みんな、ほんとはグルッピーなんだ!


ク|クルクルランド/Rollin' land

Nintendo
FAMILY COMPUTER
1984

ジャンル| アクション
目的| ステージに隠された金塊を探しだすこと



たとえば、ドラゴンクエストの舞台がアレフガルドと設定されているように、このゲームにも明確に場所が設定されている。それがタイトルにもなっている、クルクルランドである。アレフガルド。それは、魔法が使えたり、龍がしゃべったり、キャラクターが横姿も、後ろ姿がなかったり(ドラゴンクエスト1)する世界だ。その世界のコードは、このように現実世界とは乖離したものであったが、クルクルランドはさらに遠いポジションにあるパラレルワールドであった。

プレイヤーは、小豆色のコントローラをその両手で握り、start buttum をポチッと押してクルクルランドへとうたかたの旅をする。その世界では、誰もが、おたまじゃくし(バボちゃん?)に、その面積の半分ほどをしめる愛らしい目が特徴のグルッピーである。クルクルランドはその世界に訪れるものすべてを脱人間化する。

そしてさらに恐ろしいことにグルッピーは自らの意思では止まることもできない。彼にできることは、ただその大地に屹立した赤色のバーに手を伸ばし、回転するか、ビヨヨーンというサウンドとともに、壁にその身をゆがませ、跳ね返るしかない。その世界は重力さえも地球とは大きく異なっている。そして、大地に埋まった金塊を探し続けるのだ!

クルクルランドでは、一度start buttumを押したなら、二度と死ぬまで自らの力では止まることもできず、ただ金を探しつづける。その金も何に役立つかは不明だ。そう考えて見ると、クルクルランドは実は、この虚飾にまみれた現実世界の見事なメタファーと言えるかも、と当時の子供たちの背筋を寒くさせた。

「そうだ、みんなほんとはグルッピーなんだ。」




参考 ファミコン通信責任編集 1992
「ゲーム年鑑1983~86」 アスキー出版局