High High High -4
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考えれば考える程
好きだという事に気付く
それはどうしようもないと思うし
それで良いと思うし
好きになるって凄いなと思ってしまう
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元就さんが可愛くて仕方がねえ。
ホント、結婚出来て良かった、と毎日俺は思ってる。
双方、互いの仕事が忙しいから一緒に居られる時間は少ねえ。
でもな、結婚したワケだから。夫婦になったワケだから。
朝、起きれば、元就さんはいる。
夜、帰ってくれば、元就さんも帰って来る。
結婚前からしたら、大進歩だ。
すっげえコトだ。
ツンと澄ましてて、隙がねえ。
そんなイメージが先行してたから、こうして暮らし始めて知る沢山のコトに。
俺はデレデレしてる。
意外とおっちょこちょいだし、寝惚けるし、家事は下手。
それに、落ち込みやすい。自分じゃあ、そんなコトないって思ってるらしいけど。
見てたら判る。結構、簡単。
失敗すると、泣きそうな表情になる。これも気付いてねえし。
落ち込んで、考え込んで、立ち直る。前向きに。
その一巡を何回見たコトか。
いいよなあ、元就さんは。
俺をドンドン惚れさせてく。
どんくらい惚れさせる気だ?
そんな風に聞いてみたくなる。
きっと、目を丸くして、一体ナンのコトだ、って云うんだろうなあ。
その姿を想像しただけで、又、惚れちまう。
底無し、上限ナシ。そんな気分だぜ。
「なあ、元就さん」
「何ぞ」
朝飯作りに失敗した元就さんは、少々機嫌悪し。
でも、それは自己嫌悪で、気拙くて、気恥ずかしいんだよな。
そんで、俺に八つ当たりしてくる。
それが、最近判った。
初め、判らなくてよ、オロオロしたもんな、俺。
「ドコ行きてえ?」
「何処とは?」
「メシ終わったら、デートしよって云っただろ」
「…あぁ」
「だからさ、映画とかさ、観てえのがあったらさ」
「元親、聞きたいのだが」
「ん? ナンだ?」
「夫婦でもデートと云うのか? 恋人同士でするものではないのか?」
反則!
小首傾げて、真面目な顔して聞いてくる元就さんに。
俺は全身の血が、ぶわっとした。
ナンで、こんな世間知らずなんだ。
いやいや、出身が深窓の令嬢って云っても過言じゃねえんだから、イイんだけどさ。
こんな可愛さ、反則だって、やっぱ。
鼻の奥が痛え。鼻血だけは阻止しねえと、元就さんの前では。
俺の男としてのプライドを掛けても。
「…イイんだよ、俺達、夫婦だし、恋人同士でもあんだからよ」
「そ、そうなのか。そういうものなのか」
「ウン、そうだろ?」
「そ、そう…だな」
ダメだ!
これ以上は、マジやばい。
自分の言葉を反芻して、頬を染めるなんて小技出されちゃあ。
これ以上、耐えられるか!
「ご、ゴメン! ちっとトイレに行ってくるわ、俺!」
「あっ、あぁ、判った。ここで待っておる」
椅子をガタンと音を立てちまったけど、そんなの気にしてらんねえ。
俺は、そそくさにトイレへと素っ飛んで行った。
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その後。
何とかトイレの個室で体裁を整えてきた俺は。
元就さんとの相談の結果、散歩って形でデートをするコトになった。
映画は今観たいモンがねえ。
それに映画よりも、久しぶりの休みなんで、買い物をしたいって希望からだ。
それは俺も大賛成。
元就さんとのゆっくりした時間なんて、ホントに貴重。
だから、目的を決めねえで、足の向くまま、目に止まったモンを見たりして。
俺と元就さんは、手を繋いで歩いた。
身長差があっから、ちとぎこちなかったが、ただ手を繋いで歩くってコトが。
すげえ、楽しい。
俺と全くつくりの違う、元就さんの手。
指が細くて、ほんのり温かくて、柔らかい。
手を繋ぐだけで、こんな喜んでんのってガキみてえだよな。
けど、それがどっしようもなく嬉しいのってさ。
元就さんだからだ。
「元親、頼みがある」
「へ? ナンだ?」
一通りの買い物も終わったトコで、元就さんが真剣に顔して俺を見上げてきた。
一体、ナンなんだと身構えると。
「夕食の材料を買いたい」
「あっ、ウン」
そういや、ウチの食材は全滅したんだっけ、朝に。
俺はデートが楽しくて忘れてたけど、元就さんは気にしてた…と。
「それから、更に頼みがある」
「いいぞ、ナンだ?」
「我に、料理を教えて欲しい」
「え?」
「我も、料理したいのだ」
それって、それって、俺の為にってコト…だよな。
元就さんが俺の為に、苦手な料理をしてくれる。努力しようとしてくれてる。
ああ、もう構うもんか。
街ん中だろうが、道の途中だろうが、これ以上我慢出来っか。
俺は荷物ごと、元就さんにぎゅーっと抱き付いた。
2012.07.04 back
とある方より、その後の話と云って頂きポンと思い付いた話です
お見合い話のその後、つまり新婚さんな瀬戸内になります
元親視点、浮かれデート中v