曼珠沙華【4】
by 遙か
八戒の頬を撫でていた指先が、顎の線を辿り始め、喉元へと下りていく。
その間、悟浄の口元は喜びの形を取って笑っていた。
八戒は、一体自分はどこに集中したらいいのか、と。
思考に、パニックを起こしていた。
皮膚の上を悟浄の指が撫でていくのに、ざわっと悪寒が走る。
悟浄の笑っている顔に、見えない恐怖を感じて、身体が竦む。
止められない時間を目の前に突き付けられ。
八戒の緊張は、高くなる一方だった。
「どした? 大人しくなっちゃって。」
「…っ。」
耳朶をかりっと噛み、耳の中へと悟浄は直接、声を落とした。
聞き慣れている悟浄の声だというのに、全く違って八戒には聞こえる。
悪意の固まりを囁かれているようだった。
「観念しちゃったんだ。」
「違います。」
「ふ〜ん。」
「悟浄、お願いです。もう、止めて下さい。」
「どして?」
「こんなのは嫌です。」
「イヤ、なんだ。」
「意思を無視されて、嫌がらない訳ありません。」
「それは八戒の理屈だろ?
俺の意思はヤリてえの。八戒とヤリてえんだって。
無視すんなよ。」
「悟浄…痛っ。」
水掛け論より、埒の無い会話は。
悟浄が八戒の耳に噛み付いて、中断された。
「あ、痛かった? ゴメンゴメン。
お詫びすっから、許してな。」
赤く歯型の付いた部分を、悟浄はぴちゃぴちゃと舐め始め。
もう片方の耳は、親指と人差し指で摺り合わせて、丁寧に愛撫していった。
どんなに嫌がっても、逃げられない拘束をされている八戒は。
悟浄の思うままだった。
「お願いです、悟浄、もう…やめ……あっ。」
悟浄の掌が、八戒の脚の付け根にあてられ。
強引に、押し広げていった。
「痛ぃ、やめ…っ。」
「痛いんだ? じゃ、ヨクしてやんなきゃな。
…気持ちイーって、言わせてやんなきゃ。」
痛みに耐えていた八戒に、悟浄の呟きは聞こえなかったが。
身体で知る事になった。
脇腹に悟浄の指が触れる。
擽りながら、反応する箇所を根気良く、探っていく。
「ゃ…い、や……やめ…。」
指の動きにぴくりと反応した所に、悟浄は唇を寄せ舌で舐め軽く吸い上げる。
その一連の動作に、八戒がどう反応するかを確かめながら。
白いだけの肌に、点々と赤い痕が付けられていく。
「八戒、ここはどう?」
指先にぎゅっと捩られた乳首が、痛々しく勃ち上がった。
そこを悟浄は、癒すように口の中に含んで舐めた。
「あ……んっ、……うっ。」
「気持ちイーんだ。」
「そ、んな…こと…は、やめっ。」
上がる息の中、抗議する八戒の乳首に悟浄は歯を立てた。
「いつまでも、意地張ってっとロクなコトになんねえからな。」
痛みでずきずきと疼く所をぺろぺろと舐められて。
八戒は身悶えた。
痛みのみだったら、抵抗し続けられるのに。
ふと、正気付かせるように加えられる愛撫に。
八戒の身体は、快感を拾い始めていた。
本人の意思とは違う所で。
悟浄の手が、八戒の下肢へと伸ばされ。
混乱は、更に大きな渦となっていった。
【続】
モドル