アクションする考古学者


ち|チャレンジャー
Challenger

HUDSON
FAMILY COMPUTER
1985

ジャンル| アクション
目的| 王女マリアを救い出すこと



ワルドラド島を調査していた2頭身の考古学者チャレンジャー、それがこの冒険の主役である。深刻なテーマに見合わず、軽快なBGM、はっきりした色使いによって、プレイヤーをのりのり(死語?)にさせた。記憶では失敗した時に流れる音楽も軽妙で、徹頭徹尾のりのよさを貫いたといえる。だからと言って失敗したショックがやわらいだ訳ではけっしてなかった点も、忘れてはいけない重要な点である。

チャレンジャーという名前だけあって、彼は縦スクロール、横スクロールまさに言葉どおりの縦横無尽に冒険をする。苗字なのか、名前なのか、はたまた愛称なのか、調べた限りでははっきりしないのであるが、もし親がつけた名前だとすれば、まさに親の理想どおりに成長した親孝行の青年と言えば言えるかもしれない。

ただ、親に言わせれば、列車の屋根の上を縦横無尽に走り回ったり、滝の上をピョンピョンと飛び回るほどのチャレンジーになって欲しくはなかったかもしれないが、それは歴史が語らないことである。

得意のナイフを使って悪の組織ブラッディワッカーに連れ去られた王女マリアを救い出すために、かなり趣の異なった4シーンにまたがる一大絵巻を繰り広げる。

4シーンに要求される能力がかなり違ったため、友達の間では、シーンにあわせて担当を変える分業制がとられるようになったことも、記憶される。それにしても考古学者は映画でもかなり腕が立つキャラクターが目に付く、考古学者になるためにはナイフ投げや危機にめげないタフな精神力が必要なのだろうか、考古学者になるためには、それらの単位を取る必要があるのだろうかと、プレイヤーの心に、一筋の疑問が浮かんだ。

また、改めて考えてみると、チャレンジャーが考古学者である必要って、いったいどの辺りにあるのだろうか、といのは、疑問にもってはいけない点である。当時の考古学者のトレンドだったのだろうか。調査することはあまりなく、最初から最後まで、ただただ戦いまくり、という気がするのは、たんなる気の迷いであるか、ないかである。

始めるときに難易度調整ができ、16段階から自分の腕に見合ったレベルを選ぶことができる。4シーンの中でシーン2だけが見おろし画面で、他は、横画面の横スクロールという凝った構成になっている。

シーン1は草原を突き進む列車に乗って、屋根の上を颯爽と走り回る。シーン2は10画面*10画面の広大な赤茶けた砂漠をひたすらナイフだけを頼りに出口を目指してさまよい歩く。シーン3は洞窟の中に沸き上がる噴水の上を飛びまわり、カギ、王冠、指輪を探し出す。シーン4は、洞窟の中で、幽閉された王女マリアを助け出す。まっててくれよ、マリア。

列車を、砂漠を、噴水を駆け抜け愛する婚約者王女マリアの元へと、考古学者チャレンジャーの冒険は進んでいく。さまざまな手を使って邪魔をする敵に囲まれても、チャレンジャーはその冒険をやめたりはしない。そうかどのようなものであれ、恋には邪魔者がつきもの、それがこのゲームのテーマなのかもしれない、そしてその情熱は考古学者が失われた遺跡を発掘するときのものと似ているのかもしれないとプレイヤーをはっとさせ、心に強く刻みこまれた。



bitnik.jp
1999