プリズム



by 遙か



〜 捲簾編



一体、何があって、こうなったのか…全く判りません
考えても考えても、結果だけで原因が…判りません
悟浄のベッドの中で、悟浄のお兄さんの…捲簾さんに
抱かれている僕がいる事に
どんな理由を付けたら……

■□■ □■ □■ □■ □■□


初体験後の、悟浄とのお付き合いは順調でした。
特に、大きな変化はないと思いますが。
以前より、悟浄に気を許していると思います。
緊張が解けて、自然に笑えるようになっていました。

『八戒、もっと甘えてイイって〜』

そんな風に言いながら、僕を抱き締めてくる悟浄の腕の中は。
心地良くて、大切にして貰っているのが判って。
僕は幸せでした。


■□■ □■ □■ □■ □■□


この日の待ち合わせは、悟浄の家でした。
迎えに来て欲しいという、悟浄のリクエストで。

僕は、悟浄の家のチャイムを鳴らしました。
そこで、何回か会っているお兄さんの捲簾さんが出てきて。
悟浄は一寸出掛けていて、直ぐに戻ってくるから待っていてくれとの伝言を聞き。
上がって待っていてくれと、勧められるままに家の中へと招かれ。
ソファへと座り、お茶を出されて、飲んで…。
…目眩がして、その場に倒れ込みました。

「流石、天蓬が言うだけの事はあるな。速攻の効き目だ」

何を言われているのか、判りませんでした。
けれど、倒れていた身体を抱き上げられて、運ばれている途中に。
教えられた事に、僕は動けない全身が凍り付きました。

どうにかしないと。
ここから、逃げないと。
なのに、気持ちが焦るばかりで、身体は殆ど動かせませんでした。

「やっぱり、慣れた所の方がリラックス出来るだろ」

悟浄のベッドの上に、身体を乗せられました。
藻掻いても、手にも足にも力が入りません。
喉がカラカラに乾いていました。
それでも、声を絞り出して。
どうしても、聞きたい事を口にしました。

「どうして、こんな事を…」
「んー、さっきの補足になるが、悟浄があんまり自慢するから興味を持ったんだよ。
 で、薬を一服盛らして貰って…あ、害はない。一過性の物だって言うから安心していい。
 まあ、それで悟浄の自慢がどこまでかって確かめたくなったって訳だ」
「そんな…」
「ああ、もう一つ安心していい。悟浄は了解済みだ」
「…えっ?」

プツリと、どこかで糸の切れる音がしました。
身体の、どこもかしこも僕の意志から離れていきました。

―――悟浄が、僕を

打ち消しても打ち消しても、今の状況が事実だと突き付けてきます。

「そういう事だ。愉しんだ方がいいぞ」

身体が覆い被さってきて、素肌が重ねられました。
熱くて、どうにかなりそうでした。
『八戒』と勝手に何度も呼ばれて、悟浄と違う声を耳に吹き込まれました。

…違うのに、どうして身体は反応してしまうのか。
…嫌、なのに。

息苦しく、舌を弄ばれる深いキス。
指でなぞられて、唇で辿られていく、首筋。
胸を、腕の内側を、お腹の上を軽く噛まれて、きつく吸われて、付けられていく痕。
一本一本含まれて、舐められていく手の指。
撫でられて、立てられて、大きく開かされた両脚。

いっそ、気が狂ってしまえばいいのに。

全部の愛撫を受け入れて、悦んだ身体に取り込まれた僕は。
『悟浄』ではなく『捲簾』と名前を呼ばされて。
強請る言葉を口にして、何度も達して…果てました。

「確かに、悟浄が自慢するだけのいい躯だな、八戒は」

涙ですっかり霞んだ視界の中、満足気に笑う捲簾に。
髪を撫でられながら、僕は目を閉じました。

この悪夢から、逃げたくて…。



2008.5.12  UP



☆ コメント ☆

彩乃さまに、心を込めて捧げますv

続きの捲簾編です
これを書き始めた時、これを贈っても良いのかと考え…
いえね、自分のトコのだったら良いのだけど
人様のトコに贈るのに良いのかと
で、彩乃さんに直接聞いたら、即OKv
なので、書き進めた結果がこれです〜あはは


どうぞ、お受け取り下さいませv



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