Virgin Eyes
C 〜 やさしくしてあげたい 〜
BY 遙か
真なる紅。
王族の中でも、この色を纏うのは唯一人と定められている。
その者が。
世継ぎから王となり、死を迎えるまでと。
今、真紅の天鵞絨の布に躰を包まれ。
八戒は眠っていた。
悟浄の腕の中で。
「―――――ん。」
「八戒?」
小さく声が漏れてきたので。
呼び掛けて、顔を見てみたが。
目覚める様子は、なかった。
「ドクガクジ。」
「はい。」
手渡された白いタオルを八戒の口元を。
息苦しくならない様して。
覆った。
やはり、眠りが浅くなっていた様だ。
タオルに染み込ませてある薬で。
八戒の躯が、ゆっくりと沈み込んでいく。
タオルをドクガクジに戻し。
俺は八戒を抱き直した。
細く、軽い。躰。
抱き心地は、確かに骨が当たる部分があるが。
しっくりと、馴染む。
こうして、抱いているコトが。
昔からの自然のコトの様だ。
「八戒。」
耳元に囁く。
答える訳はないが。
ピクリと目頭が動く。
そこへ、軽くキスをした。
眠りに付いている八戒は。
幼いというイメージがある。
あの、俺のお気に入りの碧の瞳が見えないせいだろう。
強い、光を放つ、翡翠の色。
俺は、俺を睨み付ける人間を。
初めて、見た。
表面は、穏やかにしていても。
その牙をちらちらと見せ。
意識的に、他人を威嚇する。
その強かさが。
気に入った。
欲しいと、思った。
だから、連れて行く。
八戒は、俺のだ。
「あと、どの位で着くんだ?」
「空港へは、1時間程です。
ですから、王宮へは2時間です。」
「そうか。」
もうすぐだな。
お前の意志と。
俺の意志を。
ひとつのモノとしていく。
大河の流れ。
決して、止まる事はない。
2001.10.29 UP
Dへ続く
★ コメント ☆
サイト復活記念のC話目v
ゴジョの一人語りでした。
とうとう、お国へ連れてかれる寸前です。
逃げるも何も、眠ってるんだもん。
目を覚ました時が、どうなることやら・笑。
捕獲した山猫状態だったりして・大笑。
うーん、なかなか進展しなくて、ごめんねってカンジです。
次は、もう少し進みます。
きっと…ι
あはは。