朝のお帰りなさいv




by 遙か



両想いになったばかりで
身も心も結ばれて
一緒に暮らしてれば
新婚さんの定義に当て嵌まりますよね?

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亀の歩みの様な、平行線の関係を。
ずっと続けていくのかと、思っていた悟浄と八戒が。
ひょんな事から、お互いの気持ちを知る機会に恵まれて。
磁石の様に、くっついてしまったのが10日前。
双方、諦め度がMAXだっただけに。
まさか、相手も同じ気持ちだったとはの、嬉しさが天井知らずで。
兎に角、イチャイチャ・ベタベタ。
所構わず、一時も離れたくない。
視界に、入れておきたい状態。

まあ、八戒の方に幾ばくかの理性が残っているのが。
唯一の救いかも。
………救われてる、かな???


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「おはようございます、悟浄。」
「おはよ、八戒。」

想いが通じ合ってからの、朝の光景。
悟浄の部屋の、悟浄のベッド。
悟浄の腕の中で、目が覚めた八戒は。
至近距離で見る、悟浄の顔に。
はにかみながら、朝の挨拶をしました。
その綺麗な微笑みに、悟浄も見惚れつつ。
照れ臭そうに、返事をします。

「朝食を作って来ますね。」
「俺も手伝うよ。」

出来立て、ほやほやカップルは。
いつでも、くっついていたいので。
今では、すっかりと生活サイクルが同じになっていました。

「ありがとうございます。」
「おぅ、任せとけ。」

手伝うといっても、パンにバターを塗るくらい。
コーヒーカップをテーブルに運ぶくらい。
でも、そんな些細な事でも2人には楽しいのでした。

「いっただきまーす。」
「いただきます。」

向かい合わせに座って。
朝の光も一杯の中、朝食を食べ始めます。

「八戒、あのさ。」
「はい、何ですか、悟浄。」
「俺、今晩、仕事に行ってくるワ。」
「そうですか。…じゃあ、お昼寝しておいた方がいいですね。」
「ああ、そーする。夕方に、起こしてくれっか?」
「何時に起こせばいいですか?」
「六時。」
「はい、判りました。」

悟浄のお仕事といったら、ギャンブルで。
夜限定のお仕事です。
カンが勝負の分かれ目になりますから、寝不足はいけません。

八戒はちらりと、頭の中を掠めた『寂しいな』を。
しっかりと押し込めて、にっこりと笑いながら返事をしました。


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夜11時。
八戒は、自分の部屋の自分のベッドに潜り込みました。
ジープを抱っこしながら。

悟浄が出掛ける時に、帰りは何時になるか判らないから。
待ってる必要無しと、言われたのと。
悟浄が居ないと手持ち無沙汰で、起きている気になれず。
早々の就寝を決めて、八戒は寝てしまいました。


ボーンボーンボーンボーン

ふと、頭の中に響いてきた時報に。
八戒は、起きてしまいました。
薄目を開けると、部屋の中は薄暗くジープの寝息だけが聞こえてきます。

まだ、起きなくてもいい時刻。
なので、八戒は目を閉じて、もう一度寝ようとしました。
けれど、一度目覚めてしまった意識は、なかなか眠ってくれません。
逆に、今居ない悟浄の事を考えて、頭の中が覚めていってしまいます。

一緒のベッドで、眠り始めてから数日なのに。
悟浄の体温。悟浄の腕。悟浄の匂い…etc…。
そういったものが、すっかりと八戒に浸透していて。
また、寂しさを思い出してしまいました。

『お水…飲んできましょうか。』

ジープを起こさない様に気を付けて、カーディガンをはおって。
八戒は、キッチンへと行きました。
昼間とは違う、朝方のキッチン。
まだ、眠りの中にあるというイメージでした。

水を一杯汲んで、椅子に座って八戒は飲みました。
コトンと、空のコップをテーブルの上に置いて。
大きな溜息を付いた所に…玄関の方で、鍵が開く小さな音がしました。

悟浄が帰って来たという事に、時間の観念を忘れて。
喜んで、八戒はお出迎えに玄関へと急ぎました。

「お帰りなさい、悟浄。」
「は、八戒? たっ…タダイマ。」

この時、八戒を見て悟浄がギクッとした事。
どもった事――ついでに、朝帰りの時間だった事。
お酒と一緒の香水の匂いが、ぷんぷんだった事に。
八戒の心の中に、一つの疑惑が生まれてしまいました。
今までの――恋人同士になる前の――悟浄の行状も蘇ってきて。


さあ、これから初の夫婦ゲンカに発展するのか、どうかは。
八戒の胸先三寸一つ、でしょうか…ねぇ?



2004.9.30  UP



☆ コメント ★


龍華さまに捧げますv

相互リンクのお礼のSSです…あはは(引き攣り笑い)
ひたすら初々しくの新婚さんの
旦那の朝帰り疑惑(…じゃなかったりして(笑))話です
本当にこの後、どうなるでしょうかね???


慎んで、贈らせて頂きますvv




モドル