カトマンズ大学 音楽学部
聴講生ノート

2001年8月13日〜9月30日

9月30日
今日からタカギ君のクラスの曜日を変えてもらった。水曜日と日曜日。水曜日は2人のクラス。日曜日は完全プライベートです。交渉の甲斐がありました。やっぱり楽器はマンツーマンに限りますよ。今日はクラスの終わりにバクタプルの街でMYディメをオーダーした。10日後にはタカギ君のディメができ上がるぞ!オーダーしたときには言い忘れたけど、ボディーの一部に「2001年10月スンダリMICAモデル」と刻印してもらわないと。さっそく今度の水曜日に言い渡しにいこうと思う。


9月17日
新しい生徒とのギャップが開いてきたため、先生に授業日を一日変えてもらうことを交渉する。先生にとっては勤務時間が増えて面倒なことだとは思うが、このくらいのサービスはしてもらわないとね。新しいところには進まず、前回までのおさらい。センテンスからセンテンスに移るときのタイミングが早かったり、テンポが一定しなかったりと課題は多いが、あとは練習あるのみ。今週の金曜日にバクタプルの楽器屋にディメをオーダーメイドしに行くことになった。MYディメが出来たら家でも練習するぞ。


9月14日
今日は30分も遅刻してしまった。恐る恐る教室に入ると、また生徒がふえていた!おい、いい加減にしろ!マジ怒るぞ。どうやら増えた4人は10時半から11時半までのクラスになったらしい。11時半の段階で4人帰っていった。しかし、しかし、もうこれ以上人を増やさないでね、と涙目になるタカギ君であった。今日はディメに関するおもしろい話を聞いた。グティ(老人を中心にした町内会のようなもの)でディメを習うときには、今でも習い始める前に「ボウズ(この場合神様に捧げるご馳走)」の準備をして、神様の前で「これからディメを習います。よろしくお願いします」とお祈りを捧げないと行けないそうだ。さらに一通りの講習が終わったら、同じくまたボウズをして「神様、ありがとうございました」と祈りを捧げないといけないんだって。それがめんどくさかったり、時間がなくて出来ない人達が、カトマンズ大学のような「お金を払って時間で教えてもらう学校」に行くようになったんだってサ。時代が変われば人々の生活も変わるってことだね。


9月10日
数えてみると今日で授業は9回目か。ということは次回で記念すべき10回目ですね。タカギ君はセンスがいいから?進みが早いのだけど、あとから来た生徒は家で練習していないみたいで、なかなか初めの課題が終わらない。いいかげん先生も考えてくれないと、タカギ君は彼らにあわせてすすみが遅くなっちゃうよー。
今日やったところで、とても心惹かれたフレーズがあったので覚えるためにちょっとノートをとってみようと思います。「dha~/tu dha~/ ○ tu / dha~/ dha~ / ta ta / khu ta / ta ku / ghu ni / tu dha~ / ○ tu /dha~/ dha~/ ta ta / khu ta / ta ka 」これをリピートする。……わっかるかな?「/」は小節の区切りです。1拍分の長さのところに音がふたつある場合は八分音符の長さで叩きます。さあ、あなたも声に出して歌ってみましょう!「 ダントゥ ダントゥ ダン ダン タタ クタタク グニトゥ ダントゥ ダン ダン タタ クタタカ」わかんないだろうなァ〜。でも、このフレーズとっても気に入ったのでした。


9月7日
引き続きディメ課題曲「MA」の練習。ああ、、しかし、しかし、打楽器をひとつの教室で2人でやるのはマジ辛いっス。先生のお手本の音が聞こえない、、、、。恨めしそうにクラスメートをにらむタカギ君。”こいつ、挫折して早くやめないかな、、、、、”と鬼のようなことを考えたりして。
今日は我がクラスに校長先生がお出ましになった。学長はドイツ人の天才音楽家にしてバクタプルの住人。学長直々の指導をちょっとだけ受ける。「KHA」を叩くときに力が入りすぎていていていい音がしない。くり返し「力を抜くように」と指導される。しかし、慣れないもんで、どうしても力が入ってしまうのよね。。。。。
ところでティハールというお祭りの時期には、子供たちが各家庭を訪問しながら芸事を披露して、おひねりをもらう習慣があります。現在タカギ君にも「デウシーレ楽団」を結成し、パタンの街を練り歩く計画が持ち上がっています。おひねりはどうでもいいのだけど、ディメの成果を披露するまたとないチャンス!さっそく学校の先生に相談して、ダサインが終わったらティハール用のバザンをひとつ教えてもらうことになりました。これはポイント高いぞ!やっぱ高額紙幣のおひねりだけは、遠慮ナクいただくことにしてもいいかな。


9月3日
クラスメートであるネワールの男の子があまり自宅で熱心に練習してこないらしく、進みが遅い。さらにもう一人の子は今日はお休み。だんだんタカギ君との差が開きつつあるのに同じクラスというのは何とも歯痒い。タカギ君は着実に3行ずつ楽譜をマスターしている。しかし、楽譜を見ないで叩くことが難しい。グルであるラジュー氏は9年前からディメをはじめたとのこと。教え始めたのは1年前から。グルいわく「一に暗唱・二に暗唱・三四が暗唱・五に実践」と言っていました。楽譜がすっかり頭に入らないとすらすら叩けないのよね。12時に授業が終わってから1時半まで一人で練習してました。ディメという楽器、右手にばちを持って叩くというのは、どうやらバクタプルの伝統みたいだ。そろそろ自分の楽器が欲しくなってきた。今度パタンあたりで作ってみようと思う。


8月31日
今日からネワール人の生徒が2人増えた。タカギ君は今日で6日目だけど、もうこれ以上生徒を増やさないで欲しいナー、、、、とくに打楽器だと、ほかの人の音で、自分のたたいている音が聞こえなくなってしまうのだな。タカギ君は外人価格だから1回の授業に10$払っていることになるのね。お金のことだけいったら他のネパール人の生徒と一緒にされるのはちょっとムッと来るのよね。まあ、いいか、一人より仲間がいた方が楽しいから。目下の問題点は「kha 」の音が綺麗にでないことだけ。くり返し練習していたら、左手の小指の皮が水脹れ状態になった。力が入りすぎているという証拠。また新しい音名がでてきた。ta:と同じ音だけど。油断がならない。


8月27日
週末全然練習していなかったので、練習不足が先生にばれた。気まずい苦笑い。ひとまず前回までの復習。
新しい楽譜の次の箇所にまた新しい音名dr.(ドラ)が出てきた。ta:を2回叩くのだが、しかし 同じ「dr.・kha 」という楽譜の叩き方でも、「dr.」直前の音が「ghe:」か「ta:」かで叩き方が変わってくるらしい。
つまり「ghe:・dr.・kha 」という楽譜の場合は、実際叩くときには「ゲン・タタ」となり、khaの音が省略されてしまうのに対し、「ta:・dr.・kha 」では「タ・タタカ」となるんだって。この説明でわかる?4分音符分の長さで叩くときと16分音符分の長さで叩くときの両方存在するということ。
「それでは、楽譜だけ見ただけでは、初めての曲なら音名と叩き方を知っていても再現できませんね。」と先生にきくと「だからグル(先生)がいるんじゃないか」といわれた。
こうして大学で習うからこそ楽譜があるけれど、グティ(町内会のようなもの)で楽器を習うときにはすべて口伝えなんだって。ひええ、って感じです。


8月24日
今日は楽譜の画像を紹介します。これは、大学の教材としてつくったもので、本来こういうものはネパールには存在していません。
今日から「MA:」という楽譜に入る。前回までやったバザンは「神様に捧げるバザン」だったけど、今回からやるのは「踊りのためのバザン」だ。(神様に捧げるバザンは「グン・タッター・グン・グン・タッター」というフレーズをかならず含むそうで、それ以外のバザンにはこのフレーズはないそうです。)
楽譜をみると、なんと!9ページもあるじゃないですか!「サ、サール!こんなの全部頭に入りません!」と涙目になると「大丈夫。慣れだから」と言うけど、、、、ひとまず初めの6ラインまで。



クラスの後、ディメをはじめとするアジア系打楽器の習得に欠かせない訓練方法を伝授された。街の中をブツブツいいながら歩いていると、人々から変な目でみられるから、マスクをしながら訓練しよう!
……でもそれも目がいっちゃってたらかなり怪しいけど。








●南アジア系打楽器 習得秘伝●

その1  楽譜を完全に頭に入れてまず歌ってみる
正しいリズムで楽譜を声に出して読んでみる。考えなくても楽譜が口をついて出るまで。
その2  叩いて練習する時には、口で歌うのではなく頭の中で暗唱しながら叩く。
口での暗唱が止まると手も止まってしまう危険があるため。頭の中でのみ暗唱すること。
その3  いつでもどこでも楽譜の暗唱
車での移動、病院の待合室、トイレでの野暮用等でちょっと出来た時間でも即暗唱訓練。口から正しいリズムと音名で楽譜を再現できるようになったら、70%の練習は完了したことになる。



8月20日
3回に渡って練習してきた曲が終了し、あとは自主練習に。今日から始める新しいバザンのリズムが黒板に書かれる。今回はまた違ったリズムなので、体得するまでまたちょっと時間がかかりそう。家でも練習しておかないと。


8月17日
ディメ2日目。今日は楽譜を渡された。ディメの楽譜なんてあるんだーと感心。さすが音楽大学。楽譜を使って演奏する前に、先生と一緒に楽譜の斉唱から。「タ・タ・ク・タ・クタタカ・ター・グン・グンナー・クタタカ・タ」という具合に声に出して歌います。前回・今回・次回の3回に渡ってやる予定の曲は、神様の前でお祈りをする時のバザンだそうです。ディメの基本的なリズムがたくさん入っていて、練習曲としても優れた曲です。


8月13日
今日から久々の女子大生。女の大学生だから「女子大生」。うーん、ウソ偽りのない名称であるものの、一抹の気恥ずかしさが残るのはナゼだ?まあ、それはいいとして。
今日からディメを習い始める。第一日目は音の種類から。つぎつぎ新しい音がでてくるので、基本的な音のみを記します。新しい音の名前も、基本的には音名だけ違って、音や叩き方は一緒なことが多いので。

音の出し方 左右同時 音の出し方 音の出し方
ghe:/ghu:/
jhi:/ji
縁に近い上のところを掌の下の丸みの部分で叩く。
ドォウゥンという深い音
jhe:/dha: Ghe:とTa:を同時に叩く Ta:/na:/
di/Ta
専用の叩きばちで叩く。軽くて乾いた音。表記は違うが音はみな同じ。4分音符分の長さ
Kha/Khu/Ka 中心より下の部分を掌全体で叩く。指は開く感じで。
パクッという乾いた感じの音
tali/dida: Ta:を連続して2回叩く。8分音符分の長さ
1: Ga/Ku khaをやや控え目な音で叩く dr. Ta:を連続して2回叩く。16分音符分の長さ
2: Ga/Ku/ga 本来Khaと叩くところを次の音の進行をスムーズに運ぶためGhe:の音を出す場合の表記

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