【 voice box 2 】


≪ ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ≫

断る
断る
断る
いい加減にしないか

≪ ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ≫


同じセリフの羅列に。
最後は、いっつもきっぱりとした拒否。
ナンでなんだ?

そりゃあ、いきなり付き合ってくれって言ったけどよ。
その後は、俺を知って貰おうと努力してるってのによ。
それらを有無を言わさずの一蹴って、酷くねえか?

ナンであんな頑ななんだ?
ナンでけんもほろろなんだ?
全く、聞く耳を持ってくんねえ。
そんなに、俺は趣味じゃねえのか…。

政宗達には、諦めろとか高嶺の花とか。
迷惑がられてんだからいい加減にしろ、って言われてる。
けど、諦めきれねえんだからしょうがないだろ。
どーしても、諦める気になんかなれねえんだよ。

この学校に入って、一年の時ナンで毛利の存在に気付かなかったのか。
二年になってから、気が付いた。見掛けた。
見掛ける度に気になっちまって、どーしようもなくなってった。
好きだって自覚すんのも、アッという間だった。
だから、自覚したから速攻で申し込んだ。
そこまでは、良かった。

だけどなあ…。
何回、申し込んでも1ミリの変化ナシ。
脈がナイのにも程がある。
俺、こんなに人に拒絶されたの初めてなんだよな。
自分じゃ、嫌われるタイプだって思ってねえし。
大体、嫌われる理由が判らねえ。

『理屈抜きで嫌われてんだろ』

グッサッ…。
政宗の、それがダチに言うセリフかよ、が。
胸に突き刺さる。
ホント、俺ってそんなに嫌われてんのか…なあ。


   ≪ ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ≫


高校に入学して出来たダチは、ナンかしっくりとくる奴等ばっかだった。
政宗しかり、慶次も。佐助も幸村もな。
妙に気が合って、ヘンな遠慮もする必要がねえ。
楽チンだ。
コイツ等のおかげで、そうやって高校生活も楽しんでた。

そんな中で、毛利を俺は見つけた。
見掛ける度に気になって、見る度に目で追って。
気付いたら好きになっちまってた。
だから、付き合いたいってのは自然だろ?
だから、付き合ってくれって言ったのによ。

未だに、OKが貰えねえ…。

時折、心配そうに憐れみの目で、政宗達は俺を見る。
それはそれで、むかつくモンなんだが。
なーんか、それだけじゃねえ気がする。
隠されてるワケじゃねえ。
俺が気付いてねえ?
いや、知らないコト…いいや、忘れてるコト、か?

けど、忘れてるってのは、一体ナンのコトだ?
俺は毛利と会ったのは、高校に入ってからだ。
その前に会った記憶なんて、ねえのによ。
毛利とは、高校で初対面の筈なのによ。





2011.12.10
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