香る雨 紡ぎ雨



by 遙か



春の天気は、とっても気紛れ
雨を降らすか、降らさないか
その時の、神様の気分一つ…

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「ふぇーっ、ナンだよっ。
 このどしゃぶりの雨はっ。」
「仕方ないですよ。
 今頃の天気は変わりやすいんですから。」
「けどよお、昼間はあんなに晴れてたくせに。
 帰る時んなって、こんな降るコトねーじゃん。」
「そう、ですねぇ…。」

悟浄の言い方が、子供の様で。
つい、僕はくすくすと笑ってしまいました。
ムッとした、悟浄の顔のオプション付きで。

三蔵からの依頼の品物を届けに行った帰り道で。
僕等は、突然の夕立に遭遇してしまいました。
もう家が近かったので、走って帰って来たのですが。
雨足の方が早くて、2人共全身ずぶ濡れとなってしまいました。

「う〜〜〜っ、ひでぇ目にあった。」

頭を振って、水滴を飛ばそうとする悟浄は。
毛足の長い、犬みたいです。
そういえば…性格もどちらかといえば。
人懐っこい大型犬、ですよね。くすくす。

「八戒?」
「水も滴る良い男ですね、悟浄v」

おっとっと。
考えていた事がばれると拗ねて、後が大変ですから。
冷静に、話を横に持っていきましょう。
こういった勘だけは、良いんですから、悟浄は。

「まあなv」
「けど、風邪を引いたら大変です。
 直ぐに、お風呂の準備をしますから。」
「いや、シャワーにしようぜv
 温度を熱めにしておけば、寒くないし、手っ取り早いだろ?」
「そうですね…。じゃあ、悟浄からお先にどうぞ。」
「ナニ言ってんだよ。八戒だってビショ濡れだろ。
 一緒に入っちまおうぜ。」
「…そうですね。僕が風邪を引いたら大変ですし。」
「…あのお〜、俺は?」
「悟浄が寝込んでも、僕の仕事に看病が増えるだけで何の支障もないでしょう?
 けれどその逆は、家の中の腐食が進むから、おちおち寝てられません。」
「…はぁ?」

呆気に取られた悟浄を置いて。
僕はさっさと、乾いたタオルを2本持って浴室へと向かいました。
冗談が本当になるのは、嫌ですから。
それに濡れた服の儘でいるのは、気持ち悪いです。
早く脱ぎたいです。

「悟浄、早くしないと置いてっちゃいますよ。」
「あっ! おい、待てよ、八戒ってばっ。」

俺は慌てて、八戒の後ろ姿を追った。
廊下は水浸しだが、不可抗力だもんな。
八戒自身も判ってっから、ナンも言わねーし。

「後で、掃除ですからね。」
「へーい。」

ここで、俺がすんのか? と、一言でも言えば。
どーなるか、判ってっからヨイコのお返事をするのが。
イッチャン、無難。

「2人ですれば、早く終わりますからね。」
「ああ。」

なっv
ナンだカンだと言って、八戒は俺に甘い。
順調になってきた同居生活の中で。
俺は八戒の地雷回避が、段々と巧くなってきてるよなあ。
…まだ、踏む回数は多いんだけどな。

     жжжжж

取り敢えず〜、冷たく張り付いた服を苦労しつつ脱いで。
洗濯機に突っ込んでから、浴室へと入った。

雨に濡れた素肌は、浴室のひんやりとした空気にブルッと震えた。
先ずは、身体を温めねえ…と、で。
空の湯船に入り、シャワーの栓を捻った。
一気に熱い湯が出できて、俺はホッとした。
俺より、八戒の方が心配だからな。
平気だと言いながら、簡単に熱を出しやすいんだ。
だからこそ、身体の芯からきちんと温めてやらないとな。

「何をニヤニヤしているんですか、悟浄。」

ハッと気付くと、至近距離で翠のおメメが。
怒っているよーな、笑ってるよーな、ネコみたいな。
気紛れな表情を見せて、俺を睨み付けていた。
雨に濡れて、今、俺と一緒にシャワーの湯で全身を濡らしながら。

「まあ…ナニをな。」
「全く、そればかりなんですから。」
「ナニよお。大事なコトだろーが。」
「大事、ねえ。」
「恋人同士の間柄には、なくてはならない大事なモンだろv」

顔を近付けて、鼻先を摺り合わせると。
八戒は、擽ったそーに笑った。
その笑顔に惹かれて、しなやかな身体を抱き寄せて。
八戒へと、キスをする。

降り注ぐシャワーの湯気よりも。
互いの熱を上昇させて。
キスを続けていった。



2004.11.27  UP



☆ コメント ★


結花さまに捧げますv

相互リンクのお礼で御座いますvv
リクエストを頂いて、書き上げました(笑)

『猫・犬みたい』か『雨(どしゃぶり)』

このどちらかで、という事で…
どしゃぶりを選んでみましたv
ほのかに…ホントーーーに、ほのかにH的なモノを
混ぜてみたりして(爆)
…失敗してるけど(苦笑)

ではでは、慎んで贈らせて頂きます♪




モドル