地獄よりも地獄

フ|ファイナルファンタジーⅢ
Final Fantasy Ⅲ

DATA

発売|スクエア
ハード|FAMILY COMPUTER
発売年|1989+1
ジャンル|RPG
目的| 世界に再び光をもたらすこと

80年代のビデオゲームのコンテキストを補完し、その意味を再定義するのが、この bitTER SWEET 80s のコンセプトである。だが、FFⅢはどっぷり1990年で、どうしようかと思った。気が付かないふりでかわそうかとも正直思った。秘書(だれ?)がやったで通そうかとも思った。

が、1990=(1989+1)であると判明したので、このままで続行。算数は習っておくものである。ちなみに、2012年も(1989+23)になるので、今年のソフトも語れます!

容量は、4Mbit+64KRAMという当時は大容量だった。今では比べ用もない。が、たった1.5MB(≒12Mbit)のフロッピーディスク1/3のサイズの、0.5MBに詰め込まれたとは信じられない、光の4戦士が、広大な世界を巡る旅から生まれる悠久の物語。

メディアがROMで、今の主流の光学DISCと比べるとコスト高もあってか、定価が8400円になったが、前作の約2倍の140万本を記録した。つまらないゲームはただでも売れないし、面白いゲームはかなり高値でも売れる好例である。

このタイトルは、RPGで新システムは、ジョブチェンジという、プレイヤーのキャラクターの職業で、覚える技や術が違い、職業は一定の条件で転職が可能という、RPGの基本を作ったとされるウィザードリーにもあるようなシステムを、大幅にアレンジ拡張したものをストーリーとからめ大々的に採用している。

物語はスクエア節というか、やっている時はすごく感動し、泣いたりもするけれど、終わった時にどんな話だったかあんまり覚えてないような感じだった。ちなみのぼくはFFのナンバリングタイトルはだいたいやったけど、覚えているストーリーはFFⅡで、ミンウがプレイヤーをかばって逝ったことくらい。

プレイすると、ゲームは(あるところまでは)バランスもよく、はらはらどきどきの連続で面白かった!25時間くらいかかって、ラストダンジョン(クリスタルタワー)にまでたどり着いた。もうラストか寂しいなと思ったが、そこからクリアするまでに、25時間!以上かかった・・・

これがFFⅢを、ぼくがいや、ぼくだけでなく、FFⅢに挑戦した世の中全ての光の4戦士のことを思い、「地獄より地獄」とタイトルをつけざるをえなかった理由である!クリスタルタワー攻略に、そこにたどり着くまで掛かった時間以上の時間がかかる。そう思ったのはぼくだけでなく、だいたいFFⅢというと、クリスタルタワーの地獄と、パブロフの犬の如く反射的にでる。FFⅢをクリアしたんだから大学受験なんてちょろかったとある者は語る。

何がクリスタルタワー攻略を難しくしたのか。というよりも、攻略本があり、マップや残りボス数、目安レベルなどが分かっていれば、一般的な難易度にとどまる。だが、しかし、それがない場合、FFⅢが真の姿を表し、いたいけなプレイヤーに牙をむく!

FFⅢは、全滅したらゲームオーバーになり、セーブした所からやり直しシステムを採用していた。ドラクエのように持ってるゴールドが半額になるが、経験値は受け継がれるというシステムではない。そしてクリスタルタワーにはセーブポイントがない。だから、塔を数時間かけて登って行って、全滅すると、その時間がまるまる無駄になる!

そして、FFは過去のシリーズで、全滅してそこからイベントが起きて話が進んでいくということがあった。だから強すぎるボスがいると、これは倒せないイベントかと、情報がない場合とりあえず、全滅して様子を見ることになる。

たしか記憶では、クリスタルタワーのボスは四天王+ラスボス+変身後ラスボスで、結局6体!いて、強すぎるので折をみて全滅してみたが、全滅でストーリーが進むシナリオではなかったと記憶している。しかもその難易度が、到着した時の強さで、普通にそのまま突入すると、ほぼ誰でも全滅するレベル。今だったら、スクエアの掲示板が炎上するレベル!スクエアにとってはネットがまだ一般的ではないところが功奏したか。

ぼくは、当時西日差す窓際で、この最後のクリスタルタワーを攻略していて、全滅しては、日差しとあいまって気が遠くなりかけていた。もうだいたい話は見えてるし、推理小説じゃないから、最後に意外な犯人がいるわけじゃなく、自分がいやだと思ったら、やめていいんだ、やめていいんだけど、そしたら何かに負けた気がする。スクエアじゃない、言ってみれば自分自身かな!

ちなみに、その後FFⅣが発売になった時に、専門誌でスクエアの開発の方が、Ⅲでクリスタルタワーで相当叩かれたので、バランスをちゃんと調整してある、というようなことをやさぐれ感を漂わせながら語っていた記事を読んだ記憶がある。ある意味FFⅢの地獄のクリスタルタワーでの光の戦士たちみんなの思いが、スクエアに通じたんだと思う。あの日、あの場所での全滅は無駄ではなかったと、FFⅣの中でこうして実を結ぶことになる。

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