【本当の気持ち】 C
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今まで普通だった事が
いきなり覆る
そんな現実を
いきなり突き付けられて
納得出来る筈なんか無いんだって
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隣を歩く元就をチラチラと、俺は見てた。
こっち見てくんないかなあ、と思いながら。
ナンだかんだ言って、目が合えばナンとかなってきたからよ。
たったの一年だろ? 離れてたのは。
それぐれえ、ナンでねえだろ? なあ、元就。
それが、まさか、ひっくり返されるなんてよ。
思いもしなかった。
だから、俺の行動は一拍遅れて、元就を捕まえるタイミングを逃して。
スルリと逃げられちまった。
あっ、という間に。
呆気に取られちまった間に。
元就ぃ。
反則だろ。狡いだろ。
目に涙を溜めるなんてよ。
お前が泣くトコなんて、滅多にねえんだから。
いきなり、あんな顔を見せられたら俺だって固まるって。
はあ〜〜〜っ。
マジ、ヤバいって。
お前、ナニ考えてんだよ。
バカはねえだろ、バカは…。
俺は脚の力が抜け掛けて、その場にしゃがみ込みたくなった。
けど、ココでヘタレてたら、ダメだよな。
正に、バカだ。
元就のあーゆー時ってのは、直ぐに対応した方がイイんだ。
時間を置くと、拗らせる。
これは経験上、すっげ知ってる。
伊達に、幼馴染みはしてねえぞ。
お前、俺を甘くみんなよ。
俺はバンッと挫きかけてた膝を叩いて、背筋を伸ばした。
こーゆー時、お隣のお兄ちゃんの立場はありがてえ。
顔パス、使い放題だモンな。
「こんちはー」
「あら、元親くん、お久しぶり、帰って来たの?」
「お久しぶりです、今度は自宅から通うんで」
「そう、元就が喜ぶわ。口にはしなかったけど寂しがってたから」
「その元就に会いに来たんですけど」
「どうぞどうぞ、上がって、部屋に居るから」
「お邪魔しまーす」
ほらな。
元就ん家での信用、ハンパねえだろ。
長年培ってきたモンだからな。
だから、下手なコトも出来ねえってコトもあんだが…。
ま、どうにかなるだろ。
「元就ぃ、入るぞ」
「許可しておらぬっ」
声を掛けたの同時に、ドアを開ける。
俺が来たのは判ってたろう。
いきなりナンかが飛んできた。
俺はそれをキャッチしてみると、俺がやった誕プレのウサギのぬいぐるみだった。
「おーい、投げたらウサちゃん可哀想だろう」
「…だ、だが」
「だが、じゃねえの」
俺はベッドの上に座って、毛布を被って、しどろもどろの元就の前に座り込んだ。
ナンとなく、ジッと元就を見てみた。
あー、たった一年じゃねえな。
もう一年経ったんだなあ。
元就はチャンと成長してる。
幼馴染みの妹みたいなの、だけじゃなくなってるのか?
「何をじろじろと見ておる」
「んー、元就のコト見てんだよ」
顔を見事に綺麗な紅に染めた元就の小さな手を。
俺はギュッと握ってみた。
2013.10.28 back
瀬戸内:現パロ、大学生アニキと中学生ナリちゃんです
BGMはボカロの【ホントのキモチ】です
某P様へのお誕生日プレゼントです
即実行のアニキの快進撃?(笑)