ぼくは、どこにいるのだろうか


テ|ディープダンジョン 魔洞戦記

Deep dangeon

DOG
FAMILY COMPUTER
1986

ジャンル| 3DRPG
目的| 魔王ルウを倒すこと



1986年、それは、ファミコンプラットフォームにおいて、RPGというジャンルが見事に開花した年として記憶される。「RPGってジャンルがあるんだって。」「なにそれ。」プレイヤー達は、RPGをそこから学習していった。今のように体験版が配布されるということも一般的ではなく、雑誌からの情報が主だったため、RPGの説明を読んでも、具体的なイメージがぼくはさっぱりつかめなかった。ただ、「なんかすごいムーブメントがくる」という予感だけは確かにあったような気がする。

1986年2月21日には、任天堂の現在においても代表するタイトルといえる、「ゼルダの伝説」が発売、1986年5月27日には、エニックスの現在においても代表するタイトルといえる、「ドラゴンクエスト」が発売された。また、1986年3月1日には、東芝EMIから「ハイドライド・スペシャル」、1986年8月1日には、ナムコから「ワルキューレの冒険 時の鍵伝説」が発売された。そのタイトルを一つ一つ呼べば、そのプレイした時の空気も思い出されるほど熱中した人間も多いだろう。

今あげたタイトルはゼルダの伝説以外、ファミコンのカセットとして提供された。ゼルダの伝説はディスクシステム用ディスクとして提供されたが、アクションRPGであり、ディープダンジョンは、ディスクとして提供されたごく初期のコマンド入力型RPGと言える。コマンド入力型RPGそれは、反射神経0の人間でもクリアという黄金の果実をかじることを許す、神秘と驚異の待望のゲームシステムであった。

コマンド入力型3Dダンジョンと言えば、何の前提もなく連想されるのが「ウィザードリィ」であるが、ファミコン版のウィザードリィの発売は87年の12月であり、86年においては、ファミコンのダンジョンものといえば、(分かる人は多くないかもしれないが)ディープダンジョンであったといっても過言ではない。ただ、残念ながら、ぼくの印象では、それはウィザードリィおよび、87年、ナムコから、あの「女神転生 デジタルデビル物語」が発売される前までの話になるのだが。ディープダンジョンは、シリーズが何作か続いているわりには、語られることが少ないタイトルである。

3Dの空間を探検するというのは、多くの少年プレイヤーにとって未知との遭遇であった。そして、ディープダンジョンをプレイして、思い出すこと、それは、なんか、いつも迷ってた気がするということである。プレイしているというよりも、とにかく、うろついて、迷っていた。ぼくは地上というホームに無事帰り着くことができるだろうか。そうか、人生とは迷うことなんだ、と少年に諭し、人生においても位置確認が重要なんだ!と思わせたかどうかは、定かではない。

ただ隣に友達をおいてプレイすることは、見下ろし視点のRPGをするよりも、まちがいなく不評であった。ほとんどが一人プレイのRPGをやること自体が不評の上、である。逆にいえば、友達が少なくとも満喫できるゲームシステムがRPGである。見下ろし方のRPGの場合、だいたいどこへ行こうとしているかは一目で分かるが、3D型の場合、見た目が、どこにいてもほとんど似たようなもののため、今どこからどこへいこうかということが分かりづらく、(本人すら分かってない場合が多々ある)感情移入しにくかった。そうか、だまって3DRPGをつきあってくれる友達が、本当の友達かも、と思ったかどうかは定かではない。


bitnik.jp
2002