遠藤さや 様  Happy Birthday!!

【好き】だから【好き】


by 遙か




『無い物強請り』

人は自分にないものに、憧れ、それを欲してジレンマに陥る。
知識としては、知っていましたが。
まさか、自分がそんな状況になるとは、思いもしませんでした。はい。

今まで、何も欲しい物がなかったですから。
僕には。

努力などしていません。
勝手に向こうから、来るんです。
僕がどう望もうと、望むまいと。
そう、別に欲しくなくても、ね。

それなのに。
欲しいと思ってしまった物が、出来てしまったんです。
自分で自分に驚いています。
僕に、こんな普通の感情が、あったのかと。

あの人が。
あの人が、欲しいんです。
あの人を僕の物にしたいんです。

しなやかな鋼のような、男。
強く、確固たる己を内包している、男。
生きている事を際限なく貪り。
自由気儘。奔放で、剛胆。
彼にとって【生きる事】は、【今】なんでしょうね。

捲簾大将――僕の部下で、上官になるのかなあ・笑。

**********

なんだろな。
ホント、なんだろなって、カンジなんだよなあ。
喰えねえってのは、何となく分かったんだけどよ。
こう…掴み切れないって、ゆーのかなあ。
マジ、分かりませんってやつ?

今度、配属された先の俺の上司で、部下になるのか?
天蓬元帥??

変わりモンだってのは、聞いてたし。
実際、見たらばよ。
ホーント、変なヤツだった。
人様なんておかまいなし、我が道を行くってカンジだった。

なのによお。
俺、何かしたっけか?
元帥様にさ?
心辺り、ないんすけど……。

なんだかなあ。
……………。
ぽりぽり。
妙に、突っかかってくにんの、俺に。
他の奴らにはしないんだけどさあ。
俺にだけ、はっきり分かる様に、ちくちくと。

俺様、こーゆーのって、ヤなんだよね。
訳の分からないのつて、さあ。
言いたいコトあれば、言えばいーじゃん。
はっきりと、俺に。

そーだよ。
だったら、言わせてやろーじゃんか、元帥様よ。

**********

「何の御用でしょうか、捲簾大将。」
「御用ってゆーか、聞きてーコトなんだけどさ。」
「では、どうぞ。」
「何で、俺ばっかイジメんの?」
「……気付いていましたか?」
「あれで、気付かなかったら相当鈍いぜ。」
「そうですか。では、理由、知りたいですか?」
「はい、そりゃあ、もお。」
「好きな子ほどイジメたくなるって、やつですよ。」
「へっ?」

**********

やっと、捲簾が僕に突っかかってきてくれました。
やれやれ、ですね。
少し、鈍いんじゃないですか、捲簾。

僕の言葉に、固まってる彼の襟元を引っ張る。
素直に傾いてきた彼に、そのままキスをする。

「好きなんですよ、あなたが――僕は。」

**********

突然、アップになった、それはそれは、綺麗な顔。
元々、好みの顔なんだ、コイツの顔って。
俺、趣味イイし。

それが、迫ってきてくれたってのは。
棚ボタ、ラッキーって、か。

返事の代わりに、擦り寄って来た天蓬の躯を抱き締める。
抱き締めて、キスの主導権をもぎ取る。

さて、俺の引いたくじは、当たりか外れか?
これから、楽しくなりそうな予感に。
内心、ほくそ笑みながら、俺は。
腕の中の美人に、没頭していった。



2001.5.26 UP



★ コメント ☆

さて、サイト上に初お目見えの、捲簾×天蓬です。
どんなのを載せようなうかなーって、色々、思案してたトコに。
捲×天のイラストでお世話になっている、遠藤さやさまのお誕生日を聞きつけまして。
是非、誕生日プレゼントに、捲×天を書かせて下さい。
リクエストを下さいって、お願いしたんです。
そしたら、捲兄を大好きな天ちゃんということで、分かりましたって。
その時は、簡単に引き受けたのですが…クリア出来たか、どうか……。
未熟ですが、貰ってやって下さい。返却可です。

さてさて、ここで書きたかったのは。
【好きな子ほどイジメたくなるって】ってトコです・笑。
これからの、捲簾の未来が予想出来て楽しいですう。
頑張れと、肩を叩いて上げまする・笑。