アサツキ 食欲増進,便秘,栄養保持などに
:もともとは、山の草地にはえているネギの仲間です。江戸時代の本朝食鑑には、効用として「気を下し、食を消し、また能く食を進める」とあり、古くから食欲増進に役に立つことが知られていました。四訂日本食品標準成分表」にも収録され、カロチンやビタミンB2、カルシウムなどが多く含まれているほか、ネギに似た成分をもち特有の臭気があり食用とすれば食欲増進や、通じをつけるのに役立ちます。
アシタバ 食欲増進,動脈硬化予防,緩下などに
:八百屋さんの店頭では、八丈島はじめ伊豆七島で栽培、出荷されたものをよく見かけますが、もともと関東以西のあたたかい海岸に自生する多年草です。一年中青々と茂り、冬のさ中でも日だまりでは若々しい新芽を伸ばします。茎を折ると黄色い汁が出るのが特徴ですが、これはフラボノイドという有効成分。茎葉にはこのほかビタミン類,ミネラル,葉緑素,精油などが含まれ、おひたしなどにして、普通の緑黄野菜と同じように日常食べれば、体のためになります。特有の香り、苦みは食欲をうながし、また便通をつけるのに役立ちます。このほか野菜ジュ−スにして飲めば動脈硬化の予防になります。
アスパラガス ビタミン,ミネラルの給源に
:ヨ−ロッパ南部や地中海沿岸原産の多年草です。昔は軟白栽培がほとんどでしたが、最近は軟白しないグリ−ンアスパラが好まれ、多く出回っています。名前からわかるようにアミノ酸の一種であるアスパラギンが多く含まれています。軟白のものには、ビタミンCは少ないですが、緑色のものにはビタミンA、Cやルチンも比較的多く含まれているほか、カルシウム、カリウム、リンなどのミネラルも多く、食用とすればからだのためにもなります。
ウ ド 利尿、食欲増進、発汗、補温などに
:若茎には少量の炭水化物,ミネラル,ビタミンB2,Cのほか、ジアスタ−ゼなどの消化酵素と精油、タンニンなどが含まれています。あえもの、なます、若い人ならサラダまた、野菜ジュ−スなどにすると、特有の香りと苦みが食卓に春を伝えるとともに、食欲促進します。軟白化栽培したものではなく、野生品ならいっそう香りと苦みが強いので、食欲増進効果はさらに上がります。根茎は和の独活といわれ、いわゆる漢方では発汗、利尿剤に用いられることがありますが、根茎に含まれる芳香成分の作用です。
ウ メ 下痢止め,扁桃炎,冷え性,貧血,食欲増進
:江戸時代の文政14年に、衣関順庵は「諸国湖古伝秘方」の中で、現在私たちが使っている梅エキスの作り方を書いています。梅エキスにはクエン酸が濃縮されて多く含まれているので、下痢止め、や扁桃炎、風邪の初期などに使うと大変効果のあることが知られています。エキスと比べると、効果は少し落ちますが、下痢止めには梅干しを黒焼きにして、濃いお茶で飲むか、風邪の熱冷ましに、同じく黒焼きを飲みます。35度の焼酎に、生梅をつけるウメ酒は、食欲増進や冷え性、貧血、低血圧、疲労回復などによいものです。
オクラ 滋養強壮,肝臓保護などに
:オクラが日本に入ってきたのは比較的新しく明治初期のころで、食卓をにぎわすようになったのは最近のことです。昔から、山芋、納豆、オクラなど、いわゆるヌルヌル食品は精がつくといわれています。実はこれらの食品にはヌチンが含まれており、これがタンパク質をよく消化するのでスタミナがつくのです。ですからオクラと納豆を半々に刻み合わせた納豆あえなどは、スタミナ料理に適しているといえます。お酒を飲むときは、肝臓保護を考えると、油脂をとるよりオクラをおつまみにしたほうがよいでしょう。
カ ブ ビタミン類の給源,緩下,二日酔い
:弥生時代から栽培され、昔は救荒作物として重視されたことが「農業全書」などにも見られます。ダイコンとは縁が遠く、白菜などに近い仲間です。普通、ことに都会では根の部分だけ食べていますが、栄養的には葉のほうが文句なくすぐれ、生葉にはビタミンA、B1、B2、Cが多く含まれています。ただぬかみそにつけるとA、Cは減り、血圧によくないナトリウムが増えます。便通によいとされていますが、これは葉と根にわずかに含まれる含硫化物と、葉の繊維の効果です。また、葉を、少しの米と煮て、こした液は、冷飲すると、深酒、二日酔いによいといいます。
カボチャ 夜盲症,ギョウ虫や回虫の駆除,動脈硬化予防
:カボチャの黄色のもとであるカロチンは、体内でビタミンAに変わり、発育、皮膚や粘膜の健康、視力などに関しています。Aが欠乏すると夜盲症(とり目)になります。昔は冬至にカボチャを煮て食べたものですが、保存のきくカボチャを、冬期のビタミンA補給源とした生活の知恵といえましょう。冬至カボチャを食べると中風にかからぬともいいますが、その実際はともかく、種子には、コレスレロ−ルを下げるリノ−ル酸が含まれているので、炒って食べると動脈硬化の予防になります。種子30〜40cをすって少量の水を加えしぼって飲むとギョウ虫、回虫駆除によいともいいます。
カンピョウ ビタミン.ミネラルの給源,便秘などに
:干瓢の元はユウガオ(夕顔)ですが、同じ仲間のヒョウタンがくびれているのに対してウリが長形や丸形になります。原産地はエジプト、メキシコ、ペル−などで、紀元前から原産地では栽培されていました。日本にも縄文末期に渡来し、食用にされたといわれます。白い花が夕方から咲き出すので夕顔と名前がつけられました現在栃木や茨城などで大々的に栽培され、カンピョウがつくられています。かんぴょうは夕顔の果皮を薄く剥いで乾燥したもので、食べるには茹でて用います。炭水化物やビタミンB2、カルシウム、鉄のどのミネラルを多く含みます。食物繊維も多いので、便秘がちの人が食べると、通じがつきやすくなります。
キク(食用ギク,料理ギク) ビタミン.ミネラル補給.食欲増進などに
:観賞用のキクそのものは中国原産ですが、江戸時代に夏菊や秋菊も食用にされており、その中から苦みの少ない品種を作り出したのが、阿房宮や嫁顔などです。阿房宮は約130年前に実生から生まれた黄菊で現在は東北地方や新潟.長野などの地方で栽培されて、菊海苔が作られ、マ−ケットなどで売られるようになりました。菊海苔には、タンパク質,炭水化物や、カロチンが多く、B1,B2,Cも含まれているほか、カリウム,リン、カルシウムなどのミネラルもあり、季節の野菜として食べることは、香りもあるので食欲増進し体のためにもなります。
キクラゲ ビタミン,ミネラルの給源などに
:温帯各地に分布するキノコで、雨季には広葉樹(クワ、ニレ、コウゾなど)の枯れ木に重なってたくさん生え、人の耳形で、ブヨブヨした感じがします。北日本では平地に多く、西南日本では山地に多くみられ、乾燥するとかたくなります。漢名を木耳(モクジ)といい中国料理にかかせない材料の一つです。日本では木に生える海月(くらげ)と呼び、昔は毒があるとされたものです。糖質約60パ−セントほか、ビタミンDやカルシウム.リン.鉄なども多く食用とすれば体のためにもなります。同じ仲間のシロキクラゲは銀茸(ギンジ)と呼ばれ、中国では古くから珍重され不老長寿の薬とされていますが、特別な作用はありません。
キャベツ 栄養保持、整腸などに
:古代ギリシアの数学者ピタゴラスは「キャベツは元気と落ち着いた気分を保つ野菜」と書き、古代ロシアの医療書には、黄疸や脾臓の病気、結石にきくなどと記されているそうです。昔はキャベツも、薬の一つでした。現在では、その薬効こそ通用しなくなりましたが、健康によい野菜として高く評価されています。栄養的には、葉緑素やビタミンA、Cほか抗潰瘍成分のビタミンUやカルシウムが含まれています。また多く含まれている繊維は腸管壁を適当に刺激して腸の働きを高め、便通をつけるのに有効で、ひいてはいろいろな病気の予防に役立ちます。最近は、キャベツを常食することと、大腸ガン抑制との間に相関関係が注目されています。
キュウリ 利尿,消炎,二日酔い,日射病
:キュウリはほとんどが水分で、栄養的にはわずかにビタミンB群,C,アデニン,アルギニンが含まれている程度です。また利尿、消炎、催吐作用などがあることがしられ、漢方のほか民間療法でも、昔から色々用いられています。急性腎炎や膀胱炎のむくみには、種子をのぞいたキュウリを日干しにして10cをカップ1杯の水で半量に煎じてカスをこし、2〜3回にわけて食後に飲むと、含有成分のイソクエシトリンの利尿作用が有効に働きます。二日酔いには、つぶした生汁を飲み、日射病、暑気あたりには、つぶしたものを足の裏にはります
クレソン ビタミン、ミネラルの給源、食欲増進、食中毒の予防などに
:西洋料理のツマにそえられる辛みのある葉はヨ−ロッパ原産のクレソンですが、和名を水芥(ミズガラシ)呼び、明治初期に軽井沢に入ったといわれます。いつかそれが逃げ出して、今では各地の渓流のたまりや湿った場所に野生化しています。葉にはカロチン、ビタミンCが多く、カルシウムや鉄などのミネラルが含まれているほか特有の辛みは、カラシ油配糖体のシニグリンで、ツマとして食べれば、食欲を増すだけではなく、食中毒の予防にもなります。
ゴボウ 便秘,消炎,収れん,痔などに
:炭水化物以外は、栄養的には乏しいのですが、繊維が多いので整腸,便通に役立ちます。またゴボウの炭水化物は多くがイヌリンで、体内でブドウ糖に変わらないことから、糖尿病患者向きの野菜の一つとされています。薬効としては、根のほか葉にもタンニンが含まれ、それによる消炎、収れん、制菌、止血作用が認められています。根か葉5〜10cを刻んで、カップ1杯で煎じて半量とし、カスをこしてさました液を、うがいに用いると、扁桃炎、歯ぐきのはれなどにききます。同じ根や葉を刻み布袋につめて浴料にすると、あせも.かぶれ、しっしんの消炎に、また根、葉の濃い煎液の座浴は脱肛、痔出血に有効です。
ゴ マ 滋養強壮,美肌,乳汁分泌促進などに
:健康に最も良い食品の一つです。成分の50%強が脂質ですが、これは、コレステロ−ルの血管壁沈着を防ぐリノ−ル酸や、オレイン酸などの不飽和脂肪酸を主体にした良質な脂肪油です。そのほか、タンパク質も約20%含まれ、カルシウム、リンが非常に多く、鉄も豊富。ビタミンではB1,B2,ナイアシンなどが含まれています。漢方では、、ゴマは肝.腎を補い、五臓を潤す強壮滋養,強精効果のある優秀な食物としており、白髪の予防、老化予防の効果があるとされています。また便通を整え、肌をなめらかにし、母乳の分泌をよくする働きも知られています。気をつけたいのは、ゴマもゴマ油も、カロリ−が高く、とりすぎれば過剰栄養となる点です。食べ過ぎに注意しましよう。
コンニャク 動脈硬化予防,肥満、去痰などに
:97%から98%が水分の、文字通りノンカロリ−食品。満腹感を得ながら減量したい肥満症、糖尿病の人に向いた食品です。ただしこればかり食べていると、栄養失調となります。最近はコンニャクに含まれるコンニャクマンナンなどの繊維に、血中コレステロ−ルを低下させることや、血糖濃度をコントロ−ルする働きがあることもわかってきています。薬用としては、咳が出てたんが切れないとき、生の球茎(コンニャク芋)2〜3cをカップ1杯の水で煎じて半量とし、カスをこして、さめた液で、一日何回もうがいをするとよくなります。これはコンニャクの中のサポニン成分の持つ去痰作用によるものです。
サトイモ うち身,ねんざ,神経痛,リュウマチなどに
:スリランカが原産地とされ、縄文時代に中国か南方からもたされて、主食とされたといわれます。現在は芋といえばサツマイモをさしますが、昔はサトイモをさしたもので大事な食料でした。芋はおもにでんぷんで、ほかに粘液質やわずかですがシュウ酸が含まれています。昔から芋湿布がよく知られていますが、いつも台所にころがっている常備薬のようなものだったからでしょう。芋湿布の作り方は、生のサトイモをすりおろし、小麦粉と酢を混ぜて、うち身,ねんざ,神経痛,リュウマチなどに貼り、乾いたら1日2〜3回取り替えると、はれや痛みが早く治ります。
サツマイモ 便秘,健康増進などに
:中南米の熱帯地方が原産地で、ヒルガオ科に属します。元禄のころ、九州薩摩の国(鹿児島)に渡来しました。栄養分は、カルシウム,カロチン,鉄分,ビタミンB1,B2、Cと豊富に含まれ特にビタミンCは夏みかんと同じくらい含まれており、「金時」など黄色いものほどカロチンが大量です。サツマイモには便秘を治す効果があります。消化率がよくないのでカスが多く、大腸が刺激されて便通をよくします。もう一つの効果として肥満の防止があります。カロリ−は米の2割で、滞胃時間の長いので、空腹感も少なく、らくに減量ができます。ふかしたサツマイモを皮ごと食べると胸焼け防止にもなります。
サヤインゲン ミネラルの給源に
:原産地のアメリカ大陸では紀元前から栽培され、食用にされたといわれます。日本には17世紀に隠元師が中国から伝えたとされていますが、これはフジマメのほうで、関西ではフジマメを隠元豆と呼ぶため、名前が混乱したものでしょう。野菜として使うのは、サヤにすじのない種類で、これをサヤインゲンと呼びます。栄養的にはめだった成分を含みませんが、タンパク質に富み、カルシウムも多いものです。旬の野菜として食べ方を工夫しましょう。
サヤエンドウ 便秘,栄養保持などに
:ヨ−ロッパ南部から地中海沿岸が原産地とされ、紀元前から食用とされていたことが、古い遺跡から発見されています。中国へは3〜6世紀にシルクロ−ドからもたらされ、日本には奈良時代に渡来し、はじめはノラマメと呼ばれて栽培されたといわれています。現在、出回っているサヤエンドウは、江戸時代以後に伝えられたものです。サヤには、カロチンやビタミン類が、種子にはリジンなどのアミノ酸が多く含まれるほか、食物繊維もあるので、通じをつけるのに役立ちます。
サンショウ 食欲増進,食中毒防止,健胃,補温などに
:小粒でもピリリとくる辛みは、果皮の中のサンショ−ルという成分によるもの。ヒペリンもふくまれています粉山椒として香辛料に、若芽や若枝、若葉を木の芽みそやつくだ煮、料理の香りづけや彩りに用いると、食欲を増し、食中毒の予防になります。辛み成分には健胃,局所刺激、駆虫、補温などの作用があり、薬用としても効果が知られています。果皮2〜3cをカップ1杯の水で煎じ半量にしたものは3回に分けて食後、温服すると、胃もたれ、つかえに効きます。健胃には果皮粉末を1日1c飲用も有効です。補温には成葉を粗くきざんで布袋につめ、風呂に浮かべて浴料として用います。
シイタケ 動脈硬化予防,食中毒,暑気あたり,せきなど
:ビタミンB1,B2,ナイアシンなどを含むほか、紫外線によってビタミンDに変わるエルゴステリンも多く含まれています。ビタミンDはカルシウムを助けて、骨を作るのに重要なビタミンで、不足すると、子供ではクル病、成人,老人では骨軟化症になります。生シイタケにはエルゴステリンが、干しシイタケにはビタミンDが含まれています。最近では、シイタケには、血中コテステロ−ルを、すみやかに体外に排せつする作用のあることが、証明され、動脈硬化予防によい食品としても、注目されています。シイタケの中に含まれるアミノ酸の一種、エリタデニンの作用によるものですが、昔から、「シイタケは不老長寿の妙薬」とされていたのを、裏づけるものといえましょう。このほか、シイタケの抽質物が、インフルエンザウイルスに強い抗活性を示すことも発見されています。昔からの薬用への利用では、食あたり、暑気あたり、せきなどのときの飲用、ひび、しもやけの温罨法などがあります。
シ ソ 食中毒予防,かぜなどに
:シソの葉はビタミンA,B群,Cを含む貴重な緑黄色野菜の一つですから残さず食べたいものです。また、シソの葉、実、穂ジソにはペリラアルデハイド,リモネンなどの精油成分が含まれており、特にペリラアルデハイドは制菌作用にすぐれています。このためたとえば、しょうゆの防腐には1.8gあたりシソの葉20cを入れるだけでよいとされています。刺身に葉や穂ジソをつけるのは、生臭さをとり、制菌作用を利用して食中毒を防ぐ、昔ながらの知恵です。下痢,急性腸炎などには、葉や花穂3〜5cをなるべく濃く煎じて、食後2〜3回に分けて温服します。また粗く刻んだ葉や花穂に熱湯をそそいで飲むと、発汗が促され、かぜの初期に有効です。
ジャガイモ 痛風,うち身,くじき,高血圧予防などに
:栄養成分としては炭水化物がほとんどで、そのほかカリウムと少量のビタミンB群,Cが含まれます。食べる量の割には、エネルギ−が少なく、低カロリ−食とされますが、加工したポテトチップなどは、むしろ”脂質食品”といわれ高カロリ−ですから要注意。またカリウムには体内の塩分を調整する働きがあり、とりすぎたナトリウムを排せつしますから高血圧予防のためにもよい食品です。民間療法では、蒸してすりつぶし、小麦粉と酢を混ぜたものを、うち身、くじきなどにはることがよく使われています。1日2〜3回乾いたら取り替えます。これにヒネショウガをすりおろして加えたものを、痛風の患部に用いることもあります。
シュンギク ビタミン.ミネラルの給源.緩下.去痰などに
:葉緑素.ビタミンA.B群.Cのほか、鉄.カルシウムなどのミネラルも多くふくまれています。春菊の名にもかかわらず、最近では一年中、店頭にあり、手に入れやすい健康野菜といえます。茎葉の特有な香りのもとは含まれている精油分です。これには食欲増進作用、去痰作用があります。繊維も多く含まれていて、これは腸管壁を適当に刺激し、便通をつけるのに役立ちます。食用以外では、生汁を絞って、うち身やねんざに湿布したり、青汁でしもやけをマッサ−ジすると効果があります。また、伸長した茎葉をそのまま陰干しし、布袋につめて風呂に入れると、体があたたまり、肩こり,神経痛,冷え性などにききます。

ショウガ
健胃,かぜ,冷え性,神経痛,うち身などに
:おすしにはガリ、日本料理や折り詰めには柄の赤い新ショウガがつきものですし、肉や魚料理にはヒネショウガを刻んだり、すりおろしたりして使います。ショウガの風味は辛味成分のジンゲロンやジンギベロ−ルなどの精油成分によるものですが、これらには健胃作用があるほか、発汗、解熱、去痰、消炎、補温などの作用もあります。昔から、かぜ、冷え性やリュウマチ、神経痛によいとして広く利用されているのは、これら成分による効果です。かぜの初期には、ヒネショウガをすりおろして、刻んだネギ、削りぶしと、しょうゆ汁に入れ、熱いのを飲みます。せきが出て困るときは、おろして、ガ−ゼに伸ばし、のどにはるとよく効きます。葉は浴料にします。
スイカ 動脈硬化予防,利尿作用などに
:スイカが日本に伝わってから、まだ300年足らず。昔の人はスイカを「水瓜」と書いていました。字のごとくスイカの90%が水分で、糖分を多く含んでいます。利尿作用があり、種子はリノ−ル酸やグロブリンタンパクに富み、常食すれば動脈硬化の予防に効果があります。スイカ糖を作り、保存しておくと、むくみのあるときに飲めば利尿を促し、むくみをとってくれます。作り方は、熟した果肉を細かく切って鍋に入れ、とろ火で煮てからこしてカスをとります。さらに煮詰めると、水飴状になります。密封しておけば2〜3年利用できます。種子は乾燥し軽くこがし、皮をむいて食べます。
セ リ 便秘,かぜ.冷え性,利尿などに
:万葉の時代から「春の七草」の野菜として尊ばれ、利用されてきたセリは、ビタミンA,B2,鉄などに富んだ、冬場の貴重な野菜で緑黄野菜の一つです。繊維も多く、便通を整えるのにもよい食品です。薬効としては、かぜや冷え性によいことが知られています。これは、よい香りのもとである、葉や茎に含まれる精油成分の持つ発汗や補温作用による効果です。かぜに用いるときは、刻んで削りぶしを加え、しょうゆ汁を作って、熱いのを飲みます。ヒネショウガを少々入れるといっそう効果があります。花の咲いたものは陰干しして、熱湯をそそいで飲むと、軽い緩下、利尿効果があります。
セロリ 食欲増進,便秘,補温などに
:古代ギリシャ人はお祭りの日にセロリで部屋を飾り、ギリシャの町ネメアでは、競技の優勝者に、月桂樹ではなくセロリの花環をかぶせて讃えたそうです。日本のショウブのように、強い香りを魔よけとしたものでしょう。この香りには茎葉に含まれるアビオイルという精油によるものですが、食欲を増し、口の中をさっぱりさせます。そのほかビタミンB1やカルシウムなどのミネラルと繊維を多く含みます。生食,ジュ−スのほか煮物にも用いると、食欲増進や便秘防止に役立ちます。葉も捨てずに、粗く刻んで布袋に詰め、浴料にすると湯冷めしにくく、体があたたまります。
ゼンマイ 便秘,栄養保持などに
:各地の野山の湿った場所に生えるゼンマイ科の多年草です。地下の根茎は黒くて大きく、春のはじめに綿毛に包まれて、くるくると丸くまいた胞子葉がのびます。これは成長すると大型の二回羽状の葉をひろげます。食用とするのは、胞子葉のほうです。ゼンマイとは銭巻のことで、胞子葉の大きさがちょうど銭のようだからゆけられたといいます。代表的な山菜の一つですが、特に栄養価もないものです。独特な風味があり、干しておけば保存がきくので、昔は救荒食としてきました。食物繊維は多いほうなので、便秘がちのときなどに食べると、通じをつけるのに役立ちます。

ダイコン
去痰,食べ過ぎ,補温,うち身などに
:弥生時代に稲作と一緒にもたされたとみられますが、現在では種類も消費量も日本が世界一といいます栄養的には、葉のほうがビタミンA,C,葉緑素,ミネラルを多く含みすぐれているので、ジュ−スや漬け物、刻んでご飯に混ぜるなど活用したいものです。根はビタミンC源となるほか、でんぷん消化酵素のジアスタ−ゼが多いので、食べ過ぎによる胃のもたれを、早く解消します。民間療法では、たんが切れないとき、ダイコンのおろし汁に水飴を加えて飲みます。虫歯、うち身には、おろし汁をぬると効きますが、これは辛味成分(芥子油)の刺激作用の効果です。干葉は補温性浴料として役立ちます。

タケノコ
便秘などに
:たけのこは春4月ごろ孟宗竹から生じ、黒斑のある皮に覆われています。もともとは、中国の揚子江以南を原産とし台湾を経て18世紀初めに琉球に伝わり、さらに島津藩に伝えられて、19世紀には各地の竹藪が生まれたといわれています。タケノコのように早く生長するものには、遊離アミノ酸のチロシンやアスパラギン、還元糖などが多量に含まれているため、特有のうま味もあり、旬の食物として喜ばれています。ビタミン,ミネラルはごくわずかですが、食物繊維を含むので、通じをつけるのに役立ちます。

タマネギ
血行促進,かぜ,便秘,動脈硬化予防などに
:日本では、明治になってから、北海道で栽培がはじまり、各地に広がりました。貯蔵に耐えるので、最近は生産量も著しく多くなりました。辛味と臭気の正体は揮発性の硫化アリルです。これは延髄を刺激して血液の循環を促進させ、発汗,解熱,消炎,緩下などに働きます。同類の成分はニンニクにも含まれています。タマネギのものは、それよりも薬効が弱いので、野菜として常食するのに適しています。薬用では、刻みタマネギと削り節の熱い醤油汁に、すったショウガを少々落とし、がぜの初期に用いると汗が出て、治りが早まります。鱗茎の黄褐色の薄い外皮には、クェルセチンが含まれていますが、これは毛細血管を強くする働きがあり動脈硬化の予防に役立ちます。
タンポポ ビタミン補給,胃もたれなどに
:ヨ−ロッパでは古くから、セイヨウタンポポの葉をサラダなどにいれて食用としています。日本には明治初期ごろ北海道へサラダ菜として導入したセイヨウタンポポが、今では在来のタンポポを圧倒して繁殖しています。タンポポには、カントウタンポポとかエゾタンポポ、シロバナタンポポなど多くの種類がありますが、いずれも食用や薬用にできます。全草にタラクサシンという苦み成分が含まれているほか、葉にはビタミンB1,B2,C,ミネラルなどもあるので、葉や花、根をサラダにして食べるとビタミン補給になるだけでなく、胃のもたれやつかえなどに効果があります。根は刻んで干してから、火で軽く焦がしたものに、熱湯を注いで飲むと、コ−ヒ−代用になります。特に食欲不振に薬用として用いるには、干した根5〜10cを水300ccで煎じて、食後3回に分けて飲みます。
中国野菜(チンゲン,キンサイ ビタミン,ミネラルの給源,食欲増進,胃もたれなどに
:八百屋さんの店先にも、カイラン,パクチョイ,チンゲンサイ,タアツァイ,キンサイなどの珍しい中国野菜が最近よく出回っています。このようなことから「四訂日本食品標準成分表」にも、いくつか中国野菜の成分をとり上げています。人気のあるチンゲンサイには、カロチンやビタミンB1,B2,Cを含むほか、カルシウム,鉄などのミネラルも含まれているので、季節の青物として食べると体のためになります。ス−プセロリとも呼ばれるキンサイも、ビタミン類やミネラル、食物繊維も含まれているほか、香りのよい精油も含まれていて、ス−プなどに加えると胃のもたれたときなど食欲をすすめてくれます。
ツルナ 急性胃炎,ビタミン,ミネラルの給源などに
:キャプテン.クックがニュ−ジ−ランドからイギリスに持ち帰り広めたことが知られています。日本では栽培もののほか、日当たりのよい海岸に自生しており、ハマジシャ、ハマアサガオとも呼ばれています。夏から秋にかけて、随時、新葉を摘んで汁の実、おひたし、あえものなどに利用します。ビタミンA、B1,B2,C,葉緑素,ミネラルに富み、葉菜の乏しい夏場には、なによりの健康野菜といえます。葉に含まれる粘液質には、粘膜を保護する働きがあるので、急性胃炎には有効です。日干しして、5〜10cをカップ1杯の水で煎じて半量とし、こした液を食後3回に分けて温服します。
トウガラシ 脱毛症,食欲増進,血行促進などに
:辛い成分はおもにカプサイシンと呼ばれる物質です。果皮には、そのほか少量のアデニン,ベタイン,コリンなどとビタミンA,B群,Cなども含まれています。昔から和製のスパイスとして利用されてきましたが、上手に料理に用い食欲をすすめることは、健康増進につながります。トウガラシに限らず、香辛料は、使い方しだいでは、食塩使用量を減らし、高血圧などの予防にも役立ちます。辛味成分には皮膚を刺激し血液循環を促進する働きがあるので、食用以外に、湿布薬などにも用います。局方アルコ−ル100mlに果実10cを入れて約1週間冷浸したトウガラシチンキは、気管支炎の湿布に用いるほか、秋の抜け毛や脱毛症の患部に塗っても効果があります。
トウガン 消炎,利尿,緩下作用などに
:中国では古くから冬瓜と呼んでいたもので、そのままトウガンとかトウガとしたもので、もともと熱帯アジア原産のウリの一種です。弥生時代には渡来していたようです。熟すと果皮がかたくなり冬まで貯蔵できるので冬瓜の名前がついたものです。消費量も少ないですが、ふろふきにして食べると大変おいしいものですほとんど水分ばかりで、わずかにビタミンCがある以外、これといった一般成分は含まれていませんが、トウガンの種子を冬瓜子といい、リノ−ル酸などの脂肪油を含みます。中国では古くから消炎,利尿、緩下作用があるとして漢方薬に配合し、用いられています。
トウモロコシ 急性腎炎,栄養保持などに
:未熟果を野菜として食べるほか、熟成したものは、穀物として、また加工してコ−ンスタ−チ,ポップコ−ン,コンフレ−クなどとして広く利用されています。コ−ンスタ−チは病後の回復期に、とくに適しています未熟果は栄養のバランスがよいほか、繊維質も多く、胚芽にはリノ−ル酸を多く含んでいるなど、からだによい野菜といえます。毛は食べられませんが、急性腎炎のむくみ取りに用います。カリウムが多く、利尿作用があります。2から3日、日干しした毛5〜10cをカップ1杯の水で煎じて半量とし、こして、レモンやハチミツを入れ、食後3回に分けて温服するものです。
トマト 虚弱体質,便秘,栄養保持などに
:南アメリカ原産で、日本には16世紀に、ジャガイモなどとともに渡来して、初めは観賞用とされました。「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあります。トマトはビタミン類に富んでおり、たくさん食べる季節になると、病人が少なくなり、医者にかかる者が減るところから出たものでしょう。果実にはビタミンA,Cが比較的多く、ほかにB1,B2,リン,カリウム,クエン酸、リンゴ酸なども含まれています。消化,便通を助け、ビタミンの給源にもなるので、生食,ジュ−スなどで毎日とれば、健康維持に役立ち、病後や虚弱者には体力がつきます。
ナガイモ,ヤマイモ 滋養強壮,去淡,消炎などに
:ヤマイモというと、すぐとろろを連想する人も多いと思いますが、普通、とろろにするのはナガイモで、これは、中国原産のもので古くからの栽培品。ヤマイモは、別名自然薯といわれる、在来の野生品です。しかし成分的にはほとんど違いはなく、炭水化物のほか、タンパク質,ビタミンB群,C,ミネラルなどを含んでいます。また、ムチンといわれる粘液質や消火酵素,コリン,サポニンなども含まれます。このため消火のよい、栄養価の高い滋養食品として評価され、漢方では、老人や虚弱者用に、八味地黄丸などに配合して用います。民間療法では、たんを切るときに蒸し焼きを食べる、おできなどのはれに、とろろをつけるなどが行われます。
ナス 歯痛,歯ぐきのはれ,うち身,イボ取りなどに
:古墳時代にはすでに栽培されていたという記録も残されているように、日本人に古くから親しまれてきた野菜の一つです。栄養的には特別とりたてるものはないですが、独特の色合いや風味が好まれています。薬用としても昔から利用され、歯ぐき、歯痛やくちびるのはれに、ナスのヘタや茎の黒焼きをつける療法は、江戸時代から行われています。また、扁桃炎には、ナスと昆布を黒焼きにし、熱湯を注いで飲むとよいといわれています。その他、ナスを冷蔵庫で冷やして、うち身、ねんざ、ヘタの汁をイボにつけたり、切り口でこすったりするとイボがとれるともいいます。
ナメコ 腫瘍予防などに
:秋のブナの切り株などに群生して生えるキノコで、最近はおがくずで人工的に栽培した小粒のものが多く出回っています。野生のものは傘の大きさが3〜8pになりますが。食用とするにはこのくらいに傘が開いたものがおいしいそうです。水分がほとんどで、糖質やエルゴステリンもごくわずかですから、食用としても、特別の栄養価はないのですが、キノコ類に共通していえることは、少量でも多糖類が含まれていることです。この多糖類は、ガン予防になるといわれており、カワラタケからは制ガン剤も作られています。ガン予防のためにも菌食を日常の食卓にとり入れたいと思います。
ニラ ビタミン,ミネラルの給源,食欲増進,かぜなどに
:ビタミンA,B2,C,カルシウム,鉄などに富んだ緑黄野菜です。1年中、店頭で手に入れやすいので便利です。あの臭いが困るという人も少なくないですが、ニラが健康に良いのは、栄養価とともに、臭気成分があるからこそです。正体は硫化アリル類で、これは消化促進,食欲増進,消炎,発汗,解熱,制菌作用があります。このため、胃がもたれる、食欲がないときに、雑炊、ぬた、などで食べるとよく、かぜの初期にもよくききます。外用でも有効で、小さな切り傷や虫さされなどは、鱗茎、生葉の汁をつけると効果があります。これはニラのもつ収れん作用によるものです。
ニンジン 下痢症,栄養保持,肩こり,腰痛などに
:ビタミンAを多量に含み、そのほかのビタミン類,ミネラルにも富んでいて栄養価が高いので、体力増強健康維持に大いに貢献します。キャベツやトマト、リンゴなどと野菜ジュ−スにして、毎日飲むと、虚弱な人や病後の回復期の人に体力をつけます。ニンジンに含まれるペクチンには整腸作用があり、とくに子供の下痢症によいといわれます。葉には精油(ピネン)が含まれています。捨てずに粗く刻み、布袋にたくさん詰めて浴料にすると湯冷めせず、神経痛,リュウマチ,肩こり,腰痛によいものです。
ニンニク 虚弱体質,冷え性,便秘,かぜ,駆虫などに
:万病に効くといわれ、香辛料として食用にするほか、昔から広く薬用に用いられました。漢名をたいさんといい、性味は辛温です。薬効成分は、特異臭のもとであるアリシンで、これは血液循環促進、消化液分泌促進,発汗,利尿,緩下、殺菌,鎮咳,去淡、駆虫などの作用があります。ただ連用していると、貧血症,ビタミンB2欠乏症,肝機能障害などを起こすこともありますから、食べ過ぎには注意しなければいけません。ことに、のぼせやすい人、口内炎,舌炎、潰瘍性大腸炎のある人は、短期でも服用、食用は禁忌です。
ネギ 食欲増進,かぜ,不眠症などに
:青い葉にはビタミンAが多く、また、全体にビタミンB2,C,ミネラルと特有の臭気成分硫化アリルが含まれています。野菜の少ない冬場の、よいビタミン給源となります。硫化アリルには、消化液の分泌を刺激し、食欲をすすめる働きのほか、発汗,解熱,消炎作用があり、かぜなどの民間療法に、昔からよく利用されています。刻んだ生ネギと削り節の醤油汁は、少量のヒネショウガをすっておとし、熱いうちに飲んで、早めに寝てしまうと、汗がでて不思議によくききます。ネギの臭気には鎮静作用もあり、不眠症のとき、白根を鼻に入れて寝ると、寝付きがよくなることもあります。
ハクサイ 整腸,緩下などに
:ビタミンA,Cが比較的多く含まれ、繊維質も多い野菜です。漬け物として広く好まれていますが、栄養的にいえば漬けるとビタミンA,Cは少なくなります。いっぽう食塩によって、血圧を上げるナトリウムが増加しますから、食べ過ぎにならないよう注意しましょう。繊維の多い白菜は、腸の働きを整えたり、便通を助けたりするのに役立ちますから、むしろ、肉,魚,豆腐,緑黄野菜などと食べると栄養のバランスもよくなります。薬用としては、とりたててないですが、「本草綱目」に種子油を頭に塗れば髪を良くする」との記載があり、江戸時代には揚げ油に利用するほか、女性の髪に用いられました。
ハス 歯痛,滋養,下痢などに
:大賀一郎博士が、遺跡から発見した、二千年前の古代ハスの種子を発芽させたことから、ハスの実やハスを食べると、強い生命力にあやかってスタミナ強化に役立つという人も一部いますがとんだこじつけです。ハスの種子には炭水化物とタンパク質が含まれ、滋養になりますが、それ以上のものはありません。地下茎はおもに炭水化物でほかにアミノ酸,ビタミン類,ミネラル,繊維も含みます。下痢止め、扁桃炎や歯痛のうがい薬などに利用されています。が、これはハスのタンニンの消炎、収れんの作用によるものです下痢には蓮根や節5〜10cをカップ1杯の水で煎じて半量とし、カスをこして、食後3回に分けて温服します。
パセリ 食欲増進,発汗,利尿,補温などに
:江戸初期にオランダ人によって伝えられたので、オランダゼリといわれ、いまでもこの呼び名が使われることがあるようです。ビタミン類も、カルシウムや鉄などのミネラルも多く含まれていて、栄養価の高い緑黄野菜です。ただし、そう大量に食べるものでもないので、栄養的に期待しすぎるのは実際的ではないといえましょう。もちろん香味野菜として、より多く食べる工夫は必要です。セリに似た香りの成分は精油(ピネン)やペトロセリン酸などで、発汗、利尿、補温の効果もあります。薬用では、かぜの初期にきざみパセリのすまし汁を飲んだり、成葉をきざんで補温浴料にするなどします。
ピ−マン ビタミンの給源,便秘などに
:南アメリカ原産で、トウモロコシと同じく、コロンブスがヨ−ロッパに持ち帰ったのが栽培のはじまりです。日本へは明治初年に伝わってきましたが、現在のように、どこの八百屋でも見られるようになったのは、食事の欧米化がすすんだ昭和30年代以降のことです。ピ−マンはフランス語のピメンがなまったもので、アメリカではペッパ−といいます。葉緑素やビタミンA,B1,B2,Cが多く、繊維も含まれています。ジュ−スとして飲むのも良いことですが、その場合は、ニンジン、リンゴ、トマト、レモンなども加えましょう。
ブロッコリ− ビタミン,ミネラルの給源,便秘などに
:戦前は白いカリ−フラワ−がよく食用とされましたが、戦後はグリ−ンの瑞々しいブロッコリ−が喜ばれています。どちらも近い仲間で、ヨ−ロッパ西部を原産とするキャベツの一種です。食用とするのはつぼみや若い茎で、栽培するとあぶらなに似た黄色の花をたくさんつけます。カリ−フラワ−と同じようなものですが、カリ−フラワ−にないカロチンが含まれているほか、ビタミンCが100c当たり160mgも含まれています。(ゆでると50mg)そのほか、ビタミンB1、、B2,ミネラルも含まれているので、食用とすれば栄養価が高く、また、食物繊維も多いので便秘がちの人にむく野菜です。
ヘチマ 肌荒れ,ひび,あかぎれ,しもやけなどに
:インド原産で江戸時代に渡来し、いとうりと呼ばれ、若い瓜を煮たり、漬け物にして珍重したようです。いとうりの意味は老熟すると繊維が多く、糸が織られているようなので、中国でつけられたものです。江戸時代の後期には、化粧水としてヘチマ水がとられ、江戸城大奥の女中たちもさかんに使ったという記録が残されています。9月上旬ごろ、茎を地上50pぐらいに切り、一升瓶に差し込んでおくと、一晩でヘチマ水が二g近くとれるので、これを煮沸ろ過し、グリセリンとエタノ−ルを加え、香料を入れるとヘチマ水ができます。
ホウレンソウ ビタミン,ミネラルの給源,貧血などに
:西洋種と在来種とがありますが、成分的にはあまり違いはありません。ビタミン類、ミネラルともに多くなかでもビタミンA,B2,Cに富んでいます。また造血に必要な葉酸,鉄も豊かなほか、カリウムやヨ−ドも多く、野菜のなかででは栄養的価値最高といわれます。いっぽう、ホウレンソウはわずかながらシュウ酸を含んでいます。これは腎臓、膀胱、胆のうに結石を作りやすくするといわれるものです。たっぷりの熱湯でゆでこぼし、冷水であく抜きすれば問題はありませんが、サラダなどにして生で食べることは避けましょう。ゆでてあく抜きしたうえでいろいろ料理しましょう。
ミツバ 食欲増進,かぜ,しもやけなどに
:伸びはじめの若葉をつんでおすましに入れたり、おひたしにすると、なんともいえぬ香りが食欲をそそります。ミツバの香りの正体、茎や葉に含まれている芳香性の精油です。三つ葉には、このほかビタミンA,C,カルシウムなども含まれます。料理に使うだけでなく、野菜ジュ−スの材料として、ニンジン、キャベツ、トマト,リンゴなどと一緒に飲めば香りも良く、ビタミンの補給になります。薬用では、かぜの初期に使われます。三つ葉を刻んで、すまし汁に入れ、ヒネショウガをすっていれ熱いうちに飲み、早めに寝ると、汗が出て熱が下がります。また、しもやけ、凍傷には、葉の生汁をつけてもむと効果があります。
ミョウガ 冷え性,食欲増進,補温、神経痛
:日本原産で、しかも食用にしているのは日本人だけだといわれる野菜です。中国にも自生がみられますが、食用とはせず、もっぱら薬用にされています。ビタミン類,ミネラルのほか、精油(ピネン)や辛味成分があり、特有の香りが食欲をすすめてくれるので、昔から旬の味として、薬味,漬け物,天ぷらにも用いられています。薬用では、精油の補温作用を利用して、葉を浴料としています。生葉を粗く刻んで、布袋にたくさん詰めて浴そうに浮かべるもので、体があたたまり神経痛,リュウマチ,肩こり,腰痛などが楽になり冷え性にも効きます。しもやけのときは、葉や根の汁をしぼって患部に塗り、よくもむ方法もあります。
メキャベツ ビタミン類の給源などに
:戦前は「子持かんらん」とよばれましたがあまり普及せず、最近は洋食の普及で多く食卓にのるようになりました。ベルギ−地方で生まれ、日本には明治に入ってから伝えられました。茎が1mほど伸び、その葉のつけ根にできる芽が3pほど結球するもので、静岡県などでさかんに栽培されているようです。葉にはビタミンB1,B2,カロチン,ほかビタミンCが100c当たり150mgも含まれているので、ビタミン類の補給に役立ちます。
ユリ おでき,うち身,乳房のはれなどに
:中国では、地下の鱗茎(ユリネ)がたくさん重なった鱗片できていることから百合(ひゃくごう)とつけたもので、日本ではこの字にユリをあてたものです。古くからヤマユリ,オニユリなどの鱗茎をユリネといい煮て食べました。成分的には、デンプンが主で、タンパク質のほかは、ビタミン類も少ないですが、芋のようにほくほくした味と苦みがあります。薬用としては、鱗茎や花に含まれる粘液質を利用し、おできの吸い出しやうち身、乳房のはれ、やけどなどにつけると、はれが早くひきます。鱗茎をおろし金ですりおろし、少量の酢を混ぜたものを使います。
ヨモギ 切り傷,虫さされ,解熱,補温などに
:葉に生える毛は灸のもぐさの原料になりますが、良く燃える草ということからヨモギという名前が生まれたといいます。日本全国どこでも生える多年草で、春生える若葉(もちぐさ)は草ダンゴの材料としてかかせません。花が咲くころは、花粉症の元凶として嫌われます。ヨモギの葉には、シネオ−ルなどの精油やビタミンA,B1、、B2,C,D,ミネラルなども含まれていますから、からだのためによいことです。民間療法では、発汗,解熱剤として5〜10cを水で煎じて飲みますが、胃の弱い人には不向きです。タンニンが含まれているので、小さな切り傷や虫さされに、生葉を口でかんでつばを混ぜてつけると血止めになります。精油が多く含まれるので、浴料にすると冷え性やリュウマチ、神経痛などに効果があります。
ラッキョウ 水虫,扁桃炎,食欲増進,かぜなどに
:中国の浙江省の山野やヒマラヤ山麓には、野生のラッキョウが自生しているそうですが、そのラッキョウが、日本に渡来したのは、中世のころだといわれます最初は薬用として入り、食用にするようになったのは、もっとあとのことです。特有の臭いと辛みは含まれている硫黄化合物によるものですが、これは食欲増進に役立つほか、発汗、消炎,制菌などの薬効を持つことが知られています。薬用の範囲は広く、かぜには、鱗茎をきざみ、すまし汁を作って、熱いうちに飲みます。扁桃炎、口内炎には、すりおろした汁を塗るか、水で5〜10倍に薄めてうがいをします。生汁は水虫、たむしに塗ってもよいでしょう。
レタス ビタミン,ミネラルの給源に
:ヨ−ロッパ原産の一年草で、ギリシャ、ロ−マ時代から栽培され、日本にも古く渡来し、はくきょといわれていました。江戸時代には萵苣(かきょ)と書いてチシャかチサと呼びましたが、由来は乳草の意味で、当時はタチチシャが栽培され、現在のように結球する種類は明治以後にヨ−ロッパやアメリカから導入し、改良されたものです。葉には、カロチンやビタミンB1,B2,Cのほかカルシウム,鉄どのミネラル、葉緑素が含まれています。ビタミン類の量はそれほど多くありません。
ワケギ 食欲増進,発汗,解熱,のどの痛みなどに
:分かれる葱(ねぎ)ということから生まれた名前で、古くから栽培され、食用にされたものです。小型の葉ネギですが、ネギとの違いは、地上部に小球ができることです。家庭でも、簡単に栽培できるので植えておくと重宝します。ワケギは、カロチンやビタミンB1、、B2,Cなどを含むほか、ネギと同じ硫化アリルが含まれいるので、栄養価があるだけでなく、特有の香りは食欲を増し食物の消化を助ける働きがあります。かぜをひいて、熱があるときは葉を刻んで醤油汁と作り飲むと汗がでて熱が下がります。のどがゼイゼイしたときに、刻んだ葉をガ−ゼに包み、首にまくとよいものです。