ナンデナンデナンデ 〜左側
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気になって
気になって
気にしないようにするから
余計に気になっちゃうから
開き直って気にしてみる
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毛利と社内恋愛始めて1ヶ月。
俺からの告白で、玉砕覚悟だったてのに。
ナンか上手くいって、毛利が頷いてくれたモンだから。
手探り状態で、純情系な付き合いしてる。
毛利は社内切っての石頭で、一番の美人だ。
面の皮一枚と判ってても、その顔は俺の好みのド真ん中でよ。
好きになっちまうのに、大した時間は掛かんなかった。
オマケに周りのヤツらには、直ぐに気が付かれた。
その応援してやるって冷やかしを蹴散らして、単独告白。
『俺さ、アンタが好きなんだ。付き合ってる奴いるか?』
『居ないが』
『だったら俺と付き合ってくれねえか。俺、絶対お買い得だからよ』
『お買い得とは?』
『浮気はしねえし、アンタを絶対大切にすっから』
今、考えると支離滅裂な告白文だよなー。
テン張ってたのが、よく判るわ。
この後、毛利のシンキングタイムが10分程あってよ。
俺に取っては、1時間も2時間も感じた時間でよ。
俯いて考えてるのを俺は拳を握って、あ、睫毛長えて思いながら、待ってたな。
『良い』
『えっ?』
『其方と付き合っても良いと云うたのだ』
『ホントに?』
『本当だ』
『ホントにホントに?』
『断った方が良かったのか』
『冗談じゃねえっ!』
感極まるってああゆーコトなんだろうなあ。
OK貰えた俺は、目の前に居た毛利の腰から抱き上げて、はしゃぎ捲った。
毛利は一瞬ナニが起きたのかって顔してから、次に真っ赤になってよ。
下ろせ、この馬鹿者、貴様何するって、騒ぎ捲ってよ。
そんでも天にも昇ってる俺が止めねえもんだから、脳天に拳骨喰らわしてくれたんだよな。
ウン…痛え思い出だ。
浮かれ過ぎたのは反省してる。
けどよ、まさかの展開で夢心地だったんだからよ、多少は大目に見てくれてもよお。
そんなこんなの経緯だったモンで、イマイチ付き合いが清い距離感を保ってる。
話し掛ければ、ちゃんと返事をする。
休みに出掛けようって初デートも済んでる。
その後も一回デートしてる。凄い健全なのを。
昼に待ち合わせて、映画とお茶で、帰宅ってのを。
……………。
これってよ…イマドキの中坊の付き合い方以下だよな。
進展出来んのか。俺、我慢出来んのか。
それにナニより、毛利は俺にどんだけの好意を持ってんのかが知りてえ。
重大問題だ。
社内一の堅物が、本当に俺と付き合ってるって意識はあるのか。
単なる同じ会社の一人が、告白って形を取ったから、頭一つ飛び出てるって存在じゃねえよな。
な、そうじゃねえよな…と、自分に強く言えねえのが辛い。
で、そんな俺を見かねた、恋バナ大好きお節介男の慶次が手を差し出してきた。
普段なら、自分のコトは自分で出来るわ、と突っ撥ねるトコなんだけどよ。
俺も相当、切羽詰まってたらしく、その提案に乗っちまった。
毛利が、俺をどう思ってんのか知りたくてよ。
慶次曰く、あまりストレート過ぎると緊張して言いたいコトも言えなくなるから。
皆でワイワイして、お酒呑んで、和気藹々として、気を緩ませてから。
本音をさり気なく聞いてしまおう、ってコトらしい。
そんで、セッティングされたのが、休日前の飲み会だった…。
--*--
「あ〜、毛利さん、沈没しちゃったね」
「お酒、あまり強くないんだ、メモメモっと」
「おい、元親、送り狼して来い」
「……何何何、どうしたでござるか」
兎に角、いつも通りを心懸けた俺達の飲み会に、最初目を丸くしてた毛利だったんだが。
本当にチョッとだけ、チビチビと飲んでた酒のおかげで砕け始めてよ。
話し掛けて、話を聞くのが上手い慶次と猿飛に誘導されて、機嫌良くなってた。
俺の右隣で、ビールのジョッキを両手で持って、所謂赤ちゃん飲みで、ビールをゆっくりと飲んでた毛利。
その姿の可愛いコト!
俺は最初にそのポーズを見た時、ビールを吹き掛けた。
寸前で、止められたのは奇跡だ。
隣に毛利が居る。みっともねえトコ見せられるかってプライドで耐えた。
酒があまり強くないからと、セーブしながら飲んでる姿は、無防備で。
毛利にこんな一面もあったのかって新発見の動揺と可愛くて、俺の動悸が毛利に聞こえるんじゃねえかってくれえだった。
隣に居る特権で、チラチラと見ると目元が酔いで、ほんの少しずつ赤くなってく。
普段、眼鏡で澄ましてる表情が、ほんわりと緩んでる。
こんな顔もするんだ、出来るんだってよ。
ホント、俺は感動モンだった。
そんで。
毛利のアルコール摂取の限界は、ビール一杯と判明したトコで。
毛利は隣に居る俺の肩に凭れ掛かって、寝息を立て始めたってワケだ。
耳に掛かってた髪が、頭を傾けた所為で落ちてくる。
目を閉じた所為で、告白以来の睫毛長えが実感出来る。
スゥスゥした寝息が聞こえてきて、俺の耳を擽る。
すんげえ、可愛い…。
「良かったねえ、元親。毛利さん、元親の事好きだよ、絶対」
「俺様もそう思うね、こんな姿晒せるくらいなんだからね」
「舞い上がって油断はすんじゃねえぞ」
「????? 何がどうしたのでござるか?」
各自、各々の励ましに俺はニッと笑ってやる。
毛利の肩に手を回して、身体をちゃんと支えてやりながら。
俺の方に、しっかりと引き寄せながら。
2013.04.02 back
とある出来事からのネタを瀬戸内変換しましたv
リーマン瀬戸内
2人が付き合い立てホヤホヤの話です
アニキ視点です