orange 〔14〕
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一番にしなくちゃならない事
どんなに驚こうが
どんなに慌てようが
大事なものはしっかりと
この手で掴んで離さない
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落ち着け。
落ち着け。
落ち着け、俺っ!
今にも爆発しそうな感情を俺は必死に抑え込んだ。
頭キテんのか。悔しいのか。
一言でナンか、言えねえ。
いや、言葉にナンかならねえ。
苦しくて仕方ねえ…。
俺って、一体ナンだったんだ?
毛利からしたら、どんな存在なんだ?
俺は…付き合ってると思ってた。
まだ日は浅いけど、付き合い始めたばっかだけど…。
付き合ってるんだよ、俺達はっ。
それが、ひっくり返された気がした。
けど、それを俺は信じたくねえ。
だから、確かめてえんだ、毛利に。
毛利から、ちゃんと聞きてえ。
どうしてなのかを。
俺は一直線に毛利の教室に飛び込んで。
毛利の手を掴んで、屋上へと向かった。
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ぐいぐい、と思いっ切り引っ張って来た。
抵抗してんのか、動きの重い毛利の腕をきつく握って。
自分でも判ってる。
無茶やってんのは。
けど、力が抜けねえ。
どんどん、力が入ってく。
俺は…一体、何をする気なんだ?
何をしたいんだ…。
頭ん中が、グルグルする。
奥歯が、ギリッとする。
屋上に出て、俺はダンっと足を踏み締めた。
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落ち着けねえ。
落ち着かねえと、なんてどっかに吹っ飛んでった。
目の前の毛利から、俺は目を離せなくなった。
睨み付けてた。
こんなコトしたくねえってのに。
俺は毛利を追い詰めていっていた。
「毛利」
俺から目を逸らそうとしてる、毛利。
口を噤んで、誤魔化すじゃなく話そうとしてくんない、毛利。
ナンか…すげえ悲しくなってきた。
けど、その分、俺は毛利を揺さぶっちまった。
止めろ、俺って思いながら。
そんな自分に嫌気が最大級になったトコで。
毛利が叫んだ。
え? 毛利?
「ちょ、一寸待てって、毛利っ」
「離せっ」
凄い勢いで胸を押された。
俺は一瞬何を言われたのか判らなかったが。
俺はジタバタしてる毛利を捕まえた。
「どういうコトだよ、毛利」
「言葉通りだっ」
「俺がいつ、毛利のコトを【大変】とか【迷惑】って言ったんだよ」
「友人達に話していたではないかっ」
「え…」
記憶…記憶を俺は必死に探る。
ぼやけてはいるけど、ナンかそんなコトを政宗達に口にしたような気が…。
けど、それはよ。
「それは言葉のアヤつーか、本気のワケねえだろ」
「そんな事は我は知らぬっ」
毛利の抵抗が強くなる。俺の腕を外そうと躍起になってる。
俺から本気で逃げようとしてる。
俺の方を全く見ないで、俺の手を振り解こうとしていた。
その様子を俺は呆然としながら見ていて、ドンドン悲しくなってきた。
誤解だの一言で済むモンじゃない。
ここまで、毛利が感情を剥き出しにしてくんのに。
こんなに、毛利に辛い思いをさせてたコトに。
俺は自分の頭を殴りたくなった。
「毛利、ゴメンっ」
「離せ、長曾我部っ」
「嫌だ、離せねえっ」
毛利の身体ごと、俺は力の限り抱き締めた。
ぎゅうっ、と。
絶対に離すもんか、って勢いで。
毛利の息が詰まったのが判っても、更に力を込めて。
俺は毛利を両腕で、抱き締めた。
「ゴメン、毛利…ゴメン、俺が悪い。悪かった」
「聞かぬ…聞きたくなど無い」
「ゴメン、ホント…ゴメンな」
「嫌だ…離せ」
俺は自分の不甲斐なさに頭を垂れながらも。
小さくなってく抵抗に、毛利を逃がさないように、抱き締め直した。
2011.07.30 back
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