【本当の気持ち】 E
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大事だと思っている
だから大事にしたいと思ってる
そんな風に思う理由は一つだけ
その相手が好きだから
本当に好きだから
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元就はちっこい頃から気が強くて。
あんま泣いてたって記憶がねえ。
けど、それってナンでもかんでも耐えちまうってゆー悪癖でもあるんだよな。
感情を外に出すのが、下手。
けど、俺だから判る。
幼馴染みの俺だから、ってのはあるんだ。
それはそれで、優越感はあんだけどな。
あんま良くねえモンじゃねえってのは判ってても。
俺に取って、元就は特別だからよ。
どうしても、切り離せねえ。
年上の威厳なんか、実はギリギリ崖っぷちなんだわ。
元就に関しては。
これが離れてる間に、気付いた俺の気持ちだ。
一年振りに会った元就に、対しての。
「も、元就?」
元就からのアクションなんて、驚くしかねえ。
言葉数は少ねえし、肝心な時も口を閉じたまんま。
内へ内へと、本心を籠もらせちまう元就からの。
伸ばされた手。
感情が現れた表情。
涙が溢れた目。
どれもこれもビックリで、嬉しくて仕方ねえ。
「元就、好きだぞ」
しがみついてきた元就に、囁いてやる。
今更ながらの、告白。
もうホント、今更だから余計に言っとかなきゃと思った。
わざわざ口にしなくても、判ってるよなって思い上がりが。
今更ながらに、恥ずかしいわ。
チャンと言っとかなきゃ、伝わらねえ。
いや、それよりも当たり前過ぎて気付いてなかったんだな。
迂闊だなあ。
それで、元就をしょんぼりさせてたんだもんなあ。
ゴメンな、元就。
「俺は元就が好きだからな」
ビクッとする頭を撫でてやる。
焦らねえ。
自惚れじゃなく、同じ気持ちの元就を俺は待つ。
時間はいっくらでもある。
その為になら、待ってられる。
我慢もしてやる。
元就の為なら、俺はそれが出来るんだよ。
「元就は?」
背中をポンポンと叩いてやりながら、聞く。
元就は無言のまんまだったけど。
しがみついてくる元就からは、色んなコトが伝わってくる。
途惑いとか。
ドキドキしてんのとか。
嬉しがってんのとか。
元就の気持ちが。
「なあ、元就」
顔を左右に振る元就を少しだけ引き剥がして、目を見る。
俯かせる顔を覗き込んで、笑ってやる。
答は判ってても、元就の口から聞きてえ。
俺も言ったんだ。
チャンと言わせてやるからな、元就。
そんな真っ赤な可愛い顔しても、それは許してなんかやんねえ。
ほら、言ってみろ。
俺が『好き』だって。
2013.11.01 back
瀬戸内:現パロ、大学生アニキと中学生ナリちゃんです
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アニキってば、あんまイジメちゃダメだよー編(笑)