金として支払われるものについては、従来どおり、健康保険法第3条第5項又は第6項に規定される報酬又は賞与には該当しないものと取り扱うこと。
法第3条第6項

H15. 4. 1施行/TD>

定義
この法律において「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対象として受けるすべてのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるものをいう。
法第9条第2項

H14.10. 1施行

健康保険組合の法人格
健康保険組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
法第16条

H14.10. 1施行

健康保険組合の定める規約
健康保険組合は、規約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
1  名称
2  事務所の所在地
3  健康保険組合の設立に係る適用事業所の名称及び所在地
4  組合会に関する事項
5  役員に関する事項
6  組合員に関する事項
7  保険料に関する事項
8  準備金その他の財産の管理に関する事項
9  公告に関する事項
10  前各号に掲げる事項のほか、厚生労働省令で定める事項
法第21条

H14.10. 1施行

健康保険組合の役員
(1) 健康保険組合に、役員として理事及び監事を置く。
(2) (略)
(3) (略)
(4) 監事は、組合会において、設立事業所の事業主の選定した組合会議員及び被保険者である組合員の互選した組合会議員のうちから、それぞれ1人を選挙する。
(5) 監事は、理事又は健康保険組合の職員とかねることができない。
法第22条

H14.10. 1施行

役員の職務
第1項、第2項略
(3) 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して、健康保険組合の業務を執行することができる。
(4) 監事は、健康保険組合の業務の執行及び財産の状況を監査する。
法第26条第3項

H14.10. 1施行

健康保険組合の解散
健康保険組合が解散する場合において。その財産をもって債務を完済することができないときは、当該健康保険組合は、設立事業所の事業主に対し、政令で定めるところにより、当該債務を完済するために要する費用の全部又は一部を負担することを求めることができる。
法第34条

H14.10. 1施行

事業所の一括適用
2以上の適用事業所の事業主が同一である場合には、当該事業主は、厚生労働大臣の承認を受けて、当該2以上の事業所を1の適用事業とすることができる。
(2)前項の承認があったときは、当該2以上の適用事業所は、適用事業所でなくなったものとみなす。
法第37条

H15. 4. 1施行

55歳以上退職者についての任意継続被保険者期間の特例廃止
退職後に個人で加入する任意継続被保険者については、55歳以上で退職した者は特例で最長5年間任意加入できたが、負担割合の統一に伴い、平成15年3月31日限りでこの特例が廃止された。
(同日までに任意継続被保険者になった者については、引き続きこの特例が適用される。)
法第40条第2項

H15. 4. 1施行

標準報酬月額
毎年3月31日における標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の被保険者総数に占める割合が100分の3を超える場合において、その状態が継続するとみとめられたときは、その年の9月1日から、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準等級月額の等級区分の改定を行うことができる。ただし、その年の3月31日において、改定後の標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の同日における被保険者総数に占める割合が100分の1を下回ってはいけない。
法第41条

H15. 4. 1施行

定時決定
保険者は、被保険者が毎年7月1日現に使用される事業所において同日前3月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払いの基礎となって日数が20日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。
(2) 前項の規定によって決定された標準報酬月額は、その年の9月から翌年の8月までの各月の標準報酬月額とする。
(3) 第1項の規定は、6月1日から7月1日までの間に被保険者の資格を取得した者及び第43条の規定により7月から9月までのいずれかの月から標準報酬月額を改定され、又は改定されるべき被保険者については、その年に限り適用しない。

※標準報酬月額算定月が4月から6月に変更された。
※定時決定が7月1日に変更された。
※決定対象月は9月から翌年の8月までとなった。

法第42条第2項

H15. 4. 1施行

資格取得時決定
前項の規定によって決定された標準報酬月額は被保険者の資格を取得した月からその年の8月(6月1日から12月31日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。
法第43条第2項

H15. 4. 1施行

改定
前項の規定によって決定された標準報酬月額は、その年の8月(7月から12月までのいずれかの月から改定されたものについては、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。
法第45条

H15. 4. 1施行

標準賞与額
保険者は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに1,000円未満の端数を生じたときは、これを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。この場合において、当該標準賞与額が200万円(第40条第2項の規定による標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額。以下この項において同じ。)を超えるときは、これを200万円とする。
(2) 第40条第3項の規定は前項の政令の制定又は改正について、前条の規定は標準賞与額の算定について準用する。
法第47条

H15. 4. 1施行

任意継続被保険者の標準報酬
28万円とする。
法第74条

H14.10. 1施行

一部負担金
第63条第3項の規定により保健医療機関又は保険薬局から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該給付につき第76条第2項又は第3項の規定により算定した額に当該各号に定める割合を乗じて得た額を、一部負担金として、当該保健医療機関又は保険薬局に支払わなければならない。
1  次号又は第3号に掲げる場合以外の場合 100分の30
2  70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合(次号に掲げる場合を除く) 100分の10
3  70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合であって、政令で定めるところにより算定した報酬の額が政令で定める額以上である場合 100分の20
法第105条

H15. 4. 1施行

退職後の継続療養給付の廃止
退職時に診療を受けていた傷病について、被保険者・被扶養者とも初診日から5年間は健康保険の給付を受けることができたが、国民健康保険との負担割合の統一に伴い、この制度は平成15年3月限りで廃止された。
法第110条

H14.10. 1施行

受給対象者
第1項、第2項略
3  被保険者が3歳に達する日の属する月以前である場合における前項の規定の適用については、同項中「100分の70」とあるのは、「100分の80」とする
4  被扶養者(次項に規定する被扶養者を除く)が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合における第2項の規定の適用については、同項中「100分の70」とあり、及び「100分の80」とあるのは、「100分の90」とする。
5  第74条第1項第3号に掲げる場合に該当する被保険者その他政令で定める被保険者の被扶養者が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合における第2項の規定の適用については、同項中「100分の70」とあるのは、「100分の80」とする。
第6項略

上記第74条および第110条を整理すると負担割合は以下の通り。
年齢 通常 政令で定める一定所得あり
70歳以上 1割 2割
3歳以上70歳未満 3割
3歳未満 2割

法第111条第2項

H14.10. 1施行

家族訪問看護療養費
家族訪問看護療養費の額は、当該指定訪問看護につき第88条第4項の厚生労働大臣の定めの例により算定した費用の額に次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める割合を乗じて得た額とする。
1  次号から第4号までに掲げる場合以外の場合 100分の70
2  被扶養者が3歳に達する日の属する月以前である場合 100分の80
3  被扶養者(次項に規定する被扶養者を除く)が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合 100分の90
4  第74条第1項第3号に掲げる場合に該当する被保険者その他政令で定める被保険者の被扶養者が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合 100分の80
法第114条

H14.10. 1施行

家族出産育児一時金
配偶者出産育児一時金の支給対象を、配偶者から全ての扶養者に拡大するため、家族出産育児一時金を支給する制度が創設された。
法第135条

通達

日雇特例被保険者に関する傷病手当金の支給について
健康保険法第3条第2項に規定する被保険者(日雇特例被保険者)に対する傷病手当金の支給に当たっては、労務不能となった際にその原因となった傷病についての療養の給付を受けていることで足り、労務不能期間において当該傷病につき療養の給付を受けていることを要しないこととした。
法第160条

H16. 4. 1施行

保険料率
政府管掌健康保険に係る介護保険料率が1,000分の11.1に引き上げ改正された。これに伴い、政府管掌健康保険の介護保険第2号被保険者(市区町村の区域内に居住する40歳以上65歳未満の医療保険の加入者)の保険料率は、1,000分の93.1(1,000分の82 + 1,000分の11.1)となる。
法第169条

H16. 4. 1施行

日雇特例被保険者と事業主の負担額
政府管掌健康保険に係る介護保険料率が1,000分の11.1に引き上げ改正された。これに伴い、政府管掌健康保険の事業主と被保険者の保険料負担の割合は下記の通りとなった。
等級 健康保険印紙
第1級-第3級 改定なし
第4級 510円
第5級 690円
第6級 870円
第7級 1,060円
第8級 1,310円
第9級 1,610円
第10級 1,910円
第11級 2,210円
第12級 2,580円
第13級 3,010円