あなたは
人目ですよ;_;/H いやー。今回ちょっと病んでるかも;_;
単発小拙3
無題(改訂版。っていうか追加)
乎簾壁 斉
あたし、そのときまでオナニーってなんなのかわかりませんでした。
ときどき身体が、こう、ぼうっと熱くなって、どこだかわからないけど、真ん中の方がかゆくなるような感覚があったけど、それがなんなのかわからなかったんです。
だから、ものすごくもどかしい気持ちを、どうにもできなくて、真夜中に冷たいシャワーを浴びたり、恐いビデオを見たりして、なんとか気持ちを落ち着けようとしたりしました。たいていは、しばらくするとすうっと気持ちが落ち着いて、そのまま寝られたんですけど、どうしてもだめなときは一晩中どきどきして眠れないこともありました。
あそこが濡れているのに驚いて、病気なんじゃないかと思ったこともあります。
男の子とHをしたのは、じつは一四のときです。修学旅行でした。Hの知識は保健で教わってたし、友だちの中にはもう経験しているコもいたので、あたしもどういうことをするのかだけは知ってました。
あのときは、なんだか早くHしないとダメなんだって思い込んでて――その友だちもあんまりいいものじゃないって言ってたけど――、好きだって言ってきたコと、修学旅行の夜にしちゃったんです。
すごく痛くって、血も出て、布団部屋だったので、布団についた血を説明するのが大変だったけど、そのときの彼がひとりで寝込んで、鼻血を出したんだってことにしておさまったことをおぼえてます。
で、それ以来、Hなんてすごく痛くてつらいだけのものだって思って、恐さが先に立っちゃって、男の子にも近づけませんでした。
ところが、そのせいで、かえってあたし、男の子の関心を引いちゃったみたいで、いっぱい手紙とかもらっちゃって、帰り道に隠れてこっちを見ているコなんかもいたりして、すっかり男の子恐怖症になっちゃったんです。
あ、言っときますけど、あたしレズじゃないです。
それから何年も、あたしHなことと本当に無縁でした。
1
女子大に入ってから、あたし、モデルの仕事をするようになってました。モデルっていっても、そんなに体型がいいわけじゃなかったんですけど、友だちに誘われて応募してみたら、どういうわけか仕事がいっぱい来ちゃって。話を聞いたら、あたしの笑顔がいいんだって言われました。
そうなのかな。いまでもわかりません。とっても純粋に見えるんだそうです。
流行だからって、声優さんのマネをやったり、CDを出したり、いろいろやらせてもらったんですけど、それでもお仕事がなくなったりはしませんでした。
断っておきますけど、あたしそんなに人気ないんです。顔は知られてるみたいですけど、そういう人ならまわりにいっぱいいるし。まあ、ほどほどって感じです。
で、そういうお仕事をはじめても、あいかわらず男の人とつきあったりすることはありませんでした。事務所の社長さんも、男関係は気をつけなさいって言ってくれました。
社長さんは、四〇代前半の、ちょっとカッコイイ感じのおじさんです。きれいな奥さんと、今年一二歳のお子さんがいます。すごく気をつかってくれてて、どんなに忙しいときでも、帰りが遅くなるようにはしませんでした。
本当に、社長さんっていい人だと思ってました。
いえ、いまでもそう思ってます。
だって、社長さんが悪いわけじゃないし。
卒業が近づくと、社長さんは仕事を減らしてくれました。きちんと大学を卒業したかったので、論文を書く時間がほしかったのです。
でも、そのせいで、どうしても仕事が深夜になってしまったことがありました。
事務所の近くの仕事だったので、置いてあった荷物を取りに帰ると、いつも待っている社長さんの姿が見えませんでした。そんなに大きな事務所じゃないので、社員は事務の女の人と、若手の人がふたりだけでしたから、午前二時近い時間では、社長さん以外会社に誰も残っていないはずでした。
鍵は開いていたので、社長さんの姿を探して、事務所の中を探していると、ビデオルームに電気がついているのに気づきました。
扉が半開きになっていたので中をのぞいてみると、社長さんともうひとり、若瀬くんという人が、なにかビデオを見ていました。
あたしは必死で声を押し殺しました。ビデオに映っているのは、あたしだったからです。いえ、普通のビデオなら、別に驚きませんでした。
その中で、あたし、Hしてたんです。
もちろん、そんなことした記憶ありません。
下半身だけ裸のあたしが、男の人の大きな物の前で、折り曲げた脚を大きく開いています。あたし自身、聞いたこともないような声をあげながら。なんだか泣いているんだが、笑ってるんだか、よくわからない声です。その声を聞くと、なんだか変な気持ちになってきました。
例の、身体の中心がかゆくなるような感じです。
扉をつかんだ手に思わず力が入りましたが、さいわい社長さんたちは気づかなかったようです。
あの部分が、はっきりと映っています。そこに、黒々とした細長いものが押しつけられると、白っぽいなにかとろりとしたものが、わずかに開いた縦筋の間からこぼれます。
「すごいっすね。完全に本気じゃないっすか」
「ばか。なに感心してるんだよ」
「す、すいません。オレ、童貞なもんで」
社長さんは鼻で笑いました。
「しかし、よくできてるよ。知らなけりゃ、本当に祐子がヤッてるって信じちまうところだ。コンピュータ使ってるとはいえ、まったく、ポーズをかけてよく見なけりゃ、合成にも気づかないくらいだ」
「――とんでもないっすね」
「ああ、こんなものばらまかれた日にゃ、祐子の評判もがた落ちになっちまう。まったく、彼女の将来もあるってのにな。オリジナル押さえられてよかったよ」
社長たちが話している間にも、ビデオのあたしはものすごい声をあげています。あたしのあそこより、ちょっと濃い目のヘアをかきわけて、その下のあたりで赤黒い節くれだったものが出入りしています。そのまわりには、白っぽいものがねっとりくっついていて、唇みたいなあそこが一緒に出入りします。
どう見てもきれいなものじゃないのに、あたし、とってもどきどきしてます。Hって痛いだけじゃないのかしら。
あの部分のアップが終わって、あたしの全身が入ると、社長さんの話では合成らしいあたしの顔が、なんだかすごく悲しそうに目をつぶっています。口を大きく開いて、なにかわめいているみたい。声が微妙にずれているけど、あたしはHな感じがして、思わず両方の膝をくっつけちゃいました。
ちょっと音がしたと思うんだけど、ビデオに集中しているようで、社長さんや若瀬くんは気づかなかったようです。
と、若瀬くんが低くうめいたかと思うと、前のめりになりました。
「お、おれ、ダメっす。祐子ちゃんじゃないってわかってても――」
「しょうがないな。ほら」
言いながら、社長さんは近くに置いてあったティッシュの箱を放りました。
「出しちまえばすこしは落ち着くだろ」
若瀬くんはきまり悪げに社長を見ると、顔を歪めました。
「わかってるよ。事務室にいるから、終わったら呼べよ」
あたしはあわてて扉の向こうの給湯室に隠れました。入れ替わるように社長さんが出て行くのが見えました。
ビデオルームのドアはバカになっているようで、社長さんがしっかり締めたはずなのに、また半開きになっていました。あたしはもう少し気づかれにくい場所に移ると、中のようすをうかがいました。
ビデオの中では、あたしが四つんばいになっているところでした。お尻を突き上げるあたしの後ろから、顔の映っていない男の人が、あれを出し入れしています。アングルが変わって、後ろからの映像になると、あたしのあの部分がはっきりと映って、その上の部分に大きなものがゆっくりと入っていくのが見えました。
なんだか、下半身が重たい感じがして、だるくなってきました。生理のときに似てますが、ちょっと違うんです。このぬるぬるした感じは、血じゃありません。
と、若瀬くんの苦しそうな声に気づいて、あたしは彼の方を見ました。
もうちょっとで声を上げるところでした。
彼は、ズボンを腿まで降ろすと、むき出しになったあれをさすっているんです。あれは、ビデオのより太くて、固そうでした。すごく気持ち悪い色や形なのに、あたしはそれから目がそらせませんでした。
やがて、ビデオのあたしが持ち上げられて、男の人の前に座るような形になると、それを見ながら、若瀬くんは自分のあれを右手で握って上下にしごきはじめました。ゆっくり、ゆっくり、ビデオの向こうでアップになったつながっている部分が出し入れされるのに合わせるように、彼の手も上下するんです。
「くそ、まだだ、もったいないじゃないか」
若瀬くんはものすごく苦しそうに見えましたが、声をかけることはできませんでした。いくらあたしでも、声をかけていいかどうかはわかります。
ビデオのものすごくHな格好を見ているうちに、あたしもなんだか変な気持ちになってきました。ようやくわかってきました。あたし、Hしたいんだ。頭ではわかっていたけど、本当にHしたい気持ちになるなんて、いままで思ってもみませんでした。
でも、男の人はやっぱり恐い。若瀬くんなら、Hしてくれるかも知れないけど、そんな勇気があたしにあるわけありません。
がまんしなきゃ、そう思いながら、あたしは足の間を必死でおさえました。
スカートの上からも、湿っている感じがわかります。むっとしているんです。
やがて、ビデオのあたしがまた仰向けに寝かされ、男の人の腰に脚をまきつけました。男の人はいままでより激しく腰を動かします。と、それに合わせて若瀬くんの手も動きが激しくなります。
あたしも、思わずスカートの上から、押しつけた手を動かしていました。
不思議なものが背筋を走りました。あそこが溶けるような感じがして、それが背筋を伝って頭の後ろまで駆け上がる感じです。思わずあたしはもっと手を強く押し付けてみました。なにか、どこかに感じるところがあるんです。
すぐにわかりました。
あたしはスカートをたくしあげると、パンティストッキングの上からでもはっきりわかるほど湿り気を帯びたスキャンティのあのあたりを、上下になぞり始めました。感じる核はちょうど下のあたりにありました。そこに触ったり、離したり、さすったりすると、さっきよりずっと気持ちいい感じがお腹の下あたりから真上へ突き抜けます。
声を出さないので精一杯でした。
「うっ、うう、祐子ちゃん」
じわっとわいてきた涙の向こうで、若瀬くんが激しくこすっていたあそこから、なにかが飛び出すのが見えました。それは激しく何度も飛び散ると、床に敷き詰めた絨毯の上にぽたぽた音をたてながら落ちました。
若瀬くんは、まだ固くそりかえっているあれをしごくようにすると、取り出したティッシュで白いもののたれている先を拭き取っています。それまで激しかった息遣いがうそのように、若瀬くんは穏やかな感じになりました。
でも、あたしはダメです。
下着の上から触っているのではがまんできなくなると、わたしはストッキングとスキャンティの下に手を突っ込んで、ヘアをかきわけると、その下に固くしこっているものに指先を触れました。
思わずうめき声をあげそうになって、あたしは思わず近くにあった布巾をくわえました。汚いのですが、若瀬くんにこの声を聞かれるわけにはいきませんでした。
あたしの身体は、どんどん刺激を求めてきました。それに応じて動かした指先は、ますますぬるぬるしていきます。
「ん……くっ」
思わず鼻声をあげたとたん、給湯室のカーテンの向こうに、驚いたような顔をして立っていたのは社長でした。驚いて目を見開く社長と目が合った瞬間、指なんかどうでもよくなりました。あそこがどろどろになる感じでした。突然、腰から下の力が抜け、座り込みそうになるところを、ささえてくれたのは社長さんでした。
「しっ!」
言いながら、社長さんは後ろをちらりと見ました。
「ああ、若瀬、もう遅いから仮眠室で寝ていけ」
「はい、そうします。祐子ちゃん遅いですね」
あたしはぼんやりと若瀬くんの方を見ようとしましたが、社長さんは首を振りました。
「とにかく、やつに見られるのはまずいだろ。……まったく」
でも、わたしには社長さんの言葉はよく聞こえていませんでした。
「……して」
「え?」
社長さんの目が細められます。
「え、Hしてください」
「なんだって?」
「もうがまんできないの。溶けちゃう。おねがいです」
あたしはそんなこと言うつもりはなかったのに、口からそんな言葉が出ていました。
社長さんは困ったような顔をしました。
「ばか。おれはおまえの社長だぞ? 商品に手をつけるわけにいくか」
「おねがい!」
その声があまりに大きかったので、社長さんは思わずわたしの口にその大きな手をあてました。煙草の匂いと、男臭い匂いを感じて、あたしの足の間がますますぬるぬるしてきます。もう、上から見ても、しみになっているのがわかると思います。
「自分でするのじゃダメなのか?」
あたしは首をかしげました。本当はちゃんと声に出して聞きたかったのですが、あんなに大きな声が出せるのに、どういうわけかいまはかすれ声を出すこともできませんでした。
「オナニーだよ。いまやってたやつだ。あれだったら、好きなだけしていいぞ」
あたしはようやく指ですることを思い出すと、スカートの中に手を走らせました。
でも、ダメでした。社長を見たときの溶けるような感じは、どうしてもないのです。
あたしはうんうん言いながら、気がつくとスカートを脱ぎ捨て、下着もおろして必死であそこをさすっていました。さっきビデオで見た白い液体が、スキャンティとの間に糸を引くようにねっとりとついていました。もう、固く、固くなったあの部分をさするたびに、ぬるぬるが内側から湧き出るようでしたが、あの瞬間の気持ちよさとは全然違いました。
「かわいそうに。いままで、そういうことをしたことがなかったのか?」
あたしは思わずうなずきました。
「一回だけHしたことあります……でもすごく痛くって」
社長はおおげさに天井を見上げるようなしぐさをしました。
「で、それ以来、男にさわりもせずに来たってわけかい? なんてことだ」
見下ろす社長の目が、ふっとやわらぎました。じゅっと音をたてたみたいに、あそこの中から白い液体が湧いてきた感じでした。
あたしは膝をこすりあわせてもじもじするように社長の身体にもたれかかりました。
「おねがいです、して――して」
社長はため息をつくと、あたしの肩をかかえるように抱いてくれました。ふっと目を上げると、社長は真面目な顔で言いました。
「いや、ダメだ。おまえはオレの商品なんだ。それを、自分の手で傷物になんかできるわけないだろう。だが――まあ」
一気にそうまくしたててから、社長はちょっとだけ顔を赤くして、うつむきました。
「その……手伝うことくらいはできるかもな」
「え、なにを?」
あたしは、心の底からそう言ったのですが、社長はそうは受け取らなかったようです。
「お、オナニーだよ」
あたしはうっとりした目で社長を見つめながら、ふと、社長のスラックスのあたりを見ていました。なんとなく、ふくらんでいるような気がします。
「まったく、さっさとやっちまえ!」
突然、社長はあたしを抱え上げると、ビデオルームに連れ込んで、部屋の隅にあるソファに寝かせました。
社長は砂嵐を映しているビデオに近づくと、巻き戻しボタンを押して、こっちを振り返りました。
「まったく、このクソビデオ、ろくなことになりゃしねえ」
社長は重石がわりのひとりがけのソファをドアの前に置くと、ネクタイを外してワイシャツのボタンを外し始めました。そうしてゆっくり近づいてくると、あたしの頬に手をあてて、なんとなく投げやりにさすりました。
「いいか、おれが手でしてやるから、それでがまんするんだぞ」
あたしはがっかりしましたが、とにかくうなずきました。いやだと言えば、手でもしてもらえなくなりそうだったからです。
社長はもうむき出しになっているあたしのあそこに、なんとなく震えている手をすべりこませました。
「やっぱりあのビデオは偽物だったな。ビデオほど濃くないもんな」
ヘアをもてあそぶそうにそう言いながら、社長は苦笑いしました。
いままでなんにも感じなかったのに、なんとなくヘアがひどくいやらしいものに感じました。
「なんとも……まあ」
社長は股間に這わせていた手をあたしの目の前に持ってくると、てらてら光る指先を見せました。あたしは、ぼんやりとそれを見上げながら、鼓動が激しくなっていくのを感じました。
「おれも芸能プロの社長だからな、いろいろ汚いこともやってきたが、こんなふうにやるのは初めてだ」
社長はそう言いながら、今度は片手をあそこに、もう片方を上着の下から突っ込んで、あたしの胸をもみ始めました。
「どうだ?」
あたしはうなずくことしかできません。さっき、自分の手でやったのなんか問題じゃありませんでした。社長と目が合ったときほどではなかったですが、最初に触ったときとおなじくらいの興奮が、身体じゅうをかけめぐります。
社長はあたしの身体を後ろから抱えるように起こすと、そのままさらに念入りに指を動かし始めました。股間の社長の指が、ねちねちと音をたてます。それがものすごくいやらしい音に感じて、あたしは何度も低く声を上げました。そのことを考えただけで、ものすごく気持ちいい感じが背中を走ったからです。
あたしは折っていた膝を投げ出すと、両脚を持ち上げるようにして大きく開きました。一番最初に見たビデオのようにしたかったからです。それを考えるだけで、あそこはぬるぬるどころかあふれる液体でびちゃびちゃ音をたてるようになり、胸をもまれていることを考えると、身体じゅうに鳥肌が立つようでした。もちろん、気持ちよかったのです。
そのとたん、あたしのつまさきがなにかに触ったような気がしました。ブーンと音をたてて、ビデオが動き始めていました。
あたしの後ろで、社長ははっと息をのむ声が聞こえました。モニターのむこうでは、ちょうどあたしが、やっぱり下着をずらされた状態で、下半身をいじられている場面でした。身体の位置はちょっとだけ違いますが、あの部分がまるで鏡に映ったようにはっきりと見えていました。
「す、すまん」
「い、いいです。あたし、見たいです」
社長はなおもなにか言いかけましたが、そのまま黙ってしまいました。
ビデオのむこうでは、もうあたしは押し倒されて、男の人のあれが目の前に押しつけられていました。突然アングルが変わると、あたしは後ろ姿になって、男の人のあれを口に入れていました。
「あ、あたしもしなくていいですか?」
社長はあたしの言いたいことにすぐ気づいたのか、ごくりと息をのみこみましたが、押し殺した声で「いいよ」と言っただけでした。
ビデオのあたしの口から出てきたあれは、赤く充血して、大きくなっていましたが、若瀬くんのあれほど固そうではありませんでした。あたしは、思わずそのことを声に出していたようでした。社長が答えます。
「ばか。若瀬はまだ二〇歳そこそこだぞ。一緒にするな」
こころなしか、社長の声はうわずっているような気がしました。
やがて、ビデオは、さっきあたしが見た場面になっていました。大きく脚を開いて、貫かれているビデオのあたしを見て、社長はしばらく動きを止めていましたが、また指が動き出すと、それまでなんとなく事務的に触っていた感じだったのが、なんだか真剣にいじられているような気がしました。
もしかしたら、社長もしたいんじゃないかしら? そう思うと、あたしのあそこからの音はますますいやらしくなり、とうとうあふれて白いものがソファにぽたぽた音をたてて落ち始めました。
なんとなく、腰の後ろになにかが当たるような感じがしてきました。なんだか暖かくて、どきどき脈打っているようです。ぷん、と男の人の匂いがしました。いままでかいだことなんかほとんどないはずなのに、いまははっきりわかります。
社長の息遣いがどんどん荒くなっていきます。社長は胸を激しくもみながら、同時にあたしのとろけそうなあそこに指を入れたり、出したりしはじめています。痛くなんかありません。あたしの中に男の人が入っていることを考えただけで、あたしはなにも考えられなくなっていました。
「お、お願い、し、して」
社長はあたしの言葉に突然手を止めてしまいました。
あたしは驚いて、思わず叫んでいました。
「ご、ごめんなさい、やめないで、おねがい」
腰をくねらせるようにして、あたしは足の間の大きく口をひらいて白い液体をしたたらせているあそこを、社長の指先に押しつけようとしました。
「ええい、ちくしょうめ」
社長はあたしの唇に唇を重ねてきました。あたしはそうするのが当然のように、社長の唇の向こうに自分の舌をすべりこませました。社長の舌が、やさしく、でも激しくあたしの舌に重なります。
あたしは泣いていました。死ぬほどうれしかったのです。このまま溶けてしまってもいいと思いました。気持ちいいのです。生まれてずっと感じてきたもやもやが、やっとわかったんです。気持ちいいんです。
社長は、なおもあたしの間から指を出し入れしながら、胸をもんでいた手を離しました。そうして、わずかに身体をずらすと、あわてたようにワイシャツのボタンを外し始めました。ワイシャツをほとんど破るように脱ぎ捨てると、社長はあたしから手を離して立ち上がって、今度はスラックスを下ろしました。カチャカチャ金具をはずして紺のスラックスが下に落ちると、その下からは青いぴっちりしたブリーフがあらわれました。ブリーフの上に、なにかしみのようなものが見え、その下のなにかが固く天を向いているのが見えます。
そこまで脱ぎ捨ててから、社長の目に冷静さがもどったような気がしました。
あたしは思わず社長の腰にすがりつくと、ブリーフに手をかけて、社長がなにもできないうちに引き下ろしました。その下からは、若瀬くんほど固くはないものの、ビデオなんかよりずっとたくましくて、大きなものが上を向いていました。大きくふくらんだ先からは、透明な液体が大きな水滴を作っています。それはどんどん大きくなっていくようでした。
社長がたじろく様子を感じると、あたしはすぐに社長のそれを口にふくみました。社長はうっと声をあげましたが、なにもせず、あたしのするままにしていました。
何度が社長が身体をびくりとさせましたが、なにも言いませんでした。そうするうちにも、社長のあれは、口の中でさらに大きく、固くなっていきました。
「まさか、こんなになるなんてな」
社長はあたしの口の中から転がり出たものを見下ろしていましたが、あたしに不思議になごんだ、でも獣のような目を向けると、肩をつかんでソファの上に押し倒しました。そうして、なにも言わずにあたしの両脚を持ち上げると、その間に顔をうずめます。
ものすごくいやらしい音をたてながら、社長があたしの中心をすすりはじめました。あたしはもうどうしていいのかわからなくなって、ただ声をあげることしかできませんでした。指でしてもらうのよりも、もっといいのです。でも、あたしにはわかってました。もっといいことがあるんです。
社長は不意にあたしの間から口を離すと、影になって黒く見える大きなものを振り降ろすようにして、あたしの上にのしかかってきました。
「まったく」
彼は自分のものに手を添えると、あたしを上下になぶります。先が核にあたると、とんでもないものが背筋を走りました。それは、本当の快感と言うより、これからなにがあるかわかっている期待から来るものだったようです。
そうして、社長は来ました。
言葉でなんか言えません。ただ、熱いんです。もう、熱いものが入ってくるんです。
彼が動き始めました。ただ熱かったものが、あたしの中を動きます。あたしは、思わずその動きに合わせて腰を浮かせていました。動くたびに、社長と目を合わせた瞬間のあれが、波のように襲ってきました。
気持ちいいんです。もう、そうとしか言えません。あたし、これなしでどうやっていままで生きてきたんだろう。この熱いものがあたしの中にないのに、どうしてふだん平気でいられたんだろう。
わかったんです、もう、これなしでは生きて行けません。
オナニーなんかじゃダメなんです。
社長はちょうどビデオであたしが抱えられているのとおなじ格好をすると、鏡に映すようにあたしを上下に揺すり始めました。あたしは、ビデオよりもっとすごい声を出していました。あたしも必死で足で身体をささえると、社長の動きに合わせて身体を上下させるんです。
それから、今度は四つんばいにされました。ビデオの順番は逆でしたが、あたしは目をつぶると、ビデオの画面を思い出しました。いま、社長のあれがあんなふうに出入りしていると思うと、もっとあそこが濡れてきました。社長の出し入れが、本当にいやらしい音を立てます。
もう、そのころには、あたしは頭がぼうっとなっていました。
社長はわたしを仰向けにすると、もう一度のしかかってきました。激しいキスのあと、社長はいままでにないくらい速く腰を振り始めます。ビデオとまるきりおなじでした。あたしは思わず笑いそうになりましたが、それどころではありませんでした。
あたしは、もうわけもわからず泣いていました。それくらい気持ちいいのです。いえ、気持ちいいなんて言葉じゃ足りません。どうして、もっといっぱいHしなかったんだろう、とあたしは終わってから思いました。身体の奥から溶けてしまうような感じはまだ残っていましたが、それは心地よい余韻のようなものでした。
2
社長とはそれっきりでした。やっぱり迷惑をかけることになりますし、他の社員の人たちとするのも、事務所の体面上、外にもれると大変なことになってしまいますから、なんとかがまんしました。
それに、社長とのあれは、とても気持ちよかったのですが、なにか違いました。どうしても社長としたいわけではなかったし、それは若瀬くんでも、もうひとりの社員長井くんでもおなじでした。知らない人はやっぱりいやでしたし。
そうこうするうちに、あたしは、別の事務所に移ることになりました。社長さんが、ものすごく条件のいい事務所を見つけてくれたのです。そこは、女性モデルばかりの専属事務所で、社長さんまで女の人でした。
あたしはちょっとがっかりしましたが、しかたありませんでした。やっぱり、社長さんも、あたしとずっといると、一回ではすまないと思ったようです。
でも、事務所を移ってからは、あまり仕事も来なくなってしまいました。派手な暮らしは好きじゃなかったので、お金にはそんなに困りませんでしたが、あれから、Hをしたことは一度もありませんでした。
また、身体が熱くなってきました。もうどうしようもないんです。
でも、知らない人とはやっぱりできません。それとこれとは別ですから。結局、手で慰める日がずっと続きました。器具があることも知りましたが、やっぱり手と男の人にはかないませんでした。
一年くらいして、教育番組の仕事が入ってきました。といっても、お堅いものではなく、スタジオに小中学生を呼んで、話をしたり、ゲームをしたりする比較的くだけた番組です。あたしは、その番組の司会でした。子供の相手はそれほど好きではなかったのですが、この一年で一番大きな仕事にあたしは飛びつきました。
何度か収録をこなすうち、あたしは、観客の中学生の中に、どこかで見たような顔があることに気づきました。
でも、中学生に知り合いはいませんから、気のせいだと思っていました。
その収録も終わり、あたしが楽屋へ向かおうとスタジオの隅の暗がりを通りかかったとき、それは起こりました。
「ねえ、湖山さん」
声をかけてきたのは、番組のADでした。あたしと同年代くらいで、いまだににきび面をした、あまり清潔な感じのしない人でした。前から、彼があたしに興味を持っていることには気づいていました。好意ではなく、興味です。
たぶん、あたしも無意識のうちに誘うようなまねをしていたのだと思います。
誰でもいいから、と思っていたときは、彼でもいいと思ったこともありましたが、やっぱりできませんでした。好みじゃないって言っちゃうとかわいそうだけど、そういうことです。だから、最近は、はっきりと態度で見せるようにしていました。
「なんでしょう?」
わたしが答えると、そのADは、にやにや笑いながら一本のビデオカセットを持ち上げました。
「これ、なんだかわかる?」
わたしの全身を戦慄が駆け抜けました。たぶん、あれです。
「やっぱりそうか。じゃあ、ぼくの言いたいこともわかるよね?」
偽物だとわかっても、やっぱり心は穏やかではありませんでした。
あたしは泣き出しそうになりながら、身体が喜びに震えていることにがく然としました。あんな嫌な人とでもいいの? でも、身体は正直でした。もうあふれ始めていたんです。
あたしは招かれるまま、使われていないスタジオの奥についていきました。
脂ぎったにきび面は、にやにやしながら片隅のマットレスをさしました。
「今日はもうオフなんだろ? おれも終わりなんだ」
あたしは目の前が真っ暗になりました。さしもの身体の火照りも、いくぶん薄れたようにすら感じられました。
あたしは泣きそうになりながらマットレスに腰を下ろすと、つんと嫌な体臭のするADがそばに座るのを待ちました。
「あ、言っておくけど、ビデオは何本もあるからね」
あたしは死にたくなりました。できるなら、この男を殺して自分も死んでしまいたかったほどでした。それに、死んでしまえば、もういやらしい身体に悩まされたりしないですみます。
べたべたした手が、のびてきました。もうダメです。あたしは、覚悟を決めて叫びだそうと息を吸い込みました。
「げっ」
情けない声を出して、ADが前のめりに倒れました。
棒のような物を握りしめ、後ろに立っていたのは、さっきの中学生でした。あたしは、はっと声を上げそうになりました。彼が誰なのか、思い出したからです。
あまり父親には似ていませんでしたが、彼は、あの社長さんの息子でした。二、三度、社長の家族と社員とで旅行をしたことがあったのです。
「ぼくのこと、おぼえてませんよね?」
あたしは首を振りました。
「謙太郎くんよね?」
彼の顔がぱっと輝きました。それから、はっとなると、うつむいて、ADからビデオを取り上げました。
「き、きみ、知ってるの?」
あたしを振り返った謙太郎くんの顔は真っ赤でした。
「え、ええ」
ひどく荒い鼻息をつきながら、謙太郎くんはますます顔を赤らめていきました。
「父さんがしまってあったの、持ち出したのぼくなんだ。最初は間違えたんだけど……ごめんなさい。たぶん、こいつが手に入れたのも……」
「いいのよ。どうせ、本当にはあたしのビデオじゃないんだし……それに、もうこの仕事やめようと思ってたの。大学も結局休学したままだし、ちゃんと卒業してどこかに就職しようかなって」
あたしはできるだけやさしく微笑むと、謙太郎くんの手に手を置こうとしました。でも、謙太郎くんは、驚いたように手を引っ込めます。
「どうしたの?」
「あっ、ご、ごめんなさい」
そこで、あたしは気づきました。彼は、見たんです。あたしじゃないけど、あたしのしているところを。まだ一三歳くらいの少年には、それはふつうの衝撃ではなかったでしょう。
微笑んで立ち上がると、あたしは謙太郎くんの手を引いて、その場を離れました。あのADはのびているようでしたが、ひどいケガを負ったようすもありませんでしたし、そのままにしておきました。
急いで楽屋にもどると、ふたりとも息を切らしていました。あたしは笑いながら、ぱあっとなにかの匂いが鼻腔をつくのを感じました。それは、太陽にさらされた干し草のような匂いであり、さっきのそれとは明らかに違う、もっと澄んだ汗臭さのようなものでした。
その匂いが目の前の少年の発しているものだと気づくのに、それほどの時間はかかりませんでした。
あたしは、ひさしぶりに、あの感覚が目を覚ますのを身体を震わせながら感じていました。スラックスの下で、じゅっと音がしました。
もじもじする彼を見ながら、あたしは自分の中の相反する気持ちと戦っていました。
相手は一三なのに。そんなことしていいの?
でも、顔を上げた彼の容貌に潜んだ青年の顔が、あたしの良心をこなごなに打ち砕いていました。
「ねえ、ビデオ、見たの?」
あたしはそう言っていました。
彼は、大きく首を横に振りました。
「あら、そうなんだ」
もちろんうそだということはわかっていました。あたしはドアに向かうと、鍵をかけました。
「じゃあ、見てみない? どうせ、あたしじゃないんだし、せっかくだもの」
彼はどぎまぎしていましたが、こっくりとうなずきました。それからあわててズボンの前に手をやりましたが、あたしはそこが大きく盛り上がっているのを見逃しませんでした。
楽屋の端に置いてあるビデオ一体型のTVに歩いていくと、あたしは彼から受け取ったビデオテープをセットしました。ビデオは、あたしの顔の合成された女優と、顔を隠した男優がベッドに腰掛けてささやき合う場面から始まりました。
あたしは、楽屋の片隅に置いてあった仮眠用の布団を広げると、彼の手をとって導きました。彼は、手を握られた瞬間、びくっとしましたが、おとなしくついてきました。そう、彼もしたいのです。一三歳なら、きっと身体は強く求めているのに、じっさいにはなにもできないことに、いらいらしている年頃でしょう、きっと。
「まねしてみましょうよ。だってほら、合成だけど、あっちに映ってるのもあたしだし」
彼は、なにも言わずにうなずきました。手を通して、どきどきが伝わってきます。
あたしはほんのちょっとだけ背中を丸めると、彼の唇を奪いました。彼の興奮が伝わってきます。ぎごちない口づけでしたが、社長なんかとは比べ物にならないものでした。
「……い、いいの?」
「なにが?」
あたしはわざとはぐらかすように笑いながら、彼から顔を離しました。もう、ちょっと腰を動かすだけでも、生暖かいぬらぬらがあそこにまといつくというのに。
彼は鼻息を荒くすると、あたしにのしかかってきました。あたしは笑いながらかわすと、目を細めて言いました。
「まだよ。ビデオはまだでしょ?」
ビデオでは、男優があたしのスカートの下から手を入れている場面でした。
「だ、だって」
あたしは微笑むと、ビデオを止め、立ち上がってハンガーのスカートをはきました。スラックスをおろすと、案の定ほんのちょっぴり湿り気が見えました。
「これでいいでしょ?」
ビデオを再スタートさせると、彼は鼻を鳴らしながらぎごちない手を差し入れてきました。不器用でしたが、力強い手でした。犯して欲しい。一瞬、本気でそう思いました。
「うわ、ぬ、ぬるぬるする」
あたしは、もうストッキングを通して染み出していました。
「見たんでしょ? 女の人は、好きな人とするときは、いつもこうなるのよ」
「す、好き? ぼく?」
あたしはうなずくと、彼をちょっとだけ抱きしめました。
「だって、ずっと見てたんでしょ? あたしを、あんなふうにしたいって、ずっと思ってたんでしょ? オナニーしてたんでしょ?」
彼は、真っ赤になってうつむいてしまいました。
「あたし、うれしいのよ。あたしのことを思って、オナニーしててくれたんでしょ? いったとき、あたしの名前、呼んでくれた?」
彼は、どもりながらうんと答えると、大きく何度もうなずきました。
「いいのよ? 今度は想像やビデオじゃなくって、本当にしても」
彼は目を見開きました。
「ほら、だってあたし、あなたにしてほしいんだもの。だから、こんななのよ」
言いながら、あたしはスカートをめくり上げました。腰をすこし持ち上げ、布地をずらすと、大きく恥丘を中心に広がっているしみが見えました。
「この下に、なにがあるか、本当には知らないんでしょ?」
彼はうなずくと、魅入られたようにあたしのふくらんだ中心に手のひらをあててきます。
「入れてみたいでしょう? すごくいいのよ?」
彼は何度も大きくうなずきました。彼のズボンに目を向けると、いまや、ファスナーの下ははちきれんばかりです。
「触ってみて」
「も、もう触ってます」
「そうじゃなくて、直によ」
彼はどきりとなりましたが、勇気を奮い起こしてストッキングの上で手を這わせ始めます。
あたしは彼の手を取ると、ストッキングを腿のあたりまで引き下ろさせ、すっかり潤って下のヘアが透き通っているスキャンティの上に置きました。
「女の子はね、ここを触ってもらうのが一番うれしいのよ」
女の子全員がそうなのかは知りませんが、あたしはそうでした。
「う、うん」
彼はうなずくと、いまや真っ赤に染まった手で、スキャンティの上から手を差し入れました。
「その場所からじゃ、手が届かないんじゃない?」
そう言うと、あたしは大きく脚を開いて、スキャンティの前後をつなぐ部分をさしました。
充血したその部分は、細い布地の端からはみ出そうなほど、期待にふくらんでいました。あたしの呼吸に合わせて、その部分がかすかに動く様子を目にすると、彼の興奮は最高潮に達したようでした。
「あ、あ……」
不意に、彼が腰をかがめて前にのめりました。あたしは事情を理解すると、彼のズボンに手をのばしました。
「や、やめて」
あたしは笑うと、彼のズボンを無理やりぬがせました。ぷんと鼻をつく匂いがして、彼のブリーフには黄色っぽいしみが大きく広がっていました。あたしはいやがる彼の手をおしのけると、ブリーフを引き下ろしました。そこには、先から白いゼラチンのようなものが垂れている、まだ皮をかぶったものがありました。
あたしの目の前で、それはどんどん小さくなっていきます。
「大丈夫よ」
男の人は、一度終わるとしばらくその気がなくなってしまうと聞きましたが、あたしはかまわず彼のあれを、白いものと一緒に口に含みました。
「き、汚いよう」
すこし苦かったけど、それはあたしにはとてもおいしいものでした。彼の思いが詰まっているのだもの。そう思うだけで、ますますあたしも熱くなってきます。
「もう、あたしが嫌いになった?」
彼はしばらく呆然としていましたが、やがて首を振りました。同時に、口の中で彼の可愛い物が、頭をもたげはじめるのがわかりました。しばらく味わっていると、それは可愛いどころではなくなっていました。社長さんや、若瀬くんに比べれば小さいものの、彼のそれは、もう立派な大人のそれでした。いつの間にか、かぶっていた皮もきれいにふくらみの下に押しやられています。
「今度は、きっともっと大丈夫よ」
彼はうなずくと、自分のものを大事そうにさすっていましたが、急に獣の目つきになると、あたしにのしかかろうとしました。
「もう、しょうがないのね!」
あたしは笑うと――でも身体はぶるぶる震えました。死ぬほど欲しかったんです。一年もがまんして、やっとなんです――彼のしたいようにさせてあげました。
でも、べとべとになったスキャンティは、なかなか引き下ろせませんでした。あたしは大きく脚を開くと、細い布地を右にずらしてあげました。
あたしからは見えませんが、きっとはしたなくあたしは大きく開いているのでしょう。だって、彼が欲しいんですもの。
彼は無言で荒々しく入ってきました。かちこちに反り返ったあれは、信じられないくらい潤ってるあたしのあそこに、何度も引っかかるようにして、ようやくおさまりました。
「ああっ」
あたしは思わず声を上げてしまいました。違うんです。社長とは、全然。
熱いだけじゃない。情熱? いいえ、獣のようにあたしを犯してくれる情欲。
彼は、激しく腰を振り始めました。固く反っている彼のあれは、中で何度も暴れまわります。そのたびに、あたしは身をよじって声を上げました。腰を合わせる必要なんかありません。彼は、めちゃくちゃでした。
引き裂かれるような快感が、あたしを何度も貫きました。それは、あたしより一〇も若い、まだ子供と言ってもいい彼に犯されているせいだったのかも知れません。
彼が中で果てると、あたしはまた口でしてあげました。今度は後ろからでした。後ろからはぴったりおさまって、あたしのそんなに大きくないあそこで、空気とふたりの出した物がぬちゃぬちゃといやらしい音をたてました。
それから、彼はあたしを抱えるといってききませんでした。あたしが素直に姿勢をとってあげると、彼は必死であたしを下からしてくれました。あたしは、泣いていました。彼も泣いていました。
終わった後、彼はあたしがずっと欲しかったと言ってくれました。小さい頃、旅行で一緒だったとき、一緒にお風呂に入ったときから、彼は目覚めていたんです。あたしとおなじだったんです。もやもやしたものがあって。それがなんなのかわからなくて。意味もなく裸になりたくなって。突き上げる快感とともに自分の出したものがなんなのかわからなくて。
そして、ある日、彼はあたしのビデオを見て、そして知ったんです。自分のしたかったことを。
あたし、ものすごくうれしかった。あたしの探していた人が、あたしとおなじことを考えていてくれたから。
でも、やっぱり罪悪感はありました。そのときは夢中だったけど。でも、彼はまだ一三歳です。あたしも、最初は一四歳のときだったから、言えないけど……でも、やっぱりいけないことはいけないもの。
しばらく悩んだすえに、あたしは、ひとり暮らしのマンションを出て実家にもどると、しばらくして仕事をやめてしまいました。
毎日、彼のことを思って身体が熱くなりましたが、がまんしました。身体から女の匂いが出ているのがわかります。彼が欲しいのに。自分をなぐさめても、全然だめでした。そんなことをしたら、身体はむしろ期待に震え始めてしまいます。
あたしはすべてを忘れるために、地方の私立中学に行くことに決めました。大学時代に教員免許を取ってあったのが、役に立ちました。
――ほんとうに? その街へ向かうために乗り込んだ新幹線の中で、あたしは、彼に二度と会えないことに身体を震わせて泣きました。
3
その学校は、地方の大きな都市のはずれにありました。赴任して一ヵ月、あれだけ激しかった身体の欲求も、お酒と自分の指と、はじめての授業の大変さで、なんとかおさまっていました。本当はおさまってなんかいないけど。
「湖山先生、ちょっと」
あたしを呼んだのは、学年主任の先生です。
「今日は、転校生がひとり来るのですが、一の六の田中先生が風邪でお休みなので、ホームルームはあなたにお願いしますね」
転校生の話は聞いていましたが、まだ一ヵ月の新任教師に詳しい話があるはずもなく、あたしは、はじめてその生徒の書類を目にしました。
「副担任としてははじめてのお仕事でしょうが、まあ、がんばってください」
そんな言葉なんか、耳に入ってはいませんでした。書類に書いてあった名前と、顔写真に、あたしはこの一ヵ月の間、必死でおさえこんできたものが、こなごなに砕け散ってしまうのを感じました。
「おはようございます」
もう濡れていました。
「ああ、きみの担任の田中先生は今日お休みなので、かわりに副担任の湖山先生が教室まで連れて行ってくれるからね。さあ」
近くにいれば、あたしの心臓の高鳴りが聞こえたかも知れません。でも、あたしを見た彼の表情は、まったく冷静に見えました。あたしは泣きたくなりました。彼は怒っているのだわ、そうわかると、あたしは地の底に突き落とされた気分でした。
これから、あんな彼と一緒に過ごしていくのは耐えられませんでした。
死んでしまえばよかった。
本当に、そう思っていました。
あたしは無理に笑顔を作ると、彼を迎えて席を立ちました。そのときには、太腿まであふれたものがぬるりとしました。あたしは、頬が赤くなるのを止められませんでした。
「さあ、もうすぐホームルームだから、急ぎましょう」
彼はなにも言わずに、氷のような表情でうなずくと、あたしの後ろをついて歩き始めました。
すでに先生方はホームルームに職員室を出た後だったので、あたりはみょうに静かでした。
「先生」
すぐ後ろで聞こえた彼の声に、あたしは驚いて振り返りました。
彼の背の高さは、思ったほど低くはありませんでした。彼はあたしの右側の後ろに立っていて、真っ赤な顔をしていました。
「ぼく、いろいろ勉強したんだ」
言うなり、彼はあたしの頬に手を置いて、ゆっくりと首筋に這わせました。それだけで、あたしは膝が震えそうになりました。彼の手は、自分の手を一番気持ちのいいところで動かす以上に気持ちよかったからです。
「どうしていなくなっちゃったの。ぼくが嫌いなの? ぼく、ゆう……先生が」
彼は言いながら、暖かい息を首筋に吹きかけます。ぎごちないものでしたが、それでも、彼の気持ちはびんびんと伝わってきます。しぼみかけていたあの気持ちが、ふたたび頭をもたげてきました。
彼は言葉を切ると、首筋に唇をすいつけてきました。そうしてあごの線にそって顔を動かすと、ゆっくりと唇を重ねてきます。そうしながらも、彼の手はあたしの胸をまさぐってきます。厚手のスーツの上から、彼の手の動きが痛いほどに感じられます。それだけで、先が固くしこっていくのがわかりました。
「こ、ここはだめよ。誰か来たら……」
彼は真っ赤な顔のままこくこくとうなずくと、あわてたように回りを見回しました。あたしは、すぐ近くに職員用のトイレがあることに気づくと、彼の肩を抱えて素早く中に入りました。
中に入るとすぐに、あたしは泣きながら彼の顔に口づけの雨を降らせました。彼は熱い吐息をもらしながら、あたしを抱きしめてきました。
「祐子さん、ひどいよ。ぼくがどんな気持ちだったか」
「ごめん、ごめんね、でもあなたは――」
「もういやだよ! お父さんに無理言って、ここへ転校してきたんだ。進学校だったから、大変だったんだよ、編入試験に合格するの。でも、祐子さんのこと思ったら、どんなこともつらくなかった」
あたしは、ほんのすこし顔を離して彼を見返しました。彼は、真剣なまなざしであたしの目を見返してきました。
もう、いいです。ごめんなさい。神さまがもしいるのなら、あたしを許してください。
「あたしも大好き。あなたが、好き。本当は、どこにも行きたくなかったの。もう、離さない」
言いながら、あたしは彼の上着の間から手を入れて、愛撫を始めていました。彼もあたしのどこが感じるか、すでにわかっているようでした。どうすれば、あたしがより高まるかも。
彼は、なかなかあそこに手をのばしません。
あたしはがまんしきれなくなりました。
「ね、ねえ、おねがい、じらさないで?」
あたしは言いながら、彼の固くなった部分に手を動かします。彼はびくんとなりましたが、いたずらっぽい笑いを浮かべて言いました。
「だめだよ」
彼は、さらにあたしの首筋と胸をせめたてます。耳を軽く噛み、息を吹きかけ、腰に手を回し、腰にあの熱い部分を押しつけてきましたが、けっしてあたしに触ってはくれませんでした。
「ねえ、おねがいだからあ」
もう、泣き声になっていました。
「祐子さん、声が大きいなあ」
彼はそう言って笑うと、スカートの上から触ってくれました。あたしはひっと声をもらして、思わず個室のドアにすがりついてしまいました。
「ねえ、便器の上に手をついて」
身体が、来るべき快楽への期待に震えます。うれしくて、叫びだしそうになるのを必死でおさえながら、あたしは白いプラスチックの蓋の上に両手をつきました。
ちょっとタイト気味のスカートの後ろから、ふわっと冷たい風が入ってきます。それもそのはずです。もう、スキャンティの底はすっかり潤っていたからです。
「先生、本当は、ぼくの顔を見たときに濡らしてたんでしょう?」
あたしはちょっと恥ずかしかったので、なにも答えませんでした。
「ぼくのが欲しかったんでしょう?」
あたしは早く触って欲しくて、早く入れて欲しくて、腰をちょっとだけひねりました。
「答えてくれないと、なにもしないよ!」
もう、どんどん中から湧いてくるのがわかります。おかしくなってしまいそうです。
「そ……そうよ」
「え? なに? 聞こえないよ」
「意地悪! そうよ! あなたが来るってわかったときから、もうびちゃびちゃになってたわ! あなたのが欲しいの。触って欲しいの。入れて欲しいのよ!」
彼は、熱い吐息をもらすと、後ろからあたしの背中におおい被さってきました。腰の後ろには、ズボン越しに彼の熱いものが感じられました。固い、石かなにかでできているよう。でも、ただの石じゃない。熱く、息づいてる。
「ぼくも。祐子さん思って、すりきれるくらいやったんだ。でも、もうビデオ見てもだめなんだ。祐子さんと一緒にいたいんだ。ずっと、一緒にいて、ずっと」
あたしたちは、ちょっと無理な姿勢で口づけしました。彼は、そのままスーツの下から、ブラをずり上げるように手を入れてきました。そうして、残った右手を、あたしの熱い中心に触れてきました。
ストッキング越しなのに、いやらしい音が聞こえました。
「冷たいや」
彼の笑う声が聞こえます。あたしもうれしくって、笑いました。もちろん、身体の底から突き上げてくる歓びに身体を震わせながら。
彼は熱心に首筋に口づけしながら、胸をもみしだき、そして夢中でストッキングを下ろしました。さっと冷たい空気を感じる間もなく、さらに湿った音をたててスキャンティも引き降ろされました。
あたしはうれしくて、思わず言葉にならない声を上げていました。彼は、胸を触っていた手を離すと、あたしの背中から身体を離します。チャックの音が聞こえました。
「きれい。どんどん出てくるよ」
彼の視線を、あたしの中心に感じました。そのとたん、本当に音をたてるように、さらにいやらしい液体が湧き出るのを感じました。
「だ、だって、あなたが好きだもの」
「ぼくも……もちろんぼくもだよ」
彼の指が、ゆっくり熱くほてった核の部分に触れました。あたしはひっと息を吸い込むと、便器の蓋の上に顔をうずめました。気持ちよかったからです。頭に電気が突き抜けて、あたしはなにがなんだかわからなくなっていました。
突然、彼の唇がすいつき、あたしのいやらしい液体をなめ上げました。彼は熱い息をあたしの中に吹きかけます。
「本当にきれいだ」
あんなひだひだの部分、きれいなんかじゃないのに。でも、彼がそう言うと、そんな感じがしてきます。彼はそう思ってくれてるんだもの。
彼の身体がすっと離れる感じがしました。ちょっと振り向くと、彼はすっかりたくましく反り返ったものを、あたしの足の間に持って行こうとしているところでした。
「祐子さん」
「――来て」
一ヵ月の抑制が、すっかり吹き飛んでいました。
彼は入ってきました。何の抵抗もありませんでした。反り返ったものも、あたしの中にぴったりとおさまって、熱いくらいでした。
「あ、ああ、祐子さん」
彼は、ゆっくり腰を動かし始めました。あたしは、砕けそうになる腰を必死で持ち上げると、彼に合わせて動きます。そうするだけで、すごくいいんです。腰から背中を中心にして、突き上げるように溶けるような感覚が広がっていきます。彼のものとあたしの間で、とてもいやらしい音がして、静かなトイレの中に響きます。それが、あたしの中の興奮をますます高めていって、もっともっと出てくるんです。もう、音もしません。あんまり潤って、すっかり抵抗もなくなってしまいました。ただ、彼が中で動いてる感じだけが、ものすごく鋭くなったあたしの感覚を刺激します。
「気持ちいい? 気持ちいい?」
息を切らせながら、彼は叫ぶように言いました。あたしはまともに声を出すことができなかったので、うんうん言いながら大きく首を上下させるだけで精一杯でした。
だって、本当に気持ちよかったんですもの。
学校のトイレで、こんなことしてるなんて。
見つかったらどうしよう。
そう思うと、ますます興奮してくるんです。
彼もそう思っているようでした。
すっかり夢中になった二人は、時間がたつのも忘れてしていました。
彼は、二回も中で爆発してしまいましたが、関係ありませんでした。口でしなくても、すぐにたくましくなってしまうんです。もちろん、彼は口でしてほしがりましたけど。
結局、あたしたちは、その時間が終わるまで、ずっとトイレでした。授業が終わって帰ってきた先生が入ってきたときには本当に寿命が縮む思いでしたけど、個室にこもって声を出さずにするのも、ものすごく興奮しました。
一時間近くして、ようやくほんのすこし冷静さをとりもどすと、あたしたちは、アリバイを作るためにおおあわてで保健室に行きました。保険医さんはそれほど保健室に詰めていませんでしたし、おなじ棟にありましたから、見られずに移動するのは難しくありませんでした。
問題は、白いベッドを見たとたん、ふたりともわれをわすれてしまったことでした。
裸になったまま、ふたりがベッドの上でわれにかえったのは、お昼近くなってからのことでした。
その後、どうやってごまかしたのか、ぼうっとした頭のあたしはおぼえていませんでした。
ただ、彼がかなりうまくとりつくろってくれたようです。主任先生に怒られてしまいましたが、結局、それだけですみました。
それから、彼とは、ずっと一緒です。
ふたりの身体は、完全に一緒のようです。あたしがしたいとき、彼もしたいんです。
朝は予鈴前のトイレの個室で。昼は、屋上のタンクの陰で。放課後は、誰もいなくなった教室の中で。
いま、とてもしあわせです。普通じゃないことはわかってるけど、それでもいいんです。だって、彼も、あたしも、一緒にいて、いつもしていないとだめなんですもの。