狂楽の流言飛語
96年9月後半
9月18日(水) 今日のプロフィール:最後にほたるを見たのはいつだったか忘れてしまった。
事務所 でひとり残って働いていると電話。
時計を見ると23時。こんな時間に誰だろうと思いながら受話器を取る。
若い女性 の声。「今忙しいですか。」
いたずらかもしくはなにかの勧誘か。
「どちら様でしょうか。」と尋ねる。
「私が誰でも関係ありません。でも名乗ります。****です。
あなたに質問が有ります。あなたにとって友情とは何ですか。一言で答えて下さい。」
はあ? いきなりなんなんだ、この人は。誰だよ。やっぱり勧誘?宗教かなあ。
「どういったご用件なのでしょうか。」
「質問に答えて下さい。あなたにとって友情とは何ですか。」
「どういうことでしょうか。うちの会社の関係の方ですか。」
「はい、そうです。すいません。酔っ払ってます。
でもこれが仕事なんです。すいません。正直に答えて下さい。
あなたにとって友情とは何ですか。」
仕事 って、あなた、何者?うちの会社にそんな仕事があったっけ?
ひょっとして人事の人か?まさかね。
「友情ですか。少なくともこんな時間に酔っ払って
仕事中の人に電話をかけることではないですね。」
こう答えて切っても良かったのだが、何故かしばらく付き合ってみる気になった。
「 むずかしい ですねえ。友情ですか。あなたはどう思われますか。」
しばし沈黙があり、
「私がどう思おうと関係ありません。答えて下さい。
あまり難しく考えないで、率直なところを聞かせて下さい。」
「そうですか、うーん、大事な物としか言いようがないですねえ。
なかなか一言では言えませんよ。」
また沈黙。
「それだけでいいですか。ほかに何か用が有りますか。」
私が尋ねると、
がちゃっ 、と電話が切れた。誰もいない事務所で受話器を持ってたたずむ私。
机の上には書きかけの書類と一緒に、****、友情と先程書きつけた紙片が乗っている。
彼女 は何を聞きたかったのだろう。
私は何かうしろめたさを感じながら、書類を片付け事務所を出た。
時計は既に0時を過ぎていた。
9月15日(日)その2 今日のプロフィール:合理主義であった。
通販 が伸びている。
通販先進国 のアメリカでは、通販のカタログが
電話帳 より厚いらしい。 カタログ はフルカラーに近く非常に重量があるため、利用範囲が広い。
アメリカ では何冊か並べて
ベッド になっている。また 土嚢
がわりにも使われているとか。 日本 だと
漬物石 がわりにちょうどいい。
ここに 一冊の
カタログ がある。昨日本屋で貰って来た。貰って来たと言うからにはもちろんタダ。400ページフルカラーがタダ。しかも情報量が多い。どんな読書家でも読破するのは容易ではあるまい。だが大半が女性向けの商品になっているのでぱらぱらと流し見る。
うーん 、なるほど。為になるなあ。
バストアップブラ とはこういう構造だったのか。「バストを内側へ強力に寄せて上げる」「寄せた胸をパッドで押し上げてさらにボリュームアップ」「美しい谷間」カタログに着用前、着用後の写真が載っている。
ほとんど詐欺 。男と女の間はタヌキとキツネの
化かし合い みたいなもの。仕方がないのか。それなら俺も。「股間を内側へ強力に寄せて上げる」「パッドでさらにボリュームアップ」「美しい・・」歩きにくいぞ、それじゃ。
欲しい 商品を見つけた。「
メモリアルハンド 」。説明文を引用する。
「もみじみたいな赤ちゃんの手や、初めて歩いたかわいい足を石膏でのこしてあげませんか。作り方はいたって
簡単 。付属のバケツで肩をとり、石膏を流し、取り出すだけで
OK 。石膏が固まるのを待つ時間も
胸わくわくで 楽しいもの。お子様の成長の記録だけでなく、ゴルフボールを持つパパの手形をとってホールインワンした記念ボールを飾ったり、恋人と手を握り合って型をとれば二人だけの
素敵なインテリア に。センスひとつで楽しみ方はいろいろ。」
ただの バケツと石膏のセットが素敵な「メモリアルハンド」に。この説明文考えた人、私を弟子にしてくれ。あなたのセンスが
素敵 。
しかも コピーがまた素敵。
「いくつ思い出ふえるかな。石膏でわが家の
しあわせ記念館 をめざそう。」
何セットも 買わせるつもりらしい。この作者は。あなたがいちばん
しあわせ ですよ、きっと。
でも 私も買ってしまうかも。
アレの型をとって素敵なインテリア「メモリアル・・・」が作りたいぞ
。
9月15日(日) 今日のプロフィール:
きみはだれだい
回転する生命体の間に浮遊した粒状のなにかが
塊となりつつコロニーを形成しようとしている
溢れ出んばかりのエナジーにまぶしさを感じて
逆巻く太陽のようにうねる海のようにまどろむ
二つの影が音を立ててやってきたそれは動と静
青白いため息とともに満たされる喜びにふるえ
いま溶解していったあるいはゲル状のうめぼし
9月13日(金) 今日のプロフィール:中森明菜の新曲が売れて欲しいと思っている。
なぜ背景が黒いのか。言うまでもない。
前の色に 飽きたから
。
なぜ字がでかいのか。言うまでもない。
そのほうが 読みやすいから
。
これで「流言飛語」の信憑性が増したに
違いない 。(逆?)
あまり字が大きいと縦長になって逆に読みにくいですね。ちょっと小さくしてみました。
いかかでしょうか。
ところで。 (などと話題を変えるのは
エレガント ではないですね。強引矢の如し。時の経つのは速いもの。)
9月27日 は
十五夜 である。正確な表現だと、今年の十五夜つまり旧暦8月15日は今の暦の9月27日に当たっている。今年の
中秋の名月 は満月だそうで月見には絶好の年だ。
しかし、 去年こそ
お月見イヤー だったのだ。十五夜が2回あったのである。去年は旧暦うるうに当たっていたので、一年13ヶ月の年だった。去年は8月を増やす順番で、旧暦8月が2回あったのだ。それで十五夜も2回。
十五夜 が2回ある年なんて、人生で一度か二度しか経験できない。昨年ぼーっと過ごしてしまったあなた、取り返しがつかないことをしてしまったのです。帰ってこない去年の2回目の中秋の名月を思って、今夜は
枕を濡らして下さい 。
もちろん 私は2回とも楽しみました。くもってて月は見えませんでしたが。いいんです、
団子 をしっかり食べたから。
月より団子 。
今年の 十五夜は
晴れる といいですね。 だって月が見えた方が団子がうまいもの。