四つ葉
by 遙か
背中を向けていても
ただ、喋っているだけでも
あの2人は、特別に見える――
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周りへの気遣いを常に配っている八戒ですが。
それはある意味、平等で誰に対しても同じという事になります。
けど、八戒にも彼なりの特別というものがありまして。
意識しているのが、三蔵と悟空の2人でした。
三蔵に対しては、姑の我が侭をきく、出来た嫁で。
悟空には、一人息子を可愛がりつつ、しっかりと育てるお母さん。
そんな役目、でした。
三蔵の横暴さに十歩位、先読みをして。
細々と世話を出来る細やかさ。
悟空の甘えを半分聞いて、半分窘めていく。
手際の良さ。
こんな風な八戒に、2人が懐かない訳がなく。
三蔵は言葉にしませんが、悟空が三蔵の分+自分の分を。
天こ盛りにして、言葉でも態度でも示しておりました。
そんなある日、八戒の所――つまりは、悟浄宅へ。
2人が、遊びに行く事となりました。
悟空は勿論の事、大喜びですが。
悟空に引っ張られる形を取って、三蔵も。
八戒に会える事を楽しみにして、家を訪ねて行きました。
約束した日。約束した時間。
すっかり、お客様を迎える用意が整っている家の中は。
居心地が良く、歓迎してくれる八戒の笑顔は。
いつもより、にこにことしていて悟空も三蔵も大満足でした。
ただ…そんな中で見てしまった一つの光景が…。
「八戒〜。」
「はい、コーヒーですね、悟浄。」
「頼むな〜。」
「少し待っていて下さいね。」
出来るものならば、視界の外に飛ばしたい。
一応、この家の主の悟浄の言動に。
2人共、ムッとする事が屡々ありました。
何故、悟浄が名前を呼んだだけで。
八戒は、その用事が判るのす。
コーヒーカップを差し出した訳じゃない。
ただ、椅子に座って名前を呼んだだけなのに。
この調子で、灰皿も新聞も。
同じパターンで、繰り広げられてゆく。
最初は吃驚。途中でムカッとなり。
最後は、いつもムカムカになっていました。
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さて、夕方になり。
三蔵と悟空は、帰る時間となりました。
泊まっていきたいのは、やまやまなのですが。
最高僧の公務は激忙しく。
今日も本当は仕事を詰めに詰めた末に取れた、一日だけのお休みでした。
名残惜しく、後ろ髪を思いっきり引っ張られつつも。
2人は八戒へと挨拶をしり、寺院への帰途へと着きました。
異常にニコニコ見送る悟浄に、一発見舞わしたい衝動を。
必死に堪えながら。
暫く、無言でテクテクと歩く中。
煙草を吸おうと、三蔵が袂をゴソゴソしていた手を止めて、一言。
「ライターを忘れてきたようだ。」
「悟浄んトコに?」
「ああ。」
「じゃ、俺が取ってきてやるよv」
「いや、俺も行く。」
まだ、歩き出して5〜6分。
戻っても、帰りに影響は大してないと判断して。
2人は、今来た道を少し早足で戻って行きました。
ほんの10数分前の事なのに、家の中から返事が無く。
けれど、ドアが開いていたので、2人は家の中へと入りました。
忘れ物を取りに来ただけなのに、何故か妙な圧迫感を感じてしまっていました。
ライターを置き放しにした場所の見当はついているので。
さっさと回収して、帰ろうと。
三蔵はリビングへ足を踏み入れ様として、急に足を止めました。
後から続いていた悟空が、顔面を三蔵の背中にぶつけてしまいました。
2人は息を飲んで、目撃してしまいました。
―――悟浄と八戒の………キスシーン。
しかも、服が肌蹴つつある現在進行形の…次のコース行きのを。
瞬間沸騰した鍋に投げ込まれたタコみたいに、真っ赤になった2人は。
ロボットみたいに、回れ右をして。
何とかその場を逃げ出しました。
唯一の救いは、2人に気付いてニヤリと笑った悟浄の顔を。
見ずに済んだ事でしょうか。
お気の毒さまでしたvv
2004.10.26 UP
☆ コメント ★
泉さまに捧げますv
えーと、サイトカウンターの4万ヒットのキリバンの…
リクエストです……えへへv
今頃で、申し訳ありませーん(汗)
で〜こんな甘ったるいお話になってしまいましたが…。
大丈夫かしら? ドキドキ(笑)
けど、悟浄って本当に良い思いしてるような
う〜ん、羨ましいヤツだ(笑)
ではでは、慎んで贈らせて頂きます♪
モドル