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 どうしようもない、男だ。
 昔から知っている。
 そして、それを許容している我も、どうしようもない…のだろう。
 此奴の腕の中を心地良いと、感じてしまっているのだから。

 離せとも言えぬ。
 身動きも出来ぬ。
 拒む気が、我にあらぬのだ。
 微塵にも…。

 長曾我部が聞かぬならか、我も答えぬ。
 記憶の有無には。
 どうでも良いと、思うに至っている。

 忘れる事はない。
 しかし、わざわざ思い出す事もないだろう。
 もう、それで良い。
 この男が、そう我に思わせる。
 ならば、その責を負わせるだけだ。

 長曾我部が我を離さぬのなら。
 我も長曾我部を離さぬ。
 
 いいか。
 覚悟せよ、元親。



「毛利、アンタが好きだ」
「………」
「本気だからな、俺は」
「………」

 返事を欲しがっているのを気付かぬ振りで。
 我は長曾我部の胸へと身体を預けた。

 気付け、と。
 これが、我からの…。



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(夏祭り 〜本文より抜粋)



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