
by 遙かβ
猪八戒――12歳。中学一年生。
この春、名門天界学園の小学部から中等部へと。
優秀な成績で、進級。
吹奏楽部所属。
春の合宿に、自宅の山荘を提供する為に。
先に一人で来て、掃除をし、部屋の中に風を通していた。
天気も良く、静かな場所。
暗雲が近付いている事など、気付き様もなかった……。

「うん。大丈夫だから。
本当に心配性だね、花喃は。」
夜の8時。
夕食を済ませた処で、姉の花喃から電話が掛かり。
八戒は、今日一日の事を報告しつつ、安心させる為の言葉を伝えていた。
「うんうん、分かったから。
じゃあ、お休み、花喃。」
ピッと、電話を切り、カチャッと、受話器を置く。
これが、外界との最後の通話となった事を知らずに――。
「あ、もう8時を過ぎてる。
戸締まりの確認をしておかないと。」
そう、呟いてリビングを出て行く。
小さな、不自然な音を聞き逃して――。

一階を点検してから、二階へと上がる。
一部屋ずつ確認して、最後に今晩の自分の寝室の扉を開ける。
『あれ?
僕、カーテンを閉めていなかったけかな?』
右半分が開いていて、左半分は閉められて。
何か変な感じはしたが、鍵はきちんと掛けられていたので。
自分の勘違いだろうと、八戒は納得してしまった。
そして。
今度はと、カーテンをきちんと、閉めた。

まだ、寝るには早いので、テレビでも観ようと。
リビングへ戻り、八戒がドアを開けると。
自分以外、誰も居ない筈の室内に、人の気配がし。
ソファに人が――金色の髪が見え。
八戒は、咄嗟に声を上げようとしたが、背後から伸びて来た掌に。
口を塞がれ、身体を抱き込まれた。
「ごめんなー、勝手に入って来ちゃってさー。
でもさ、日が暮れちゃって、難儀しちゃってんのよ。」
口を塞がれた儘、八戒が後ろを見上げると。
飛び込んで来たのは、紅――紅――紅の洪水。
長く紅い髪をそのままに、黒いサングラスで目の表情を隠している男が居た。
口元をニヤリと笑わせながら。
男のその纏う雰囲気は、例え笑っていても。
一種独特のモノがあり、八戒が今まで会った事もないタイプで。
大人・子供という枠を越えた、ゾクリとした冷ややかさを八戒は感じた。
「そしたら、ここの灯りが見えて、ラッキーってな。
つい、お邪魔させて貰っちゃったって訳。」
「うん、ホント、ごめんな。
でもさー、腹減っちゃって死にそうだったんだ、俺。」
又、別の声に八戒はびっくりする。
大きな金の瞳が、八戒をニコニコと見ていた。
「悟空、悟浄、あまり余計な事は。」
「…話すなって、ね。分かってるって。
けどさあ、この子が怯えちゃってからさ。
取り敢えず、命の危険だけはナイっての教えてあげないと、可哀想じゃん。
でしょ、三蔵さま?」
「命の危険か…。」
先程の、鋭い声が含み笑う。
「悟浄が、いなきゃだろ?」
悪戯気に、楽しそうに笑い出す。
「うっせーよ、サルっ。」
「サルってゆーなっ。
あっ、俺は悟空ってゆーんだ、宜しくな。」
三蔵と呼ばれた男の近くに座り込んで。
キッチンにあったパンを頬張っている少年が。
明るく屈託なく自己紹介をする。
その金色の瞳で、八戒を値踏みしながら。
「すっげえ、かわいいじゃん。
モロ、悟浄の好みだね。
でも、男? 女?
お人形さんみたいで、俺、分かんねーや。」
「それはね、剥いてのお楽しみって。
よお、悟空、手伝えよ。」
「OK!」
抵抗をする間もなく、八戒の両手首が一纏めに括られ。
後ろ手に動きを封じられる。
それから、悟空と悟浄の2人掛かりの手に依って。
八戒から、服が全て取り除かれた。
「男の子かあ。」
「男の子だね。
つっるつるの、すべすべで、かわいーっ。」
「やっ、止めて下さいっ。」
まるで、捕まえた昆虫を玩ぶ様に。
悟空が無遠慮に、八戒の胸から腹の辺りを触り出す。
悟浄は、背後から細い肩に顎を乗せて全身をマジマジと見回していた。
自分の身に何が起きているのか、理解の範疇を越えてしまい。
八戒は、すっかりと固まってしまっていた。
「さてと。おい、悟空。お前は終わりだ、終わり。」
「えー、何、又、悟浄いつものやんのか?」
「モチv」
「すっきだなあ、悟浄はごっこ遊びが、さ。」
「ガキには分かんねーよ。大人の遊びだかんな。」
「おい。」
「はい?」
「程々に、しとけよ。」
「了解。んじゃ、行きますか。」
悟浄が八戒の膝裏に腕を通し、抱き上げる。
「あっ、そういや、名前、なんてーの?」
「……………八戒、です。」
問われる儘に、素直に答えてしまっていた。
「八戒ちゃんね。俺、悟浄。宜しくなv
よし、新婚さんごっこ・初夜編、スタート!」

手を縛られたまま。
服を脱がされたまま。
悟浄の腕に抱き上げられたまま。
八戒は、二階の自分の寝室へと運び込まれた。
「とーちゃーくっ。」
ベッドメイキングの済んだベッドに、そっと降ろされる。
これから、何をされるのかが全く分からず。
八戒は、困惑の表情で悟浄を見た。
「大丈夫、大丈夫。
そーんな不安そうな顔しなくっても、花嫁さんは旦那に任せときゃいーんだから。」
「……花嫁、って……僕、男ですよ?」
「だ・か・ら、『ごっこ』って言ったろ? 遊びだよ、あ・そ・び。」
楽しそうに言いながら、悟浄は上のシャツを脱いでベッドへと上がって来た。
「でも…。」
「はい、花嫁さんはもー喋らないの。
後は、旦那のテクニックにその身を委ねよーね。」
「なっ、何をするんですかっ。」
悟浄が、八戒の頬へと手を伸ばし。
急接近で、顔を近付いて来た。
「先ずは、キスからでしょ?
何しろ、この花嫁さんは処女なんだから、ちゃんと手順を踏んであげないとさ。
俺達の想い出の一夜だもんね。」
言い終わると同時に、顎を掬われキスを受ける。
八戒は顔を左右に振って逃げようとしたが、悟浄の力には敵わず。
奥歯を噛み締め、唇をぎゅっと引き締めた。
「緊張してんの?
花嫁らしくって、初々しいねえ。」
「ちっ、ちが…。」
声を発したトコロで、スルリと隙を逃さず悟浄の舌が。
侵入を果たし、八戒の舌を絡め取る。
あまりの生々しい感触に、嫌がって藻掻くが。
悟浄の大きな掌に、八戒の小さめの後頭部を押さえ込まれ。
しっかりと、固定されている為に、ひとつも逃げられない。
舌を絡め合い。
甘く噛まれ。
タバコの苦味のある唾液を嚥下させられる。
圧倒的な悟浄の力強さに、八戒の気力が奪われてゆく。
「かわいーなあ、八戒ちゃんは。
もしかしなくても、キスもファーストだよね?」
キスから解放され、くたりと荒い息しかつけない八戒の耳元に。
悟浄が熱く囁く。
そして、熱い息を吐く唇から。
悟浄は、顎――喉元――鎖骨へと嘗め降ろしていく。
自分の身体を他人が嘗めていく初めての体験に、八戒は身震いした。
「大丈夫だって、そんなに恐がらなくても。
俺ってさ、基本的に優しい男なんだからさ。
それに、ほおら、ちゃんと反応してんじゃん。」
身体は気持ちイイって、喜んでるよ。」
いつの間にか、すっかり立ち上がってしまっていた乳首を。
悟浄の親指の腹で、グリグリと転がされてしまった。
「あっ……ん、やぁ。」
「八戒ちゃんてさあ、男の子のくせにどこもかしこも、かわゆく出来てんだな。
ここは、ちっちゃくてピンク色しててさ…。」
ペロリと乳首を嘗められ、ピクリと身体が跳ねる。
「…美味しいし、さ。」
明らかに、愉しんでいる悟浄に。
八戒は一気に羞恥心を煽られた。
「もうっ、やめてっ…やめて、下さいっ。」
「そうやって、羞じらってくれちゃうのも、かわいいv」
ぐっと、息が詰まる。次の言葉が出せなくなった。
「さあってと。」
「な、何っ?」
急に、悟浄は上掛けを丸め込み。
八戒の上体を引き起こして、それを背当てにした。
「この方が、自分が、何をされているか、よおく分かるっしょ。」
「えっ?」
「よおく、見てんだぜ。
八戒ちゃんの身体が、八戒ちゃんの心を裏切ってさ。
俺に従順になってくトコ。」
「いや…いや。」
「女、抱く方より、俺に抱かれる方がイイってなっから。」
「いや…。」
「直ぐに、八戒ちゃんのこの細っこい腕が、俺にしがみついてえ。
『もっと』ってお強請りしながら、俺の背中に爪立てるから。
あー、たっのしみぃv」
「いやあっ。」

現実から 強引に引き離され
快楽の深淵へと 突き堕とされる
藻掻けば 藻掻くほど 絡みついてくる
甘く
濃厚な
蜜の様な 愛撫
悟浄の腕の中
八戒は夢を見ていた
醒める事を 拒否した 夢を――
2002.4.25 UP
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