orange 〔12〕


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理解出来ない物がある
それでも解決出来ない物は無いと
ずっと思っていた
確証なんかなくとも

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昼休み。
う〜〜〜ん…どうしたモンか。
俺は携帯を睨み付けながら、考え込んでいた。

ウンともスンとも言ってくれねえ携帯。
毛利からの返信がねえ。
だったら、俺からメールすりゃイイっての判ってんだ。
けど、そんなにしつこくしてもいいんだろうか、ってのもある。

すんげえ、悩みどころだ。

毛利の具合が悪くて、学校休んでて。
心配で心配で仕方ねえんだけどさ。
毛利からは【心配無い、大丈夫だ】って言い切られてっから。
大丈夫なんだって思ってはいる。

でもなー、それとこれは別でよー。
顔、見てないのが心配を増幅させてんだよなー。
初デートの後から、全然見てねえ。
つーか、会ってねえ。
それまで、毎日、顔を合わせてたってのによ。
それが、パッタリで…元々メールの数も少なかったしよ。

つまり、落ち着かねえんだわ、俺が。
会いてえなあ、毛利に。


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「あれー、元親、随分落ち込んでっけど大丈夫?」
「Ha! ほっとけほっとけ、どうせ又毛利絡みなんだろ?」
「…そーだよ、悪りいかよ」

どーしてコイツらって、直ぐ喰い付いてくんだか。
ナンで、直ぐバレるんだか。
あー、頭痛え。

「あれ? まだ具合悪いの、毛利さん」
「随分と長いねえ。旦那、心配だねえ」
「…ん」
「連絡はしてんだろ?」
「…返事、ねえんだ」
「え? それじゃ、心配だ。大丈夫なの?」
「家政婦さんがいっから、大丈夫は大丈夫だと思うんだけど…さ」
「返事がねえのに、落ち込んでるって訳か。
 あんま、頼りにされてねえんじゃねえか?」

グッサリっ!
政宗の野郎〜、俺が一番気にしてるトコを突いてきやがった。
毛利の具合が一番の心配は心配だ。
けどな、それとは別に、こんな時こそ頼りにされてえってのがあるんだ。
まだ日は浅いけど、付き合ってるんじゃないか。
デートだってしたばっかだけど、2人きりで出掛けたろ。

だったらさ、頼られたって普通だよな。

「あ、ほらさ、元親に心配掛けたくないって毛利さんの心遣いなんじゃない?」
「そうそう、元気になったら連絡するつもりじゃないかなあ、そんな感じするし」

慶次と佐助の双方からの慰め。
確かに、俺もそう思う。
毛利からの連絡をドンと待ってりゃいいって。
そんくらいの気概持てってコトもよ。

「Ah〜、無理無理。コイツ、ヘタレだもんなあ」
「煩せえ、お前に言われたくねえわ」
「お、図星ってな」
「煩せえんだって」

政宗なりの励まし方ってのが、判る。
コイツは口は悪いが、イイ奴だかんな。
少し気が軽くなって、俺は笑った。

「そーゆー顔してろって、それが取り柄だろ」
「痛えっ、つーんだよ、お前はよお」

マジで、バンッと背中を遠慮なく叩かれた。
一瞬、咳き込んだけど、その後。
俺達はその場で大笑いした。

用事から戻って来た真田の爆弾宣言が落とされるまで。


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『毛利殿、お元気になって良かったでござるな』

脳天直撃なコトを言い放った真田に、俺は掴みかかっちまった。
周りの制止で、ナンとか押し留まって話を聞くと。
職員室で、毛利を見たと。
絶対に見間違えではないし、話掛けて話もしてきたと。
自信満々に言ってくる真田に、俺の頭ん中はパニックを起こしていた。

一体…どういうコトなんだ…。
毛利は学校に来ている。
真田が嘘を付くワケがねえ。
けど、俺はそれを知らなかった。
俺は、教えて貰ってねえ。
毛利は、教えて…くんなかった…。

何故だ。
どうしてだ。

グルグルと、そればっかが回る。
判んねえ。判んねえよ…。
拳をきつく握り、俺は奥歯をきつく噛んだ。

ココで、こうしてたってどうしようもねえ。
俺は毛利の口から直接理由を聞こうと、教室を飛び出した。





2011.06.29
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