
村上春樹(講談社)

すれ違う姉妹・マリとエリ、深夜のデニーズで偶然マリと再会したタカハシ、元女子プロレスラーで今はラブホのマネージャーを務めるカオル、それから……真夜中から空が白むまでのあいだに繰り広げられる、彼らの物語。(2006/2/2読了)
いつもの村上春樹とは雰囲気が違う? と思ったら、一人称が“僕”じゃないのね。ドラマや映画のカメラワークを思わせる独特の第三者視点で、一夜のうちに起こることを淡々と綴っていきます。
ちょうど、日付が変わる頃から明け方までの物語なんだけど、深夜の街は、余計な生活音が感じられない村上春樹の世界にぴったりだと思いました。不自然じゃない(笑)。(2006/2/2)

島田荘司(講談社ノベルス)
「これは大事件ですよ」。「占星術殺人事件」の直後、馬車道の仕事場を訪ねてきた老婦人に名探偵・御手洗潔は断言した。とある教会で開かれたバザーで、彼女の知人がとった奇妙な行動には、隠された意図があったのだという。ロシアのロマノフ王朝から明治政府に贈られた「セント・ニコラスのダイヤモンドの靴」をめぐって起きた事件を御手洗が解き明かす。(2006/1/17読了)
御手洗&石岡シリーズに興味が(間違った方向に向けて)あったので、入門にはちょうどいいと聞いたこの1冊を手に取ってみました。
物語としては、可もなく不可もなくって感じ(偉そうだ)。ただ、このトリックは強引なんじゃないかなぁ。これ1冊では、まだ何とも言えないけれど、とりあえず他タイトルも読んでみたいと思います。(2006/1/30)

山崎マキコ(中央公論新社)
“閣下”による調教でごっつい前向きな気分になったわたし。風呂なしアパートひきこもり。バカだから騙されて会社をやめた。何をする気もしなかった。だけどこのままじゃいかん。社会復帰の第一歩だっ! 便利屋本舗でバイトをはじめ、とある会合に出かけた。そこで知った驚愕の事実。わたしの無気力には理由があり、ACという名前がついていた。ACって電源アダプタか? 電波系ってことか? よーわからんが、わたしは治りたい。そう思って参加したミーティングで、わたしは出会った。わたしと同じ傷を負った男の子。この世の果てで、ふたりぼっちだ。けれど生きよう、生きねば、生きるのだ。金と社会と心の傷と戦うわたしの物語。(2005/12/10読了)
主人公というより、そこら辺にいそうな平凡なようでそうでもない、でもありふれた感じの女の子の物語。それが、みょうに現実的でドキリとさせられた。
“わたし”に近い人でないと、この作品は楽しめないかも。(2006/1/30)

村上春樹・佐々木マキ(講談社)
村上春樹と佐々木マキが贈る大人のためのストーリー、魅力溢れる絵。ぼくは「図書館」から、脱出できるのだろうか? 懐かしい“羊男”も登場。(2005/10/21読了)
村上春樹の短編が、佐々木マキとのコラボレーションで素敵な1冊に仕上がってます。プレゼントにもオススメ……とは言い難い物語展開なのが残念。(2006/1/30)

西尾維新(講談社ノベルス)
映画を見に行くことになったのは、妹が死んでしまったからだ。私は平素より視覚情報に関しては淡白を貫く主義なので映画を見るのは実に五年振りのこととなり、妹が死んだのも、矢張り五年振りだった。回数を勘定すれば、共にこれが四回目である。映画を見るのは妹が死んだときだけと決めているのではなく、逆であり、妹が死んだからこそ、映画を見るのだ。そうはいってもしかしこうしょっちゅう死なれては私としても敵わない。日頃大きな口を叩いている友人達に合わせる顔がないというものだ。私には合計で二十三人の妹があるけれど、死ぬのはいつも、十七番目の妹だった。(2005/10/18読了)
ええええええ、わけわかんないよ!
純文学……なのかなぁ。
でも、靴を3足履くくだりとか、銀行でのやりとりとか、何かしらの謎解きが含まれていそうにも見えるんだけど。考えすぎかなぁ。(2005/10/19)

宮部みゆき(光文社 Kappa novels)
今多コンツェルンの広報室に勤める杉村三郎は、義父でありコンツェルンの会長でもある今多義親からある依頼を受けた。それは、会長の専属運転手だった梶田信夫の娘たちが父についての本を書きたいらしいから、相談にのってほしいというものだった。梶田は石川町のマンション前で自転車に撥ねられ、頭を強く打って亡くなった。犯人はまだ捕まっていない。依頼を受けて、梶田の過去を辿りはじめた杉村が知った事実とは……。(2005/10/3読了)
加納朋子、若竹七海……辺りのほのぼの日常ミステリを、真っ先に思い浮かべました。が、決定的な違いがひとつ。こっちのがリアリティがあり生々しい感じがします。(2006/1/30)
