‘ひらひら’
by 遙か
『全く、馬鹿ですか、貴方は』
そう言って笑う、天蓬は
本当に楽しそうで
俺は苦笑いするしかなかった
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白衣の肩を態とらしく落としてから、腰に手をあて、仁王立ちで。
天蓬は、俺を見下ろしていた。
怪我で、強制的にベッドに寝かされている俺の事を。
「本当に何をやっているんですか、一体」
「名誉の負傷で、療養中」
「模擬戦で不名誉にもこけて、戦線離脱しただけじゃないですか」
「あそこで、足場が崩れるとは思わないだろうが」
「油断大敵、臨機応変です」
「へいへい」
勝ち誇った顔で、天蓬は笑っていたが。
ホッと、息を抜いたのを俺は見逃さなかった。
辛辣さの中の、見え隠れする甘さ。
天蓬に心配されるのは、ある意味気持ちいい。
「それで、具合は如何ですか?」
「見ての通りだ」
「それは、ぶっ叩いて確かめて良いという事でしょうか」
「それは、却下だ。それより、天蓬」
「何ですか」
届く範囲だった手首を掴んで、引き寄せると。
予想していた抵抗はなく、すんなりとベッドに腰掛けてきた。
「見舞いの時間は過ぎてるよな?」
「ええ、とっくのとおに」
時刻は、日付が変わって…いるな。
これに、どうこう言う気はない。
言っても、無駄だ。
「つまり、見舞いというより夜這いか?」
「ご希望ですか?」
「すると言ったら?」
「添いますけど」
「怪我人相手にか?」
「何か不都合がありますか?」
「無い、な」
猫の様な仕草で、ベッドに乗り上げてくる天蓬の首に手を回し。
薄く笑っている唇に、口吻けた。
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一番、負担にならない方法…。
あ、僕がじゃなくて、捲簾になんですけど…を考えた末。
僕は下だけ脱いで、ベッドの上に身体を起こして座っている捲簾の上に。
よいしょっと、跨りました。
でも、この格好って…かなり…。
部屋の中は暗いんですけど、ベッドヘッドの灯りが点いているので…。
捲簾からすると、丸見えって事じゃ…。
「何を今更、照れてるんだ?」
「今更だからですよ…あっ」
固い掌が、シャツの下の肌を撫でていく感触に、声が詰まりました。
体温の高い捲簾の手は大きくて、腰から脇腹と、滑るように。
撫で上げていきます。
まだ、序の口だと。
熱が、スーッと広がっていってしまい。
僕は唇を噛んで、顔を下に向けました。
「顔、見せろって」
「嫌…です」
「強情っ張り」
「貴方に、言われ…たく、ありませ…ん」
「それは、俺のセリフだって」
「―――――あっ…」
乳首を抓まれて、捩られた鋭い痛みに。
僕は、声も顔も上げちゃいました。
「…貴方って、人は」
「感じたろ?」
「…バカ」
「お前もな」
シャツのボタンを外され、白衣に手を通しているだけの姿で。
動き辛い捲簾の分まで、僕が動かされました。
いつの間にか、捲簾の手の熱さが気にならないくらい。
僕の身体も、熱くなっていて。
熱を取り込んでいるのか、取り込まれているのか。
捲簾の首にしがみつきながら、身体の裡を思う存分に掻き回されました。
流れていく汗が、気持ち良くて。
捲簾が呼ぶ僕の名前が、心地良くて。
最後は理性を早々に、僕は手放しました。
―――後は、任せましたからね…捲簾。
明日の朝、ちゃんと先に起きて、僕を起こして下さいね。
この病室に、誰か人が来る前に。
2009.03.27 UP
☆ コメント ☆
橘さまに捧げますv
去年の11月のオンリーで×××な事が
橘さんとの間にありまして
その際に結ばれた契約から
出来上がった話ですv
橘さんからのオーダーは
『白衣で羞恥プレイ』で御座います
この世で、この話を押し付けられるのは
橘さん一人です(笑)
どうぞ、お受け取り下さいませv
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