READY STEADY GO!!



by 遙か



白いな――と教えてった途端、離せなくなった
視線も思考も――心まで全部

**********


斜陽殿のVIP専用の保養所。
三蔵からの無理難題の仕事を片付けた後。
約束の報酬以外に、八戒がゲットした宿泊券だった。
密かに、三蔵が利用しようと取っておいたらしいが。
口で、八戒に敵うわけもなく、チョー渋面で投げて寄越してきた。
思ってはねぇけど、悪ぃな。
有り難ーく、八戒と2人で出掛けてくんなv と。
俺はチケットをキャッチした。

で、八戒と骨休みと称して、出掛けてきたんだが…。
これまた、山奥の更に山奥。
秘湯探検じゃねーってのっ。
普通のヤツじゃ、ぜってぇ来れねーぞ、ココはっ!
休養を取る前に、へたばっちまう。

―――て、なワケで、一日目到着後。
   メシ食って、余儀なく就寝。
   ナンかする、体力切れ〜……。


**********


「――悟浄。悟浄、起きて下さい。
 もうお昼ですよ。」

掛け布団をひっぺがされ、敷き布団を持ち上げられて。
俺は畳の上に転がされて、起こされた…。

あんな〜、もーちょっと、優しく起こせよな〜。
これが、恋人に対しての起こし方かよ。
ぜってぇ、間違ってんぞ。

「ぶつぶつ言っていないで、さっさと着替えて顔を洗ってきて下さい。
 僕、お腹が空いているんです。」

―――サァーーーッ、冷や汗が背中を通った。
空腹ん時の八戒って…結構…不機嫌になるんだよな…

俺は寝乱れた浴衣の前を慌てて、合わせて立ち上がり。
チョー特急で、身支度を整え始めた。


**********


「このサラダのドレッシング、美味しいですねv
 レシピって、教えて貰えるんでしょうか?」

取り敢えず、空腹が解消されたんで。
八戒は通常のニコニコモードに、戻った。
…マジ、ホッ。

ん。今日も美人さんだよな、八戒は。
ぐっすり眠ったおかげで、疲労の色が濃かった顔色が。
解消されている。よしよし。

コイツ、本気で無理してませんからって、ゆーから。
タチが悪くってさ。
俺が気付いてやんねーと、な。

「コーヒーのお代わりしますか?」
「ああ、頼むワ。」
「済みませーん。コーヒーのお願い出来ますかー。」
「はーい、少々お待ち下さいね。」

ちと、歳のいってるお姉さまが。
コーヒーサーバー事、持って来て注いでくれた。

「ありがとうございます。」
「い〜え、今日と明日はお客さん達おふたりだけですから。
 サービスさせて頂きますよ。」
「え、そうなん?」
「僕達だけなんですか?」
「はい、ごゆっくりなさっていって下さいませね。」

なみなみと注いだコーヒーを俺達の前に置いて。
お姉さんは、にっこりと笑ってくれちゃった。
一体、俺達のコトをどー見てんのやら。
男2人の客のコトを。


**********


「悟浄…あの…僕…やっぱり。」
「だあああめ。」
「でも…。」
「でも、じゃねーの。」
「けど…。」
「けども、却下。
 ここまで来たら、覚悟決めろって。」

押し問答してんのは、ナニのコトじゃなく〜。
あ? 期待した?
俺も期待したんだけどね。

実はさ、折角室内温水プールにきたんだから。
さっさと、パーカー脱いで泳ぐぞってコト。
腹の傷を八戒が気にしてんのは、知ってる。
けど、さっき聞いた情報――ここが、俺達だけの貸し切り状態。
だったら、人目を気にしてなくていいだろ。

こんなチャンス、滅多にねぇんだから。
有効活用すべきじゃんv なあ、八戒?

「あv もしかして、泳げねぇとか?」
「泳げますっ!」

だったら、イーじゃんと。
俺はプールの中から、八戒へと手を差し伸べた。
ムキになっていた表情が、困惑へと変わる。
誰も見たコトのねえ、俺だけにする八戒の感情の動き。
ひとつも見逃したくねえよ。

「判りました…。
 一寸、待ってて下さい。上着脱いできますから。」
「OKv」

プールの中から、八戒の動きを目で追ってく。
細い足首が踵を返し。
少し離れたプールサイド脇に置いてある、リクライニングチェアまで歩いていく。

「見ないで下さい。」
「やだ。」
「悪趣味です。」

その言い草に、ニヤッと笑ってやると。
八戒は、キッと俺を睨み付けて背中を向けて。
躊躇いなく、脱ぎだした。

遠目でも判る、滑らかな光沢の白。
あの肌の感触を俺は何度も確かめている。
この手で、この腕で、この身体で…。
目が奪われる。

無言で、硬い表情で、戻ってきた八戒へと。
もう一度、手を差し出すと。
素直に、手を取ってくれた。

水で滑らないようにと、気を付けながら。
俺は一気に腕を引いて、大きく水音を立てて。
八戒を抱き込んで、水の中へと潜り込んだ。

揺れる視界の中。
強引に、kissして。
藻掻こうとする、躰を捕らえ込む。

ユラリとする、空気の泡。
生温い水に、包まれて。
俺達は、息苦しさの中――kissだけを続けて……。



2004.11.06  UP



☆ コメント ★


桂さまに捧げますv

相互リンクのお礼で御座いますvv
勿論、リクエストはとご用聞きに行きました所(笑)

『水着の八戒さん、それに萌える悟浄』

という、萌えなお題を頂いて来ましたvv
それなのに〜。
で……出来たのがこれ……ιι
い…如何なものでしょうか? ドキンドキン(汗)
…私は悟浄と立場を代わりたかったです(笑)


ではでは、慎んで贈らせて頂きます♪



モドル