orange 〔13〕


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灯った明かりから目を逸らす
閉じただけでは
瞼の裏に明るさを感じてしまうから
こんな抵抗をしてしまう

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あまり、考えたくは無い。
頭痛がする。
余計な事を排除してしまいたい。
考える事自体を止めれば良いのか。

気ばかりが重くなってゆくのを。
我はぼんやりと受け止めていた。
教室の椅子へと座り、外を眺めながら。

どうしたら良いのか、その方法が未だ見つからぬ。
こんなにも悩む己も信じられぬ。
堂々巡りの思考は、疲労するばかりだ。

この儘、机に突っ伏してしまいたい気分に陥る。
何の解決にならなくとも。

長曾我部ときちんと話をした方が良いのだろう。
友人の振りをする必要は無いと。
何故、長曾我部が我を友人とするのか判らぬが、続ける必要は無い。

面倒見が良いからだ、とか。
放っておけない質だ、とか。
親切ごかしなのもあるのだろう。

あの時に聞いた単語…【大変】【我慢】が、どうしても残る。
耳の奥から離れない。
我が相手なら、当然だと思う気持ちと説明の出来ない苦しさと共に。

それらがどうして消化出来ないのか。
こんなにも棘が刺さったように、抜けてくれぬのか。
…判らぬ。判らぬのだ。
息苦しさばかりが、増していく。

ふと、頭痛が酷くなった気がする。
顳を押さえても。
ズキズキとした痛みが、襲ってくる。

早退するべきか、どうするか。
そう考えた瞬間、廊下側の引き戸が大きな音を立てて開き。
次に、我の名前が大きく呼ばれた。

それに返事をする前に、手首を掴まれ。
我は教室から引き出されていた。


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長曾我部?

強い力で、長曾我部は我を引っ張ってゆく。
最初に名前を呼ばれたきり、後は無言で。
その所為で、混乱が酷くなる。
何故だ、ばかりが頭の中に広がる。

長曾我部が我の教室に来た事。
理由も言わず、教室から連れ出された事。
それに対し、己が何も言わぬ事。
我から見える長曾我部の背中に怒りが見え、それに我が怯んでいる事。

足を止める事さえ出来ず、我は長曾我部と屋上へと出ていた。


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空が青い。
屋上に出た時に、そう思い、見上げると怒りの表情の長曾我部と目が合った。
又、混乱してしまう。
我は唇を噛んだ。

「毛利、どうしてなんだよ?」
「何が…だ」
「何がって、どうして学校に来てるのに俺に連絡くれないんだ?」
「………」
「心配してたんだぞ、メールだってしたのに返事くれねえしよ。
 ずっと待ってたってのに、どうしてだよ? 酷えじゃねえか」
「………」
「毛利、ナンとか言えよ」

ぐっ、といきなり両肩を掴まれた。
その痛みに、顔を顰めてしまった。

「あっ、ゴ、ゴメンな、毛利」

ぱっ、と手を放され、謝罪される。
心配そうに、愁傷な顔で。
我は長曾我部から目を逸らした。
又だ。何故だ。
何故、我を気遣う。そんな必要は無い筈だ。
何故、我を構う…。

「…あのさ、俺、ナンかしちまったか?
 だったらさ、謝るからさ、教えてくれよ」
「………」
「話してくれねえと、俺、判んねえからさ」

話して、どうなるというのだ。
話しても、どうにもならない筈だ。
話したら、我が惨めになるだけだ。

「…もう良い」
「え? 何がだよ」
「我と付き合わなくて良い、という事だ」
「え? いきなり何を言い出すんだよ」
「【大変】ならば【我慢】などして我と付き合って貰う必要は無い!」

両手で、長曾我部の胸をドンと突いた。
開いた距離の隙を付いて、長曾我部から我は離れた。
卑怯でも構わぬ。
我は長曾我部が逃げる為に、動いた。





2011.07.28
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元親×元就、学園パロ、青い春な話
元就視点、自分の心の迷宮に迷い込み中で、出口見えずです