【切り取り線】 E
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全部何もかも
気付いてるなんて無理
知らない事
知らなかった事
あって当然なのだから
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ヤバい、ってのは判ってはいるんだ。
そんなの最初っから、な。
止めとけ、止めとけ、ってよ。
チャンと、俺自身が警告してきてたんだからよ。
けどな。
それとは別のモンが、別にイイんじゃねえか、って囁いてもきてた。
ああ、知ってるさ。
詭弁だってコトはよ。
けどよ。
そうでも、しねえとヤバいんだわ。結局。
どっかで理由付けしとかねえと、俺がさ。
…ヤバいんだよ。
「…な、何を…っ」
「ナンでもいいんだろ?」
「だっ、だからと言って」
「アンタに二言はねえよな、毛利先生?」
至近距離で見ている顔が、グッと悔しそうになる。
ありきたりだけどよ、こんな顔もするんだ、ってのが感想だ。
いっつも澄ましてる。
焦りなんて無縁。
余裕綽々で、冷血のいけ好かねえヤツ。
その印象が、ひっくり返った。
しかも、原因が俺だなんてよ、ゾクッとする。
気持ちイイ。
ヤバいコトしてる自覚がある分、イヤ、それ以上にだ。
嗜虐趣味っての?
そんなのあるんだなあ、俺にも。
「…ならば、もう良いであろう」
「全然」
「…何を言ってる?」
「ナニを言ってんのは、そっちだって。もう、なワケねえだろ?」
「ち、長曾我部っ」
「足りねえよ?」
暴れ出したけど、時既に遅しだって。
俺に両手首掴まれてよ、黒板に押し付けられてんだぞ。
俺の身体にな。
体格差考えたって、撥ね退けられたらすげって。
「は、離せっ、離さぬかっ」
「ダーメ、離したら逃げちゃうだろ」
「当然だっ」
「だから、離してやんねえの」
さっきから、表情がコロコロと変わってくのがよ。
見てて、愉しい。愉し過ぎる。
この怯えてる表情が、ナンとも言えねえ。
縋りたくねえのに、俺にしか懇願出来ねえってのが。
俺が離さなきゃ、離して貰えねえってのが判ってて。
そんでも、それをナンとかしようって足掻いて焦ってる顔が。
マジ、すっげえ、そそる。
本気で、可愛い。
毛利にそんなコトを思うなんてよ。
俺、ネジでも飛んだかってカンジなんだけどさ。
毛利も、同じように飛んだんだろ。
俺のコト、盗み見してるなんてさ。
似たモン同士じゃねえか? あはは。
「は、離せ、嫌だ、離せっ」
「だーから、ダメだって」
ジタバタジタバタする毛利が、可愛い。
だーから、ヤバいんだって。
手加減出来なくなるぞ。
おい、こら。チャンと聞けよ。
ナンてな。
俺は半分以上パニックを起こしてる毛利を。
更に黒板へと押し付けて、噛み付くようにキスをした。
全部の抵抗を奪ってやる為に。
2013.10.17 back
瀬戸内:現パロ、2人とも小学校教諭です
BGMはボカロの【キリトリセン】です
某R様のお誕生日プレゼントのつもりでリクエストを頂いた話です
長曾我部先生が、とても愉しんでるぞ編ですv