Virgin Eyes

B 〜 こんな気持ちを 〜



BY 遙か


「どうぞ。」

成り行き上、仕方なく。
僕は、彼を部屋の中へと上げた。

「紅茶でいいですか?」
「ああ。」

テーブルの上の、花喃の分のカップを片付け。
自分の分は、まだあるので。
彼の分を淹れに、キッチンへと行きました。

はあ。
何で、こんな事になっているのでしょうか。
何で、僕が求婚されて。
Yesの返事のみを要求されて。
糠に釘。
暖簾に腕押しを。
体験する羽目になるとは……。


「はい、どうぞ。」

コトン、と。
中身が零れない様に気を付けながら。
彼の前に、カップを置きました。

「良い香りだな。」
「ええ、林檎の紅茶なんですよ。」

ふ〜ん、と。
珍しそうに、彼は一口、口に含んだ。

「美味い。」
「お口に合って、良かったです。」

素直に、美味しいと感想を言う彼に。
ほんの少しだけ、好感が持てて。
僕も残っていた紅茶を飲み干しました。
なのに。

「それで、話の続きだが。」

この一言に、さっき感じた好感は一気に吹き飛び。
彼をきっと、睨み付けました。

「お断りしますと、申し上げた筈ですが。」
「俺は断られる気はないが。」
「諦めが悪いですね。」
「お前もな。」
「僕の何処がですか。」
「お前は俺のモノだ。
何をそんな頑なに拒否するんだ。」

開いた口が塞がらない。
思考が停止しました。

「まあ、運命の出逢いをしたばかりだから。
八戒も、落ち着かないのだろう。」

いい加減にして下さい。

「だからな、俺は考えた。
分かり合う時間が必要だと。」

一体、何を…。

「何も心配しなくていい。
安心して、俺に身を委ねればいいだけだ。」

冗談じゃない……。



済まないな。
手荒な真似はしたくないので、この方法を取らせて貰った。

目の前の椅子で、深い眠りについた八戒を見る。
やはり、薬のせいか。
強制的なモノなので、穏やかな寝顔とはいえないが。
瞳を閉じているせいか、幼さが見える。

額に掛かった前髪を払い。
そこへ、ひとつ口吻ける。

「悟浄様。」
「用意は出来ているな。」
「はい、万全で御座います。」
「よし。」

その場から、八戒の躰を抱き上げる。
手渡された布の中へと。
大事にくるみ込み。
俺の両腕へと。



2001.10.11 UP



Cへ続く 


★ コメント ☆

サイト復活記念のB話目v

きゃあーーーっ、八ちゃんが攫われちゃったあっ。
ど、どーしよおっ。
おろおろ。

と、いうことで、久々に書きました。
少し、間が空いてしまい済みませんでした。
でも、書くのは楽しかった。
さて、どーしよーかなあっ、考えてたもんで。
へへへ。

何しろ、いつ、八ちゃんをゴジョが、かっ攫うんですかって。
お問い合せが多くて・笑。
はい、かっ攫って行きましたよ。
(誰かに、まあた、お薬ネタが上手ねって言われそうだわ)
さて、次はどうなるかな。
ふふふ。