掲示板bWを踏んでくれたお礼の小話です。
ネタのリクエストも戴きました夏目さんに捧げます。


膝 枕



by 遙か


「はあ〜っかい。」

こういたった声色で、悟浄が僕を呼ぶ時は。
大抵、僕に予想も付かないろくでもない事を言い出す、前兆。
僕は今までの経験から、気を引き締めて。
悟浄へと振り返った。

「何ですか、悟浄。」
「これこれ。」
「は?」

楽しそうに、ある意味、悟空に通じるにこぱとした笑顔で。
悟浄が僕に見せたのは、キャラクターの付いた、耳掻きでした。
【たれぱん】でしたっけね、あのパンダは。
でも、それが?

「ほら、耳掻きしてやっから、ここ来いよ。」
「はい?」

座り込んで、足を伸ばして。
悟浄は、自分の膝の上を指指している。
つまり、これって。
悟浄が僕の耳掻きをするから…僕に悟浄の膝の上に頭を乗せろっていう事…ですよね。

「そうそう、そーゆーコト。ほら、遠慮すんなって。」

誰が遠慮なんかしていますか。目眩がしただけです。
……けれど。
何でこんな事を急に言い出したのでしょうか。
いつもは、耳掻きをして欲しいと。
ねだって、背中に張り付いて来ますよね、悟浄の方が。
どういった風の吹き回しでしょうか。

「ん――いつもさ、八戒がしてくれてさ。それが、バリ・気持ちイーの。
だからさ、八戒にもその気持ち良さをお裾分けしたいかなって、思っちゃった訳。」

耳掻きをくるくる回しながら、悟浄が理由を話してくれるのを。
僕はびっくりして、納得して、ほわっとした気持ちに包まれたのを感じました。

「じゃあ、折角ですからお願いしましょうか。」
「まっかせなさーい。」

悟浄の堅い膝の上に、頭を乗せて。
僕は、目を閉じた。



2001.5.7 UP



☆ コメント ★

八戒が悟浄の耳掻きをするのは、当然の事なので。
その逆がご覧になりたいという、リクエストでした。
で、思い付いたのが上のお話で御座います。
夏目さん、これで良い?

この後。
八戒、自分で耳掻きしてますんで、綺麗なので。
直ぐに、悟浄するコトなくなっちゃいます。
で、何をするかってゆーと。
八戒の耳朶を甘噛みしてえ。
八戒がびっくりして、不意にされたコトで敏感に反応したのに。
にんまりしてえ。
そのまんま、八戒が横になっているのをいいコトに。
はい、そのまんま、襲います。
ちゃっかりしてますよ、ホント…やれやれ。