Melody Fair【right】
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好き以外の言葉が見つからない
そのくらい愛してる
俺はアイツ一人を
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元就は1つ年上の、隣に住んでた幼馴染みだ。
一番古い記憶は、俺が小学校に上がった時に、元就の一家が海外転勤で引っ越しの日で。
それが嫌で嫌で必死に引き止めて、大泣きしてた俺を覚えてる。
…出来たら、抹消してえ。
ガキん時の記憶だが、元就は子供だってのに美人だった。
日本人形みてえに、綺麗だった。
それは今も鮮やかに覚えてる。
そんな元就の一番近くにいたのは、隣に住んでる特権の俺で。
凄く誇らしくて、自慢だった。
元就も俺を大事にしてくれていた。
年上って事と。
その頃の俺はチビで人見知りが激しく、半引き籠もりだったからで。
生真面目な元就は、ほっとけなかったんだろう。
それでも何でも、俺は良かった。
元就の傍で、元就の一番で、一緒にいられるんなら。
俺は元就が大好きだったから。
それが大人の事情で引き離されたんだ。
…いや、それは仕方ねえって今は判っちゃいるけどな。
子供心にどんなに傷付いた事か。
暫くは手を付けられなかったらしい。
そこら辺は覚えてねえんだが、今まで大人しかった分、爆発したらしい。
兎に角、そんな俺に元就は1つの約束をしてくれていった。
『そなたが我を好いてくれるのはわかった。
それならば、我に相応しくなるよう努力せよ』
『なるよ、なる。なるから、おっきくなったらけっこんしてくれる?』
『ああ、良かろう』
『ほんとだよ、ぜったいだよ、わすれちゃいやだよ』
『約束した。我は守る。そなたこそ忘れるな、約束ぞ』
『うん!』
ガキで本気で、約束を守る気満々だった。
そこに嘘なんか一個もねえ。
子供心に、元就って存在をしっかりと刻んでいた。
――んで、月日が流れた。記憶が薄くなるくらいの時間が経ってた。
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小学校、中学、高校、大学を順調過ごして。
俺が就職して1年目に、元就はいきなり帰って来た。
隣に、家族で帰って来た。
丁度、そん時に俺は仕事が休みで、帰国の挨拶に来たトコで衝撃を受けた。
ドコにあったかってくらいの記憶が、一気に蘇った。
玄関に立った大人になった元就の姿を見た途端に。
悲しくなるからか、辛くなるからか。
俺は元就の事を思い出す事は、殆どしなかった。
それが無意識なのか、意識してなのかも判らねえが。
自衛だったのかもな。
約束が成就しなかった時の。
けど、元就が帰って来て。
あの時のまんまに、綺麗は変わってないが。
背は伸びて、もっと綺麗になってて。
俺を見て、笑ってくれたら。
俺の事をその声で、呼んでくれたら。
頭に血が昇って当然だろ。
その場で、プロポーズするだろ。
俺の家族も、元就んちの家族も、固まったけどさ。
元就はOKしてくれた。
当然とばかりに。
流石に、抱き締めて、キスしようとしたのは平手で止められたけどよ。
…ちっ。減るモンじゃないじゃねえか。
固いトコ、変わってねえのな。
まあ、そんなトコも好きだったしな。
惚れた弱味、全開だな、俺。
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この後は、蜂の巣を突いた騒ぎになったが。
反対は全くされなかった。
元就の兄貴の興元さんが、仕事でいなかったのも幸いして。
手放しの賛成をされた。
…シスコンの興元さんがいたら、大反対必須だったさ。
話は速攻で、トントン拍子に決まった。
元々、お隣さん同士で仲良かったもんな。親同士が。
支障ってモンがナイ。
…ちゃんと就職しといて良かったぜ。
…丁度、付き合ってるコもいなかったしで。
タイミングがバッチリだった。
きっとさ、運命的なモンが働いたんだな。
俺と元就の間に、よ。
と、後日、元就に話したら一笑に付されたけどさ。
『相変わらず、夢見がちな性格なのだな』
『なんだよー、ロマンチックでいいじゃねえか』
『悪いとは言っていない』
『だったら何だよ』
『チカらしさが変わっていないのが、我は嬉しい』
『なっ、ナリ』
『どうした?』
『いきなり言うなよー、恥ずかしいだろ』
『そうなのか?』
『そうなのっ!』
真っ赤になった顔を掌で隠しながら、指の隙間が見た元就は。
何度でも惚れてしまうだろうって顔で、微笑んでた。
畜生っ!
これまで離れてた分も、惚れてやる。
これからの一生分だからな、元就。
覚悟してろよ。
2011.02.21 back
元親×♀元就、現パロ、弐萬打キリリク話
元親視点、幼馴染設定の結婚行進曲、その1