Valentine kiss +
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甘いモンは もっと 食べたくなる
甘ければ 甘いほど 独り占めして
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温かさを通り越して、熱くて仕方がない。
居心地は良いのに、その熱さが息苦しくて仕方がない。
意識をそこから抜け出させねばと、身体を動かそうとするのだが。
重く、動こうとしない。
それでも。
右の腕に力を入れ、持ち上げる。
届け、と。
何処に、かは定かではないが。
力を込め、手を伸ばした。
「大丈夫か、元就」
声と共に、手を取られた。
しっかりと握られ、力強く引き寄せられる。
抱き抱えられたのが、体勢から判った。
「…あつ、い…くるし、ぃ」
「だよな、ほら、口開けろ」
顎を固い指先で持ち上げられ、支えられた。
自然と開いた口の中に、水が流し込まれてくる。
ゆっくり、と。口移しで。
水の冷たさが、心地良い。
重ねられる唇が、柔らかい。
身体を支える力を抜いた。
「どうだ?」
「………ん」
目をうっすらと開けると、長曾我部がこちらを見ていた。
心配顔で。目が我の状態を探るように、見つめてくる。
何があった? 我に何かあったのか?
記憶を辿るが、上手くいかぬ。熱さが邪魔をしている。
「元就」
頬を長曾我部の掌が撫で始める。
この男が、こうして傍に居るのならば良い。
身を擦り寄せる。何も考えない儘に。
長曾我部の腕の力が強まったのに、又息苦しさを覚える。
だが、構わなかった。
この熱さを欲していたのだ…我は。
「元親」
下の名で呼ぶと、長曾我部の喜ぶ顔が近付いてきた。
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気付くと、長曾我部と真向かいに。
長曾我部の膝の上に座らされていた。
着物の裾は乱れ、足が晒されている。
しかも、長曾我部の腰を挟んでの為、大きく開かされている。
「………んっ」
身動くと、膝を長曾我部の掌に撫でられた。宥められた。
足の内の皮膚が、ざわりとする。
腰から背筋へと、同じ感覚が這い昇ってくる。
「…は、ぁ……」
吐く息が熱い。
身体の中に隠る熱を出すのだが、切りが無い。
下腹が震える。
首を軽く振る。
指先に力を込めたが、無駄だった。
「ふ…っ………」
酩酊感に襲われる。
鋭敏さを増す箇所と霞みがかっていく意識の差に、上体が揺れる。
「おっと、危ねえな」
汗ばんだ長曾我部の手が、我の背を支えてきた。
そして、引き寄せられ、身体が密着された。熱い。
首筋に長曾我部の髪が触れてくる、それが擽ったく、首を竦めた。
「相変わらず、イイ匂いがすんな」
首の付け根から上へと、長曾我部に食まれていく。
痕を残されているのであろう。痛みが走る。
長曾我部の鬼の牙が、時折、皮膚に刺さる。
「あっ………はぁ…」
刺激が強すぎる。我は長曾我部の胸を押し返していた。
しかし、それは許される事もなく、再び抱き竦められる。
長曾我部の熱が、我を支配していく。
「腰、あげな」
耳の中へと直接吹き込まれる、言葉に。
ただ、従う己に酔っていく。思考は放棄する。
それがとてつもなく、心地良い。
長曾我部が…元親だけが、我をこうなる様に扱うのだ。
「も、と…ち……かっ」
ほぼ垂直に、我の裡へと入り込む楔をゆっくりと飲み込む。
焦りと悦を綯い交ぜに、歓喜に震え始めた身体を長曾我部へと預けた。
何をしても良い、と。
それを許すのは、唯一人、と。
長曾我部の首へと両腕を回し、蒼い眸を覗き込む。
そこには見知らぬ顔の我がおり、それに目を瞑り、唇を合わせた。
―――何かの甘い味を嘗め合いながら。
2011.02.17 back
元親×元就、2011年のValentine話
ナリ様視点、大人の時間です(笑)