友情は、何色のベルを大空に轟かせるか


ツ|ツインビー
TWINBEE

KONAMI
FAMILY COMPUTER
1986

ジャンル| シューティング
目的| 最後の敵を倒すこと



暖かなかわいらしくデフォルメされた、生活日用品などのキャラクターによって構成されるシューティングゲームではある。かわいらしい外見をもつゲームではあると書いたのは、一般的に言ってシューティングゲームに関しては、見かけと難易度が関係のないものが多いからである。それはあたかもチョウチンアンコウのチョウチンの部分の光は暖かそうではあるが、その光の影に隠れた実態は恐ろしい姿をしている、という事実を思い起こさせる。

ツインビーはアーケードからの移植組の1つ。そしてアーケードからの移植組というのも、難易度が高めかもしれないというシグナルになっていた。ただ結論から言えば、ぼくにとってはどのシューティングゲームも難しかったので、ツインビーが特に難しかったという印象はもっていない。

また、被弾は救急カプセルで回復できることや、3回までのコンテニューも装備されていたので、当時としてはかなりユーザーフレンドリーなシューティングゲーム(なぜかこのフレーズは、人をかむ時にやさしくかんでくれるオオカミと書いているような印象があり、ぬぐいきれない矛盾を感じるのだが)であった。

また資料によるとこのゲームの目的は最後の敵を倒すこととあるが、あの頃やり倒したはずなのに、頭の中で最後の敵の姿がさっぱり思い浮かばないのは、ぼくは最終面までいったことがあっただろうかという根源的な疑惑を生じさせずにはおかない(このテキストを書く資格があるのかとか)。いや、たぶん最後の敵の姿は見たはずである(友達と二人プレイで友達の力をフルに利用して)。

2人同時プレイができたこともあり、友達と遊ぶときには長い間現役であった。続編数作でたことから一定の人気を得たことは推測される。

縦スクロールシューティングで、雲を撃つとベルが飛び出してくる。そしてベルを撃つたびに、ベルの色が変化し、パワーアップの効力もそれにつれて4種類変わっていく。何のパワーアップの効果もないベルの種類もある。

強力な、誰もが欲しがる攻撃を防ぐバリアや、攻撃力が飛躍的に増加する分身はなかなかでない上に、何も考えずに撃っていると、「あ、でた。」と思う時にはもう既に次のショットが発射され、そのショットがベルに当たるとまた何の効果もない色に変化してしまう。「あ、でた。」「しまった。」1秒間にも満たない間に、喜びと悲しみを繰り返し、ベルの色が変わると同時に、表情もそれに合わせて変化していった。

また、2人同時プレイ下においては、このパワーアップするためのベルをどう分けあうのかが、大問題になった。協力してパワーアップをする協定を結んだり、仲があまりよくない場合は、右画面と左画面に分けて、それぞれがお互いの画面に出たパワーアップは手につけないという協定を結んだりもした。

歴史は言う。協定それは破られるために用意された、うたかたの約束(今つくった)。ツインビーにおいてもそれは例外ではなかった。相手が出したベルをついうっかりを装って取る、相手が取ろうとしている瞬間に後ろから撃ってベルの色を変えるなど、プレイしてから、ノールールなんでもアリ状態に入るのに、たいした時間はかからなかった。

ツインビーにおいて、本当の敵はだれだったのか。最後の敵よりも、隣のこいつの方が人間として許せないのではないだろうか、という疑念を生じさせずにはおかなかった。



bitnik.jp
2001