星の在処 〜後〜
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叶える為に願い続ける
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懲りるという事を知らぬ男だ。
諦めも悪い。
押しばかり強く、引き際を知らぬのかと疑問にしか思えぬ。
四国の国主、長曾我部元親という男は。
そして、一番の解せぬ事は。
我に惚れていると、ぬけぬけと言い放つところだ。
どれ程、言葉で跳ね付けようとも懲りる事を知らぬ。
刃を向けてやった事もある。
無論、本気で斬りつけてやった。
それでも、あのへらへらした顔で言い寄ってくる。
その度に、此奴に頭の中身など無いに等しいと、思ったものだ。
「おい、こら、何考えてんだよ」
「…何も」
「余計な事考えてんじゃねえ、コッチに集中しろって」
我慢の利かぬ子供と同じだ。
いつも思い通りにしたがる。
以前は、癇に障るばかりだったのだがな。
今は、此奴のそうした愚行も不本意ながら許容してやっている。
我も甘くなったものだ。
「元就ってばよ」
「何ぞ」
「久しぶりだろ?」
「そうよな」
「だったらさあ、もっとこうあるだろ?」
「知らぬ」
「あのよー」
「我に期待するのは無駄とまだ判らぬか」
「…あー、はいはい。んじゃ、好きにヤラせて貰うわ」
無茶をするなと釘刺そうとした言葉は、性急に合わせられた唇に抑え込まれた。
肩を引き寄せられる。
しつこく唇を吸われる。舐められる。
衣の内へと、掌が忍んでくる。
「…長曾我部」
「元親っ呼べって、元就」
胸元へと入り込んできた指に、肌を無遠慮に探られる。
堅い指先が、意識の中にも入り込んでくる。
男の手に触られている己の身体を意識すればする程、思考が乱れ始める。
掌の熱が、否応にも移されてくる。
それを心地良いと感じ始める。
この男だけではない。
我も可笑しいのだろう。
「…元親」
「ん、可愛いなあ、元就」
胸の尖りを押し潰され、顔を顰めたというのに。
この男は、緩み切った顔で笑ってくる。
「…この、痴れ者、が…うっ…む…ぅ…」
口を塞がれた。
ドンと胸を叩いても、この男には効かぬのは判ってはいるが。
抗っておかねば、この後、何をされるか判ったものではない。
たが…。
それでも…。
背に腕が回され、力強く抱き寄せられるのに、我は力を抜いてしまった。
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吐く息が熱い。
背を汗が流れ落ちてゆく。
「は……あ…っ」
体内に入り込んでいる物が、容赦無く動き回る為。
声を抑えられぬ。
苦しさだけでは無い。腹から湧き上がる熱に突き上げられる。
「元就ん中、気持ちいいなあ、久しぶりだから余計にさ」
「ば…か、も…ひっ」
腰が馬鹿力に押さえ込まれ、動けなくされる。
それを好き勝手に揺さぶってくるのだ、この男は。
ぎりっと奥歯を噛み締める。無駄な抵抗と言われようが。
誰が溺れるものか。この男に。
「あっ…ああっ」
深く穿たれ、背筋が反る。
呼吸も視界もままならなくなる。
それを元親の腕に掬われ、抱き締められる。
寸分の隙間無く、何の隔たりも無く。
この時だけは他のものは、全て遠離る。
例え、夢現であろうとも。
口に出せないものであろうとも。
確かに、幸せだと思えてしまえる。この男の所為で。
「元就、大丈夫か」
「…知らぬ」
「んー、まあ、良かったんだからいいよな」
「煩い」
力の入らぬ身体を具合良く抱き留められ、我は怠さを理由に任せていた。
目を閉じ、息を抜く。
「元就、ありがとな」
「何がだ」
「七夕だから、会いに来てくれたんだろ、嬉しかったぞお」
「な、何を勝手な事をっ」
「いいからいいから、俺はちゃんと判ってっからよ」
「その口を閉じよっ」
見るに耐えぬ程の脂下がった顔で喜ぶ長曾我部を叩いたが。
この男に効果無いのは、知っている。
そんな無駄をしてしまう己にも、頭が痛くなるが。
まあ、いいかと胸の中で呟き、疲れた身体を休める事に。
我は集中をした。
長曾我部の言葉には、一切の無視を決め込んで。
腕の中で、密かに笑ってやった。
2011.07.09 back
元親×元就、遅刻した七夕話
ナリ様から四国のアニキのトコに来ています
元就視点、恋人にはツンツンデレツン(笑)
ヌルイHシーンがありますので、R18です!