花の名前 小手毬


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柔らかみが増していく
甘みのある香りが薫る
腕の中に囲えば
花の様に綻んでいく

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元就の天然加減には慣れているつもりだった。
何しろ、子供の時から変わっていない。
自覚ナシに行動に移す。

子供の時なら、可愛いで、済ませられたが。
成長した今では、可愛いだけじゃ済まない。
済まないってのに、元就はそれを判っていない。
人がどれだけ我慢してると思ってるんだ?
そんなの考えた事もねえだろうってのは、判ってても。
文句のひとつも言いたくなる。

…言った事はナイけどな。

可愛い可愛い、お嬢様。
執事の俺に取って、元就は仕える事が大前提であり。
それを崩すワケにはいかねえ。
いかなかったんだけど、な。

俺も男だ。
普通の、な。
限界ってモンがあるんだよ。
それを元就は全く判ってねえ。
人がどんだけ努力して、自制心保ってっか判ってない。
だったら、判らせてやりたくなっても仕方ねえだろ。

真っ赤な顔して睨んでも、もお遅えよ。
責任はきちんと取るが、お前も半分取らせてやる。

跪いて、元就のガーターベルトを留めていた手を。
その儘、元就の細い脚に意味を込めて触り始めた。


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「っ!」
「動くな、危ないぞ」
「ちょ…長曾我部?」

俺の指の動きに驚いた元就が、困惑した顔で俺を見下ろしてくる。
さっきまでの極力、肌には触れないものじゃない。
あからさまに、肌の上を触っていく。
脚の内側を上下に撫でてやった。

「な、何を…」
「ジッとしてろ」

左足の膝裏を掬って、俺の肩に掛けてしまう。
不安定になった元就が、慌てて俺の肩を掴んできた。

「やっ!」
「騒ぐんじゃない」

ぴしゃりと言ってやると、元就の身体がビクッと硬直した。
執事の言葉遣いじゃないのに、気付いたようだ。
今度は恐る恐るといった形で、俺を見る。

「…長曾我部?」
「何だ、元就」

あっ、と元就の口が小さく開かれる。
目が真っ直ぐに俺を見つめてくる。
期待と不安を目一杯に湛えて。
だから、元就が一番望んでいる言葉。
俺が一番伝えてやりたい言葉を。
俺は口にした。

「好きだよ、元就。お前は?」
「我も…好きだ、元親が…好き、だ」

小さく途切れ途切れに、それでも、元就もはっきりと口にした。
頬を染めて、それは嬉しそうに幸せそうな表情をして。
俺が見てみたかった顔で、細い両腕を精一杯伸ばして。
元就は俺にしがみついてきた。


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「……あっ…や、っ」
「元就、嫌か? 止めるか?」
「いっ、やだ…やめ、たら…いや、っ」

顔をこれ以上ナイってくらい真っ赤にして、元就が訴えてくる。
俺が脚を愛撫する手を止めないのを。
どうしたらいいのかって、大混乱してる元就は可愛かった。

気持ち良くないワケがナイ。
触る度に、薄い皮膚を通してピクピクと震えてる元就の脚が。
うっすらと赤味を増してってる。
但し、ストッキングから見える部分だけな。
殆どが、さっき俺が履かせたストッキングの中に隠されている。
そして奥まった箇所にある、ガーターベルトに。
何よりも、そそられる。

子供の域を脱しきれないクセに、大人ぶろうとする元就の。
中途半端な、それでいて必死な姿に。
この儘にしておきてえってのと。
他の何も見せずに、俺だけのモノにしてしまえっていう凶暴さが湧いてくる。
庇護欲と加減のナイ独占欲が。

差し出した手を無我夢中で掴んでくる。
ずっと距離を置いていたのを埋めようと。
離れまいと。
元就が素直に。

だったら、もう離さなくてイイよな。
ここまで育つのを待ってた分もな。


「元就」
「あ、やめ…ちゃ、嫌…」
「ヤメねえよ」

動きを止めた俺に不安気な目で俺を見てくるのに、苦笑しつつ。
立ち上がって、自分で支えきれなくなった元就の身体を抱き留めてやる。

「元就、好きだからな」
「我も…」

元就の指が俺の胸元をぎゅっと掴んで見上げてくるのが、可愛かった。
それを見つめ返しながら、元就の後ろ頭に手を当て、グイッと引き寄せ。
俺は元就の小さな唇へとキスを落とした。





2011.04.22
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元親×♀元就、現パロ、22223打キリリク話
元親視点、執事さん理性決壊中〜(笑)